Google Bardが日本語に対応
Google Bardが待望の日本語に対応したことが、開発者向けイベントである「Google I/O 2023」で明らかにされました。2023年4月18日より日本からのアクセスが可能となっていましたが、これまでは英語に限定してサービス提供されていました。
5月10日には待機リストが撤廃されるとともに日本語に対応し、Googleアカウントがあれば誰でも利用可能となっています。翌11日にGoogle Japan Blog上には、Bardの解説情報が掲載されています。
【参考】:Google I/O 2023 【参考】:Google Japan Blog: Bard が日本語に対応
Google Bardとは
Bardとは、Googleの提供する対話型人工知能サービスを指します。2023年2月6日に発表され、2023年3月21日より米国と英国で開始されています。5月10日より英語に加えて日本語と韓国語に対応するとともに、180カ国以上の国と地域で利用可能となっています。
なおBardは、「試験運用中のサービス」として提供されており、回答の正確性について利用者が確認するように求めています。現在無料で利用することができますが、他のGoogleサービス同様に、正式リリース後も無料で提供されると見られています。
【参考】:Bard
対話型人工知能サービスの概要
対話型人工知能サービスは、生成系AIとも呼ばれておりOpenAIのChatGPTが先行リリースされています。生成系AIは、機械学習により蓄積された情報から、実用レベルの文章や画像などを生成します。
Googleは長らく、自社で考案したLaMDAを用いた言語モデルで技術を蓄積していましたが、サービスリリースに時間がかかっていました。BardのリリースはChatGPT以外の選択肢を提供し、今後Googleのサービス連携が期待できます。
【参考】:OpenAI
競合する対話型人工知能サービス
先行するOpenAIのChatGPTは、GPT-4が実装され、より高精度な言語解釈が可能です。Microsoft Bingでは、「新しいBing」の検索エンジンにChatGPTのGPT-4を採用し、チャットエクスペリエンスの向上を進めています。このような競争状態はしばらく続くと見られます。
【参考】:Microsoft Bing 【参考】:新しいingの紹介
Bardの特徴
Bardは、Googleの開発する大規模言語モデルであるPaLMの次世代版「PaLM2」を採用しています。PaLMと比較し推論や多言語翻訳、コーディングのパフォーマンスが向上しました。GPT-4に対抗するものであり、従来より言語パターンの予測率が高まっています。
日本語対応は、このPaLM2によってもたらされます。
【参考】:PaLM2
試験運用中のサービス制限
Bardは試験運用中ですが、安全性や回答の正確性に関しては、利用者に確認やフィードバックを求めています。Google AI原則に沿って安全管理がされていますが、回答の正確性や適切性についてはユーザーからのフィードバックは欠かせないものとなります。
【参考】:Bard に関するよくある質問 【参考】:Google AI原則
Google Bardのアップデート情報
Bardのアップデート情報によると、これまで月2回程度機能の更新がされています。最新のリリースは2023年5月10日で、日本語と韓国語のサポートや、利用対象を180カ国以上に拡大しています。GoogleドキュメントやGmailへのエクスポートもこのバージョンで対応しています。
今後も定期的な更新がされると予測できるため、このリンク先を適宜確認することをおすすめします。
【参考】:Bard 試験運用版の最新情報
Google Bardを使うには
Bardを使うには、18歳以上であればGoogle アカウントのみでログインし利用することができます。次の図の通り、公式サイト右上のログインをクリックし、アカウントを選択します(①②)。最初のログインの際には利用規約や免責事項に相当する表示がされます。
【参考】:Bard 【参考】:Google 利用規約 【参考】:Google ジェネレーティブ AI の追加利用規約
Google Bardの質問方法
Bardの質問方法は、画面下部に表示されるプロンプト領域に聞きたいことを入力し、送信するだけです。検索エンジンやChatGPTと同じ手順です。このプロンプトに如何に適切な質問を盛り込むかにより、回答の精度や範囲あるいはレベルや難易度などに違いが現れます。
試しに次の図のように、”日本の人口は、10年後には何人になりますか?”と聞いてみました。プロンプト領域に質問を入力し、送信します(①②)。ChatGPTと比較すると、結果が表示されるまで多少時間がかかりますが、この図のように回答が得られました(③)。
文字数を指定しない状態で約400文字程度の回答が得られました。これはChatGPTとほぼ同じ分量の回答です。
回答案の選択
Bardは質問に対して、複数の回答案を提示します。そこで自分に合った回答案を複数の候補から選ぶことができます。この部分は、単一の回答を生成するChatGPTよりも回答の柔軟性が高いと考えられます。
試しに先ほどの質問である、”日本の人口は、10年後には何人になりますか?”の回答表示の右上の「他の回答案を表示」をクリックすると、次の図のように3つの回答案が表示されます(①②)。
回答案2は次の図の通り3つの案から選択することで、下部にその回答が表示されます(①②)。回答案3も同様に表示することができます(③④)。
回答案を比較すると、いずれも何らかの情報ソースによって得られる分析から回答を生成していることがわかります。比較して、マッチする文面を選択できるのは便利です。
回答の情報ソース
Bardでは、最新のウェブ情報に基づき回答を作成します。そのまま追加検索を行うこともできますので、新しいトピックスの対応についてはBardが一歩進んでいます。
ChatGPTでは、2021年9月までの蓄積データに基づきますので、最新の傾向分析はあまり得意としません。2023年3月には「ChatGPT plugin」がイニシャルリリースされており、最新情報の取込機能が提供されます。このことから最新情報への追従は、今後は同等レベルに近づいていくでしょう。
【参考】:ChatGPT plugins
メールや文書の下書きに使える
Bardでは、回答をGoogleドキュメントやGmailに取り込むことが可能です。次の図のように、「回答をエクスポート」アイコンが追加されており、「Google ドキュメントにエクスポート」や「Gmailで下書きを作成」ですぐに回答を取り込むことができます(①②)。
今後サービス連携が可能に
今後は、GoogleのGoogleドキュメントやGmail、Googleマップなどのサービスにおいて、Bardのエクスペリエンスが統合される予定です。外部パートナー連携も検討されており、手始めに画像生成AIであるAdobe Fireflyでの連携機能が数カ月以内に提供される予定となっています。
Adobeとの連携は、Microsoftのサービスとの競争上も有利に働くと見られます。
【参考】:Adobe Firefly
Google Bardは生産性を高めるには有効
Googleのサービスはドキュメントの共有など、プロジェクト管理などにも用いられます。その中で、Bardは情報検索から今後の予測など多岐にわたる回答が可能で、サービス連携に更なる期待が持てます。現状のAIの利用リスクを理解しながらも、生産性を高めるツール Bardは早期に触れてみることがおすすめです。
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