組み込みエンジニアは本当に激務?
組み込みエンジニアは、家電用品などに搭載されているシステムやソフトウェアに携わる職種で、IoT・AIの普及に伴って需要が増えています。しかし、激務だとして敬遠されることもあります。ここでは、組み込みエンジニアの残業時間・有休取得率から実際の状況について解説します。
組み込みエンジニアの残業時間
厚生労働省が公開している「IT業界の働き方・休み方の推進」によると、IT業界1,248社を調査した結果、ITエンジニアの月平均残業時間が40時間以内となっている企業が、98%を占めています。ITエンジニアの中には組み込みエンジニアも含まれています。
ITエンジニア全体で見ると、激務と言われるほど一概には残業が多いとは言えません。次に、一部のITエンジニアが激務になっているかどうかを確認します。月の残業が80時間を超えるITエンジニアが何%いるのかを、IT企業のアンケート結果から紹介します。
IT企業で、80時間を超える残業をしている従業員がいない企業は、全体の60%です。残り40%のうちの36%の企業が、全従業員のうち1%~10%が80時間以上の残業をしているとあります。
上記の結果から、ITエンジニアの残業は40時間以内がほとんどですが、一部のITエンジニアの残業時間は80時間を超えていることがわかります。
【参考】:IT業界の働き方・休み方推進-厚生労働省
有給休暇の取得率
同じく厚生労働省IT業界の働き方・休み方の推進で、有給の取得についても調査しています。調査によると、IT業界の有給取得率が60%~80%未満の企業が45%を占めています。令和3年の就労条件総合調査では、企業全体・全労働者の有給取得率は56.6%となっています。
企業全体の有休取得率とITエンジニアの有休取得率に差はあまりなく、特段休みが取りにくいということはないようです。有休取得率の結果から見ても、ITエンジニアが特に仕事がきついとは言えないでしょう。
【参考】:令和3年就労条件総合調査-厚生労働省
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組み込みエンジニアが激務と言われる理由は?
実際は激務と言われるほどの状況ではない組み込みエンジニアですが、激務と言われやすいのはなぜでしょうか。理由は、幅広い知識とスキルを習得することや、クライアントとの調整が大変なことなどがあります。以降で詳しく紹介します。
専門的な知識・技術の習得が大変
組み込みエンジニアは専門的な知識とスキルが求められます。そのため、知識や技術の習得のために勉強したり、経歴を積んだりすることが大変だと言われます。扱うプログラミング言語やOSの種類が多く、仕事の合間に勉強することもあるでしょう。
またプログラミング言語やOSのほかに、電子回路の知識も必要とされます。このように、幅広い知識と技術が必要とされるのが激務だと言われる原因の1つです。
下請け企業の場合はクライアントの意向に振り回される
最初にクライアントと製品開発についてのスケジュールを組みますが、クライアントの都合でスケジュールが変更されることもあります。また、使用する部品が変更になったり、機能が追加されたりすることもあります。
クライアントの都合による仕様変更等があった場合でも、納期が変わらない場合もあります。納期は厳守する必要があるため、場合によっては残業や休日出勤で対応します。
クライアントの納期が厳しい
システム開発に着手する際は、まずクライアントと開発工数・バグ対応などを考慮したスケジュールを調整し、納期を決めます。しかし、想定していたよりもバグが多い・クライアントから仕様の変更の要求があるなど、スケジュール通りに進まないこともあります。
スケジュールに遅れが出ていても、クライアントによっては納期を延期するのが難しい場合もあるでしょう。納期を守ることでエンジニアとしての信頼や実力を高めることもできますが、無理な要求に対してはクライアントと相談し、納期を調整することも大切です。
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組み込みエンジニアの将来性や激務を避ける方法
組み込みエンジニアはITエンジニアの中でも専門的な知識、ノウハウが必要なため人材不足となっています。その反面、IoT、AIの進歩により組み込みエンジニアの需要は高まっています。ここでは、組み込みエンジニアの将来性と年収について解説します。
専門的なスキルを活かしたキャリアパスがある
組み込みエンジニアはC言語以外にも、組み込みOSや制御といった専門スキルが身についています。このスキルを生かし、IoTの分野にチャレンジしようと考える方も多いです。
モノとインターネットを繋ぐ世界はAI技術と共に更なる発展が期待でき、開発需要も高まるでしょう。なお、進化のスピードが速い分野なので、変化に柔軟に対応できる知識や想像力も身に付ける必要があります。
