Google ColabのAIコーディング機能
Googleは2023年5月17日、Google ColabにAIコーディング支援機能を搭載すると発表しました。AIコーディングには、2023年5月10日開催の「Google I/O 2023」で発表されたPaLM 2ベースの「Codey」が用いられます。
【参考】:Colaboratory へようこそ 【参考】:Google DEVELOPERS: AI-powered coding, free of charge with Colab
そもそもGoogle Colabとは
Google Colabとは、Googleが提供するPythonの対話型コードエディタ兼実行環境です。ホスト型の Jupyter Notebookサービスとして提供され、使い方は簡単です。ウェブブラウザ上で操作するので、Pythonの環境をインストールせずに利用することができます。
正式名称は、Google Colaboratoryで通称Colabと呼ばれています。
Google管理コンソールから「Google Colab」を設定して、使用したり使えない状態にしたりすることが簡単にできます。このため、Colabを組織や学校でも利用するケースが多く、何百万人もの学生がColabを利用して、Pythonプログラミングや機械学習を学んでいます。
【参考】:Colaboratory へようこそ 【参考】:jupyter
Google Colabの概要と特徴
通常Pythonを利用するには、PCなどに環境をセットアップする必要があります。Pythonの得意とする機械学習やデータ分析では関連するライブラリも必要となり、追加セットアップを要します。
Google Colabでは、ウェブブラウザで操作するため、上記のような煩雑な作業から解放されます。そのため、機械学習やデータ分析にそのまま利用できるほか、教育用途にも活用することができます。画像生成やAIイラストなどにも応用できます。
さらにCPUなどの追加リソースも提供されますので、環境セットアップの経験がない人でも特別な設定なしに利用することができます。
Google Colabは、Googleアカウントのみで利用可能で、追加料金が発生しません。GPUの利用も無料で提供されますので、まず試してみたい場合には、Colabを使ってみるのが良いでしょう。
【参考】:Colaboratory へようこそ
Google Colabの制限事項
Google Colabの制限事項としては、リソース確保が保証されるわけではない点が挙げられます。つまり無料で無制限に使用することができず、特にGPUに関しては高価であるためアクセス制限が設けられています。利用時に制限を受けるいわゆる「GPUガチャ」的な状況が生じる場合があります。
無料会員と有料会員では制約条件に違いがあり、商用利用などリソースを多く使用する場合は、「Colab Pro」のプランが推奨されています。データの管理やクッキーの扱いなど、安全性についてもクラウドサービス同様の考慮が必要です。詳細は以下のリンク先の情報をご確認ください。
【参考】:Google Colaboratory よくある質問 【参考】:Google Colaboratory リソース制限 【参考】:最適な Colab のプランを選択する 【参考】:Colab 有料サービス追加利用規約
Google Colab搭載のAIコーディング機能とは
AIコーディング機能とは、AIによるコーディング支援の機能を表します。コーディングは、プログラム開発で必要なプログラムコードを作成することです。生成AIは、自然言語の解釈や生成を行うことができます。その特徴をプログラム開発に適用し、コード補完機能や、コード生成機能を実装します。
Colabでも、これらのコード補完やコード生成の機能を搭載し、コード支援のチャットボットも導入される見込みです。
【参考】:Google Cloud Blog: At Google I/O, generative AI gets to work
Codeyとは
Codeyとは、PaLM 2をベースとするコードモデルを指します。PaLM 2は、推論・多言語処理・コーディングを強化した大規模言語モデル(LLM)で、CodeyはPaLM 2のコーディング機能を調整したものです。
Colabでの生成AI機能のロールアウトは、今後数ヶ月の間に徐々に展開され米国から他の地域へ拡大を予定しています。
【参考】:Google Cloud Blog: At Google I/O, generative AI gets to work
そもそもPaLM 2とは
PaLM 2とは、Googleの開発する次世代の大規模言語モデルを指します。PaLM 2 では、従来のPaLMと比べて推論機能や多言語処理、コーディング機能が強化されています。Googleは、大規模言語モデルPaLMの最新版であるPaLM 2を、順次自社製品やサービスへの導入を進めています。
【参考】:PaLM 2 【参考】:Google Japan Blog: PaLM 2 のご紹介 【参考】:Google I/O 2023: Making AI more helpful for everyone
Google Colabに搭載のCodey
CodeyはGoogle Colab向けにチューニングされており、得意とするPythonのコード補完やコード生成に役立てられます。AIコーディング支援機能は統合されており、チャットボットに相談しながら進めることも可能です。Pythonと機械学習は相性が良く、Google Colabはインターネットから誰でも無償で利用することができます。
CodeyをColabに導入するに当たり、コーディングタスクのパフォーマンス向上のために、外部ソースや高品質なコードの大規模データセットで最適化を図っています。Colabで使用するCodeyのバージョンは、PythonとColabでの使用を前提に大幅なカスタマイズがされています。
Google ColabのAIコーディング機能の効果
Google ColabのAIコーディング機能により、プログラム開発のスピードアップ、品質向上を実感することができます。実際のコード生成に活用できるほか、学習用途としてもColabのメリットを活かして利用することができます。
AI活用によりコードブロックから大規模開発にも利用できるようになります。AIチャットボットによるサポートを受けることもできます。
Google ColabのAIコーディング機能の展開予定
Google ColabのAIコーディング機能は、米国のColabユーザから開始し、順次展開を進めていきます。米国の有料会員から始まり、無料会員へと拡大されていく予定です。
最初のリリースでは、コード生成を主目的に機能が実装されます。対象となるユーザには、ノートブックに新しい「生成」ボタンが表示され、任意のテキストプロンプトを入力することでコードを生成することができます。
有料ユーザにはオートコンプリート機能も合わせて提供されます。機能改善は、順次実施されており、将来的には他の地域へも展開をすると公表されています。
Google ColabのAIコーディング機能は展開を待つ価値がある
Google ColabのAIコーディング機能は、米国の有料会員から無料会員へと拡大が予定されています。その後は、各地域への展開がされる見込みです。
日本の展開予定はまだ公表されていませんが、プログラム開発の効率向上は開発者のテーマでもあり、迅速なサービス化に欠かせないものです。コード開発の期間短縮や品質向上を考えると、Google ColabのAIコーディング機能は十分に期待できるものととらえて良いでしょう。
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから