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PMBOKの10の知識エリアと5つのプロセスとは?第7版での変更点も解説
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PMBOKの10の知識エリアと5つのプロセスとは?第7版での変更点も解説

アンドエンジニア編集部
2024.11.19
この記事でわかること
プロジェクトマネジメントを実施する際に求められる知識を、10に分割して定義したのが「10の知識エリア」
PMBOKでは、プロジェクトの開始から終了までの流れを「立ち上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」の5つのプロセスに分類
プロジェクトマネージャーの根幹としてPMBOKの深い理解があり、経験に応じて臨機応変な対応スキルを磨いていくことが大切

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PMBOK「知識エリア」は第6版のもの

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PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は1996年の初版から始まり、現在は2021年10月に発行された第7版まで改訂されているプロジェクトマネジメントにおけるベストプラクティスやフレームワークについてまとめたガイドブックです。

このPMBOKにおける「知識エリア」とは、第6版にあったマネジメントにおける種類のことであり、10種類に分けてそれぞれに必要な知識についてまとめられています。

【参考】:PMBOK ®ガイド 第7版の紹介

PMBOKに書かれている内容とは?実際に役に立つのはどんな点なのか

第7版では「知識エリア」は廃止になった

PMBOKの最新版は第7版であり、第6版との大きな違いは、それまで主流だったウォーターフォール型の手法から、アジャイル型の手法に構成されていることです。そのため、第6版にあった「知識エリア」は第7版ではなくなり、「8つのパフォーマンス・ドメイン(行動領域)」へ変わりました。

全体的な内容もコンパクトになり、第6版では日本語版で約780ページあったものが、第7版では約370ページに減少しています。プロジェクトマネジメントの手順をまとめたものから、プロジェクトの方針や考え方といった原理・原則をメインにした構成になっています。

第7版の「8つのパフォーマンス・ドメイン(行動領域)」は以下の通りです。

・ステークホルダー ・チーム ・開発アプローチとライフサイクル ・計画 ・プロジェクト作業 ・デリバリー ・不確かさ ・測定

PMBOKとは?第7版でPMBOKの内容が劇的に変更された理由

プロジェクトによっては第6版が参照されている

PMBOK第7版は2021年に変更されたとは言え、プロジェクトによっては第6版を参照しているケースも見られます。

第6版の手法を採用しているプロジェクトにおいては、第7版へ移行することで手間やコストがかかってしまうケースも考えられるため、第6版の「10の知識エリア」と「5つのプロセス」は一定数の需要があると言えます。

この記事では、第6版の「10の知識エリア」と「5つのプロセス」について詳しく解説します。

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PMBOKの知識エリア

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前述の通りPMBOK第6版では、プロジェクトマネジメントを実施する際に求められる知識を、10に分割して「10の知識エリア」として定義しています。ここでは、PMBOK第6版の10の知識エリアについて詳しく解説します。

統合マネジメント

統合マネジメントは、プロジェクト全体の方針を決めて、目標やプロセスを調整したり管理したりする分野です。他の9つの知識エリアをその名の通り統合して、全体をマネジメントする位置づけとされています。

スコープマネジメント

スコープマネジメントは、プロジェクトを実施する範囲を定め、プロジェクトを成功させるために必要な作成物とタスクを定義して、目標の達成する確率を高めるために行う分野です。プロジェクトの成否に大きな影響を与える項目でもあり、10の知識エリアの中でも最重要項目ともいわれます。

スケジュールマネジメント

スケジュールマネジメントは、プロジェクト成功させるためのスケジュール管理や生産性を向上させるために時間の使い方を管理する分野です。スケジュール管理を行うだけではなく、時間あたりの成果を高めるためのマネジメントでもあるのがポイントです。

なお、2017年にPMBOK第6版のリリースに伴い、「タイムマネジメント」から「スケジュールマネジメント」に名称が変わりました。

コストマネジメント

コストマネジメントは、プロジェクトにかかる費用を適切に見積り・予算を設定して管理する分野です。現実的な予算を設定することが重要であり、予算を超えないようにマネジメントを実施します。

