ソリューションエンジニアとは
求人情報などで、ソリューションエンジニア募集の記事を目にすることが増えました。ソリューションエンジニアとはどのような職種なのでしょうか。ITコンサルタントやシステムエンジニアの別名だと考える人がいるかもしれませんが、それらとは異なる新たな職種です。
この記事では、ソリューションエンジニアとはどのような役割を担う職種なのか、まずは定義について解説します。
システムエンジニアの別名?
システムエンジニアはシステムの開発を通じて、顧客の問題を解決するエンジニアです。ソリューションも問題解決を意味する英語であるため、ソリューションエンジニアは単にシステムエンジニアの名称を変えただけではないかと、疑問に感じてしまいます。
しかし、求人情報を見ると、システムエンジニアとは別にソリューションエンジニアを募集している企業が少なからずあります。では、ソリューションエンジニアとシステムエンジニアとは何が異なっているのでしょう。
ソリューションエンジニアの定義
ソリューションエンジニアに関しては、まだ明確な定義はありません。しかし、求人情報などから、ソリューションエンジニアの役割、仕事内容を推測することはできます。そこから見えるのは、ソリューションエンジニアは「企業などの問題を的確に把握し、IT技術などを用いて解決を図るITの専門家」だということです。
ソリューションエンジニアはIT技術によって問題解決を図るため、必ずしもその解決手段はシステム開発だけではありません。解決手段には最適な製品やサービスの導入、それらの有効活用策なども含まれます。
ソリューションエンジニアは、自らのIT知識と経験をもとに、企業などが抱える問題を特定化し、解決策を立案します。その解決策は、システム開発や製品・ツールの導入などさまざまです。その解決策に従って、システムエンジニアは主にシステム開発を担います。
ITコンサルタントの仕事もソリューションエンジニアと似ていますが、ITコンサルタントはあくまでもコンサルタントを通じて、企業の問題点を把握し、その解決案を提示するところまで担当し、以降はシステムエンジニアに引き継ぎます。
これに対し、ソリューションエンジニアは解決策を立案し、解決のためにソリューションの構築・導入を行います。つまり、問題発見から問題解決までのすべてを担当し、目標達成まで責任を負うのがソリューションエンジニアです。
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ソリューションエンジニアの仕事内容
ソリューションエンジニアの概要を理解したところで、ソリューションエンジニアがどのような役割を担うのか、仕事の内容について見ていきましょう。
ソリューションエンジニアが活躍するフィールドはさまざまで、SIerでシステムソリューションを提供したり、メーカーに在籍して顧客に製品やサービスなどのソリューションを提案したりと、非常に範囲は広く、バリエーションに富んでいます。
提供するソリューションはそれぞれ異なりますが、共通しているのは、顧客の悩みに耳を傾け、最適なソリューションの提案と構築を行う点です。
ヒアリングと提案
ソリューションエンジニアは最初に顧客と接触し、経営者・情報システム部門・利用部門などからヒアリングを行い、課題や要件を明らかにします。次に、ヒアリング結果に基づき、課題解決のための戦略を立案し、顧客に提案します。
提案内容は、自社製品やサービスの提供であったり、システム構築の提案であったりします。そこでは、企業の抱える課題解決に向けたマイルストーンを提示します。提案する相手は経営者の場合もあれば、利用部門の場合もあります。そのため、ソリューションエンジニアは経営に関する知識、業務知識が問われることもあります。
製品やサービス、知識などのソリューション提供
ソリューションエンジニアは、IT技術を用いた製品やサービスの提供、システム構築提案に加え、提供したソリューションの有効活用に向けた顧客の知識・リテラシー向上も重要な仕事です。
それらは勉強会やセミナーという形で提供され、情報システム部門以外に経営者や利用部門などを対象とします。
上流工程から導入後のサポート
ソリューションエンジニアには企業の課題解決という使命がありますが、提供した製品やサービス、システムなどの導入後のサポートまで行います。
つまり、要件定義や提案、システム構築といった上流工程から、それらが業務で活用され、当初計画した成果が得られるまでを一貫して責任を負います。導入後のシステム監視など、カスタマーエンジニアやインフラエンジニアと連携して行うこともあります。
ソリューションエンジニアの年収
ここでは、ソリューションエンジニアの参考年収として、システムコンサルタントの年収を例に紹介します。
システムコンサルタントの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング」での平均年収は610万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))を参考にすると、平均年収758万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムコンサルタントは一般平均年収よりも、やや高めであることが分かります。
システムコンサルタントは顧客の抱える業務上の悩みを解決するために、システムを開発したりサポートを行ったりする職種であり、ソリューションエンジニアと似ている部分があります。どちらも高い能力が求められる職種であり、平均よりも高い年収が期待できます。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング ※【平均年収 調査対象者】2015年から2016年の間でマイナビエージェントに登録いただいた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
ソリューションエンジニアの類似職種との違い