ITエンジニアのキャリアパスでは、開発の上流工程を担当するシステムエンジニアやプロジェクトマネージャーが多いです。しかし、組み込みエンジニアはOS・制御など特定の分野に精通しているため、IoTエンジニアやAIエンジニアといった専門職種にも転職可能です。
【参考】:組み込みエンジニアの求人|求人・転職エージェントはマイナビエージェント
激務を避けるにはスキルアップが近道
組み込みエンジニアとして働く現状で激務に感じる場合は、仕事を効率化させるためのスキルや知識を身に着けることがおすすめです。ソフトウェアのみならず、コーディングやハードウェアなどのスキルや知識を習得することで、業務効率がアップすることがあります。
特に新卒や未経験から組み込みエンジニアとして働いている場合は、これらの対策によって改善できる場合も多いです。残業時間が減ることで、負担に感じることも少なくなるでしょう。
限界が来る前にホワイト企業へ転職しよう
すでに十分なスキルや知識を持っており、業務効率化を図った現在も激務と感じる場合は、無理せず転職も視野に入れてみてはいかがでしょうか。組み込みエンジニアがホワイト企業へ転職するには、「残業20時間未満」「原則定時退社」「完全週休2日」「年間休日120日以上」といった条件を限定しておくことで、ホワイト企業を探しやすくなります。
また、最先端技術や成長業界への取り組みも行なっているかどうかなどもチェックしましょう。古い技術だけでなく、新しく注目されている技術に触れることができる企業だと、自身のスキルアップにも繋がりやすくなります。具体的には、AI・IoT・自動運転・遠隔医療などが挙げられます。
組み込みエンジニアの年収
マイナビエージェントでは職種別の年収ランキングを公開しています。組み込みエンジニアの年収はランキングに含まれていませんが、似た職種であるシステムエンジニア・プログラマーの平均年収は443万円となっています。これはあくまで平均であり、業種・業界によっては平均年収がさらに高い可能性もあります。
【参考】:職種別平均年収ランキング|求人・転職エージェントはマイナビエージェント 【参考】:組み込みエンジニアの求人|求人・転職エージェントはマイナビエージェント
組み込みエンジニアに求められるスキル
組み込みエンジニアは他のITエンジニアとは違い、汎用的なプログラミングの知識やスキルだけでなく、特殊な知識・スキルが必要です。ここでは、組み込みエンジニアに必要な知識・スキルについて解説します。
C言語やC++、Javaなどのプログラム言語のスキル
プログラミング言語は、他のITエンジニアと同様に組み込みエンジニアにとっても必要なスキルです。組み込みシステムの開発では主に、C系の言語(C、C++、Java)やアセンブリ言語が用いられます。
ただし、業務内容や開発対象となる機器の種類によって必要なプログラミング言語が異なります。そのため、複数のプログラミング言語を勉強する場合もあります。
組み込み系OSの知識
組み込みエンジニアには、プログラミング言語だけでなくOSの知識も必要です。ただし、必要となるのは、WindowsやMacといったパソコンに搭載されるOS(汎用OS)ではなく、リアルタイムOS(RTOS:Real Time Operating System)です。
組み込みシステムのマイコンには、リアルタイムOSが搭載されるのが一般的です。リアルタイムOSで普及しているのは、「ITRON」や「T-Kernel」です。これらの知識・スキルを取得することで、より組み込みエンジニアとしての実力を高めることができるでしょう。
【参考】:ITRONとは? | トロンフォーラム 【参考】:T-Kernelとは? | トロンフォーラム
電子回路の知識とスキル
組み込みエンジニアには電子回路の知識も必要です。電子回路は半導体を使用した回路のことです。具体的には、「回路図」や周辺機器の知識、回路図などを作成するのためのソフト(「KiCad」など)の知識・スキルも必要となります。
ソフトフェア、ハードウェア両方の知識が必要となるため、組み込みエンジニアは幅広い知識と専門的な知識を持ち合わせることが大切です。
【参考】:KiCad
将来性が高い組み込みエンジニアを目指すには
組み込みエンジニアは激務と言われますが、実際は激務と言われるほどの勤務状況ではありません。今後はAI、IoT、ビックデータ市場が拡大すると予想され、それに伴い組み込みエンジニアの需要も増えるでしょう。
また、組み込みエンジニアは特定のスキルを活かしたキャリアパスもあり、将来性が期待できます。そんな組み込みエンジニアに転職する場合は、自分のスキルを活かせるか・企業との相性は良いかなども考慮しましょう。
しかし、数多くの企業から自分に合った企業を選ぶのは難しく、時間もかかるため大変です。
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