受託開発はなぜやめとけと言われるのか?
SNSやネット掲示板では、受託開発は「やめとけ」といったワードが散見されます。確かに受託開発は、クライアントによっては品質や納期の縛りが強く、ストレスフルな案件がありますが、一方では受託開発にやりがいを感じるエンジニアもいます。
この記事では、受託開発企業への転職を検討している方、SESと受託開発企業のどちらにしようか迷う方に向けて、受託開発が「やめとけ」と言われる理由、SESとの違い、受託開発のメリット・デメリット、対策などについて探っていきます。未経験からエンジニアへの転職を考えている方も、ぜひ参考にしてください。
受託開発とSESの違い
受託開発とSES(System Engineering Service)は、システム開発を外部委託する形態の2つの主要な形式です。両者の違いを確認しておきましょう。違いを知った上で、キャリア選択の判断材料としましょう。
■ 受託開発 受託開発とは、請負契約に基づいて成果物の完成責任を負い、契約書で決められたスケジュールや品質基準に従う受注方式です。プロジェクトの全体像を把握し、自社の管理下で開発を進める点が特徴です。
■ SES SESはエンジニアをクライアントに派遣し、指揮命令を受けながら作業を進める方式です。成果物そのものではなく、提供するスキルやノウハウに対価が支払われるため、直接的な完成責任は負いません。ただし、指示の範囲内での責任が発生します。
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受託開発が「やめとけ」と言われる理由
「受託開発の仕事はやめとけ」と言われる理由は、以下に挙げるように、低価格競争に陥りやすい、クライアントとの関係性が難しい、技術力向上への阻害要因になるといったものが挙げられます。これらを1つずつ確認していきましょう。
低価格競争に陥りやすい
受託開発市場は競争が激しく、価格競争に巻き込まれやすい傾向があり、低価格での受注が増えると、開発品質が低下するリスクが高まります。
クライアントとの関係性が難しい
受託開発ではクライアントの要求が頻繁に変更される場合があり、開発スケジュールが遅延したり、品質が低下したりする可能性があります。また、異なる企業間でのコミュニケーションにはコストがかかり、誤解が生じる可能性もあります。
技術力向上への阻害要因となる
最新技術を使ったプロジェクトに特化する企業もありますが、安全性の観点から古いやり方や従来技術にこだわり、新しい技術への投資が疎かになったり、技術革新に対応できなかったりする可能性があります。
働き方への不満がでやすい
短納期での開発要求や、クライアントからの急な変更要求に常に対応しなければならず、精神的な負担が大きい場合があります。また、納期に間に合わせるために長時間労働を強いられる場合があり、仕事がつらいと感じて働き方への不満が出やすくなります。
自社製品開発への阻害要因となる
受託開発案件は短期的な収益につながるため、受託開発偏重に陥りやすいですが、自社開発に必要な人材が削がれ、クライアント中心の開発に偏重することで、自社製品の開発に手が回らなくなる可能性があります。
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受託開発のメリット
やめとけと言われる受託開発ですが、実はエンジニアにとって多くのメリットがあります。それは、様々な経験を積めたり、スキルアップにつながったりすることが少なくないからです。1つずつメリットを見ていきましょう。
様々な経験を積める
受託開発の受注先企業は、あらゆる業種にまたがります。また受託開発は、客先常駐になるケースも少なくないため、エンジニアは様々な企業や人との接触機会が増え、多くの経験を積めるのは受託開発ならではのメリットです。様々な経験やスキルを積みたいエンジニアの方にはおすすめです。
開発の実績を積める
受託開発では基幹系・Web系・モバイル系などあらゆる案件があり、規模も小さなものから大きなものまで様々です。また開発プロジェクトの種類も豊富にあり、大規模案件ではプログラマーとして参加し、小規模案件ではシステムエンジニアとして関わることもあります。
利用する開発手法も、ウォーターフォール型からアジャイル開発まで選択肢は広く、様々な手法を経験し、実務で学ぶことができます。
業務スキルが身に付く
受託開発では、金融業や流通業、製造業など様々な業界のシステム開発を受託することがあります。また対象部門も営業や人事、財務など様々な専門分野のシステムに関わります。このように、様々な業務スキルを体得する機会に恵まれるのは、受託開発のメリットと言えます。
