VBAエキスパートの難易度
VBAエキスパートとは、Microsoft独自のプログラミング言語であるVBA(Visual Basic for Applications)を扱うスキルを証明する認定資格です。株式会社オデッセイ コミュニケーションズが主催・提供しています。
VBAは、ExcelやAccessといったMicrosoft Officeアプリケーションを扱う業務を自動化するマクロを開発するために使用されます。
【参考】:VBAエキスパートとは|VBAエキスパート公式サイト
VBAエキスパートの試験は2つのレベル区分に分けられ、それぞれ試験内容や合格率、難易度などが異なります。ここでは、人気の高いExcel VBAを中心に試験毎の難易度について解説します。
VBAエキスパートのレベル区分について
ExcelとAccessという2つのアプリケーション区分に対して、ベーシックとスタンダードという2つのレベル区分に分かれています。
「ベーシック」はビジネス一般向けのレベルで、事務・営業・製造管理・品質管理などの職種で利用することを想定されています。
「スタンダード」はITプロフェッショナル向けのレベルで、システムエンジニアやプログラマなどの職種で利用することを想定されています。
【参考】:Excel VBA ベーシック|VBAエキスパート公式サイト 【参考】:Excel VBA スタンダード|VBAエキスパート公式サイト
2014年まではプロフェッショナルというレベル区分が設定されていましたが、廃止され、復活する予定もないとアナウンスされていますので、スタンダードが実質的に最も高いレベルの認定資格ということになります。
対応するアプリケーションやレベルごとに出題範囲、受験料等が異なるため、自分が受験したい試験の概要を事前に確認しましょう。
VBAベーシックの難易度
VBAベーシックは、VBAを活用する上で基本的な知識や技術を持っていることを認定します。そのため、試験ではVBAの概要や基本文法の理解、基礎的なマクロの読解と記述能力があるか等が問われます。
合格率は公表しているデータによるとExcelでは81%です。VBA学習の初めの1歩として、弾みをつけるのにちょうど良い難易度だといえるでしょう。
VBAスタンダードの難易度
VBAスタンダードは、ベーシックよりも更に高度なマクロの知識・技術を持っていることを認定します。
そのため、試験ではマクロの作成、読解だけではなく、エラー対策やデバッグなども含めたプロフェッショナルな対応力があるかが問われます。
合格率は公表しているデータによるとExcelでは59%で、ベーシックと比べるとかなり難易度が上がっていることが見て取れます。
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VBAエキスパートの概要
VBAエキスパートである「ベーシック」と「スタンダード」は、いずれの試験もコンピュータ上で回答を入力するCBT形式であり、合格基準は650〜800点(1,000点満点)です。
合格基準に幅があるのは、その時に出題された問題の難易度によって上下するためです。確実に合格を目指すなら800点以上獲得すると安全でしょう。
出題形式については、以下の4つの形式があります。
・選択肢の中から正解を選ぶ「選択式問題」 ・ドロップダウンリストから正しいコードを選択する「ドロップダウンリスト形式」 ・VBAコードを読み解いて特定の箇所をクリックする「クリック形式」 ・順序を正しく並べ替える「ドラッグ&ドロップ形式」
【参考】:Excel VBA ベーシック|VBAエキスパート公式サイト 【参考】:Excel VBA スタンダード|VBAエキスパート公式サイト
ExcelとAccessが設定されている理由
VBAエキスパートは、ExcelとAccessの2つのアプリケーションに対応しています。WordやPowerPointといった他のMicrosoft Office製品でもVBAを利用してマクロを開発・使用することはできますが、これらには認定資格は設定されていません。
