Chromebookでプログラミング
Chromebookは手軽に利用できるPCとして、特に教育用途での利用が拡大しています。ICT学習では、PCの操作方法を学ぶ機会が増えており、授業の補助教材の電子化や学習成果の共有などに利用できます。
さらに、プログラミング環境としても格安に導入できるため、利用が進んでいます。以降では、Chromebookを使ったプログラミングのメリットを紹介していきます。
プログラミングによる論理的思考力の向上
文部省の掲げるGIGAスクール構想では、児童や生徒1人に1台のコンピュータと高速ネットワークが割り当てられICT教育に用いられます。Windows・iPad、そしてChrome OSが選定されています。2020年、小学生からのプログラミング教育が必修化され、続いて中学・高校も必修化されています。
【参考】:文部科学省 GIGAスクール構想の実現について 【参考】:文部科学省 教育の情報化の推進
ICT教育ではプログラミング学習を通じて、論理的思考能力の向上が可能です。Chromebookは学習環境を格安に整備することができるため、各自治体での採用が進んでいます。
プログラミングによるソフトウェア開発の実践
趣味やビジネス用途に開発をする際にも、Chromebookが利用できます。一般的にはWindows・Linux・macOSを開発環境に用いますが、Chrome OSではGoogle Chromeが搭載されているので、テキストエディタを用いてHTMLやCSSのプログラミングが可能です。
Chromebookでは、Linuxサブシステムを用いたLinux開発環境で、Linuxのツールを使用することもできます。学生自身が学習用に用意したChromebookを利用して、より複雑・大規模なソフトウェア開発を試してみるケースも増えています。
Chromebookを使ったプログラミングの始め方
ChromebookはGoogle Chromeをユーザインターフェースに採用しており、セットアップ完了後ウェブブラウザやウェブアプリケーションがすぐに利用できます。プログラミングを行う上では、テキストエディタを使用することでスクリプト言語の作成ができます。
さらにLinuxサブシステムを用いたLinux開発環境として、Linuxの豊富なツール類を利用することができます。
Google Chromeを利用したおすすめのプログラミング
Chrome OSでは、Google Chromeが標準ユーザインターフェースですので、ウェブプログラミングがすぐに始められます。HTMLやCSSのコードはテキストエディタで編集でき、高性能なPCでなくても対応できます。
Linuxサブシステムを利用したおすすめのプログラミング
サポートされているChromebookでは、Linux開発環境が利用可能です。詳細設定からLinux開発環境をオンにすることで、Debianが利用できます。Linuxでは、Pythonの他、Java・Ruby・PHP・C言語など主要なプログラミング言語の開発が可能です。
Linux開発環境をセットアップすることでDebianがインストールされ、Pythonが利用できます。
この時点では、パッケージ管理システムはインストールされていないので、pip3など関係するモジュールを別途インストールする必要がありますが、必要なツールやソフトウェアは、Debianに“sudo apt install”で追加していくことができます。
【参考】:Chromebook で Linux をセットアップする
どちらかというと不向きなプログラミング領域
Linuxでは、ハードウェアアクセラレーションがサポートされていません。ゲームプログラミングは高度なゲームライブラリや高速なゲームエンジンが必要となり、Chromebookではスペック的な利用条件を満たしにくいです。
代表的なゲームエンジンである、Unreal EngineやUnityを利用する際には、Linux・Windows・macOSのデスクトップ環境などを利用するのが良いでしょう。
【参考】:Unreal Engine ダウンロード方法 【参考】:DOWNLOAD UNITY
Chrome拡張機能で利用するおすすめテキストエディタ
開発には、テキストエディタが必要です。ここでは、Chrome拡張機能で利用できるテキストエディタ2種類を紹介します。
・Text Textは、Google Chromeの設定の拡張機能から利用可能になります。HTMLやCSSの構文に対応しますので、簡単に作業を行う際におすすめです。 【参考】:chrome ウェブストア Text
・Web Maker Web Makerはオフラインでも利用でき、HTML・CSS・JavaScriptに対応します。プログラムコードの処理結果がマルチペイン表示できますので、作業効率が高いのが特徴です。 【参考】:chrome ウェブストア Web Maker
Linuxサブシステムで利用するおすすめテキストエディタ
以下の2種類は、Linuxサブシステムで利用できます。
・Atom AtomはGitHubが開発したテキストエディタで、多様なプログラミング言語に対応します。 【参考】:ATOM
・Visual Studio Code Visual Studio Codeはマイクロソフト社のテキストエディタで、マルチプラットフォームで利用されています。 【参考】:Visual Studio Code
さらに開発効率を高めるためには統合開発環境(IDE)があると便利です。PythonであればIDLEが利用できます。汎用利用であれば必要に応じてNetBeansやEclipsなどを準備しておきます。
【参考】:Python IDLE 【参考】:ECLIPSE IDE 【参考】:Apache NetBeans
Chromebookにおけるおすすめの構成
Chromebookは、以下のラップトップ・コンバーチブル・タブレットのモデルがあります。用途に合わせて選択します。
【参考】:Chromebook laptop 【参考】:Chromebook convertible 【参考】:Chromebook tablet
テキストエディタだけで作成可能なスクリプト言語は、低価格機種でも編集することができます。ただし、Linux開発環境を使用したプログラミングでは、比較的CPUとメモリを利用しますので低価格機種よりは中上位レベルの機種から選択するのが無難です。
CPUは、Intel Core i3以上をおすすめします。メモリはできれば8GBあると良いでしょう。ストレージ容量は動作上の影響がありませんので、空き容量を想定して64GBまたは128GBを選択します。スクリーンサイズは13~14インチクラスで十分です。
Chrome OSのLinux開発環境
2018年にリリースされたChrome OS 69以降は、Linux仮想環境であるLinuxサブシステムが搭載されています。Linux Terminalやコマンドをインストールし実行することができます。テキストエディタで簡単なプログラミング作法をマスターしたら、Linuxを利用することで本格的な開発環境として利用することができます。
Linuxのサポート機種
Linuxをサポートしている機種は、以下のサイトに一覧で掲載されています。事前に機種選定の参考にするのが良いでしょう。さらに詳細な情報も掲載されていますので、より高度に利用することもできます。
【参考】:Chrome OS Systems Supporting Linux (Beta) 【参考】:ChromiumOS Docs 【参考】:Running Custom Containers Under ChromeOS
Linuxのセットアップ
Linuxはデフォルトでオフになっていますが、対応機種では設定変更で使用することができます。設定変更の方法は、Chromebookの右下の時刻を選択し、「詳細設定」「デベロッパー」を表示します。その「Linux 開発環境」の右横の「オンにする」をクリックします。
これにより「Linux 開発環境をセットアップする」というダイアログが表示され、「次へ」「インストール」と進みます。
【参考】:Chromebook で Linux をセットアップする
インストールされたLinuxアプリのターミナル ウィンドウからは、Debian 10(Buster)のコマンドを実行したり、APTパッケージ管理システムを使用したりすることで、環境のセットアップやLinux用ツール・統合開発環境(IDE)のインストールが可能です。
Chromebookでプログラミング入門!
Chromebookは、Google Chromeをユーザインターフェースに採用しているためにウェブの表示用と思われがちですが、現在ではAndroidアプリやLinuxアプリに対応しており、利用用途が拡大しています。格安・簡単にLinux PCとしても利用できるので、開発環境として利用するのもおすすめの用途です。
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから