「サポートエンジニアはやめとけ」って本当?
サポートエンジニアは、顧客がITシステムや製品の利用時に生じた、様々な疑問や問題を解決するIT職種です。パソコンメーカーやソフトウェアのサポートセンターに電話した際に、ユーザーの問い合わせに対応してくれている人と言えば、イメージしやすいかと思います。
サポートセンターに連絡をした際には、どんな問い合わせに対しても優しく、テキパキとした対応や的確なアドバイスに感動すら覚えた方もいるのではないでしょうか。
このように顧客にとっては頼れる存在であり、サポートエンジニアの親切な対応に感動して、サポートエンジニアを志した方も少なくないでしょう。その一方、「サポートエンジニアはやめとけ」という意見がSNS上にはあり、サポートエンジニアを目指している方は見逃すことができないと思います。
この記事では、なぜ「サポートエンジニアはやめとけ」という意見があるのかを考察し、その対策について解説していきます。また併せて、サポートエンジニアの仕事内容、年収、なるために必要なスキルや資格、自分に合った企業の見つけ方など、サポートエンジニアを目指している方が必要と思われることを解説していきます。
サポートエンジニアは人の役に立てる仕事
サポートエンジニアはサポートの名の通り、顧客をサポートするために、顧客からの様々な問い合わせに対応します。
サポートエンジニアが対応するのは「パソコンがフリーズした」「パソコンがウィルスに感染したかもしれない」といった問い合わせから、「画面に意味不明なメッセージが表示されて消えない」といったものまであり、その状況を的確に把握し、診断を行って原因を特定化し、効果的な対策について提示し、解決に導きます。
日々の様々な問い合わせに対応するため、自らの知識やスキルを高め、磨くことが求められます。また専門チームにエスカレーションし、回答やアドバイスを受けて問い合わせ者にレスポンスを返します。そのため、サポートエンジニアの仕事は人の役に立つと同時に、自らのスキルアップにつながる仕事だと言えます。
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サポートエンジニアの種類と仕事
ここではサポートエンジニアの4つの種類と、その仕事内容について見ていきましょう。また併せて、サポートエンジニアの年収についても紹介していきますので、転職検討の参考にしてください。
サポートエンジニアの種類
サポートエンジニアは、自社のIT製品やOS、ソフトウェア、システムなどに関する問い合わせ対応、操作指導、故障やトラブル対応など、主にIT技術に関わる対応を行う仕事です。サポートの対象や役割によってサポートエンジニアの仕事は以下の4つに分かれます。
■ カスタマーサポート 主に顧客から、電話やメール、チャットなどで問い合わせの受付を行い、関係先と連携しながら、対応を行います。自社のサポートセンターに勤務するケースと、客先企業に常駐して自社システムや自社製品のサポートを行う場合があります。
■ プロダクトサポート 特定の製品に限定して問い合わせ対応や技術支援といったサポートを行います。中には製品に精通した顧客からテクニカルな質問を受けるケースもあり、製品に関する専門家レベルの知識が求められることもあります。
オフィスで利用される大型の複合機などOA機器について、メーカーや販売会社はプロダクトサポートを設けており、それぞれの企業で直接雇用されるケースと、委託先から派遣されるケースがあります。
■ テクニカルサポート 顧客からのパソコンやネットワーク接続などに関する技術的(テクニカル)な問い合わせに対応する仕事です。情報システム部門や社内のヘルプデスクなどからの問い合わせを受けるケースがあり、問い合わせ内容がより専門的になります。
そのため、カスタマーサポートよりも、より専門的な知識や対応能力が求められます。またリモート接続を行って、顧客側のパソコンを直接操作して問題の解決を図る場合もあります。
■ セールスサポート 営業社員に同行し、営業をサポートする仕事で、サービスエンジニアと言われることもあります。 自社製品や自社のサービスに対する深い知識を持ち、営業社員に代わって顧客のさまざまな質問やリクエストに対応します。
顧客に安心感や信頼感をもたらす役割を担っていますので、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力などが求められます。
サポートエンジニアの年収
サポートエンジニアの年収は「マイナビエージェント 職種図鑑」での「テクニカルサポート/ヘルプデスク」を参考にすると、平均年収は310万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種の「顧客サポート/ヘルプデスク」を参考にすると、平均年収390万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円ですので、サポートエンジニアは一般平均年収よりも、やや低めであることが分かります。
