GitLab 16がリリース
GitLabは2023年5月22日、AIを活用したDevSecOpsプラットフォームのGitLab 16をリリースしました。GitLab 16では、セキュリティ・コンプライアンス・AI/ML・バリューストリーム分析などの機能を搭載し、ソフトウェア開発ライフサイクルの迅速化を可能にするものです。
【参考】:GitLab Announces AI-Powered DevSecOps Platform With GitLab 16
GitLabとは
GitLabとは、GitLab社が提供するソフトウェア開発統合プラットフォームを表します。GitLabは、社名であり提供するサービス名でもあります。主に、ソフトウェアリポジトリなどの開発・運用向けサービスを提供していますが、企業向けにセキュリティ面のプロセス自動化を推進することを目的としています。
【参考】:About GitLab
GitLabが提供するサービス
GitLabが提供するサービスである統合プラットフォームは、DevSecOpsのソフトウェア開発ライフサイクルをサポートします。DevSecOpsとは、従来のDevOpsの開発(Development)・運用(Operation)手法に、セキュリティ(Security)の手法を追加したものです。
ソフトウェア開発のライフサイクルにおいて、セキュリティの考え方を全員が共有しソフトウェアの安全性を確保するとともに、開発プロセスを自動化することで、ソフトウェア開発の生産性向上をに役立てることができます。
GitLabのサービス提供形態
GitLabのサービス提供形態は、(1)「GitLab.com」というGitLabがホストするSaaSを利用する形態、(2)「セルフマネージド」というオンプレミスやクラウドにインストールする形態の、2種類があります。それぞれ、「Free」「Premium」「Ultimate」の3つの料金プランに対応します。
同一料金プランを比較すると、「GitLab.com」と「セルフマネージド」には大きな提供機能に違いは見当たりません。「GitLab.com」のSaaSのCIの実行時間は、料金プランによって制限が異なります。
【参考】:GitLab SaaS (GitLab.com) | 機能比較 【参考】:GitLab セルフマネージド | 機能比較
GitLabの料金プラン
GitLabの料金プランは以下の3通りです。料金プランに応じて機能が追加提供されます。
・Freeプラン 無料プランとして提供されます。コミュニティベースのサポートで、通常のアプリケーション開発におけるビルド・デプロイ・実行に対応します。
・Premiumプラン 複数のプロジェクトをカバーし、高度なDevOpsサポートが可能です。1ユーザあたり月額29USドルが発生します。
・Ultimateプラン 企業が求めるセキュリティ・リスク・コンプライアンスを管理し、ビジネス利用を加速します。1ユーザあたり月額99USドルが発生します。
日本においては、国内正規代理店のクリエーションライン社から日本語の有償サポートを受けることも可能です。
【参考】:GitLab: 料金 【参考】:クリエーションライン GitLab 料金
GitLabのリリースの考え方
GitLabのリリースは、毎月行われています。これまでを見ると、過去140ヶ月連続で毎月22日にリリースされています。また、機能はDevSecOpsのライフサイクルごとに、Plan・Create・Verify・Secure・Package・Deploy・Monitor・Governの工程に合わせて開発提供されます。
【参考】:GitLab releases
今後のリリース予定
今後のリリース予定は、7月の16.2から10月の16.5まで明らかにされています。リリース日は毎月22日です。リリース予定も、Plan・Create・Verify・Secure・Package・Deploy・Monitor・Governの工程に合わせて情報が開示されます。
GitLab 16のリリース内容
GitLab 16のリリースには、DevSecOpsプラットフォームの新機能と、GitLabが今後1年を通してリリース予定の機能が含まれます。GitLab 16では、現行計画する機能に加え、今後登場するAI搭載機能「Refactor This Code」「Resolve This Vulnerability」がリリースに加わります。
現行予定する機能には、コードサジェスト「Code Suggestions」、コード説明「Explain This Code」、脆弱性の説明「Explain This Vulnerability」、バリューストリーム予測「Value Stream Forecasting」、推奨レビュアー「Suggested Reviewers」などが含まれます。
加えて、バリューストリームダッシュボード「Value Stream Dashboards」、集中ポリシー管理「Centralized Policy Management」、「GitLab Dedicated」の一般提供を進めていきます。これにより、GitLabの効率性やセキュリティ・コンプライアンスの更なる向上が期待できます。
リリースされた新機能は、定期的にGitLab SaaS(GitLab.com)に反映されます。セルフマネージドには毎月22日にパッケージが用意されます。
【参考】:GitLab Announces AI-Powered DevSecOps Platform With GitLab 16 【参考】:GitLab 16.0 【参考】:Available now on GitLab
GitLab 16で推進するAI活用
GitLab 16では、AIを活用した機能追加が今後も予定されています。「Code Suggestions」では、より良いコードをより速く、より効率的に書くことが可能となります。AIをDevSecOpsプラットフォームに搭載し、セキュリティテストや分析、プロアクティブな脆弱性検出などを可能としていきます。
企業での利用においては、知的財産の保護をAI活用によってより強固にしていきます。
AI搭載の機能には、「Suggested Reviewers」「Explain This Code」「Explain This Vulnerability」「Value Stream Forecasting」などがあります。今後はさらに「Refactor This Code」「Resolve This Vulnerability」の投入を予定しています。
AI活用によって、DevSecOpsライフサイクル全体を通じた生産性向上が期待できます。
【参考】:GitLab AI‑powered DevSecOps Platform
GitLab 16で搭載されるAI機能
GitLab 16で搭載されるAI機能は、数多くあります。個々の機能を簡単に整理しておきます。
・Code Suggestions AIベースのいわゆるコードサジェスト機能です。入力中にコードの候補を表示することで、より効率的にコードを書くことが可能です。
・Suggested Reviewers マージリクエストをレビューする適切な人を自動的に見つけることができます。これにより、より迅速に、より質の高いレビューを受けることができます。
・Value Stream Forecasting ワークストリームを可視化するツールです。生産性に関する指標を予測し、ソフトウェア開発ライフサイクル全般の異常を特定し、最適化を図ります。
・Summarize Issue Comments 長時間の会話から問題の有無を要約します。全員が同じ考えや視点に素早く立ち、作業効率の改善を果たします。
・Summarize Proposed Merge Request Changes 要約を作成し、変更の影響を効率的に伝えます。マージ要求の作成者の意図と整合性を持つ行動を速やかに実行できるようにします。
・Explain This Vulnerability 開発者がより効率的に脆弱性を修正できるように情報を伝えます。開発者がスキルを向上させることで、より安全なコードを書くことができるようにします。
・Summarize Merge Request Review 作者とレビュアーの間でより良い情報の受け渡しを可能にします。マージリクエストの提案を効率的に理解できるように、レビュアーをサポートします。
・Generate Tests in Merge Requests 繰り返し作業を自動化することで、バグの早期発見をサポートします。
・GitLab Chat ドキュメントのような大量のテキストデータから、有益な情報を素早く特定するのに有効です。
・Explain This Code ソースコードを説明することで、素早く理解し作業に取り掛かれるようにします。
【参考】:GitLab AI‑powered DevSecOps Platform
GitLab 16のリリースは続きます
GitLabでは、毎月最新版をリリースしており、機能追加や改善を進めています。実験的な機能リリースから正式リリースまで、段階を設けています。提供に向けた計画は開示されており、有効な開発プラットフォームとして重要な役割を持っています。
GitLab 16は、AIの有効活用によりソフトウェア開発ライフサイクル全体の生産性向上が期待でき、リリース機能を開発工程に活用するのが良いでしょう。
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