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Dockerとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説
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Dockerとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

アンドエンジニア編集部
2024.09.20
この記事でわかること
Dockerはコンテナ技術を使って仮想環境を作るためのソフトウェア
Dockerは、Dockerエンジン・Dockerイメージ・コンテナの3つの要素から成り立っている
Dockerで開発チームの開発環境を簡単に統一でき、他の構築方法より負荷も軽い

Dockerとは何かわかりやすく解説

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まずは「Dockerとは何か?」という所からわかりやすく解説します。Dockerで何ができるのか、そもそも仮想環境とは何か、Dockerと他の仮想マシンの違い、Dockerの使いどころについてまとめたので、Dockerについて詳しく知らない方はこの機会にぜひ学んでください。

Dockerで何ができるのか?

DockerとはDocker社が開発した仮想環境を作るためのソフトウェアを指します。Dockerではコンテナと呼ばれる技術を使って仮想環境を作っており、他の仮想マシンとは少し異なる手法を用いています。

【参考】:Docker

【Docker入門】メリットや用途を交えて基本情報を解説!

そもそも仮想環境とは?

仮想環境とは、コンピュータ内で構築された仮想的な環境を意味します。仮想環境内では通常のコンピュータと同じような手順で、アプリを動かしたりプログラムを開発したりできます。また、Windowsの中にLinuxの仮想環境を構築する、といったこともできるため、Linuxでしか使えないアプリをLinuxパソコンを持っていなくても使うことが可能です。

なお、仮想環境を作るには、コンピュータのCPUやメモリなどのリソースを仮想環境にも分け与える必要があります。あくまで元々あったリソースを使っているだけなので、速度などの性能は通常よりも落ちますが、実機をもう1台用意しなくて良いというコスト面のメリットがあります。

Dockerと他の仮想マシンの違い

Dockerと並ぶ代表的な仮想マシンにVMware Playerなどがありますが、それらは仮想環境の作り方がDockerとは異なります。他の仮想マシンではパソコンのOS上に別のOS(ゲストOS)を作り、そのOS上に仮想環境を作ってアプリを動かします。

たとえば、WindowsOS上でVMware Playerを起動させてLinuxOSを作り、その上でExcelを動かすといった具合です。この場合、ExcelはゲストOSであるLinuxOSによって管理されます。しかし、このやり方ではExcelを使う度にゲストOSを動かす必要があるため、起動が遅くなってしまうデメリットがあります。

対してDockerでは、ゲストOSを作らずにホストOSのカーネル(OSの基本機能)を共有します。ゲストOSが必要ないのでその都度ゲストOSの立ち上げを待つこともなく、起動が速いメリットがあります。

【参考】:VMware Workstation Player

Dockerの使いどころ

Dockerは主に開発環境を構築する際に使われます。Dockerを使えば開発チームの環境を全く同じにできるのがメリットです。

開発環境が違うと開発中のアプリの挙動が変わってしまうことがあり、連携が取りにくくなってしまいますが、Dockerはその問題を解決します。Dockerで全員同じ状態の仮想環境を作り、そこに共通のアプリやツールをインストールすれば、開発がスムーズに進みます。

Dockerの仕組みについて

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Dockerは、Dockerエンジン・Dockerイメージ・コンテナの3つから成り立っています。この3つの役割や特徴を知ることで、Dockerの仕組みについて理解できます。

Dockerエンジン

DockerエンジンはDockerそのものを指します。Dockerエンジンを起動させるとパソコンのOS上でコンテナが動くようになります。Dockerは公式サイトからWindows用、Mac用、Linux用それぞれをインストールすることが可能です。

【参考】:Docker

【Dockerインストール】Windows・Linux・MacOS

Dockerイメージ

コンテナを取得する前にDockerイメージを用意する必要があります。Dockerイメージはコンテナの実行に必要なファイルがまとめられたものであり、アプリごとに別々の種類のイメージが用意されています。

DockerイメージはDocker Hubから入手することが可能です。Docker Hubには各Dockerイメージを入手するためのコマンドが書かれているので、そのコマンドをコマンドプロンプトで叩きます。

【参考】:Docker Hub

Dockerイメージとコンテナの違いとは?作成の流れ入門

コンテナ

Dockerイメージを入手したら、Dockerイメージによってコンテナを作ります。コンテナとはDockerエンジン上に構築されるアプリケーションの実行環境(仮想環境)のことで、コンテナ1つ1つが独立して作動しています。

Dockerイメージからコンテナを作成することを「ビルドする」と言います。OS、WebサーバーやDBサーバー、アプリケーションなど、用途に応じてさまざまな環境をビルドすることができます。

エンジニア初心者でも分かる!Dockerコンテナの超入門!

