Windows11は失敗作ではない?その真実と今後の向き合い方を考察
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Windows11は失敗作ではない?その真実と今後の向き合い方を考察
アンドエンジニア編集部
2023.12.12
この記事でわかること
Windowsは成功と失敗を交互に繰り返すというジンクスがある
功を焦って十分に市場の声に耳を傾けなかったことがWindowsの失敗作に共通する原因
Windows11はWindows10をベースとする進化版であり、今後も改良が続くため失敗作とするのは時期尚早

Windows11は失敗作?

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Windows11への移行がスムーズには進んでいないようです。ネット上では概ねWindows11に対する評価は厳しいものがあり、中にはWindows11は「ひどい」「評判悪い」「改悪」「悲報」「駄作」などの酷評が少なからず見受けられます。

こうした厳しい評価が移行が進まない原因の一つと考えられます。Windowsマニアの間には、よく知られたジンクスがあります。「Windowsは成功と失敗を交互に繰り返す」というジンクスです。

この記事では、Windows11は本当に失敗作なのか、改悪や駄作と言われる理由はどこにあるのか、Windowsのジンクスの検証を交えながら答えを見出してまいります。

【参考】:企業のWindows端末の半数以上がWindows 11を実行できない|マイナビニュース

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WindowsのジンクスによるWindows11の考察

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1985年にWindows1.0として販売されて以来、Windowsは既に37年の歴史を刻んでいます。その間、2年から3年の間隔でメジャーアップデートが行われて、Windowsの新たなOSが次々と登場してきました。

その後、マイクロソフト社は2015年にリリースしたWindows10を「最後のバージョンのWindows」という触れ込みで発売しましたが、それから6年余りでWindows11を市場に投入しています。

Windowsは成功と失敗を交互に繰り返すというジンクスがあり、広く普及したWindows10を成功作と見ると、Windows11は失敗作という見方もあります。

Windowsの歴史を振り返ってみると、評判の良かったWindowsOSの後に登場したバージョンはことごとく悪評が付きまといました。Windows98(SE)の後のWindowsME、WindowsXPの後に登場したWindowsVista、Windows7の後のWindows8などが挙げられます。まずWindowsの歴史を確認してみましょう。

Windowsの歴史からジンクスを確認する

Windowsが圧倒的な支持を得る切っ掛けになったのは、Windows95の登場です。Windows95の登場は熱狂的なブームを招き、Windows95を買い求める人が徹夜で並んだというニュースが話題になりました。

このWindows95以降のWindowsの歴史を年表にしてみました。業務系として開発されたWindows NT系についても併せて載せました。また、世間の評判が良かったOSは太字にしています。

登場年  9×系     NT系       サポート終了    

1995: Windows 95              2001年12月 1996:       Windows NT4.0 1998: Windows 98              2006年7月 2000:           Windows 2000     2010年7月 2000: Windows ME               2006年7月 2001:  Windows XP                                    2014年4月 2006: Windows Vista                                    2017年4月 2009: Windows7                                       2020年1月 2012: Windows8                                            2023年1月 2015: Windows 10                                  2025年10月 2021: Windows 11                                                 ?

以上のように年表形式にしてみると、Windowsは成功と失敗を交互に繰り返しているジンクスがある、と言われることが納得できると思います。

Windowsが成功と失敗を繰り返す理由

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Windowsが成功と失敗を繰り返しているというジンクスが正しいとして、厳しい評価を受けているWindowsについて個別に見てみましょう。何か共通する原因が見えてくるかもしれません。

Windows ME

Windows MEの正式名称は「Windows Millennium Edition」で、2000年9月23日に発売されました。

Windows MEはWindows95では弱かったマルチメディア機能が強化され、USBメモリーやUSBデバイスにも対応した斬新なOSでした。

しかしWindows9×系特有のメモリー管理領域の制約から、メインメモリー内のユーザー領域の割り当てが少なく、アプリを動かすとフリーズするという現象が多発したこと、次世代WindowsのXPまでのつなぎ役という認識から、世間の評価は良くはありませんでした。

Windows Vista

Windows Vistaは使い勝手が良く、高評価だったWindowsXPの後継として2007年1月30日にリリースされました。このWindows Vistaも、Windows XPのメジャーアップデートとして位置づけられ、当時開発中のWindows7へのつなぎ役として位置づけられていました。

一方で、当時はコンピューターウィルスの蔓延による被害が多発しており、Windowsセキュリティの強化が急務となりました。

そこでWindowsVistaは強化ポイントのグラフィック機能に加え、セキュリティ強化という命題を与えられて登場しましたが、当時のパソコンの標準的なスペックには重すぎることから、ハードウェアがついてこれず「重たいOS」というネガティブなイメージが定着しました。

Windows8

Windows7が好評を博していた頃、市場ではタブレット端末が急成長していました。マイクロソフト社はタブレット端末に対抗するため、PCとタブレットのハイブリッドマシンである「Surface」を開発し、新しいOSの可能性を試しました。

Windows8はマウスとキーボート、タッチでも使える革新的なOSとして2012年に登場しましたが、ユーザーが馴染んでいたスタートボタンを廃止するなど、デザインが斬新過ぎることから、「Windws7の方が良かった」というユーザーが多く、大きな支持を得る事ができませんでした。

