Dart言語とは
Dart言語は、Googleによって開発されたプログラミング言語です。この言語は、フロントエンドの開発分野において人気のプログラミング言語です。ウェブサービスやモバイルアプリケーションの開発をする方は、Dart言語に興味がある方も多いでしょう。
ただ、比較的新しくできた言語のため、Dart言語について聞いたことはあるものの、どのような言語なのか詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、Dart言語の特徴や、メリットとデメリットなどを詳しく紹介します。フロントエンドエンジニアの方や、これからプログラミングを学習したい方は、ぜひ参考にしてください。
【参考】:Dart 公式
Dart言語の特徴
まずは、Dart言語の特徴を理解しましょう。Dart言語はフロントエンドの開発に向いていることもあり、標準ライブラリが豊富なことや、非同期プログラミングをサポートしているのが特徴です。主な特徴について具体的に解説します。
オブジェクト指向
Dartはクラスベースのオブジェクト指向プログラミングで、クラスの概念を利用してコードを記述します。そのため、他のオブジェクト指向のプログラミング言語と同様に、コードの拡張性やメンテナンス性が高いと言えます。
Dart言語を利用すれば、1度作成したクラスを別のプロジェクトやアプリケーションでも再利用できます。つまり既存のコードを利用して機能を追加する際に、効率的に作業できるのが特徴です。
また、他のオブジェクト指向のプログラミング言語と同様に、カプセル化やポリモーフィズムを利用できます。そのため、オブジェクトの安全性を担保しつつ、拡張性の高いコードを記述できます。
【参考】:Dartドキュメント Dartの概要 【参考】:Dartドキュメント Dartの言語
JITとAOTコンパイラーをサポートしている
Dart言語ではJITコンパイラと、AOTコンパイラをサポートしています。通常プログラムをコンピュータで実行する時には、人間が書いた行動を機械語に変換する、コンパイルというプロセスが必要です。
JITコンパイラは、プログラムの実行時にこのコンパイル作業を行うため、プログラムを変更してすぐに実行結果を確認できます。
一方で、AOTコンパイラはプログラムを実行する前にコード全体をコンパイルして、ファイルを生成します。AOTコンパイラを使うとプログラムの起動時間が短縮され、実行中もパフォーマンスが高くなります。
この2つのコンパイラを併用することで、開発を効率的に行えます。例えば、通常の開発時はJITコンパイラを使用して、開発が完了した時点でAOTコンパイラを使用すると、効率的に開発を行えるでしょう。
【参考】:Dartドキュメント Dartの概要
標準ライブラリが豊富
Dartには数多くの標準ライブラリが含まれています。例えば、HTTPリクエストの送信やファイルの読み書き、JSONをはじめとするデータのエンコードとデコードなど、プログラミングに必要なタスクを簡単に実行できます。
標準ライブラリをうまく活用することで、プロジェクトの開発工数を減らすことができるでしょう。
【参考】:Dartドキュメント コアライブラリ
非同期プログラミング
Dartは非同期プログラミングをサポートしています。非同期プログラミングとは、プログラムが複数の処理を同時に進めることを指します。
Dart言語では、FutureとStreamと言われるクラスを利用して非同期実行を行います。1度だけ結果を返す非同期処理を利用したい場合は、Futureを利用します。一方で、Streamはデータが利用可能な状態であれば、再度処理を行えます。
これらの非同期プログラミングを利用すれば、入出力のタスクやファイルの読み書きを、効率的に処理できるでしょう。
【参考】:Dartドキュメント Dartの概要
Dart言語を利用するメリットとデメリット
Dart言語はモバイルアプリケーションをはじめとする、フロントエンドの分野で人気が高まっている言語だと分かりました。Dart言語は、非常に魅力的なプログラミング言語ではありますが、メリットとデメリット両方の側面があります。
ここでは、Dart言語を利用するメリットとデメリットについて詳しく解説します。
Dart言語のメリット
まずはDart言語のメリットを確認しましょう。主なメリットは3つあります。
- 開発スピードが早い
まず1つは、開発を素早く行える点です。なぜ開発スピードが速くなるのかと言うと、Dart言語は生産性を上げるためのツールや機能が豊富に提供されているためです。
例えば、Dart言語にはホットリロード機能が提供されていますが、この機能を使えば行動の変更がリアルタイムで反映されるため開発を効率的に行えます。
- ツールセットがすでに用意されている
Dart言語の開発環境は、Dart SDKというものを利用します。このSDKの中にはコンパイラやデバッカーなど、開発に必要なツールがすでに用意されています。環境構築に手間をかけることなく、すぐに開発作業に取り掛かれるのはメリットの1つでしょう。
