リモートワークが辛い?
政府提唱のテレワークは、クラウド環境の進展、企業側ニーズの高まりなどもあり、リモートワークとして広く定着してきました。東京都を対象とした総務省のリモートワーク実施状況調査「情報通信白書(令和3年)」※によると、大企業のテレワーク実施率は70%前後に達しています。
業種別ではリモートワーク実施率は「情報通信業」が最も高く、エンジニアの多くがリモートワークをされていることが伺えます。ITエンジニアの就業環境ではクラウド化、リモート化が進んでおり、リモートワークを推進する土台が整っていたこともリモートワーク実施率の高い要因です。
しかし、ここにきて、リモートワークが精神的に辛いと、メンタルの不調を訴えるエンジニアの悲痛な叫びがSNS上などでも散見されるようになっています。
この記事では、特にリモートワークが適している職業とみられているエンジニアが、リモートワークで何を辛いと感じ、どのようなストレスを抱えているのか、その原因と解消法は何か、について探っていきます。この記事が、リモートワークが辛いと悩むエンジニアの皆さんの一助になれば幸いです。
【参考】:※テレワークの実施状況|令和3年情報通信白書|総務省
【参考】:※リモートワークに最適な職種7選と求められるスキル|マイナビAGENT
そもそもリモートワークとは?
「リモートワーク」は日本では「テレワーク」とほぼ同義で使われていますが、「リモートワーク」はオフィス以外の離れた場所からチームで仕事を行うという意味合いが強い言葉です。
そのため共同作業に強いクラウド利用を前提したビデオ会議ツールやチャットツール、社内SNSツールなどを活用する点が特徴です。「リモートワーク」が急速に普及した背景にはIT技術の進展があります。
当記事では主に「リモートワーク」と表記しますが、公式文書や参考記事の関係から「テレワーク」や「在宅勤務」を使うことがありますので、あらかじめご了承ください。
「リモートワークが辛い」人の実態
リモートワークはIT技術の進展、働き改革、さらには新型感染症流行などの理由から、政府や大企業主導で一気に広まりました。
「通勤ストレスから解放される」「自由な働き方ができる」といったメリットがあり、「ずっと在宅勤務がいい」というリモートワーク歓迎の声もありましたが、リモートワーク定着の裏では、「リモートワークがつらい」というネガティブな声が少なくありません。
リモートワークは本来メリットが多い働き方のはずですが、活用方法を誤ると、弊害を招き、「辛い」働き方になりかねません。リモートワークが辛いという声を探り、リモートワークがどのような弊害を生んでいのか、その実態を見てみましょう。
リモートワークによる新たなストレス
リモートワークが広がり始めた頃は、「通勤ストレスから解放される」、「自分のペースで仕事ができる」といった好意的な声がよく聞かれましたが、その広がりとは裏腹にストレスを感じる人が少なからずいました。
マイナビニュース※の記事によると、リモートワークでは約6割の人が実施前には感じなかったストレスを実感し、その内7割近くの人がいまだストレスから解消されていないという実態が明らかになりました。
【参考】:テレワークでストレス感じる人は6割、解消のカギは雑談|マイナビニュース
リモートワークのストレスは家族にも
SNSを見ると、リモートワークのストレスが家族にも及んでいることがよく分かります。「一日中、夫や子供の世話に掛かり切りでストレス限界」「夫とリモートワークのせいで、ママ友とも会う機会が減り、悩みを聞いてもらうこともできない」といった書き込みを目にします。
リモートワークのストレスは本人ばかりか、家族にまで及んでいるようです。
特に一人暮らしにはつらいリモートワーク
IT系企業では、入社と同時にフルリモート勤務となった新卒の方が少なからずいます。入社後のオリエンテーションもオンラインで行われ、上司や同僚との対面でのコミュニケーションが皆無のため、ストレスを感じる声があります。
特に「一人暮らしの方」にとっては、リモートワークによる不安やストレスがあるといった声も見受けられます。一人暮らしでのリモートワークは、家族とのコミュニケーションやフォローがない分、余計に孤独感を感じ、メンタル不調を招いているようです。
【参考】:テレワークでストレスを感じる同僚・上司の振る舞い、第1位は?|マイナビニュース
ハイブリッド勤務による新たな弊害
フルリモートでの働き方にストレスを感じる人が多い中、出社とリモートワークを交互に行う「ハイブリッド勤務」が注目されていますが、意外にも「ハイブリッド勤務」にもストレスや疲労蓄積の弊害があるというニュース※があります。
「ハイブリッド勤務」生活リズムが狂い、睡眠障害を招くリスクが指摘されています。
【参考】:ハイブリッド勤務者、ストレス・疲労が蓄積 - 週3日勤務者が最も睡眠に課題|マイナビニュース
快適なはずのリモートワークが疲労の原因?
リモートワークは上司や同僚とのコミュニケーション不足を招き、精神的なストレスの増加に繋がっていますが、他にも身体的な不調の増加要因になっています。
それらは「リモート疲れ」と呼ばれており、リモートワークでは肩こりや腰痛、目の疲れ以外に倦怠感、疲労感を訴える人も少なくありません。通勤ストレスから解放され、本来快適なはずのリモートワークで疲れる理由や原因はどこにあるのでしょうか?
