SQLのインデックスとは?
SQLを学習中の方であれば、「インデックス」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。SQLインデックスは、データベース内のデータを効率的に検索し、アクセスするためのツールです。
このインデックスは、本の索引にイメージが近いでしょう。例えば、国語辞典で特定の単語を調べる場合は、辞書を頭から読むのではなく、索引の箇所をみて該当ページを探したり、辞書全体からあたりをつけて単語を探したりするのが一般的です。
SQLにおけるインデックスも同様に、膨大な量のデータから、特定のデータを迅速に見つける時に使われます。また、データベースで検索を実行する時にインデックスがあると、データのフルスキャンを避け、必要なデータへのアクセス時間を大幅に短縮できます。
本記事では、そんなSQLのインデックスについて詳しく解説します。現在、SQLやデータベースを勉強中の方は、ぜひ参考にしてください。
インデックスについて分かりやすく解説
インデックスとは、先ほども述べたようにデータベース内のデータを、効率的に検索するために利用するツールです。ここでは、インデックスの仕組みについて簡単に紹介します。
インデックスは、主にテーブルの特定の列に作成されます。インデックスの種類にもよりますが、列データはインデックスを作成するタイミングでソートされ、B-Treeなどの特別なデータ構造に保存されます。
そして、クエリが実行されるとSQLはインデックスを使用して、テーブル内のデータをより速く検索できます。
つまり、インデックスは事前に独自のデータ構造を作成し、クエリ実行時にそのデータ構造を活用してデータを探すという仕組みです。
SQLのインデックスの種類
SQLにはいくつかの種類のインデックスがありますが、本記事では4つのインデックスを解説します。
- クラスター化インデックス
クラスター化インデックスは、キー値に基づき、データの行を並び替えて保存します。この時、並べ替えたテーブルをクラスター化テーブルと言い、このテーブルを利用して索引を行います。
- 非クラスター化インデックス
非クラスター化インデックスは、テーブル情報とは別で、特定の列を並べ替えるインデックスです。クラスタ化インデックスがデータをソートして格納するのに対し、非クラスタ化インデックスは、参照用のIDをもとに、実データへアクセスしています。
- ユニークインデックス
列の値が一意であることを保証するために使用されるインデックスです。
- フルテキストインデックス
テキストベースのデータに対して効率的な検索を可能にする、特殊なタイプのインデックスです。高度な単語検索を行う際に活躍します。
【参考】:Microsoft インデックスの種類
インデックスの物理的な構造について
インデックスは、いくつかの物理的な構造にデータを格納し、そこから索引を行います。例えば、クラスター化インデックスではB-tree(平衡木)構造が使用されますが、非クラスター化インデックスは別の構造を持ちます。
非クラスター化インデックスでは、データが格納されるテーブルとは別の場所にインデックスが格納されており、このインデックスではキー値の列にロケータと呼ばれるものを持っています。
非クラスター化インデックスで検索クエリが実行されると、SQLエンジンはまず非クラスター化インデックスでインデックスキーに一致するエントリを探します。このエントリにはロケータが含まれており、このロケータをもとに実テーブルの行データにアクセスするといった流れで、検索が行われます。
インデックスを利用する目的
インデックスを利用すると、パフォーマンスの向上などが期待できます。アプリケーション開発や、サービスを運用する場合は、パフォーマンスや検索スピードが非常に重視されるため、インデックスを正しく活用することが求められます。
ここでは、インデックスを行う目的についてまとめました。
パフォーマンスを向上させるため
SQLインデックスの1番大きな目的は、データベースのパフォーマンスを向上させることです。インデックスがない場合、データベースエンジンはクエリに対する応答を見つけるためにテーブルの全行をスキャンする必要があります。
これはフルテーブルスキャンと呼ばれ、データが多いほど時間がかかります。インデックスを使用すると、データベースは必要なデータを効率的に検索でき、高速に処理を実行できます。
データ検索がより速くなる