- フレームワークを利用できる
Dart言語はFlutterというフレームワークを利用できます。これを利用することで、クロスプラットフォーム開発が簡単に行えます。Android、iOS、Webアプリを同時に開発したい方にとっては、特に大きなメリットでしょう。
【参考】:Flutter 公式
Dart言語のデメリット
Dart言語のデメリットは共通して、プログラミング言語としての歴史が浅いことが原因にあります。そのため、将来的に今回紹介するデメリットは、なくなる可能性もあるでしょう。
ここからはDart言語のデメリットを2つ紹介します。
- 情報量が少ない
Dart言語は他のプログラミング言語と比較すると、まだ歴史の浅い言語です。そのため、他のプログラミング言語の情報量と比較すると、現段階においては情報量が少ないです。
特に、日本語でDart言語について紹介している記事がまだ少ないため、調べ物をする際に苦労するかもしれません。ただし、Google翻訳などの翻訳ツールを使えば英語の記事も日本語で読めます。これからDart言語を勉強したい方は、翻訳ツールを活用しながら学習を進めましょう。
- コミュニティの規模が比較的小さい
Dart言語は比較的新しい言語のため、コミュニティの規模も小さめというデメリットがあります。そのため、開発中にわからないことを質問したとしても、回答を得るまでに時間がかかるかもしれません。
ただ、今後Dart言語の歴史が長くなり利用する人が増えていけば、コミュニティも大きくなるでしょう。
Dart言語の文法について
Dart言語の文法は少し特徴的なため、ここでは例を出しながらその特徴について紹介します。これからDart言語を学習しようと考えている方はぜひ参考にしてください。
また、より深くDart言語の文法について知りたい時には、公式サイトのドキュメントやチュートリアルのページを活用しましょう。ここでは、Dart言語の文法の中でも、特に特徴的なポイントを厳選して紹介します。
【参考】:Dartドキュメント 【参考】:Dartチュートリアル
カスケード記法
カスケード記号とは、1つのオブジェクトに対して複数のメソッドを呼び出したい時などに、コードを簡潔に書く記法です。普通、複数のメソッドを呼び出す際はオブジェクトを指定した後に、それぞれのメソッドを記述する必要があります。
一方で、カスケード記法ではオブジェクトを繰り返し書く必要がありません。
例えば、下のサンプルコードを見てみましょう。このコードでは、「obj1」というオブジェクトに対して、メソッド1、メソッド2、メソッド3を1度に呼び出しています。
obj1
..method1()
..method2()
..method3();
このように簡潔にコードを記述できるのが、Dart言語の特徴です。
名前付きコンストラクタ
コンストラクタは、クラスからオブジェクトを作成する際に呼び出されるメソッドですが、Dart言語ではクラスに複数のコンストラクタを持てます。
Dartでは、1つのコンストラクタだけで新たにオブジェクトを作成したい場合、名前付きコンストラクタを追加できます。このように、オブジェクトを作成する時に柔軟にコードが書けるのもDartの魅力です。
型推論
他のプログラミング言語と同様に、Dart言語でも変数を定義する際には、特定の型を明示することが推奨されています。ただし、Dartには型推論の機能があり、コンパイラが自動で変数の型を判断する機能が用意されています。
型推論は非常に便利な機能ですが、コンパイラの判断が間違っている場合もありますので基本的には、型を明示するようにしましょう。
【参考】:Dartドキュメント 型推論について
Dart言語の今後の将来性
Dart言語は今後、需要が高まっていくプログラミング言語なのでしょうか。これからDartを学習しようか迷っている方は、Dartの将来性も気になるのではないでしょうか。
結論から言うと、Dart言語はFlutterの需要が高まれば、さらに需要が増えていくと考えられます。FlutterとDartを併用すればクラスプラットフォームを従来と比較して短時間で開発することができます。このことからも、特にモバイルアプリケーションの分野ではDartの需要が高まるでしょう。
またDartはGoogleによって開発されているという点も、需要が高まるであろう要因の1つです。これからプログラミングを学習する方や、モバイルアプリケーションに興味がある方は、FlutterとDartを学習することをおすすめします。
モバイルアプリを作るならDartを学んでみよう
Dart言語は比較的新しい言語のため、情報収集に多少手間をかける必要はあります。しかし、強力なフレームワークを利用できる点や、開発に便利なライブラリが豊富に用意されている点は大きな魅力でしょう。
フロントエンジニアを目指している方や、より効率的に作業をしたいエンジニアの方は、この機会にぜひDart言語を学習してみましょう。
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