Docker環境の構築が簡単になる「Docker Desktop」

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Docker Desktopとは、WindowsやMacOS上でDockerを使用する際に便利なアプリケーションです。Docker Desktopはシンプルなインターフェースで使いやすく、これを使えば専用のGUI上でコンテナの稼働状況の確認やコンテナの停止・再開・廃棄といった管理作業が簡単にできるようになります。

【参考】:Docker Desktop

Docker Desktopの有料化について

Dockerそのものは無料で利用できますが、Docker Desktopは2021年9月から有料化されています。

有料サブスクリプション契約が必要なのは「従業員が 251 人以上、または、年間収入が 1,000 万米ドル以上」の大企業における商用利用で、個人や規定以下の規模の企業、非商用における利用については引き続き無料となります。

【参考】:The Grace Period for the Docker Subscription Service Agreement Ends Soon – Here’s What You Need to Know

エンジニア必見! Docker Desktop有料化の影響と対策

Docker DesktopのLinux版が登場

今までDocker DesktopにはMac版とWindows版しかありませんでしたが、2022年5月からLinux版も利用できるようになりました。

Linux版が登場したことで、OSの違いによる動作環境や機能の差をなくし、すべての主要なOSでエクスペリエンスを統一できるようになりました。

【参考】:Docker Desktop for Linux (ベータ版)

Docker Desktop 4.6が登場!最新版の新機能やインストール手順を解説

Dockerのメリット

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Dockerを使うと、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは、Dockerは他の仮想マシンと比べてどういった点が優れているのか、詳しく解説します。

Dockerのメリットを徹底解説!仮想マシンとは何が違う?

開発環境の構築が簡単にできる

Dockerエンジンをインストール後、利用したいアプリのDockerイメージを入手してコンテナを作成するだけで、開発環境が構築できます。Docker Hubでは実に多様なDockerイメージが公開されており、目的に応じたイメージを選べばすぐに開発環境を構築することができます。

また、開発環境を作り直したい場合はコンテナを削除して再び作成するだけで済み、ホストOSに影響を及ばさないため、安心して作り直すことが可能です。

Docker Hubとは?仕組みからアカウント作成方法まで紹介

負荷が小さく処理速度が速い

Dockerは、他の仮想マシンと比べて容量が小さく軽量です。パソコンのCPUやメモリなどのリソースを必要最低限しか利用しないため、パソコンに与える負荷を小さくすることができます。

DockerはホストOSのカーネルを共有していますが、1つのコンテナの中でミドルウェアやアプリケーションを含めた環境が完結しており、まるで別々のマシンが動いているかのような動作を実現できます。そのため、負荷を抑えて高速に処理することが可能になっています。

ハードウェアコストを削減できる

Dockerを使えば、1つの物理サーバ上に複数のコンテナを作成でき、効率的に運用することができます。従来はアプリケーションごとにサーバを用意する必要がありましたが、Dockerを導入することで、1台のサーバで複数のアプリケーションを動かすことができるため、ハードウェアの利用効率が大幅に向上します。

その結果、ハードウェアにかかるコストも大幅に削減できるでしょう。例えば、これまでは10アプリケーションのために10台のサーバを用意していたのが、Dockerの導入で1台のサーバで済むようになれば、コスト削減の効果が非常に大きいことがわかります。

開発環境の共有が簡単

チームで複数のメンバーと開発作業を行う際や、新しいメンバーが入った際も、Dockerであればイメージを共有することで、各人が同じ環境を簡単に構築することができます。

コンテナを作成するためのDockerイメージには、アプリケーションの実行に必要なリソースがすべて含まれています。独自のコンテナ環境も、パッケージ化したイメージという形で保存し、配布することで簡単に共有できます。

また、開発のために作成したDockerイメージはそのまま本番環境でも使うことができます。このことから、開発環境と差がなくプロダクトの品質が保たれる、といったメリットも得られます。

バージョン管理・ロールバックがしやすい

コンテナやイメージはレイヤー化されていて差分保存される仕組みなので、変更を加えると新しいレイヤーが追加されます。変更内容は変更ログとして保存されるため、バージョンを追跡することができます。

現在のバージョンで問題が発生した場合に以前のバージョンにロールバックしたり、新旧バージョン間の変更箇所のみをアップロードしたりもできるので、開発作業をより効率的に進めることができます。

Dockerのデメリット

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ここまでDockerのできることやメリットを紹介しましたが、Dockerのデメリットもいくつかあります。ここでは、Dockerにおけるデメリットをまとめました。

ノウハウの習得に時間がかかる

Dockerは他の仮想マシンとは異なる手法で仮想環境を構築するため、構築方法について1から理解する必要があります。Dockerの動作手順をよく理解しないまま使用すると、思わぬトラブルが発生することも多いので、安全に効果的な運用を行うには十分な学習が必要となります。

