Power Automate Desktopとは?
近年、パソコンの操作を自動化し、業務効率を向上させるRPA(Robotic Process Automation)が注目を集めています。
Power Automate Desktopは、Microsoft社がWindows向けに提供しているRPAツールです。
Power Automate Desktopを使用することで、Windows上のアプリケーションやWebブラウザの操作を自動化することができ、ユーザは時間がかかる繰り返し作業から解放され、より優先度の高い業務に集中できます。
この記事では、Windowsの作業をより効率化したい方のために、Power Automate Desktopの機能や利用のメリットを解説します。
Power Automate Desktopとは何か
Power Automate Desktopは、Windows向けに提供されているRPAツールです。Power Automate Desktopを使えば手作業で繰り返していた業務を自動化し、反復作業を効率的に行うことができます。
プログラミングの知識がなくても、直感的な操作でフローを作成でき、Windows環境での操作を自動化できるのが大きな特徴です。
ExcelやWordの操作をはじめ、AWSやAzureとの連携、FTPやOCRの活用など、多様な用途に対応しており、個人利用からビジネス利用まで幅広いニーズに応えることができます。
無償版と有償版の違い
Power Automate Desktopは、主に個人利用向けの無償版と、ビジネス利用向けの有償版が提供されています。
無償版でできることも多く、十分な自動化機能を備えていますが、スケジュール実行や複数人でのフロー共有などの高度な機能は使えないという制限があります。
一方、有償版はこれらの制限が解除され、特定の条件や時間に基づいた自動実行や組織内でのフロー共有、実行履歴確認が可能です。
また、有償版ではクラウドフローとの連携により、自動化の範囲が大幅に広がり、業務効率をさらに高めることができます。
個人での基本的な自動化には無償版で十分であるため、気軽に試してみると良いでしょう。
より高度な機能を求める場合や、企業での利用、複数人でのフロー共有、フロー管理などを必要とする場合は有償版を検討すると良いでしょう。
インストール方法
Power Automate Desktopのインストール方法は、使用するWindowsのバージョンにより異なります。
Windows11では初期状態でインストールされており、スタートメニューから「Power Automate」を選択するだけで利用できます。
Windows10を使用している場合は、Microsoft Storeからのダウンロード、またはMSIインストーラーを使用してインストールします。インストール前には、デバイスがシステム要件を満たしていることを確認しましょう。
Microsoft Store版は管理者権限を必要とせず、自動的に最新バージョンへのアップデートが行われます。
一方、MSIインストーラー版では管理者権限が必要で、手動での更新が必要ですが、マシンランタイムアプリケーションのインストールや、Power Automateポータルを通じたマシン管理が可能です。
ただし、同一デバイスに両方のバージョンを同時にインストールすることはできませんので、どちらか一方を選んでインストールしてください。
Power Automate Desktopの主な機能
ここでは、Power Automate Desktopの主な機能について解説します。
アプリケーションやWebブラウザの操作を自動化する機能や、レコーダー機能を利用して簡単にフローを作成できる点について説明します。
アプリケーションの操作を自動化する
Power Automate Desktopは、ExcelやWord、Outlookをはじめとするアプリケーションの操作を自動化できます。
例えば、Wordに記載されている商品情報をコピーしてExcelに自動的にペーストしたり、Outlookで受信メールの添付ファイルを特定のフォルダに自動で保存したりできるほか、さまざまな作業を自動化できます。
また、デスクトップ上のウィンドウ要素を操作したり、データを抽出したりするアクションも行えて、条件分岐を利用した複雑なシナリオの作成も可能です。
Webブラウザの操作を自動化する
Power Automate Desktopで、Webブラウザの操作を自動化することもできます。 例えば、特定の情報をインターネット上で収集し、そのデータをExcelで自動的に保存することが可能です。
これにより、日々手動でWeb検索して情報をチェックするような定型業務の手間を、大幅に省けます。
操作を自動化できるアプリケーション・ブラウザの例
Power Automate Desktopで自動化できる対象として、まずExcel、Word、OutlookなどのMicrosoft製品が挙げられます。
ブラウザでは、Microsoft Edge、FireFox、Chromeの起動を自動化し、Web上のさまざまな操作を行うことができます。
また、FTP接続や、データベースへのSQL接続、クリップボードの操作、Windowsサービスの制御、PDFの操作や、OCRを使ったテキストの抽出もできます。
レコーダーで操作を記録して簡単にフローが作れる
Power Automate Desktopには、レコーダー機能が搭載されており、操作を記録するだけで簡単に自動化フローを作成できます。
