Windows Serverとは
Windows Serverとは、マイクロソフト社が開発・提供しているプラットフォームソフトウェア製品で、サーバ用途に最適化したオペレーティングシステム(OS)を指します。Windows Serverは、前身のWindows NT Serverから数えると30年におよぶ実績があります。
【参考】:Windows Server
製品の位置づけと基礎知識
マイクロソフトは近年製品の幅を広げており、プラットフォームOSからオフィス製品、コラボレーションソフトウェア、そしてクラウド事業やPC製品など、多岐に渡るポートフォリオを誇ります。
Windows Serverは、プラットフォームOSとして、サーバ向けに提供されています。さらに自社クラウド事業Microsoft Cloudのサービスプラットフォームである、Azureでも中心的に利用され、事業の重要な位置づけとなる製品です。
【参考】:Microsoft Cloud 【参考】:Azure 【参考】:Windows Virtual Machines
Windows Serverの最新バージョン
Windows Serverの最新バージョンは、2021年11月2日にリリースされたWindows Server 2022です。 Windows Server 2019をベースに、セキュリティ、Azureとのハイブリッド統合および管理、アプリケーション プラットフォームの強化を行っています。
【参考】:Windows Server のリリース情報 【参考】:Windows Server 2022 の Standard、Datacenter、Datacenter: Azure Edition の各エディションの比較 【参考】:Windows Server 2022 の新機能
Windows Serverのライフサイクルとサポートポリシー
マイクロソフトは、製品のライフサイクルポリシーを設定しています。Windows ServerやSQL Serverは、ビジネス用途として5年間のメインストリームサポート、5年間の延長サポート、計10年間のサポートが受けられます。
延長サポート時には、パッチやセキュリティの更新プログラムが提供されます。延長サポート終了後には更新プログラムが提供されませんので、期間満了前に移行の準備が必要です。
最新のWindows ServerであるWindows Server 2022は、メインストリームサポートが2026年10月13日に終了し、延長サポートは2031年10月14日終了を予定しています。
【参考】:Microsoft ライフサイクル ポリシー 【参考】:Windows Server 2012、2012 R2、および SQL Server 2012 のサポート終了に備える 【参考】:Windows Server サービス チャネル 【参考】:Microsoft ライフサイクル: Windows Server 2022
Windows Serverのメリット
Windows Serverのメリットとしては、Windows系パソコンと操作感がさほど変わらない点が挙げられます。そのため、Linuxなどと比較して学習しやすく導入構築しやすい特徴があります。
マイクロソフト製品との親和性も高く、.NETのプラットフォームとして、あるいはAzure環境での利用など、マイクロソフト製品との親和性が高い特徴があります。オフィス製品の利用や情報共有などでも有効です。
Windows Serverのデメリット
Windows Serverのデメリットを考えてみると、Windows Serverは商用OSですのでライセンスコストが比較的高くなる傾向があります。Windowsはセキュリティ攻撃を受けやすいため、サーバの場合でも稼働時には常時危険にさらされていると考えて予防処置を取る必要があります。
動作処理については、Linux系OSのサーバは軽量なカーネルコードですが、Windows Serverでは、Windows系OSの設計と共通化されていることもあり、多少処理が重くなります。
Windows ServerとWindows クライアントPCとの違い
Windows ServerとWindows 10やWindows 11などのWindows クライアントPCとを比較すると、Windows Serverは、サーバとして企業向けデータセンターなどで24時間稼働する点が異なります。そのため、システム停止を極力しないようより安定性を高めています。
Windows ServerのようなサーバOSは、データセンターに格納されるため、リモートアクセスの機能強化が図られたり、大容量メモリやコア数確保などのスケールアップに対応します。セキュリティ面についても考慮され強化が図られます。
Windows Serverでできること
Windows Serverでできることとしてはメリットやデメリットなどの特徴を踏まえて、以下のような用途での利用に適しています。
企業向けのアクセス管理