OSを個別に選択できない

Dockerでは、同一のOS上に複数のコンテナを作成します。このことによって起動や処理の速さなどのメリットが得られるわけですが、同時にデメリットを引き起こしてしまうこともあります。

例えば、OS違いの検証をしたい場合は別のマシンや仮想マシンを用意しなければなりませんし、ホストOSに未対応のアプリケーションは起動できません。

規模が大きくなると管理が大変になる

Dockerの規模が大きくなり大量のコンテナを管理する必要が出てくると、オーバーヘッドのリスクが高まります。そのため慎重な設計が求められますが、大規模利用ではDockerのみですべての管理を行うのは難しいです。

そこで、通常は大量のコンテナを管理するためにKubernetesといったオーケストレーションツールが用いられます。その場合、コストや習得の手間などが追加で発生することになります。

DockerとKubernetesの概要・使い分けポイントを解説
コンテナ化を楽に!KubernetesとDockerの違いを解説

セキュリティリスクに注意が必要

1台のマシン上で多数のコンテナが作動することは大きなメリットでもありますが、このように分離レベルが低い状態では、1つの脆弱性がホストマシン全体に影響を及ぼすリスクがあります。

あるコンテナに悪意のあるソフトウェアや第三者が入り込むと、ホストOSや他のコンテナまでもが危険にさらされます。したがって、ユーザの権限設定なども含め、コンテナ単位でのセキュリティ対策が非常に重要になります。

コンテナ同士の連携が難しい

コンテナ同士を連携させたい場合、適切に設計できていないと運用が上手くいかないこともあります。そのため、コンテナの連携は難易度が高いと言えます。

コンテナ間でファイルやデータを共有することは可能ですが、連携の方法によってはセキュリティリスクが高まってしまったり、設定が複雑だと運用の手間がかかってしまったりします。また、連携によって処理速度や処理性能の低下が招かれる恐れもあります。コンテナを連携させる場合は、設計の段階から十分に検討する必要があります。

Docker初心者におすすめの本

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最後に、Docker初心者が1から学ぶにあたって最適な本をまとめました。Docker関連の本は数多く出版されていますが、その中でも今回挙げる3つの本はDockerの仕組みについて分かりやすく書かれており、初心者におすすめです。

開発系エンジニアのためのDocker絵とき入門

本書は、Dockerの基本的な知識からインストール方法や使い方・活用例、トラブルシュートの方法まで、フルカラーの図解でわかりやすく解説されている入門書です。Docker 初心者が躓きやすい箇所が視覚的に理解できるように解説されており、Dockerを利用するために必要な知識がきちんと身に付きます。

▪著者:鈴木 亮 ▪ページ数:352ページ ▪出版社:秀和システム ▪発売日:2024/01/20 【参考】:開発系エンジニアのためのDocker絵とき入門|秀和システム

Docker/Kubernetes実践コンテナ開発入門 改訂新版

Docker初心者から中級者までおすすめの本です。DockerやKubernetesといったコンテナ技術の基礎知識から実際のアプリケーションの作り方まで徹底解説した入門書となっています。Dockerの基礎から実践まで一通り学びたい、コンテナの基礎知識はあるが実際に動かして体験したい、という方に適しているでしょう。

▪著者:山田明憲 ▪ページ数:600ページ ▪出版社:技術評論社 ▪発売日:2024/02/24 【参考】:Docker/Kubernetes実践コンテナ開発入門 改訂新版|技術評論社

Docker実践ガイド 第3版

企業におけるDockerを用いたコンテナ環境の構築・運用・活用のノウハウを網羅した書籍です。現場の技術者はもちろん、意思決定を行う立場の人がDockerの導入検討ができる内容になっています。経験がなくてもコンテナ基盤の構築と運用が行えるようになる、実践的な内容です。

▪著者:古賀政純 ▪ページ数:520ページ ▪出版社:インプレスブックス ▪発売日:2023/02/21 【参考】:Docker実践ガイド 第3版|インプレスブックス

Dockerを学んで業務に活用しよう

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本記事ではDockerとは何かについて解説しました。Dockerと他の仮想マシンの違いやDockerの仕組みなどについて、ご理解頂けたかと思います。Dockerは動作が速い上に仮想環境の構築が簡単なので、多くの企業で導入されています。

エンジニアが市場価値を上げるコツは、今度流行すると予想される技術分野について詳しくなることです。今後Dockerを使う企業はさらに増えていくことが予想されるので、Docker未経験の方は今のうちに勉強しておくことをおすすめします。Dockerの勉強を行う場合は本記事で挙げた3つの本を活用してみてください。

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