AWSのSESとは?特徴や活用事例だけでなく高度な使い方も紹介
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AWSのSESとは?特徴や活用事例だけでなく高度な使い方も紹介
アンドエンジニア編集部
2023.05.14
この記事でわかること
AWSのSESは大多数へのメール送信を可能にするメール配信プラットフォーム
AWSのSESは無料枠があり、コストが安いだけでなく配信性能も高いことがメリット
AWSのSDKやLambdaと連携すればメール送受信の自動プログラムを作成可能

AWSのSESとは?

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Amazonが提供するクラウドサービスであるAWSでは様々な機能が提供されており、クラウドサービス業界の中でも非常に高いシェアを誇っています。そんなAWSが提供するサービスの中に、「AWS SES」と呼ばれるメール配信プラットフォームがあります。

このAWS SESとはどのようなサービスなのでしょうか。本記事ではAWS SESの概要や活用事例を説明するとともに、導入のメリットや高度な活用方法も解説します。

メール配信プラットフォームについて

そもそもメール配信プラットフォームとは、どのようなサービスなのでしょうか。

インターネット上のWebサービスやショッピングサイト運営者にとって、大多数の利用者へのメール配信は必要不可欠と言ってもいいでしょう。広告配信や確認、定期配信など、多くの利用者に同時にかつ安全にメールを配信することは運営上欠かせないからです。

こうした需要に応えて生まれたサービスがメール配信プラットフォームです。Googleを始めとして様々な企業が上記サービスを提供しています。

AWSのSES

AWSが提供するメール配信プラットフォームが「AWS SES」です。SESは「Simple Email Service」の略であり、AWSのアカウントを所持していれば誰でも利用可能です。

他のメール配信プラットフォームと同様に、ユーザが持つドメインとEメールアドレスを利用してメール送信を行えます。詳しくは後述しますが、SESではメールの受信も行うことができ、受信後の処理や振り分けもカスタマイズ可能です。

AWSのサービスの1つであるがゆえに、他のAWSサービスと連携できるところが大きな強みとも言えるでしょう。

【参考】:AWSのSES

AWS SESの特徴

AWS SESには様々な特徴がありますが、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • Amazon SES コンソール、Simple Mail Transfer Protocol (SMTP) など送信時の設定オプションを選択可能
  • 送信先にスパムや迷惑メール扱いされないようVirtual Deliverability Manager (VDM) を通じて、配信可能性を簡単かつ自動で改善することができる
  • インサイトダッシュボードにより、メールの送信や配信に関わるデータを一目で確認可能
  • SESによるメールの受信では受信後の処理を自動化することができる

 

【参考】:AWS SESの特徴

AWS SESの活用事例

上記のような特徴を備えたAWS SESは、具体的にどのような場面で活躍するのでしょうか。SESが使用するドメインやEメールアドレスに制限はなく、既にあるWebサイトで使用することができます。

例えば、運営しているECサイトにおいて、利用者への広告メール配信を行うことを例としましょう。SESは利用者の迷惑メールボックスに振り分けられることを避けるために必要な高い信頼性を維持しており、高い配信性能を誇ります。さらに、開封率やクリック率などの統計情報も収集可能です。

そのため、運営するサイトに安価なメール配信機能を実装できるだけでなく、強力な分析機能も実装することができるでしょう。

AWS SESを利用するメリット

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AWS SESの概要や特徴を説明してきましたが、他社のメール配信プラットフォームに比べると、SESを選ぶことにどのようなメリットがあるのでしょうか。

無料枠もあり運用コストが安い

AWS SESのメリットの1つはその運用コストの安さでしょう。まずSESには無料枠があり、送信メッセージが1ヶ月で62,000件を超えない限りはコストが一切かかりません。例え超えたとしても1,000件あたり0.1ドルというコストであるので、大きな負担にはならないでしょう。

受信メッセージの無料枠は1,000件と低めですが、超過した時のコストは送信メッセージと同じであるため、こちらも負担は大きくないと言えます。小規模から中規模のユーザにとっては、無料枠だけで十分活用できます。

AWSの他のサービスと連携できる

AWS SESはAWSのサービスの一部であり、他のサービスと連携できる点が大きなメリットと言えます。例えば、クラウドコンピューティングサービスであるAmazon EC2と連携することもでき、同サービス上にEメール送受信機能をスムーズに実装することができるでしょう。

ストレージサービスであるAWS S3と連携し、受信したメールをクラウド上に保存することもできます。また、AWS自体が非常にメジャーなクラウドサービスであるため、既にアカウントを所持している方も多いでしょう。使い慣れたサービスの中の追加機能として使用できることもメリットです。

AWSのサーバー提供サービスであるAmazon EC2とは?活用方法や料金体系等を解説!
AWSのサービスであるAmazon S3とは?その特徴と利用方法を解説!

