OpenAIのGPT-4
GPT-4(ジーピーティーフォー)とは、米国のOpenAI社により2022年11月30日に登場したChatGPT「GPT-3.5」の次世代モデルであり、2023年3月14日(現地時間)に公開されました。
ChatGPT-3.5は登場からわずか2ヶ月ほどで登録者数が1億人に達するなど、大変な注目を浴びましたが、ChatGPT-4の登場によってさらに活用が広がっていくと見られます。この記事では、GPT-4の特徴や、活用例、使い方、今後について解説していきます。
【参考】:GPT-4 | OpenAI
OpanAIとは
OpenAI(オープンエーアイ)とは人工知能(AI)研究所であり、人類全体に利益をもたらす形で友好的なAIを普及・発展させることを目標に掲げ、AI分野の研究を行っている非営利団体です。
OpenAIは、2015年に設立され、イーロン・マスクなどのアメリカの起業家・投資家が集まって設立されました。OpenAIは、高度な言語モデル「GPT-3.5」に続いて「GPT-4」を開発し、Microsoft Azure上で提供しています。
【参考】:OpenAI
GPT-4とは
GPT-4はChatGPTのAPIである「GPT-3.5」の進化版です。GPT-4はGPT-3.5と比較して、様々な点において精度やパフォーマンスが向上しています。特に日本語の精度においては、GPT-3.5の英語の精度よりもGPT-4の日本語の精度の方が高いという結果が出ています。
【参考】:GPT-4 |OpenAI
GPT-4の特徴
OpenAIが深層学習のスケールアップを目指す取り組みの中で、最新のマイルストーンとなるGPT-4を開発しました。GPT-4は、画像とテキストの入力を受け付けることができ、テキスト出力を生成する大規模なマルチモーダル(複数のデータ種に対応する)モデルです。
GPT-4は実世界の多くのシナリオでは、まだ人間よりも能力的に劣りますが、様々なプロフェッショナルやアカデミックな分野でのベンチマークにおいては、人間レベルのパフォーマンスを発揮できます。
専門分野や学術面のパフォーマンス向上
GPT-4は、例えば模擬司法試験において、テスト受験者の上位10%程度のスコアを獲得しています。一方のGPT-3.5では下位10%程度でした。OpenAIは6か月間に渡って、敵対的テストプログラムやChatGPTから得た教訓を反復的に適用して、GPT-4をチューニングしました。
その結果、事実性・操作性・ルールの逸脱拒否の点で、これまでで最高の結果を得ています。
ディープラーニングスタックの再構築
OpenAIは過去2年間で完全なるディープラーニング(深層学習)スタックを再構築し、Azureと共同でスーパーコンピューターを設計しました。さらに1年前には、最初の「テストラン」としてGPT-3.5をトレーニングしました。
バグを修正し、理論的な基盤を改善した結果、前例のない安定性を持つGPT-4トレーニングランが実現しました。OpenAIは信頼性のあるスケーリングに注力しながら、将来的な機能に対して予測と準備ができるように、その方法論のブラッシュアップを目指しています。
【参考】:GPT-4 | OpenAI
画像入力機能
Microsoft社のパートナー企業であるOpenAI社は、ChatGPTおよびAPI(ウェイトリスト付き)を介してGPT-4のテキスト入力機能をリリースしています。OpenAIは画像入力機能を広く利用可能にするために単一のパートナーと緊密に協力しています。
また、AIモデルパフォーマンスの自動評価フレームワークであるOpenAI Evals※をオープンソース化しました。これにより、誰でもOpenAIのモデルの不備を報告でき、さらなる改善に役立てることができます。
GPT-4ができること
GPT-4は登場して間もないことから活用例はまだありませんが、GPT-3.5の活用方法から類推してみましょう。
ChatGPTで既にできていること
ChatGPTでは以下のような活用方法が見いだされています。
▪記事や台本作成 ▪マニュアル作成 ▪コピーライティング ▪翻訳サービス ▪ショッピングアシスタント ▪トラベルアシスタント ▪特定分野に関する情報収集 ▪履歴書作成 ▪イベント企画 ▪小説や詩、脚本、歌詞などの創作 ▪Officeアプリの作業支援 ▪プログラミングの支援
GPT-4の新機能でできること
GPT-4には新たな機能が搭載されていますので、GPT-4を利用することで以下のようなことが実現できます。
