Next.jsとは
Next.jsは、米国のVercel社が開発したオープンソースのフレームワークです。バージョン1が2016年にリリースされ、その後もたゆまなく改良が行われて、現在はバージョン13.4が最新(2023年12月現在)です。
Next.jsはReactをベースにWebアプリケーションの開発を強力に支援する目的で設計されており、ReactによるUI構築に加えて、ルーティング、画像最適化、サーバサイドレンダリング(SSR)、静的サイトジェネレーション(SSG)などの機能が提供されています。
この記事では、Next.jsの特徴やメリット・デメリットを中心に解説します。これからNext.jsを学びたい方、Webアプリの開発に携わる方はぜひ参考にしてください。
Next.jsとReactの違い
Next.jsとReactは、いずれもJavaScriptを使ってWebアプリケーションを開発するための技術ですが、いくつか基本的な違いがあります。主な違いを以下に4つ挙げてみました。
▪ReactはJavaScriptのライブラリで、UI(ユーザーインターフェース)を構築するためのものです。Reactはクライアント側でしか動作しないため、バックエンドとして別の技術を組み合わせる必要があります。
▪Next.jsはReactをベースにしたフレームワークで、サーバサイドでのレンダリングやルーティングなどの機能を提供します。Next.jsは単体でWebアプリケーションを動作させることができます。
▪Reactは自由度が高く、自分で設定や調整を行う必要があります。Next.jsは設定や調整がほとんど不要で、すぐに開発に着手できます。
▪Reactは初期表示が遅く、SEO(検索エンジンの最適化)に弱いというデメリットがあります。Next.jsは初期表示が速く、SEOに強いというメリットがあります。
【参考】:React – ユーザインターフェース構築のための JavaScript ライブラリ 【参考】:JavaScript ガイド - JavaScript | MDN
Next.jsの主な特徴
Next.jsの特徴としては「ファイルベースルーティング」、「サーバAPI実装が可能」、「画像の最適化」、「高パフォーマンスなレンダリング」などが挙げられます。それぞれの特徴について見ていきましょう。
ファイルベースルーティング
ルールに従って特定のディレクトリにJavaScriptコードを置くと、そのコードのファイル名がそのままURLとして適用されます。そのため開発者がルーティングに関する設定について記述をする必要がないため、開発が迅速になります。
サーバAPIの実装
APIルートという機能を使うと、サーバ側のAPIもJavaScriptで実装できます。簡易的なサーバ機能を作成できるため、サーバサイドの実装を行うことなく、直ちに結合テストが行えます。
画像の最適化
画像のレンダリングを高速化する機能を持っています。表示サイズや形式を自動で最適化したり、表示領域外の画像の読み込みを遅らせたりすることで、Webページの表示速度を向上させます。
高パフォーマンスなレンダリング方式
サーバ側でSSRやSSGなどのレンダリングの仕組みを提供しています。これにより、クライアント側のデバイススペックに影響されずに高速なWebページ表示が可能になります。
SSRとは
SSRは「Server Side Rendering」(サーバサイドレンダリングの略)で、ユーザからのリクエストに応じてサーバ上でHTMLを生成し、ブラウザに送信する方法です。SSRは、コンテンツが動的に変化するウェブサイトや、SEO(検索エンジンの最適化)が重要なウェブサイトに適しています。
SSRのメリットとしては、コンテンツの表示が早く、SEOに有利であることです。一方、SSRのデメリットは、サーバの負荷が高く、設定が複雑になることです。
SSGとは
SSGは「Static Site Generator」(静的サイト生成の略)で、ビルドの際にあらかじめHTMLを生成し、サーバに保存しておく方法です。 SSGは、コンテンツがあまり変更がないWebサイトや、高速なページロードが必要なサイトに適しています。
SSGのメリットとしては、サーバの負荷が低く、セキュリティが高いことです。 一方、SSGのデメリットとしては、コンテンツの更新の際にビルドの再実行が必要であることです。
Next.jsのメリット
Next.jsの主なメリットとしては、「快適なWeb体験の提供」と「開発効率の向上」が挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
快適なWeb体験の提供
