Herokuとはなにか?料金体系や利用するメリット・デメリットを解説!
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Herokuとはなにか?料金体系や利用するメリット・デメリットを解説!
アンドエンジニア編集部
2024.02.14
この記事でわかること
Herokuとは、豊富なアドインによる高い拡張性やスケールアウトの容易さが特長のPaaSである
AWSと比較すると対応言語が異なるほか、無駄のないシンプルな機能で、迷うことなく必要な機能を選択しやすい
無料枠でも、個人でのシステム開発・アプリケーション運用に十分な機能を使用できる

Herokuとは

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Herokuとは、Salesforce.com社の子会社であるHeroku社が提供するPaaSであり、読み方は「ヘロク」です。プラットフォーム・データベースなどのアプリケーション実行に必要な環境を備え、低コストかつ効率的なシステム開発をサポートします。

ここでは、Herokuにできることや、同じくPaaSに分類される代表的なサービスであるAWSとの違いについて説明します。

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Herokuにできること

一般的にアプリケーションの開発のためには、開発環境を準備するのに労力がかかります。たとえば、ハードウェアの準備・ネットワーク構築・OSインストール・MySQLのようなデータベースセットアップ・プログラミング言語の動作環境設定など、複数の手順が必要です。

これに対してHerokuを用いることで、システム開発に必要な環境を簡単に整えることが可能です。煩わしい環境整備に時間を消費することなく、アプリケーションの開発に注力できる点が、Herokuを導入する大きな意味と言えます。

また、完成したアプリケーションを公開(デプロイ)する際の操作もHerokuを使えば短時間で完了します。さらに、機能追加やサーバーの処理能力拡張に便利な機能(アドオン)を搭載しており、デプロイ後のアプリケーション改善を容易に計画・実行できます。

Herokuの料金体系

Herokuには4つのプランがあり、それぞれ利用料金が異なります。まず、個人プロジェクトや非商用アプリケーション向けの「無料・ホビーのプラン」は、無料枠で利用できるプランです。次に、ビジネスアプリ向けの「プロダクションプラン」は、$25/月から利用できます。

より低遅延で大容量な開発環境が欲しい場合は、「アドバンスドプラン」をチェックしてみてください。$250/月から利用でき、プロダクションプランよりも使える機能が豊富です。さらに大規模なアプリケーションを取り扱うなら、カスタム価格の設定が可能な「エンタープライズプラン」の見積もりを取りましょう。

上記はHerokuの持つさまざまな機能をトータルで契約する際の料金プランですが、プラットフォーム・データベース単独で利用することもできます。後述するHerokuの製品群の機能をチェックし、自身のアプリケーションに必要なサービスを選択しましょう。

HerokuとAWSのプログラミング言語の違い

似たようなサービスにAWSがありますが、対応言語・料金体系・機能の充実度の面でHerokuとAWSは異なります。ここでは、両サービスの特徴の違いを紹介します。

まず、対応するプログラミング言語について説明します。AWSの対応言語は、C++・Go・Java・JavaScript・.NET・Node.js・PHP・Python・Rubyです。一方、Herokuは、Java・Ruby・PHP・Python・Node.js・Go・Scala・Clojureの8種類に対応しています。

したがって、Scalaを用いた大規模サービスの構築や、Clojureを使ったソフト開発を考えている人は、Herokuを選ぶと良いでしょう。使用する言語に応じて導入するPaaSの選び分けが大切です。

HerokuとAWSの料金体系と機能面の違い

次に、HerokuとAWSの料金体系の違いについて触れます。AWSは基本的に従量課金制のサービスで、使った分だけ料金が発生するため無駄なく使いやすいメリットがあります。一方、月額制を主としたHerokuの料金体制は毎月のコストを予想しやすいのが利点です。

最後に、機能面の違いを紹介します。機能の充実度では、AWSの方が豊富な機能を備えています。とくに機械学習・人工知能のような高度な機能を活用できるのはAWSの特徴です。一方、Herokuは、アプリケーション開発・公開・運用において必要不可欠な機能を備えていますが、機能は比較的シンプルです。

選択肢が多いと迷ってしまう人は、Herokuから試してみるとよいでしょう。

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Herokuの製品群とそれぞれの機能

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Herokuは以下の8つの製品群で構成されるサービスです。ここでは代表的なものを抜粋し、それぞれの役割・機能について解説します。

