システム保守はきついって言われるけど本当?
システム保守の仕事は「きつい」「やめとけ」などと言われることがあり、実際にシステム保守を経験したエンジニアの中にもこの意見に賛同する方が多くいます。どうしてこのように言われるのでしょうか。
確かにシステム保守と言えば、閉鎖された監視室で24時間交代制でサーバーやネットワーク監視をする、という聞いただけでもきつい環境で業務を行うことが多いのは事実です。また、毎日同じ作業の繰り返しばかりで学ぶことが少なく、つまらなく感じやすいという性質の業務でもあります。
さらに、AI技術や自動化の進化によりオートメーションが進むことが考えられることから将来性が見込めないという意見もあります。このように労働環境や仕事内容、将来性に対する不安などがきついと言われる主な要因と考えられます。
システム保守業務で学んだことを生かして次のステップを考える
きついだけでなく、システム保守の仕事は3年以上続けることにメリットが少ないという見方もあります。技術力を高める機会が少ないシステム保守を長くやりすぎるとエンジニアとしての向上心を持つことが難しくなり、大きなスキルの成長も見込めずにそこからのキャリアアップが困難になるためです。
そのため、将来的にキャリアアップを目指すエンジニアにはシステム保守を長年続けることはあまり向いていません。
プログラマやシステムエンジニア、システム保守の経験が生かせるインフラエンジニアなどITエンジニアにはたくさんの種類があります。より上を目指したい人は積極的に勉強してキャリアアップを目指しましょう。
システム保守とはどんな業務を行うの?
そもそもシステム保守とはどんな業務を行うのでしょう。運用中の業務システムが問題なく稼働を続けるための定常業務や、異常を検知して障害発生を未然に防いだり被害を最小限にとどめる監視業務、そして障害発生時の復旧対応などが主な仕事です。
運用業務(運用SE)
システムが正常に動作し、想定通りのパフォーマンスが出せるように監視・調整を行います。運用マニュアルや作業手順書に従って間違いのないように業務を行うことが必要とされます。必要に応じてシステムメンテナンスを実施したり、運用マニュアルの修正を行う場合もあります。
システム監視業務
サーバやネットワーク、各種サービスが正常に動作しているか監視します。
例えば、サーバのCPUやメモリの負荷に問題はないか、異常な通信量が検知されないかなどのハードウェア的なリソース状況を監視します。あらかじめ機器には閾値が設定されており、担当者は閾値を超えると通知されるアラートに注意を払います。
また、システムに外部からpingコマンドを打って応答があるかを監視する死活監視や、HTTP・FTP・DNSなどの主要なサービスプロトコルや、サーバ内で動作するアプリケーションやサービスの動作に問題がないかの監視を行います。
保守業務(保守SE)
システムやサーバー、ネットワークに異常が発生した時に復旧や原因調査を行います。障害はそのままユーザの不利益につながることが多く、早急な復旧を求められます。
原因はソフトウェアの異常や物理的な故障、通信量の増大など様々な理由があり、問題箇所を切り分けてシステムの再稼働を目指します。システムが復旧した後も、再発を防止するための原因調査やシステムアップデートが欠かせない業務です。
システム保守はきついと言われる理由
システム保守がきついと言われる理由にはどんなものがあるのでしょうか。具体的な理由を挙げていきます。
夜勤を含む長時間の激務
業務システムは多くの場合24時間365日の稼働を求められます。そのためシステム保守担当者もそれに合わせて、夜勤を含むシフト制で24時間体制の勤務が必要です。現場や会社によって3交代制や2交代制などの体制は異なりますが日勤と夜勤を交互に繰り返す場合もあり、そうなると体調を整えるのも非常に困難です。
入社した頃は、夜勤を行うと昼にプライベートな時間が持てる、深夜の勤務には手当が付くなどのメリットもあり頑張れる気持ちになるものですが、長く続くとさすがに体調を崩すことも多くなり気持ちも滅入ってきます。
生活リズムが乱れて身体的に影響が出やすいことから、これがシステム保守がきついと言われる最大の理由だと考えられます。
ルーティンワークが多く技術が身につきにくい
システム保守の仕事は運用マニュアルや作業手順書に従ったルーティンワークが主になります。携わっているシステムや現場のやり方には習熟していきますが、定常業務をこなせるようになれば新しいことを習得することは減ってきます。
開発系のエンジニアなどと違い業務を通して新しい学びや技術を得る機会が少ないため、エンジニアとしてこのままで良いのかと悩んでしまうこともあるでしょう。