Active Directoryでマイクロソフト製品の統合認証サービスを提供することができます。ログイン認証やアプリケーション認証など、Active DirectoryドメインサービスやActive Directoryデータベースを用いて利用アカウント毎に管理することができます。
ファイル共有や印刷サービスなどの業務サービス
グループ単位から大規模なものまで、情報や機器のリソース類を一元管理し利用することができます。具体的には、ファイルサーバとして共有したり、プリントサーバという印刷サービスを利用してプリンターの共有などを行うことができます。
Windowsアプリケーションの統合運用
.NET環境の統合運用など、自社開発のソフトウェアからパッケージ製品まで統合管理し、運用することができます。オフィス製品の統合利用やチームコラボレーション、IISを用いたウェブサービスなど多岐に渡る業務に対応できます。
SQL Serverのワークロード実行
Windows Serverではスケールアウトからスケールアップまで対応可能で、スケールアップ時には48TBメモリ、64ソケット・2048コアまで対応します。SQL Server などのビジネスクリティカルなワークロードの実行環境として活用することができます。
オンプレミスとAzureの連携
重要なデータやワークロードをローカルのオンプレミスで運用し、汎用ワークロードをパブリッククラウドであるAzureを活用し、相互に連携させることができます。これにより、コスト削減と管理工数の低減が可能になります。
Windows Serverの使い方
Windows Serverの使い方ですが、インストールと構築作業を行ってしまえばWindows環境として作業可能となります。
インストールは、新規インストールとなるクリーンインストールや、既存環境からアップグレードが可能です。すでに実際に利用している場合は、クラスター環境ではノードを順番に移行するローリングアップグレードにも対応します。
【参考】:Windows Server のインストール、アップグレード、または移行
Windows Serverのインストールオプション
インストールオプションとして、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を利用できる「デスクトップ エクスペリエンス」、キャラクターユーザインターフェース(CUI)のみを利用する「Server Core」から選択します。
「デスクトップ エクスペリエンス」では、標準GUIやグラフィカル管理ツールが導入されます。「Server Core」では、PowerShellやサーバ構成ツール(SConfig)、CLIを用います。このオプションはインストール時に決定し、インストール後には変更できません。
【参考】:Server Core インストール オプションとデスクトップ エクスペリエンス搭載サーバー インストール オプション
Windows Serverのライセンス
Windows Serverのライセンスは、大規模システム向けの「Datacenter」、小規模から中規模向けの「Standard」、小規模向けの「Essentials」の3種類があります。
DatacenterとStandardは、コアベースのライセンスでCALのライセンスが必要です。CAL(クライアントアクセスライセンス)は、サーバサービスへのアクセス権をユーザーに付与します。アクセスユーザー数に応じて追加費用が発生します。
【参考】:Windows Server 2022 の価格とライセンス体系 【参考】:クライアント アクセス ライセンス (CAL) と マネジメント ライセンス (ML)
Windows Serverを無料で始めるには
Windows Serverには、180日有効な試用版が用意されていますので、ぜひ活用しましょう。Azureもしくはオンプレミスで利用可能です。試用版の情報はWindows Serverに限定されずに、Evaluation Centerに掲載されています。個人利用でも、こちらを活用し評価することができます。
すでにVisual Studioサブスクリプション(旧MSDNサブスクリプション)をお持ちの方は、サーバライセンスとCALが含まれますので、追加費用なしに開発評価を行うことができます。
【参考】:オンプレミスまたは Azureで Windows Server を試用する 【参考】:Windows Server 2022 の試用版 【参考】:Visual Studio の価格
Windows ServerはオンプレミスでもAzureでも有効です
Windows Serverは、Windowsクライアントとの接続やマイクロソフト製ソフトウェアとの親和性に強みを持ちます。
Windowsアプリケーション開発においても開発プラットフォームとして使用可能ですので、オンプレミスとAzure、あるいは相互接続するハイブリッドクラウドの評価・検証に活用することをおすすめします。
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