ここまでで、ソリューションエンジニアに対して「システムエンジニアと似ている」「システムコンサルタントの仕事と被っている」「セールスエンジニアの仕事と同じでは?」といった感想を持たれた方は少なくないでしょう。
ここでは類似職種との違いを明らかにし、ソリューションエンジニアに関する理解を深めていきましょう。
ITコンサルタント
ITコンサルタントはシステムの提案から構築を通じて、顧客に問題解決のためのソリューションを提供します。製品やサービスの提供となるケースもありますが、ソリューションの中心はシステム構築です。
ソリューションエンジニアは製品やサービス、知識の提案まで含まれますので、ソリューションエンジニアの方が提案範囲が広いという点が異なります。
システムエンジニア
システムエンジニアもソリューション提案に加わることはありますが、システムエンジニアの担当範囲は、要件定義・システム設計・システム開発が中心です。工程のカバー範囲はソリューションエンジニアよりは狭い点が大きく異なります。
セールスエンジニア
顧客の課題のヒアリング、製品やサービスの提案といった部分はソリューションエンジニアと被りますが、セールスエンジニアは製品やサービス、システム開発の契約獲得などが主な役割です。
セールスエンジニアは必要に応じてシステムエンジニア・製品担当・ソリューションエンジニアなどと連携して活動をしますが、契約後はそれぞれの専門家、エンジニアに任せる点がソリューションエンジニアとは異なります。
ソリューションエンジニアに必要なスキル
ソリューションエンジニアには、どのようなスキルが求められるかについて見ていきましょう。ソリューションエンジニアは主に次の3つのスキルが求められます。不足するスキルがある方は、スキルアップを目指しましょう。
問題解決能力
ソリューションエンジニアの主な仕事は、顧客の抱える問題や課題の解決です。問題解決能力はITコンサルタントやシステムエンジニアにも必要なスキルですが、ソリューションエンジニアは問題解決能力と併せてより幅広い知識や能力が求められます。
コミュニケーション能力
ソリューションエンジニアは顧客とのコミュニケーションに加え、自社の製品担当や各領域の専門家、協力会社など社外のエンジニアとのコミュニケーションが必要となりますので、高いコミュニケーション能力が求められます。
ITスキル
ソリューションエンジニアはIT技術、IT技術を用いた製品やサービスの提供、提案を行うためのITスキルが必要です。時にはプログラマー・Wenエンジニア・インフラエンジニアなどさまざまなITエンジニアと連携することもあり、幅広いIT知識やITスキルが求められます。
ソリューションエンジニアに向いている人
ソリューションエンジニアの概要やスキルが分かったところで、ではソリューションエンジニアに向いている人の特徴はどういったことが挙げられるのでしょうか。ここでは、仕事の特性から見て、向いている人の特徴をピックアップしました。
知識欲がある人
ソリューションエンジニアが担当する仕事の範囲は広く、それに合わせてさまざまなIT知識やスキルなどが求められます。また、問題解決のために最新IT技術を取り入れるケースもあるでしょう。そういった場合に備えるために、日頃からさまざまな知識を習得する努力を惜しまない人が求められます。
知識欲があり、新しい技術や情報に触れることが好きな人はソリューションエンジニアに向いていると言えます。
人と接すること好きな人
ソリューションエンジニアの仕事では、顧客やシステムエンジニアなど、さまざまな人達と触れ合う機会が多くあります。コンサルティングの業務も行うため、前述したようにコミュニケーション能力に長けていることが求められます。常に人と円滑なコミュニケーションを図る必要があるため、人と接することが好きな人に向いている職種です。
ソリューションエンジニアに限らず、こういったコミュニケーション能力はさまざまな職種で活かすことができます。特に転職などでは重要視される部分でもあるため、キャリアアップなどでも有利に働くでしょう。
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ソリューションエンジニアの将来性とキャリアパス
ここでは、ソリューションエンジニアの将来性とキャリアパスについて見ていきましょう。
将来性
企業においてはDX推進・AI導入・IoT・ビッグデータなどITの課題は山積しており、ソリューションエンジニアへの期待はさらに高まっています。
一方で、経済産業省の発表※によると、2030年には最低でも16万人、最大で79万人のIT人材が不足するという予想が示されています。IT人材であるソリューションエンジニアは、データからもその需要がさらに高まっていくことが想定されます。
【参考】:※―IT 人材需給に関する調査― 調査報告書
キャリアパス
ソリューションエンジニアの対象領域は広く、案件ごとにさまざまな仕事に対応します。そのため、あらゆる専門分野の知識に触れ、課題解決のためのスキルを磨くなど、キャリアアップの機会が豊富にあります。
また、ソリューションエンジニアとして高年収が期待できるSIerなどの求人もあり、転職による年収アップの機会が豊富にありますので、しっかりとしてキャリアプランを描いておくとよいでしょう。
ソリューションエンジニアを目指してみましょう
ソリューションエンジニアは、外資系の企業や国内の大手などさまざまな企業が募集しています。まだ知名度が低く、新しい職種のため公開求人は限られますが、今後は大きく増えていく可能性があります。
ソリューションエンジニアはヒアリングや提案の段階から課題解決の確認まで一気通貫で顧客対応ができるやりがいのある仕事です。それを志望動機としてソリューションエンジニアを目指す方も少なくありません。
プログラマーやシステムエンジニアとしてある程度経験を積んだ方は、転職エージェントを上手に利用してソリューションエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか。
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