SSRやSSGを使うことで、Webページの初期表示を高速化できます。また、画像の最適化やコード分割などの機能を使うことで、Webページのパフォーマンスを向上させることができます。この結果、ユーザに対して快適なWeb体験の提供が可能となります。
開発効率の向上
ゼロコンフィグ機能により、開発環境や設定を簡単に構築できます。また、ファイルベースルーティングなどの機能を使うことにより、開発の手間を減らすことができます。さらに、Next.jsはReactとの親和性が高いため、Reactのコンポーネントやライブラリをそのまま利用できます。
Next.jsのデメリット
Next.jsのデメリットとしては、「エンジニア人口が少ない」「小規模サイトの構築に不向き」という2点が挙げられます。以下、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
エンジニア人口が少ない
Next.jsは比較的新しいフレームワークであるため、Next.jsに精通したエンジニアがまだ多くはありません。そのため、開発において共同作業ができる人材が集まりにくかったり、困ったときに助けてくれる人や情報が少なかったりする可能性があります。
反対に、Next.jsが使えると重宝される可能性が高いため、学ぶことでメリットになります。
小規模サイトの構築に不向き
Next.jsは高機能なフレームワークであるため、小規模なサイトで利用するにはオーバースペックとなる可能性があります。Next.jsが提供している様々な機能を十分に活用できないと、Next.jsを利用するメリットが半減してしまうこともあります。
開発規模に応じて、エンジニア人口の多いReactで済ませるという選択肢もあります。
Next.jsを学ぶ
Next.jsに興味が湧いたら、まず入門書で概要を把握し、実際に使ってみることをおすすめします。入門者におすすめの書籍を3冊紹介しますので、参考にしてください。
React.js&Next.js超入門 第2版
本書は、React.jsとNext.jsの入門書です。React.jsの基本からNext.jsの特徴や機能まで、実際のサンプルコードを通じて学ぶことができます。初心者向けに分かりやすく解説されており、React.jsとNext.jsの両方を一気に学びたい人におすすめしたい入門書です。
▪著者: 掌田津耶乃 ▪出版社: 秀和システム ▪ページ数:457ページ ▪出版日: 2021/2/27
作って学ぶ Next.js/React Webサイト構築
Next.jsとReactを使ってブログサイトを作成する本です。Next.jsの基本的な機能やReact、CSS Modulesやstyled-jsxなどのCSSの扱い方をステップバイステップで学べます。HTML&CSSにJavaScriptも使ってきた方が、Reactに挑戦するためのガイドとしておすすめです。
▪著者: エビスコム ▪出版社: マイナビ出版 ▪ページ数:352ページ ▪出版日: 2022/7/30
【参考】:作って学ぶ Next.js/React Webサイト構築
TypeScriptとReact/Next.jsでつくる実践Webアプリケーション開発
WebアプリケーションフレームワークのNext.jsと型付き言語TypeScriptを使い、モダンなWebアプリケーションを開発する方法が学べる入門書です。Next.jsの基本機能や最新のフロントエンド技術、コンポーネント設計やテスト、デプロイやSEOなど、実践的な内容が豊富に紹介されています。
TypeScriptとNext.js、Reactなどに興味がある方におすすめの1冊です。
▪著者: 手島 拓也、吉田 健人 、高林 佳稀 ▪出版社: 技術評論社 ▪ページ数:448ページ ▪出版日: 2022/7/25
【参考】:TypeScriptとReact/Next.jsでつくる実践Webアプリケーション開発
Next.jsを利用してみよう
ここまでNext.jsとは何か、その特徴やメリット、デメリット、Next.jsを学べるおすすめの入門書を紹介しました。Next.jsはReactをベースにしたWebアプリケーションフレームワークであり、高速かつ拡張性に優れた開発を可能にしてくれます。
またNext.jsにはルーティングや画像最適化、サーバサイドレンダリングなどの機能が備わり、ユーザに快適なWeb体験を提供することが可能です。しかし、Next.jsにはエンジニア人口が少なく、小規模開発には向かないというデメリットもあります。
これらを理解した上で、Next.jsをWeb開発力アップに役立てることをおすすめします。
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