高い配信性能

AWS SESの特徴でありメリットでもあることが、配信性能の高さです。SESを使ってメールを送信するユーザが求めていることは、送信したメールが配信先に読んでもらえるかです。どんなにメールの内容を工夫し、大勢に送信したとしても、配信先で迷惑メールやスパム扱いにされてしまっては意味がありません。

SESはそういったことにならないよう、SES自体が高い評価を維持するような工夫がなされています。例えば、配信前に自動でフィルタリングを実施し、迷惑メールと疑われるメールが配信されることを防止します。

この積み重ねにより、SESを利用するユーザは信頼された評価のもとでメール配信を行うことができます。

【参考】:SESの配信性能

AWS SESを使用するためには

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AWS SESがどのようなもので、どういったメリットがあるかを説明してきました。では、具体的にSESを使うにはどうすればよいでしょうか。ここでは、説明方法や料金プランを解説します。

AWS上での設定方法

まずはSESを実際にどのようにして使っていけばよいかを説明します。

■AWSアカウントの作成 まずはAWSのアカウントを取得しなければSESも使用できません。無料アカウントでもいいので作成しましょう。

■リージョンの選択 続いてAWSアカウントのマネジメントコンソールにログインし、SESのサービスを探します。SESのサービス画面を開くことができたら、リージョン設定を東京にします。

■メールアドレス登録と認証 次にメールアドレスの登録と認証を行います。同じくSESの設定画面からメールアドレスを登録します。ここで登録したメールアドレスが送信元のメールを配信する形です。その後、そのアドレスが存在するかどうかを認証するためにリクエストを送信し、受信したメールのリンクを押下すれば完了です。

■メール送信テスト 最後に送信テストを行います。先ほど認証に成功したメールアドレスを送信元と送信先に設定し、テストメールを送信します。この時点ではサンドボックスモードで認証済みのアドレス以外には送信できないので、同モードを解除することでSES本来の機能を使用することができます。

AWSのリージョンとは?リージョン選択のおすすめポイントを解説

AWS SESの利用料金

AWS SESを利用するための料金はどの程度なのでしょうか。SESにも無料利用枠があり、制限の範囲内で無料で利用することも可能です。2023年4月時点では、

  • 送信メッセージが1 か月あたり 62,000 件
  • 受信メッセージが1 か月あたり 1,000 件

 

という制限です。この制限を超える範囲では料金が発生します。具体的には、

  • 送信メッセージ1000件あたり0.1ドル、添付ファイル1GBにつき0.13ドルの追加料金
  • 受信メッセージ1000件あたり0.1ドル、受信メールチャンク 1,000 件につき 0.09 USDの追加料金

 

です。このように有料枠であってもかなり安価に利用できることがわかります。

【参考】:AWSの利用料金

より高度な活用方法

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最後にSESならではの高度な私用方法についての一部を紹介します。こうした高度な機能を利用できることもSESのメリットと言えるでしょう。

AWS SDKとの連携

AWSには様々なサービスがあり、その中にソフトウェア開発キットであるAWS SDKがあります。あらゆるAWSのサービスを操作するプログラムを作成可能なこのSDKは、もちろんSESとも連携が可能です。

例えば、AWS SDK for Javaとの連携により、Java言語でのメール送受信プログラムを作成することもできます。もしAWS SDKを既に使いこなしているのであれば、SESとの連携もスムーズにできるため、AWS SESを選ぶ理由にもなるでしょう。

SESと連携できるプログラミング言語は.NET・Java・PHP・Ruby・Pythonから選ぶことができるようです。

【参考】:AWS SDK

Java入門!概要やメリット、基本事項について徹底解説!

AWS Lambdaの活用

SDKを使用する以外にもSESによるメール送受信プログラムを作成する方法があります。AWS Lambdaと呼ばれるコンピューティングサービスを活用すれば、SDKを使用するよりも簡単にプログラムを設計することができます。

設計したプログラムは容易にSESを含むAWSサービスと連携することができ、ユーザのリクエストや定期的なタイミングで実行することも可能です。SESと連携するにあたっては、メール送信の自動化や受信時の自動処理も実装することができるでしょう。

【参考】:AWS Lambda

AWS Lambdaとは?できることを分かりやすく解説!

メールの受信

SESはメールを送信するだけでなく、受信する機能も持ち合わせています。例えば、メール配信先が誤って誤ってメールを返信してしまうというケースも場合によっては考えられるでしょう。

そうしたときにSESで受信メール設定を行っておけば、自動処理でメール返信を行うこともフィルタリング処理を行うことも可能です。前述したAWSのLambdaを活用することで上記のような柔軟な処理を自由に実装することができます。

AWSのSESを使いこなして効率的なサイト運営を

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本記事ではAWSのSESについて解説し、そのメリットや高度な活用方法も紹介しました。そもそもメール配信プラットフォームを知らない方も、SESがなぜ役に立つのかを理解できたのではないでしょうか。

AWSには様々なサービスがあり、SESはその中の1つにしか過ぎません。SES導入をきっかけに他のサービスについても調べ、導入を検討していけば、自分が運営するサービスやWebサイトをより良くすることもできるでしょう。

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