マイナビエージェントのサポートエンジニア調査結果では、20代の平均年収は282万円と低いものの、30代では368万円と大きく増加しており、サポートエンジニアはスキルアップによって年収が上がっていくことが分かります。
また、サポートエンジニアは企業によって前述の数字よりも高い年収を得ることが可能ですので、転職先選びも重要です。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月から2020年12月の間でマイナビエージェントに登録いただいた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
サポートエンジニアをやめとけと言われる理由
ここまで、サポートエンジニアの仕事内容や年収などについて紹介してきました。サポートエンジニアの役割や重要性については理解されたと思いますが、ではなぜ「サポートエンジニアはやめとけ」と言う声があるのでしょうか?これからきついと感じる理由と対処方法について見ていきましょう。
仕事が単調でつまらない
職場や取扱い製品やサービスにもよりますが、日々来る問い合わせは、ある程度パターンが決まっており、ほとんどマニュアル通りに回答すれば済んでしまうため、「単調でつまらない」という声が一部にはあります。
仕事が定型化、マニュアル化されている方がよいという人には適した仕事かもしれませんが、変化を望む方は「つまらない」と感じてしまいます。そのような方は、同じサポートエンジニアの仕事でも、より高度な質問やテクニカルな問い合わせがある、テクニカルサポートでの仕事を目指した方がよいでしょう。
労働時間が不規則
サポートエンジニアに対する顧客からの問い合わせは、いつ来るか分かりません。就業時間が終わる頃に受け付けた問い合わせに、予想外に時間を要してしまい、結果的に残業になってしまうこともあります。
働き方改革が進んでいる企業では、シフト制を上手く利用して、こうした問題を解消していますが、下請け、孫請けの一部ブラック企業ではサービス残業や過重労働などの問題が残っています。雇用主の体質などに起因するケースでは、転職するか、自らが責任者を目指して解決していくといった対応が考えられます。
思うようにスキルアップができない
自社製品、自社ソフトだけのサポートを担当するケースでは、対象製品やサービスが限られ、スキルアップが難しくなります。また仕事も単調になる可能性があり、向上心の高いエンジニアにとっては仕事が物足りなく感じられるかもしれません。
しかし、どのようなサポート業務でも改善すべきことは多々あります。他力本願ではなく、そうした問題にも目を向け、製品やサービス向上に繋げていくのもサポートエンジニアの役目だと認識できれば、スキルアップができ、やりがいも生まれてくることでしょう。
将来に不安を感じる
AIブームの昨今、AI型のチャットボットを利用するコールセンターやサポートセンターが増えています。AI技術の進展次第では、ほとんどの問い合わせ対応をAIが行うようになるかもしれません。このため、仕事がAIに奪われるという不安を抱えるエンジニアが増えてくるかもしれません。
しかし、顧客に対する会社の顔となっているサポートエンジニアは企業にとっては欠かせない存在です。人間らしさやホスピタリティのあるサポートを売りにする企業も残るでしょう。AIにはできないサポート、これを追求するエンジニアがこれからは求められるようになるかもしれません。
クレーム対応がある
カスタマーサポートは顧客の問い合わせや依頼事項に100%対応できないとクレームにつながることがあります。その原因が製品やシステムの不具合に起因する場合でも、カスタマーエンジニアは直接クレームを受ける立場にいます。
このクレーム対応が苦手で、仕事が苦痛になるエンジニアもいます。クレームは対応次第では、逆に顧客満足や信頼を高めることに繋がりますので、技術面だけではなく、コミュニケーション能力を高めるよい機会ととらえることも必要です。
サポートエンジニアのメリットとデメリット
サポートエンジニアとして転職すると、どのようなデメリットやメリットがあるのか、確認をしておきましょう。最初にデメリットから確認していきます。
サポートエンジニアのデメリット
サポートエンジニアには、まずどのようなデメリットがあるのかを理解した上で、転職してから後悔することがないよう、正しい判断をするべきでしょう。
■ スキルをすぐには活かせない サポートエンジニアは企業や取り扱い製品などによって、求められる知識やスキルが異なります。プログラミングの知識や、システム開発の知識が直ちに活かせるわけではありません。
日々の経験を積む中でスキルを身に着けていく職場もありますので、これまで得た知識やスキルを直ちに活かせない点は物足りなく感じるでしょう。
■ 期待したほどの収入を得られないこともある サポートエンジニアは特段の専門知識を求められないこと、未経験者採用が多いこともあり、他のエンジニア職種と比べて平均年収は高いとはいえません。そのため、転職時点では期待したほどの年収を得られない可能性もあります。給与体系や昇給条件など、よく調べた上で転職先を選ぶ必要があります。