レコーダーは、ブラウジング中のマウスやキーボードの動きを記録し、プログラミングの知識がなくても自動化のフローを作成できます。
さらに、画面の位置やサイズに依存しないため、レイアウトが変わっても正確に操作を再現できます。 記録が完了した後は、アクションを手動で編集し、動作を確認してからフローを保存することが可能です。
Power Automate Desktopのメリット
Power Automate Desktopを利用すれば多くのメリットが得られます。自動化により業務効率化が図れる点、プログラミング知識がなくても使用できる点、そして他のMicrosoft製品との連携がスムーズにできる点を詳しく見ていきましょう。
自動化により業務効率化が図れる
Power Automate Desktopを適切に活用すれば、これまで手作業で数分から数十分かけて行っていた作業も自動化により数秒で行えるようになり、作業時間の大幅な短縮が期待できます。
複数のアプリケーションを使った処理も可能です。たとえば、業務の報告書を作成する定型作業で、必要なデータをアプリから取得してレポートを作成し、さらにその送信までをメーラーで行うこともできるため、報告書の関連業務にかかる時間が大幅に削減されます。
さらに、経費精算のように手作業で行うと時間がかかり、エラーのリスクがある作業も、自動化によって迅速かつ正確に処理することが可能です。これにより、チェックにかかる時間を短縮できるだけでなく、信頼性も向上します。
このように定型業務を自動化することにより、業務全体の効率が向上し、その他の自動化できない重要な業務に集中することができます。
プログラミング知識がなくても使用できる
Power Automate Desktopは、プログラミングの知識がなくても簡単に使用することができます。
フロー作成画面の左側から、マウス操作でアクションを並べることで自動化フローを構築することが可能です。これにより、複雑なスクリプトを書かなくてもフローを完成させることができます。
レコーダー機能を使用して実際の画面操作をアクションとしてフローに並べた上で、さらに必要なアクションを手動でフローに追加していくと、効果的にフローが作成できます。
他のMicrosoft製品との連携がスムーズにできる
Power Automate Desktopを使用することで、他のMicrosoft製品との連携をスムーズに行うことができます。
例えば、Excelのワークシートの操作やセルの値の操作、Word文書の読み取りや書き込み、Outlookでメールを取得、送信するなどのさまざまな作業を自動的に行えます。
Power Automate Desktopの活用事例
ここでは、Power Automate Desktopの具体的な活用事例について解説します。WordやExcelを使った業務の自動化と、Webデータ収集の自動化事例を見ていきましょう。
WordやExcel業務の自動化事例
Power Automate Desktopを活用すれば、WordやExcelを使った日々の業務を簡単に自動化することができます。
例えば、毎日特定のWord文書からデータをコピーし、それをExcelシートに貼り付けて記録する作業を自動化する事例が考えられます。これは、日々の報告書やレポートの内容をExcelに転記して管理する際に便利です。
具体的には 、まず指定のWord文書を自動で開き、文書の内容を読み込みます。 その後、Excelファイルを開き、コピーしたデータを指定したセルや新しいシートに貼り付けるフローを作成します。
これにより、手作業で行っていたデータ転記作業が不要になり、時間と労力を大幅に削減することができます。
Webデータ収集の自動化事例
Power Automate Desktopを使えば、特定のウェブサイトからデータを自動的に収集し、Excelに記録する作業を効率化できます。
例えば、毎日特定の商品価格をチェックする作業がある場合、このツールを活用することで作業を自動化できます。
具体的な自動化の流れとしては、まずPower Automate Desktopで指定されたウェブサイトを自動的に開きます。
画面上の価格が表示されている特定の要素を選択してデータを取得し、次にその価格情報をExcelファイルに自動で貼り付け、日付や時間と共に記録します。
このようにして、手作業で行っていたデータ収集と記録の作業を自動化することで、時間の節約と作業ミスの軽減が図れます。
価格変動の監視や市場調査など、日々のデータ管理がより効率的に行えるようになるでしょう。
Power Automate Desktopを使って煩雑な作業を自動化しよう
ここまで、Power Automate Desktopの機能やメリットについて解説してきました。プログラミング知識がなくても、WordやExcel、Webブラウザの操作を簡単に自動化できることが分かりました。
また、Microsoft製品との高い親和性や、Webデータ収集の自動化といった具体的な活用事例も見てきました。これにより、日常業務の効率化を大幅に向上させ、作業ミスを減らすことが可能です。
日々の定型業務における手作業を減らし、時間を節約したいと考えている方には、Power Automate Desktopを導入することをおすすめします。
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