品質管理能力が身に付く
受託開発では納期もさることながら、クライアントから高い品質、高い性能要件を求められます。処理量やレスポンスタイムを数値目標で示されることもあり、こうした高い品質要求に応える必要があるため、こうした開発経験を積むことで、高い品質管理能力が自然と身に付きます。
人材育成に熱心
受託開発を強みとする企業では、高いスキルを有するエンジニアを必要とするため、社員の育成に熱心であったり、資格手当を支給したりするケースが少なくありません。このようなホワイト企業に勤めることで、スキルアップやキャリアアップが図りやすくなります。
受託開発エンジニアの年収
受託開発系のエンジニアの年収はどの程度なのでしょうか?ここでは受託開発エンジニアの年収データとして、システムエンジニアの年収を見てみましょう。
一般的なシステムエンジニアの平均年収は「マイナビエージェント職種図鑑」によると、431万円(※2024年11月執筆時点)と算出されています。また、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」における「エンジニア/プログラマ」の平均年収を参考にすると、592万円でした。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムエンジニアは国内の平均よりもやや高い年収が設定されていると言えます。
ただし受託開発では、競合関係によっては料金が低めに抑えられているケースも想定されるため、企業規模の小さな会社のエンジニアは、もう少し年収が減る可能性は否定できません。
ただし、エンジニア人材の不足は深刻化しており、経験を積んでスキルアップを図ることで、より良い条件の企業に転職できる可能性は高いでしょう。
【参考】:マイナビエージェント職種図鑑/システムエンジニア ※【平均年収 調査対象者】2020年1月から2020年12月の間でマイナビエージェントに登録いただいた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
受託開発の問題を解決するには
ここまで、受託開発のデメリットとメリットについて解説しましたが、この受け止め方はエンジニアによって大きく異なります。特に、受託開発はやめとけと言うエンジニアは、デメリットを強く意識していると思われます。ここでは、受託開発の問題点を解決する方法について紹介します。
クライアントから評価される
受託開発は自分自身を認めてもらう大きなチャンスとなります。受注開発では、クライアント企業への常駐案件があり、クライアントから評価を受けやすい立場になります。クライアントから評価されて信頼されると、社内での評価も高まり、安定受注に加えて自分自身の昇格・昇給にも直結します。
スキルアップを図る
受託開発にネガティブになるのは、仕事が思ったように捗らず、プレッシャーやストレスを感じる時であり、仕事が予定通りに運ばないのは自分自身のスキルが不足しているからです。こうした状況を改善するには、自らのスキルアップを図ることです。
自己啓発を積極的に行い、資格を取得したり言語スキルを高めたりすることで、仕事の成果ややりがいにも繋がります。
キャリアパスを見直す
受託開発で日々の仕事に追われると、つい自分で描いていたはずのキャリアパスを見失ってしまいます。自分は何をしたかったのか、将来はどういった職種に就きたいのか、改めてキャリアパスを見直しましょう。キャリアパスを見直すことで、仕事に対する姿勢や意識が変わり、充実感が高まるでしょう。
有力な転職エージェントを活用する
キャリアビジョンを描き、自分の将来像や目標が定まったら、その実現に向けた活動が必要です。特に、自分に合う理想の企業を見つけて転職するのは、個人の力では限界があります。そういった時は、有力な転職エージェントを活用してみましょう。
転職相談から理想の企業を見つけ、その企業に就職するまで転職エージェントは企業とのコネクションやノウハウを生かし、転職をサポートしてくれます。1人で悩まず、転職エージェントのコンサルタントに相談してみると、良い解決策が見えてくるかもしれません。
活躍の場を得られる企業でシステム開発スキルを高めよう
ここまで、受託開発が「やめとけ」と言われる理由や、受託開発とSESの違い、受託開発のデメリット・メリット、受託開発の問題解決策などについて解説しました。
受託開発においては、様々な企業で様々な経験を積めるのはエンジニアにとって貴重な経験になりますが、実際のところは企業次第という側面もあります。
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