PERT図とは?目的・種類・構成要素・作成方法とメリットを解説!
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PERT図とは?目的・種類・構成要素・作成方法とメリットを解説!
アンドエンジニア編集部
2022.05.18
この記事でわかること
PERT図とは、業務の流れや所要時間を図式化し、大規模かつ複雑な業務のスケジュールを管理するための手法!
PERT図は、プロジェクトの必要工程や必要日数を把握するために用いられる!
新しいプロジェクトに携わる場合は、作業日数について慎重に見積もることが重要!

そもそもPERT図とは

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PERT図は、「PERT」というレビュー手法に用いられるツールです。「PERT(Program Evaluation and Review Technique)」は、1950年代にアメリカの海軍によってはじめて導入された、業務の流れや所要時間を図式化し、大規模なプロジェクトや複雑な業務のスケジュールを管理するための手法です。

この「業務の流れや所要時間を図式化」したものがPERT図です。具体的には、プロジェクト案件の工程の所要時間や順序の関係をフローチャートといった形で図式化します。ここでは、PERT図の目的や作成方法などについて説明します。

PERT図の目的

PERT図の目的は、プロジェクトの必要工程や必要日数を把握することです。複数の業務が同時に並行するようなプロジェクトでは、1つのタスクが遅れるとプロジェクト全体に影響が出る可能性があります。そのため、納期内にプロジェクトを成功させるためには、進捗管理が重要です。

PERT図を活用することで、プロジェクトでどれが最も重要な工程やタスクかを確認でき、優先事項を考慮したスケジュールを作成できます。また、各工程にかかる時間・日数を可視化できるため進捗状況を管理しやすくなります。

PERT図の目的や活用法に関して詳しく知りたい方は、「計画の科学」という本がおすすめです。1965年に発売された本書は、PERT図が生まれるまでの話や、ピカソ・織田信長・徳川家康・豊臣秀吉がPERT図の考え方をしていた話などPERT図を楽しく学べる一冊となっています。

【参考】『計画の科学』(加藤 昭吉):ブルーバックス|講談社BOOK倶楽部

ガントチャートとの違い

ガントチャートとは、各工程の進捗状況・プロジェクトを完了するためのタスクや所要時間などを棒グラフで確認できる表現図式です。棒の長さで表されるため、PERT図と比較すると状況がひと目で把握できるのが特長です。しかし、ガンチャートは各工程の繋がりがわからないため、全ての作業の流れを把握したい場合はPERT図が適しています。

WBSとガンチャートの違いは?メリットや活用法、作成時のポイント

PERT図の種類

PERT図には以下の2種類があります。方法が異なるだけで、必要な構成要素は変わりません。

・アローダイアグラム:結合点を示す数字が入っている円を、タスクの順番を示す矢印で結びつける

・フローダイアグラム:各作業工程をボックスに記述し、各工程同士の順序や流れを矢印で結びつける

PERT図の構成要素

ここではPERT図の主な構成要素を4つ紹介します。

最早開始時刻 最早開始時刻とは、最も早く作業を始めることができる時点のことです。前工程の最早開始時刻に所要時間を足すことで計算できます。

最遅完了時刻 最遅完了時刻とは、最も遅くても作業が完了しなくてはならない時刻のことです。最遅完了時刻は、次の工程の最遅完了時刻から所要時間を引くことで計算できます。最遅完了時刻より作業の完了が遅れる場合、予定している納期に間に合わないということになります。

余裕日数 余裕日数とは、各工程が持つ作業開始時点までの日程の余裕のことです。例えば、余裕時間がゼロの工程で遅延が発生するとプロジェクト全体のスケジュールが遅れることを意味します。余裕日数は、最遅開始時刻から最早開始時刻を引くことで計算できます。

クリティカルパス クリティカルパスとは、プロジェクトの中で最も長い工程の経路のことを指します。クリティカルパスの各工程にかかる所要時間の合計が、納期予定日と同じになります。つまり、余裕時間がゼロの工程を結んだものがクリティカルパスとなります。

スケジュールが遅れた場合はそのままプロジェクトの遅延となるため、クリティカルパスは納期までにプロジェクトを達成できるかどうか、プロジェクトの実行可能性を検討するために用いることが多いでしょう。

またクリティカルパスは、プロジェクトに対して1つだけではなく複数存在する場合もあります。クリティカルパスにスケジュール遅延が生じないように、リソース配分の検討や対策を練る必要があります。

PERT図の作成方法

これまでにPERT図の詳細について解説しました。ここでは、PERT図を作成する方法を順番に紹介します。今回は例として「アローダイアグラム」を作成する手順を説明します。

1.PERT図を作成する対象を決める まずは、PERT図を作成する対象を決めます。プロジェクト単位なのか、さらに細かく分けた工程単位なのかを考えます。対象を決めないと次のステップに進むことができません。

2.必要な業務を把握する PERT図を作成する対象に対する必要な業務を洗い出し、それぞれの業務に対して必要な時間を設定します。時間を設定する際は、作成者の視点ではなく一般的にかかる時間を設定しましょう。

なお、「Microsoft社」の「PowerPoint」や「Excel」、PERT図作成用のツールを利用すると、必要な業務を把握するのが簡単になるのでおすすめです。