暇な時間が逆にストレス
システム保守の現場は、任された役割によって忙しさも様々です。システムアップデートやハードの交換、障害対応などやることがあれば良いのですが、ほぼ監視業務だけ任されてやることが他にないような場合は、逆に暇すぎてきついというケースもあります。
もちろん監視も立派な業務ですので真面目に取り組まなければなりませんが、動きの少ない長時間業務はなかなかつらいものです。
閉鎖的な空間での業務
システム保守業務を行う場所はサーバやインフラを守るための堅牢な建物内であることも多いです。日光が入らないような閉鎖された空間で仕事をすることが多くなり、そんな中で夜勤を含む長時間労働を行うと生活リズムが崩れる要因にもなり得ます。
怒られることが多く感謝されることが少ないのでやりたくない
システム保守を行うエンジニアが最も忙しく動くのは障害対応の時でしょう。ユーザにとってはシステムが問題なく動作することは当たり前ですので、障害が発生するとユーザは混乱し「すぐに復旧させろ」「原因を究明して二度と起こらないようにしろ」などと保守エンジニアが怒られるケースもあります。
十分に対策しても防げない障害もありますし、可能な限り最速の対応で復旧させたとしてもユーザは費用を出して保守を依頼しているため納得してくれない場合もあり、厳しい立場に立たされることもあります。
一方で障害対応以外でユーザと触れ合うことは少なく日頃システムが正常に稼働していることを感謝してもらうような機会もあまりないため、やりがいを感じられないと思う人もいるでしょう。
自分の成長や将来性が感じられない
システム保守の仕事でルーティンワークを続けていると、携わっている業務に関することについては知識が蓄積されますが範囲が限られますので、知識が偏りがちになって自分の技術力の向上を感じにくくなる傾向があります。
また、近年のAI技術の普及でシステム保守作業の自動化によりシステム保守業務自体の需要の減少が懸念されたり、クラウド化によりこれまでのシステム保守業務自体の内容が変わる可能性があるという点で、将来性に不安があると感じる方もいます。
システム保守エンジニアからステップアップや転職するには
きついながらもシステム保守が楽しいと感じたりやりがいを得られるのであれば、そのまま現場チーフやマネージャークラスを目指す道もあります。しかしそうでないなら、部署移動を願い出て別の部門でステップアップを目指したり、異なる職種のITエンジニアとして転職するという選択肢もあります。
インフラエンジニア(設計・構築)へのステップアップがおすすめ
システム保守から異なる職種を目指すのであれば、インフラエンジニア(設計・構築)がおすすめです。*システムを運用・保守する側から、インフラ自体の設計・構築する側になるということです。
インフラエンジニア(設計・構築)になるとお客様と要件を打ち合わせたり実際の構築作業を行うなど監視運用や保守とは異なるスキルが新たに必要とされますが、保守で培ったインフラに関する知識は十分役に立ちます。インフラ構築に携わり技術や経験を得ることができればキャリアパスが大きく広がるでしょう。
転職も視野に入れる
務めている会社がシステム保守専業であるなどの事情で、会社内で部署移動ができない場合もあります。その場合は思い切って転職も視野に入れてみても良いでしょう。
将来に不安を抱いたままつらいシステム保守を続けるよりも、希望職種に転職して環境を一気に変え、キャリアアップを目指すことをおすすめします。
資格を取得する
転職する場合には自分のスキルを対外的に証明できる資格を持っていると有利です。システム保守で培ったハードウェアやネットワーク機器の知識を活かして、ベンダー資格のCCNA(Cisco Certified Network Associate)などの資格取得を考えるのも良いでしょう。
【参考】:CCNA - Training & Certifications - Cisco
システム保守から転職を目指すなら
ここまでシステム保守がきついと言われる理由と、システム保守からのキャリアアップについて解説してきました。自分自身がやりがいを感じられないのであれば、転職してキャリアアップを目指すことも選択肢の1つだとおわかりいただけたかと思います。
しかし、1人で転職先を探すのはなかなか難しいものです。これからのキャリアパスを考えた上で転職先を選ばないといけませんし、これまでシステム保守で学んだことを上手にアピールできるかどうかもポイントとなります。
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