【参考】:Herokuの製品群

Herokuプラットフォーム

Herokuプラットフォームは、サービスの基盤となるプラットフォームです。dynoと呼ばれるスマートコンテナでアプリケーションを実行します。dynoはフルマネージドのランタイム環境(実行環境)を備えており、dynoの数・種類を変更すればアプリケーションをスケーリングできます。

前述のプログラミング言語で書かれたアプリケーションは簡単にデプロイできるうえ、ビルドアップすれば他の言語でもデプロイ可能です。アプリケーションの拡張に便利なアドオンもここで選択できます。リリースから運用・改善までを実施できるのが、Herokuプラットフォームです。

【参考】:Herokuプラットフォーム

Heroku Postgres

Heroku Postgresは、Herokuで利用できるデータベースです。オープンソースで機能性の高いPostgreSQLを採用しています。データ管理そのものはHerokuのエンジニアに任せられるため、データの活用に注力できるのが利点です。

また、アプリケーションの負荷変動に応じて、オンデマンドでスケーリングできる点もHeroku Postgresの魅力といえます。データを収集する過程でトラフィックの変化を検知した際、データベースを必要な能力にスケール可能です。

【参考】:Heroku Postgres

Heroku Connect

Heroku Connectは、代表的な顧客管理ソリューションシステムであるSalesforceとHerokuとを同期できる機能です。これはSalesforce.com社傘下のHerokuの特徴的な機能で、顧客情報をフル活用したアプリケーションの開発・運用に欠かせないものです。

データの同期はHeroku・Salesforceの双方向で行われます。同期のために複雑なコード作成や操作は不要で、専門知識がなくても処理可能です。この機能から、現在Salesforceを利用している人、あるいは今後Salesforceを導入する人は、Herokuの導入を併せて検討することをおすすめします。

【参考】:Heroku Connect

Heroku Redis

世界的に人気の高いRedisを拡張することでより一層機能が充実し、データ駆動型のアプリの開発が容易になります。Heroku Redisではパフォーマンスを詳細に可視化できる他、高機能のCLIによって効果的なインスタンス管理が可能です。運用の手間や管理の工数などが大幅に削減されるメリットがあります。

【参考】:Heroku Redis

Apache Kafka on Heroku

Apache Kafkaは、イベントストリームを管理するために開発された分散メッセージングサービスです。これにより、大量のデータを処理するアプリ開発に役立ったり、開発者とユーザー間の通信を快適に行ったりします。

Kafkaを使い始めることで、アプリケーションのデータ・時間・操作の関係などを、見直し・改善するきっかけになります。

【参考】:Apache Kafka on Heroku

Heroku Enterprise

1つのプラットフォームで、Node・Ruby・Java・Clojure・Scala・Go・Python・PHPなどの言語に対応します。

Heroku Enterpriseは大規模なIT企業向けの製品であり、セキュリティ・管理・コラボレーションといった機能を備えています。詳細なアクセス制御・IDフェデレーション・Private Spacesなどの機能も用意されているため、大企業のアプリ開発のプロセスやリソース、ユーザーの管理に役立ちます。

【参考】:Heroku Enterprise

Heroku Elements

Heroku Elementsマーケットプレイスには、アプリの開発・運用に役立てるためのツールが揃っています。Herokuプラットフォームを拡張する高度なサービス・ワークフローを効率化するツール・簡単にデプロイできるパッケージ化されたコードなど、さまざまなソリューションが用意されています。

アプリ開発をより簡単に、より素早くするためのテクノロジーが揃っています。

【参考】:Heroku Elements

Heroku Teams

Heroku Teamsは、コラボレーションと管理を容易にするための製品です。

チームメンバーの編成・追加・管理・アプリレベルの細かな権限設定など、あらゆる業務をHeroku Teamsが委任し、その請求も一元管理できます。アプリ・アドオン・リソースのコストをたった1枚の請求書で表示できるため、管理や把握がしやすいのが特徴です。

5名までは無料で使用でき、25名までなら月額10ドルで利用できます。

【参考】:Heroku Teams

Herokuを利用するメリット

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ここではHerokuを活用するメリットについて説明します。Herokuの特徴として、高い拡張性・スケールアップの容易さ・アプリケーション運用サポートの充実度が挙げられます。以下で詳しく解説します。

豊富なアドオンにより高い拡張性を実現できる

Herokuの特徴の1つは、豊富なアドオンによってアプリケーションを自由に拡張させられる点です。アドオンはElementsマーケットプレイスと呼ばれる専用ページで販売されており、200種類以上のアドオンがラインナップされています。