サポートエンジニアのメリット
サポートエンジニアへの転職によって、どのようなメリットを得られるのでしょうか。もちろん、得られるメリットは企業や職種によっても異なりますので、企業研究や職種の研究をしっかり行い、自らの能力を生かし、成長できる転職先を選ぶようにしましょう。
■ 人の役に立てる 「人の役に立ちたい」「人助けをしたい」という気持ちが強い人は、サービスエンジニアに向いている人です。そんな人にとって、サポートエンジニアの仕事は適職と感じられるでしょう。さらに、人の役に立ちながら、自らのスキルアップも行えるというのは、他のエンジニアではなかなか味わえないことです。
■ 顧客目線で製品づくりに関われる システムや製品の開発では、要件定義やマーケティングを行い、顧客のニーズを網羅しますが、ややもすると作り手の論理が勝ってしまうことがあります。
サポートエンジニアは、顧客が直面した問題をダイレクトに知り、その対応を行う中で、顧客目線が身についていきます。企業によっては、サポートエンジニアの声を汲み上げて製品開発に活かしている企業が少なからずありますので、自らの経験を製品づくりに反映できる点は魅力です。
■ 最新技術に触れられる サポートエンジニアはサービスや製品の発売前に顧客からの問い合わせに対応できるよう、研修や勉強会があります。そこでは新たな技術に関する知識を得られます。また関連して、ハードウェア、OSやアプリ、クラウド技術などすべてのIT技術について学べます。
このようにITの最新技術に興味がある方にとって、最新技術に触れられることは魅力的な要素であると言えます。
■ 問題解決力や対応力を高められる サポートエンジニアの仕事は、顧客が抱える問題の解決です。発生した問題に対し、迅速かつ効率的に解決することが求められます。時には適切にエスカレーションを行って、専門チームの助けを借りたり、仲間と協力し合ったりします。
この繰り返しによって、自らの経験と知識を深め、自然に問題解決・顧客対応力が身についていきます。どのエンジニアにも求められるこれらの対応力を高めることで、自信を持ってキャリアチェンジや転職にも臨めるでしょう。転職や企業選びで迷った時には、有力な転職エージェントの利用をおすすめします。
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■ 日々達成感を得られる サポートエンジニアは他のエンジニアとは異なり、仕事が日々完結していきます。顧客の問題を解決し、顧客からの感謝の言葉に喜びや達成感を感じられます。システム開発では、やりがいや達成感を得るまでに数ヶ月を要することがありますが、日々達成感を得られるのはサポートエンジニアならではです。
サポートエンジニアを目指す上でおすすめの資格
サポートエンジニアとして転職して活躍する上には、スキル証明となるIT資格を有している方が有利です。未経験者でも比較的取得しやすく、スキル証明として認められやすい資格を3つ紹介します。未取得の資格があれば、ぜひチャレンジしてみてください。
ITパスポート試験(IP)
情報技術、情報処理の分野における基礎的な知識を問う試験です。資格取得者は一般企業においては、主にIT推進役としての活躍が期待されます。難易度は比較的低く、取得しやすい国家資格です。サポートエンジニアとしてはぜひとも取得しておきたい資格です。未取得の方は真っ先に取得に努めましょう。
【参考】:ITパスポート試験(IP)
基本情報技術者試験(FE)
高度IT人材を目指す上で必要となるITに関する基本知識や技能を問う試験です。ITパスポートの上位視覚となる試験で、ITエンジニアとして主にシステム設計・開発・運用分野での活躍が期待されます。サポートエンジニアとして活躍する以外に、将来的にジョブチェンジをする際にも有効な資格です。
【参考】:基本情報技術者試験(FE)
スーパーバイザー資格
サポートエンジニアはコールセンターなどで勤務することがあります。その際に役立つ資格が「スーパーバイザー資格」です。スーパーバイザー資格はコールセンターなどで管理者としてのマネジメント能力、顧客対応力などについて問う試験です。
サポートエンジニアとして、マネジメント職を目指す際にも役立つ資格です。前述の2資格と併せて取得しておくと転職時に有利です。
【参考】:試験概要 | スーパーバイザー資格 | 日本コンタクトセンター教育検定協会
転職して理想のサポートエンジニアを目指すには
ここまで「サポートエンジニアはやめとけ」と言われる理由、サポートエンジニアのメリットやデメリットについて紹介してきました。
サポートエンジニアは「未経験者歓迎」の募集が多く、他のエンジニアと比べて未経験者には転職しやすい職種です。しかし、研修制度が整っていたり、高年収の優良企業を個人で見つけるのは簡単なことではありません。また、そうした企業は狭き門であり、しっかりした企業研究、面接対策が必要です。
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