WordやPowerpointに試験が設定されていない理由は、文書やプレゼンテーションといった視覚的な資料を作成することに特化しているアプリケーションだからだといえます。
表計算を得意とするExcelや、簡易データベースを扱うAccessと比べてVBAを活用して効率化できる範囲が狭いため、VBAスキルの需要が少ないのです。
オープンバッジ(合格認定証)について
VBAエキスパート試験に合格すると、オープンバッジが付与されます。オープンバッジは、国際的な技術標準規格「IMS Global Learning Consortium」に準拠したデジタル証明・認証です。
オープンバッジは「ウォレット」というオープンバッジを管理する専用のWebページに画像として保管されます。オープンバッジの画像には一意のものであることを証明するメタデータが埋め込まれており、オンラインで公開・送信したり、SNSで共有したりすることができます。
【参考】:VBAエキスパート公式-合格認定について
試験に合格すると、2〜4週間以内に受験時に登録したメールアドレス宛に「オープンバッジ授与のお知らせ」メールが届きますので、忘れずにチェックしましょう。
なお、2022年11月30日までは紙の認定証を配布していましたが、現在は終了しており、オープンバッジのみの付与となります。希望者は、カスタマーサービスに問い合わせると有料で発行してもらうことができます。
スタンダードクラウンについて
ExcelとAccess、それぞれのスタンダード認定に合格すると、「VBAエキスパート スタンダードクラウン」に認定され、特別なオープンバッジが付与されます。
これはVBAを2種類のアプリケーションで活用できるスキルの幅広さと高さを証明するもので、VBAのスキル証明としては最高のものです。
MOSとの違い
Microsoft Officeに関連する資格としては、他にもMOS(Microsoft Office Specialist)がありますが、同じアプリケーションに関連する資格ということで違いが気になる方も多いでしょう。
最大の違いは、プログラミング技能が問われるかどうかです。MOSは、あくまでOffice製品の基本操作や機能などの基礎知識を証明するものであるのに対し、VBAエキスパートはマクロを開発するためのプログラミング言語を扱う能力を証明するものです。
そのため、プログラミングに馴染みがない場合はVBAエキスパートの方が難易度が高くなります。
【参考】:MOSとは|MOS公式サイト
VBAエキスパートは意味ない?受験するメリット
VBAはExcelやAccessなどのオフィスツールをより効率的に扱うためのプログラミング言語ですが、「受験しても意味ない」と言われてしまうことがあります。ここでは、意味ないと言われる理由や受験するメリット、合格による年収への影響について解説します。
「意味ない」と言われる理由
VBAエキスパートは、事務や総務など、業務でExcelを主に扱う職種であれば評価されますが、一方で、システムエンジニアやプログラマーなどのIT職ではあまり評価されないケースがあります。
また、PCスキルの延長線上にあるスキルと認識されやすく、民間資格であるため「取得しても転職や就職であまり重要視されないのでは?」という懸念があるようです。
受験するメリット
VBAスキルを活かせる環境としては、業務効率化が進んでいない職場が挙げられます。VBAマクロによって自動化することで、作業時間を大幅に短縮するなど活躍が期待できます。「VBAエンジニア」と検索すると、多数の求人結果が表示されます。VBAスキルに長けた人材を望む企業の多さを実感できるはずです。
また、VBAスキル以外にも他のプログラミング言語も併せて習得することでマルチな活躍が目指せるでしょう。
合格したら年収は上がる?