また、無料プランで活用できるアドオンが多いので、誰でも簡単に追加機能を試せます。アドオンのインストールは、ダッシュボードやCLIからワンクリックで完了します。アドオンの適用状況などの管理はダッシュボード上で簡単に行えるため、気になる機能を試しに追加してみて気に入らなければ外す、という運用も可能です。

なお、Herokuで利用できるアドオンは定期的に追加されており、今後も便利なアドオンが増えていくことが見込まれます。随時、Elementsマーケットプレイスをチェックして新しいアドオンの追加状況を把握しておくと良いでしょう。

アクセス状況に合わせて容易にスケーリングできる

スケーリングの容易さもHerokuを利用するメリットの1つです。アプリケーションをリリースして運用していく過程で、アクセス数・トラフィックの増加・減少に合わせて、最適な環境を維持する必要があります。適切な環境維持に置いて重要になるのが、システムのスケーリングが容易かどうかというポイントです。

スケーリングには、スケールアウト(増強)・スケールイン(縮減)の2つがあります。

Herukoでは、スマートコンテナのdynoを瞬時にスケーリングできるツールを搭載しており、要求する処理能力への調整が簡単です。スケーリングはダッシュボード・CLI・プラットフォームから、dynoの数・種類を変更することで実施できます。

なお、アプリケーションのトラフィックの変化を検知して、自動でdynoの数を増やせる自動スケール機能も便利です。トラフィック変化を予測する必要がなく、管理の手間を軽減できます。ただし、プランによってはdynoを使っただけ料金が加算される場合があるため注意しましょう。

アプリケーション運用をサポートする充実の機能を使用できる

アプリケーションはデプロイした後の動作をしっかり運用することが大切です。

Herokuには、運用担当者向け機能として、アプリケーションの運用をサポートするさまざまな機能が搭載されています。たとえば、アプリケーション・メトリクスでは、アプリケーションの応答時間・エラー・dyno負荷などをモニタリングし、問題の特定が可能です。

また、しきい値アラートでは、応答時間とリクエストの失敗率からしきい値を設定し、逸脱した場合にアラートを出すことができます。上記の機能の組み合わせにより、ユーザーが不具合に気づく前に問題と原因の特定が可能です。トラブル発生前に改善策を講じられるため、エラーによるユーザー離れを抑制できます。

さらに、上記のようなエラーのログを含むアプリケーションのログ記録は、ダッシュボード・CLIから確認できます。このようにUX(ユーザーエクスペリエンス)の最大化に集中するために便利なサポート機能を利用できる点は、Herokuを導入する大きなメリットでしょう。

Herokuのアカウント登録とログイン方法は?

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ここでは、実際にHerokuを導入する際のアカウント登録とログイン方法について紹介します。

公式サイトからアカウント登録する

Herokuを導入するには、まず無料アカウント登録が必要です。Heroku公式サイトにアクセスし、無料で新規登録をクリックしてください。氏名・メールアドレスなどの必要情報を入力し、無料アカウント作成をクリックすると登録用のメールが届きます。

届いたメールのURLにアクセスし、設定したパスワードを入力しましょう。次に進むと、Herokuへのアカウント登録は完了です。

【参考】:Heroku公式サイト

Herokuへログインする

アカウント登録が完了したら、Herokuへログインしてアプリケーションの実行環境を準備しましょう。まずHeroku Dev CenterへアクセスしてHeroku CLIをインストールします。macOS・Windowsのいずれかを選択し、インストーラーをダウンロードしてください。

Heroku CLIのインストールが完了したら、Herokuへのログインが可能です。macの場合はターミナル、Windowsの場合はコマンドプロンプトを開き、heroku loginと入力してログインしましょう。

汎用性の高いHerokuを使ってUXの高いアプリケーションを提供しよう

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Herokuは、高い拡張性を備えた汎用性の高いPaaSであることを紹介しました。また、スケーリングにより、アプリケーションの成長に合わせて最適な環境を維持しやすい点もポイントです。さらに、運用中のアクセス状態を監視でき、問題点の早期発見が可能な点もメリットでしょう。

Herokuの拡張性を支える豊富なアドオンは、今後さらなる拡充が見込まれます。Salesforceとの相互連携が可能な点からも、顧客視点に立ったアプリケーション開発に役立つサービスと言えるでしょう。アプリケーションのUX最大化に向けて、ぜひHerokuの導入を検討してみてください。

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