少なくともビジネスユースではハイブリットOSはニーズがまだあまりなく、画面をタッチパネルにすることでコストが上がり、逆にそれが仇になりました。

マイクロソフト社はユーザーの批判をスルーすることは出来ず、僅か1年で改良場版のWindows8.1をリリースしましたが、ユーザーの支持を回復するには至らず、2年余りで幕を閉じることとなりました。

厳しい評価を受けているWindowsに共通する問題

WindowsME、WindowsVista、Windows8は市場から厳しい評価を受けましたが、それらにはある共通点が見えてきます。それは、既存のバージョンからの大型アップデートを狙い、斬新であること、豊富な機能があることを多く盛り込んだ点です。

WindowsMEでは、エンジン部分をそのままにしてマルチメディア機能やUSBインターフェースなどの新しさにこだわった事で、安定性を犠牲にしてしまいました。

WindowsVistaはマシンに負荷がかかるグラフィック機能に加え、セキュリティ向上の二兎を追い、動作が重たいOSとなってしまいました。Windows8はタブレットとPCのハイブリッドマシンを目指し、どちらも中途半端となって、タブレット支持者とPC支持者の双方から批判の声が上がりました。

斬新な機能・画期的なOSを意識するあまり、ユーザーにとっては不便と感じる仕上がりになってしまったことが、失敗作と呼ばれているバージョンに共通する原因ではないでしょうか。

Windows11が不人気や失敗作と言われる理由

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「Windows10は最後のバージョンのWindows」というコンセプトを翻し、マイクロソフト社がWindows11を市場に投入したことで、ユーザーからは「最後のWindowsではなかったのか」と批判の声が上がりました。

その上、ビジネスユーザーにとっては厳しいと言われる、ハードスペック要件を設けられることも原因の一つです。

更に多くのユーザーが馴染んだWindows10のUIや操作性に大きく変更を行いました。Windows11を手にしたユーザーの大きな関心事は、UIや機能、操作性面で慣れ親しんだWindows10に近付けることにあるように思われます。

大まかに言えば、「最後ではなかったWindows」、「厳しいスペック要件」、「違和感」の3点がWindows11が評価されない、あるいは不人気の理由ではないでしょうか?もう少し詳しく厳しい評価を受けている理由を見てみましょう。

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Windows10は最後のOS?

多くの人はWindows11を新たなWindowsOSだと認識していますが、OS内部を見てみるとWindows11はWindows10のメジャーアップデート版であり、カーネルなどの根幹部分はWindows10とほぼ変わりません。

つまり、Windows10は最後のWindowsであり、Windows11はネーミングはともかく中身はWindows10なのですから、マイクロソフト社の主張はあながち嘘とは言い切れません。

Windows11の必要スペック要件がネック

Windows 10のシステム要件の中で、最も重要な要素と思われるのはCPUとメモリ、TPM※(Trusted Platform Module)の3つです。

企業のパソコンにおける適合状況を見ていくと、Microsoft製のSurfaceでさえ、不適合のCPUを搭載しているものがあるほどで、CPUが適合しないパソコンが4割程度はあります。

メモリ要件に関しては「4GB以上」の要件を多くのパソコンがクリアしていますが、TPMは「TPM 2.0のサポート」が必須で、不適合となるパソコンが半数近くはあるなど、企業が抱えるパソコンのWindows11対応は非常に厳しい状況にあるようです。

とはいえ、Windows11がパフォーマンスを発揮するには、一定のスペック要件は必要です。マイクロソフト社がパフォーマンス重視の観点から、現実的なスペック要件を示したことはむしろ評価すべきことかもしれません。

【参考】:※TPM とは|マイクロソフト公式

【参考】:Windows 11の普及を阻む要因 - 阿久津良和のWindows Weekly Report|マイナビニュース

Windows11の違和感

Windows11はスナップ機能やウィジェット機能などさまざまな最新機能を搭載していますが、一方で違和感を感じるユーザーが少なくありません。Windows10に慣れ親しんだユーザーが最初に感じるのは、UIや操作面での違和感です。

「スタートメニュー」が真ん中にシフトし、「コンテキストメニュー」(右クリック)が最小化され、タスクバーの機能も変わりました。UIや操作感が大きく変わってしまったことで違和感を感じているユーザーが多くいる印象です。

必ずしも多くの人が望んだ変更や機能追加では無い箇所があり、マイクロソフト社に対する期待の裏返しとして、やや厳しい見方につながったようです。とはいえ、UIや機能をWindows10に近付ける方法も用意されており、失敗作というほどの深刻な問題とはいえません。

これからWindows11とどう向き合うか?

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ここまでWindows11は失敗作か否かという視点から考察をしました。マイクロソフト社は市場での評価には敏感であり、こうしたWindows11に対するユーザーの不満には神経を尖らせていることでしょう。

これまでもマイクロソフトがWindows8で大きく改良を施したWindows8.1のように、今秋以降に予定されている年1回のアップデートでは、大きな改善を行う可能性を否定できません。またWindows11は実質的にWindows10をベースとする進化版ですから、失敗作という評価は時期尚早です。

いずれにしても、3年先にはWindows11への移行期限が到来しますので、失敗作だからと忌避するのではなく、前向きにWindows11への移行検討を進めましょう。

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