「マイナビエージェント」で「VBA」と求人検索を行うと、多数の求人がヒットしました。(2023年12月時点)
様々な業務の中にVBAも含まれており、VBAのスキルを持ったエンジニアを求める企業が多いことが分かります。スキル証明となるVBAエキスパートは転職に有利に働くでしょう。
また、資格手当として月に数千円〜数万円ほど支給している企業もあるため、年収アップが期待できる場合もあります。
【参考】:VBAの求人・転職・中途採用|求人・転職エージェントはマイナビエージェント
キャリアとしては、このままVBAエンジニアを目指すのもいいですが、VBAスキルを持ったプログラマーや上流工程を担当するシステムエンジニアなどを目指すのもおすすめです。
ここでは、参考程度に一般的なプログラマーの年収を以下に紹介します。
「マイナビエージェント 職種図鑑」でのプログラマーの平均年収は344万円(※2023年12月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種の「エンジニア/プログラマ」を参考にすると、平均年収592万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、プログラマーは調査媒体や勤める企業によって年収に差があることが分かります。
VBAエキスパートの他に、IT系の国家資格などにも挑戦することで活躍の場が広がるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
VBAエキスパートの勉強方法
VBAエキスパートに合格するには、「ベーシック」「スタンダード」それぞれに合わせた勉強方法が有効です。ここでは、ベーシックとスタンダードの勉強方法について解説します。
VBAベーシックの勉強方法
基礎的な知識や技術を求められる試験であり、難易度も高くありません。業務などで操作に慣れている方であれば、試験範囲に沿って学習すれば独学でも充分に合格できる可能性は高いと言えます。
独学で有効な勉強方法の1つが、パターンプラクティスです。パターンプラクティスは、問題集を繰り返し解くことで、問題文と答えの組み合わせを暗記して、正答率を上げる学習方法です。
人間は「思い出す」という行為で記憶が定着する性質があると言われており、パターンプラクティスはその性質を利用した勉強方法です。
具体的には、Web問題集や参考書などを購入し、5問単位、10問単位などで繰り返し解いていきます。間違えたところのみ解説などを熟読し、同じ問題を解き直します。これを繰り返して正答率を100%に近づけていくのです。
ただし、パソコンの基本操作にも慣れていない段階では、この方法のみだと少し難しく感じるかもしれません。その場合は、公式テキストや対策講座を活用して体系的に学習することを検討してみるのもよいでしょう。
VBAスタンダードの勉強方法
エラー対策やデバッグといったプロフェッショナルな知識や技術も求められる試験であり、業務で使っているという人でも独学のパターンプラクティスのみでは苦戦するかもしれません。
合格率を高めるためには、テキストや対策講座の受講、セミナーへの参加などによる体系的な学習が必要です。
テキストとしては、試験の提供元であるオデッセイコミュニケーションズが公式テキストを発行しています。学習用のデータが付属しており、試験範囲に沿って実践的に学習が進められるため、試験対策の手始めとしては最適です。
【参考】:VBAエキスパート公式-対策教材
講座やセミナーによる学習は、実際に手を動かしながら学べるため、より知識が定着しやすくなります。学習講座は各種学習サイトでも販売されており、体系的に学ぶことが難しいかもしれませんが、初めは無料で視聴できる動画サイトなどで探してもよいでしょう。
VBAエキスパートの過去問について
VBAエキスパートでは、過去問は公開されていません。ただし、科目別にサンプル問題が10問用意されていますので、実際の試験問題の雰囲気を掴むことができます。
無料で利用できますので、ぜひ利用しましょう。例えば、Excel VBAベーシックのサンプル問題は下記のURLから挑戦できます。
【参考】:VBAエキスパート公式-サンプル問題:Excel VBA ベーシック
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Access VBAエキスパートについて
公式が公表しているデータによると、VBAエキスパートの受験者の割合では90%をExcel VBAが占めており、Accessはベーシックとスタンダードを合わせても全体の10%に留まっています。
このデータからは、Excelと比較するとAccessを扱う業務や職場が少なく、エキスパート資格の需要も少ないということが読み取れます。
合格率もベーシックで58%、スタンダードで47%とExcelよりも10%以上低くなっており、難易度が高いことが窺えます。
VBAという同じ言語を扱うため、勉強方法はExcelと大きく変わりませんが、アプリケーションとしては表計算ソフトであるExcelとデータベースを扱うAccessは大きく違うものです。
Excelのスタンダードを取得済みで、Accessのベーシックを取得しようという場合でも、全く別のスキルとして意識して学習を進めた方がよいでしょう。
VBAエキスパートを取得して業務効率スキルを磨こう
Excelは企業だけでなく、個人レベルでも幅広く利用されているアプリケーションです。VBAを知らなければ手作業で何時間もかけて行っていた業務を、マクロによって短時間で自動的に処理できるようになれば、生産性は飛躍的に向上します。
VBAエキスパートを取得すれば、こうしたスキルがあることの客観的な証明になります。是非効率的に学習して合格し、業務効率化のプロフェッショナルを目指しましょう。
また、こういった資格を活かした転職を行う場合には、転職エージェントを活用することで在職中でもスムーズな転職活動が行えます。
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