3.業務の流れを整理する 必要な業務を把握できたら業務の流れを整理し、各工程を矢印で結び図式化します。矢印には、各工程にかかる所要時間を併せて書きましょう。

4.最早開始時刻と最遅完了時刻を計算する 業務の流れまで整理できたら、各工程にかかる時間を計算します。最早開始時刻を計算する場合は、一般的に左の工程から順番に足します。次に、各業務にかけることができる時間を計算します。最遅完了時刻を計算する場合は、右の工程から順番に引きます。ここまでできれば、PERT図はほぼ完成です。

5.クリティカルパスの把握 最後に、完成したPERT図からクリティカルパスを把握しましょう。前項でも説明しましたが、クリティカルパスとはプロジェクトで最も長い工程を指し、プロジェクト・工程の最短日数とも言えるでしょう。

クリティカルパスは時間的に余裕のない業務であり、遅延が生じるとプロジェクト全体が遅れます。プロジェクトマネージャーはクリティカルパスを正確に把握し、スケジュール管理に注意する必要があります。

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PERT図の3つのメリット

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これまでにPERT図の詳細や作成方法について紹介しました。ここでは、PERT図を採用するメリットを3点解説します。

経験のみに頼らず必要な工程の依存関係や所要時間を確認できる

PERT図を活用すると、経験のみに頼らずプロジェクトの工程の依存関係・所要時間の管理を正確に把握できます。PERT図が普及するまではプロジェクトマネジャーの経験によって工程が管理されており、経験値が低いプロジェクトマネージャーが工程の管理に失敗することがありました。

例えば、目の前にあるタスク(プロジェクト全体から見ると優先度が低いタスク)に気を取られ、プロジェクトを完了できなかった事例があります。しかし、PERT図を活用すれば各工程の進め方・所要時間・依存関係を整理でき、経験が浅いプロジェクトマネージャーでも適切にプロジェクトの工程管理ができるでしょう。

プロジェクト完了までの最短スケジュールがわかる

プロジェクトは納期予定日が決まっていることが多いため、効率的に作業を行い、納期に間に合わせることが大切です。PERT図を活用すれば作業の優先順位や進め方を把握できるため、プロジェクト完了までの最短スケジュールを計画できます。さらに、クリティカルパスを理解すれば各工程の作業時間を短縮することも可能です。

メンバー間でスムーズに情報共有ができる

プロジェクトが大規模になると、規模の大きさに比例して関与する関係者も多くなります。多くの方と情報共有を行うのは時間や労力が必要です。しかし、PERT図を活用すれば、プロジェクトの流れをわかりやすく関係者と共有できます。そのため、作業や工程の進め方が明確となり業務を滞りなく進めることができるでしょう。

PERT図を簡単に作成できるおすすめツール

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ここでは、PERT図を簡単に作成できるツールを紹介します。エクセルやワードでも作成できますが、業務で頻繁にPERT図を作成する方や、わかりやすいPERT図を作成するのが苦手な方はツールを使うことをおすすめします。

おすすめのPERT図作成ツール4選!作業内容を可視化しよう

Lucidchart

Lucidchartは、初心者でも簡単にPERT図を作成できるツールです。テンプレートが数種類用意されており、見やすくわかりやすいPERT図を手軽に作成できます。また、チームで作業する場合は共同で編集できたり、チャット機能で情報共有したりすることも可能です。

【参考】Lucidchart(オンライン作図ツール) | 製品 | リックソフト

EdrawMax

Edraw Maxは多くのテンプレートが用意されているツールです。PERT図を作成したことがない方でも、テンプレートを使用すればプロのようなPERT図を作成できます。なお、テンプレートは無料でダウンロード可能なため、コストがかからないこともメリットです。

また、PERT図だけではなくフローチャート・組織図・UML図等も作成できます。図を作成する時間を短縮できるため、業務の効率がアップするでしょう。

【参考】優れたフローチャートソフト&作図ツール | Wondershare EdrawMax

Cacoo

Cacooは、メンバー間でPERT図を共有するのに便利なツールです。クラウドベースのため、インターネットがあればメンバーがどこにいても共同編集・コメント・チャットができます。またダッシュボードが用意されており、プロジェクト・メンバーで使用する図を一か所にまとめて更新内容を容易に把握でき、Googleドライブ・AWS・Slackなどの外部ツールとの連携も可能です。Cacooは14日間無料で利用できるため、手軽に試せる点もメリットです。

【参考】Cacoo

PERT図を活用する際は作業の漏れや時間の見積りに注意!

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当記事では、PERT図の詳細や作成方法、メリットについて紹介しました。PERT図を用いることで、プロジェクトの各工程の進め方や所要時間、依存関係を整理できるため、業務を滞りなく進行できます。また、プロジェクトの流れをわかりやすく関係者に示すことができるため、メンバーの間でスムーズな情報共有が可能です。

なお、PERT図では事前に計画した作業工程の情報、費やす時間の見積りを頼りに作成します。これらの情報に間違いがあるとPERT図と現実に乖離が起こり、役に立たないものになるため注意してください。

そのため、新しいプロジェクトに携わる場合は、作業日数を慎重に見積もることが重要です。最後に、PERT図を作成したあとは、工程の順番や関係性が正しいかどうかを再度チェックし、間違いがないようにしましょう。

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