▪ショッピングや生活提案などの顧客対応 ▪事務作業などのオペレーション支援 ▪マーケティング支援 ▪チャットボットの開発支援
GPT-4を利用する方法
GPT-4を使うには大きく分けて2つの方法があります。「Microsoft Bing」を利用する方法と、有償サービスの「ChatGPT Plus」を利用する方法です。これから、それぞれの方法について紹介します。
また、GPT-4の活用に関して、MicrosoftはGPT-4を組み込んだ「Microsoft 365 Copilot」を発表していますので、こちらについても紹介します。
Microsoft Bingを利用する
新しいBingのAIチャット検索は、リリース当初からGPT-4を採用して動作していることを、Microsoftが公式ブログ「Microsoft Bing Blogs」上で2023年3月14日に公表しました。本来GPT-4は有償サービスですが、無償で利用するにはMicrosoft Bingを利用するとよいでしょう。
使い方はとても簡単で、プラウザとしてMicrosoftEdgeを利用して新しいBingにユーザー登録し、チャットで質問を投げるだけです。ただし、現在は無料のサービスですが、関連APIなどの料金が今後大幅に値上げされる見込みです。
■ Microsoftアカウントでログイン 新しいBingのAIチャット機能の利用には、Microsoftアカウントが必要です。Microsoftアカウントをまだ取得していない方は、新規作成を行ってください。
【参考】:新しい Microsoft アカウントを作成する方法 | Microsoft サポート 【参考】:新しい Bing が OpenAI の GPT-4 上で稼働 | News Center Japan
■ 順番待ちリストに参加 Microsoftアカウントの登録が済んだら、Bingにログインし、次に「順番待ちリスト」に登録をします。順番待ちリストに登録した後、Bingの利用許可が得られるとAIチャット機能の利用が可能になります。
【参考】:Microsoft Bing
ChatGPT Plusを利用する
ChatGPT Plusは「GPT-4」の先行利用が可能な有料ブランの名称です。こちらはサブスクリプションサービスで毎月20$(約2,600円)の費用が掛かりますが、GPT-4を頻繁に使う人、業務で使いたい人、APIを利用して新たなアプリやシステムを開発したい人におすすめします。
なお、ChatGPT Plusでは「GPT-3.5」もより快適に利用できます。支払い方法はクレジットのみです。
【参考】:Introducing GPT-4 | OpenAI
Microsoft 365 Copilotを利用する
米Microsoftは2023年3月16日(現地時間)に、GPT-4を搭載した「Microsoft 365 Copilot」を発表しました。Microsoft 365 Copilotはチャットで指示を与えるだけで、「Word」「Excel」「Outlook」「PowerPoint」に関する作業を手伝ってくれます。
CopilotはGPT-4と各アプリを繋ぐ「Microsoft Graph」により構成され、Microsoft 365の各アプリに対し、言葉による作業指示を出せる点が大きな特徴です。このCopilotの登場によって、オフィス業務の生産性が飛躍的に向上することが期待されています。
なお価格やリリースの日程は、執筆時点(3月末)にはまだ公表されていません。
【参考】:Microsoft 365 Copilot を発表 – 仕事の副操縦士 - News Center Japan
GPT-4を便利に活用しましょう
ここまで、OpenAIのGPT-4とは何か、特徴やGPT-4ができること、利用方法などについて解説しました。GPT-4はGPT-3の進化系ですが、まだ問題点は残されています。学習済みデータが2021年9月までしかないこと、回答が必ずしも正確ではないことなどが課題です。
しかし、実際にGPT-4を使ってみると、その便利さが実感できるとともに、様々な使い方ができることに気付きます。GPT-4はまだ発展途上にあり、さらにバージョンアップを果たしていくことでしょう。ぜひ実際に自分で使ってみて、有効な使い方について考えてみてください。
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