仕事のオン・オフが無くなり長時間労働に
出社勤務では、ランチタイムや休憩時間がはっきりしており、また働き方改革によって、定時退社が当たり前になってきました。
一方、リモートワークでは、すべてが自己管理となり、休憩時間や夜間に仕事を行う人が増え、結果的に勤務時間が増加したという話も聞こえてきます。こうしたメリハリのない、だらだらとした長時間勤務が体調不良の要因になっていると考えられます。
燃え尽き症候群の増加
リモートワークでは人によっては「頑張り過ぎる」傾向があり、自分で仕事にブレーキを掛けられずに過労につながっているケースがあります。
まさに燃え尽き症候群と同じようなことが起きているようです。上司や同僚からの評価が見えず、少しでも多くの仕事をこなそうとして長時間勤務となり、自らの心身を酷使してしまうのです。
リモートワークでのストレスの解消法
リモートワークはうまく利用すれば、メリットの多い働き方ですが、うまく利用できないことがストレスの原因となっています。そこで、リモートワークに合った働き方、環境構築、生活面の工夫など、有効な解消法をご紹介します。
仕事にリズムをつける
リモートワークではオン・オフをはっきりさせ、規則正しい仕事のリズムをつけることが求められます。自分にあったリモートワークのルーティンを決めて、まずは仕事のリズムを作りましょう。以下に例を挙げますので試してみてください。
・日々の勤務スケジュールを立て、開始と終了時間を決めておく。
・仕事の開始時にはコーヒーやお茶を飲む。
・ランチや休憩タイムは離席し、別の場所で休む。
・座りっぱなしを避け、定期的に席を立つようにする。
他に「ToDo」リストの活用、毎朝の散歩など、皆さんのライフスタイルに合わせてルーティンを決めると良いでしょう。仕事のリズムが整えば、生活リズムも整い、ストレスや不調は次第に軽減していくのではないでしょうか。
リモートワーク環境を整える
1.コワーキングスペースの活用
リモートワークは必ずしも在宅で行う必要はありません。リモートワークの広がりに合わせ、全国的にコワーキングスペースが次々とオープンしています。コワーキングスペースはリモートワーカーやノマドワーカーを対象にした共有型レンタルオフィスです。
自宅のリモートワーク環境が悪く、それがストレスの原因になっている方にはコワーキングスペースの利用をおすすめします。地域によっては、1日数百円程度から利用できるコワーキングスペースがあります。
仕事とプライベートのメリハリを付けられ、仕事のリズムを作りやすいコワーキングスペースの利用を検討してみてはいかがでしょうか?
2.自宅環境の改善
自宅でリモートワークを行っている人の中には、「自分の仕事場がない」「日常生活と仕事との区切りをつけるのが難しい」といった悩みを抱えている人がいます。かといって、地域に気軽に利用できるようなコワーキングスペースがないという方もいるでしょう。
そんな方には、自分専用のミニ書斎を作る方法をおすすめします。自宅内に半畳ほどのスペースを確保し、小さな机と椅子を設置してパーテーションで仕切り、ミニ書斎として利用します。ネットではミニ書斎のキットなども販売されていますので、手間をかけたくない方はキット購入がおすすめです。
【参考】:【コワーキングスペースとは】利用方法や個性的な施設をご紹介|CANVAS
コミュニケーションを心掛ける
コミュニケーションの円滑化は、リモートワークを成功させる大きなキーワードです。コミュニケーションスキルを高めることで、エンジニアとしてのスキルアップに繋がります。
会社では、ちょっとした雑談が気分転換になり、人と人の距離を縮め、人間関係の円滑化に役立っていました。リモートワークでは雑談が難しいかもしれませんが、たとえばオンラインランチやオンラインティーブレイクなどの時間を設け、コミュニケーション機会を増やすとよいでしょう。
立場上、そうした提案が難しい人がいるかもしれませんが、一度その壁を乗り越えると、気楽に上司や同僚とコミュニケーションを取れるようになりますので、恐れずに意見を言ってみましょう。他、リモートワークで気を付けたいのはテキストによるコミュニケーションです。
普段は優しい人なのに、効率重視でテキストが事務的になる場合があります。ねぎらいや気配りの言葉が消え、冷たい感じのテキストになってしまうことで、時に人の心を傷つけてしまうことがあります。事務的過ぎないか、冷たい感じになっていないか、そんな気配りを忘れないようにしたいものです。
リモートワークのメリット最大化
リモートワークには多くのメリットがあります。リモートワークのデメリットを解消し、メリットの最大化を追求することで、企業と従業員の双方が大きなメリットを得られるはずです。またリモートワークを生かした働き方としては、フリーランスエンジニアという選択も見えてきます。
当記事では「リモートワークが辛い」というエンジニアの皆さんに、その解消法をお伝えしましたが、ストレスや辛い原因の大半が所属企業にある方の場合は、自己解決が難しいかもしれません。そんな方は、リモートワーク成功企業への転職も、1つの解決策となるでしょう。
またキャリアチェンジを検討されている方も、リモートワーク成功企業を転職先企業候補に加えてみるのが良いかもしれません。
リモートワーク先進企業への転職
リモートワークが辛いというエンジニアの皆さんは、当記事は悩みの解消に役立ったでしょうか?ITエンジニアの働き方としてリモートワークは理にかなっていますので、この機会にリモートワーク成功企業への転職をぜひ検討してみてください。
とはいえ、リモートワークに成功し、かつ自分に合った企業を探すのは簡単なことではありません。転職に対する不安を払拭し、キャリアチェンジを成功させるには、リモートワークに関する豊富な求人情報と業界ノウハウを有するエージェントを活用することです。
そこでぜひご活用いただきたいのがマイナビIT エージェントです。
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