インデックスは、データ検索を劇的に高速にできます。特に大きなデータセットを扱う場合や、複雑なクエリを実行する場合には、データ検索の時間を劇的に短縮できます。大規模なテーブルではインデックスが欠かせません。
SQLでのインデックス作成方法
インデックスのメリットについて理解できたら、次は基本的な構文を覚えましょう。今回は、インデックスの種類ごとに構文を解説します。
クラスター化インデックスの構文例
クラスター化インデックスの基本構文を見てみましょう。
CREATE CLUSTERED INDEX index_name
ON table_name (column1, column2, ...);
上記の構文では、指定したテーブル状にindex_nameというクラスターインデックスを作成します。今回はcolumn1やcolumn2といった複数の列をインデックスキーとして使用していますが、この列は1つでも構いません。
【参考】:Microsoft クラスター化インデックスの作成
非クラスター化インデックスの構文例
続いて、非クラスター化インデックスの構文例を確認しましょう。構文例では、非クラスター化インデックスを作成する構文です。
CREATE NONCLUSTERED INDEX index_name
ON table_name (column1, column2, ...);
非クラスター化インデックスでは、NONCLUSTERED INDEXを利用します。ちなみに、非クラスター化インデックスは複数作成することもできます。
【参考】:Microsoft クラスター化インデックスの作成
ユニークインデックスの構文例
次に、ユニークインデックスの構文例を作成する構文を確認しましょう。
CREATE UNIQUE INDEX ux_columnname ON table_name (column_name);
特定のテーブルの列を指定し、ユニークインデックスを作成しています。このインデックスでは、データの挿入や更新時に、重複する値を挿入しようとするとエラーが発生し、データの整合性を保っています。
【参考】:Microsoft クラスター化インデックスの作成
フルテキストインデックスの構文例
最後に、フルテキストインデックスの構文例を見てみましょう。
CREATE FULLTEXT INDEX ON table_name
(column_name)
KEY INDEX index_name
フルテキストインデックスでは、テキストデータ内の言葉やフレーズを素早く検索します。基本的な書き方は上記の通りですが、その他にもいくつか引数がありますので、詳しく知りたい方は参考URLを参照してください。
【参考】:Microsoft フルテキストインデックスについて
インデックスを使う際のポイント
インデックスを使用すると、SQLクエリのパフォーマンスを大幅に改善することができます。しかし、本当にインデックスを作成する必要があるのかなど、インデックスを使う際には考慮すべき点もあります。インデックスを使う際のポイントについても、しっかり理解しましょう。
SQL SELECTクエリの書きを意識する
インデックスは、特にSELECTクエリの実行速度を向上させるために役立ちますが、そのクエリが適切に書かれている必要があります。
例えば、インデックスを作成する時は、頻繁に検索を行う列に対してクエリを作成したり、関数の使用を避けたりしましょう。
関数の使用を避ける理由としては、関数が使用されている列に対しては、インデックスが使用されない可能性があるからです。インデックスが効かないと悩んでいる方は、このような点にも注意を払いましょう。
インデックスを使った方が遅くなる?
インデックスは強力なツールですが、常に作成した方がよいとは限りません。例えば、データ量が少ないテーブルでは、フルスキャンさせた方が高速になる場合もあります。
テーブルのデータ量や、今後データが増えるかなども検討してからインデックスを貼りましょう。
インデックスを使いこなし、SQLのスキルを磨こう
アプリケーション開発やサービスの開発でも、SQLの知識は必要不可欠です。そして、インデックスはサービスのパフォーマンス向上でも重要な役割を持っています。
特に、これからバックエンドのエンジニアを目指す方はデータベースやSQLの基本的な知識をしっかり理解する必要があります。現時点でデータベースやSQLの操作に苦手意識がある方も、本記事を参考にしつつSQLの知識を高めましょう。
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