品質マネジメント

品質マネジメントは、プロジェクトのプロセスやプロジェクトの作成物における品質の管理を実施する分野です。プロジェクトにおける品質とは、作成物がクライアントが求めているものと合致しており、使用するのに適していることを指します。

資源マネジメント

資源マネジメントは、プロジェクトを成功させるために人材や物的資源の調達および管理を実施して、プロジェクトを遂行できるチーム編成を行う分野です。2017年のPMBOK第6版のリリースに伴い、「人的資源マネジメント」から「資源マネジメント」に名称と内容が変わりました。

コミュニケーションマネジメント

コミュニケーションマネジメントは、ステークホルダーとのスムーズなコミュニケーションを行うために管理する分野です。ステークホルダーとは利害関係者のことを指します。

例えば、プロジェクトに関する情報の生成・収集・配布・保管・検索・廃棄などを実施します。単に伝達を行うだけではなく、関係者の理解を得ることが重要な点です。

リスクマネジメント

リスクマネジメントは、プロジェクトを進めていく中で発生する可能性があるリスクを管理する分野です。しかし、リスクを回避することが多いと機会損失を起こすことも多いため、リスクはマイナスなものと決めつけてはいけません。プロジェクトに対して適切にリスクを管理して調整することが大切です。

調達マネジメント

調達マネジメントは、プロジェクトの業務を進めていく中で必要なサービスやプロダクトの調達を管理する分野です。調達の多くは契約が必要ですが、契約のみが目的ではありません。調達先の選定から、納品の進捗管理・検収まで調達に関する全ての管理を行います。

ステークホルダーマネジメント

ステークホルダーマネジメントは、利害関係者にとって必要な情報を収集して、保管・伝達を管理する分野です。プロジェクトでは、社内・社外問わずさまざまなステークホルダーが存在します。

2012年に公表されたPMBOKガイド第5版により、「ステークホルダーマネジメント」は「コミュニケージョンマネジメント」から独立して設定された知識エリアです。

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QCD管理を成功させるための5つのプロセス

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PMBOK第6版では、プロジェクトの開始から終了までの流れを「立ち上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」という5つのプロセスに分類して定義しています。ここでは、それぞれのプロセスについて詳しく紹介します。

立ち上げプロセス

立ち上げプロセスは、プロジェクトを発足する前に許可を得るプロセスのことです。立ち上げプロセスの段階では、プロジェクトを始める際に必要な情報である目的・目標・予算・成果などを定義します。また、プロジェクト憲章の作成やステークホルダーの特定も行います。

計画プロセス

計画プロセスは、プロジェクトを成功させるための作業計画を企画して実際に設計するプロセスです。計画プロセスの中に、20の詳細なプロセスが定義されています。計画プロセスの段階では、目標の定義や、プロジェクトを進める際の一連の行動の流れも規定します。

実行プロセス

実行プロセスは、企画・設計した計画に基づいて人材と資源の調達を行い、プロジェクトを実際に実行するプロセスです。5つのプロセスの中で最もリソースを消費するプロセスであり、進捗状況次第では計画の練り直しや更新を行ってベースラインを再度設定する必要があります。

監視・コントロールプロセス

監視・コントロールプロセスは、プロジェクトを進めていく中の作業で計画との差異が発生していないかについて継続的にチェックを行います。差異が検出された場合は、その改正を実施します。

終結プロセス

終結プロセスは、規定のプロセスがきちんと完了していることを検証して、プロジェクトや工程を正式に完了させるプロセスです。ただプロジェクトや工程を終了させるだけではなく、プロジェクトの中で獲得したノウハウを保管して、次のプロジェクトに役立たせることが大切とされています。

PMBOKを活用できる職種

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プロジェクトを円滑に遂行させるには、期限や予算、人選などの計画を順序よく立てて管理する必要があり、これらの手法や知識をまとめたPMBOKが役立ちます。このPMBOKを活用してプロジェクトを成功させるのが、プロジェクトマネージャーの役割です。

ここでは、そんなプロジェクトマネージャーの仕事内容や年収について紹介します。

PMBOKの資格PMPとは?取得のメリット・試験費用・年収を解説

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーの仕事内容は、クライアントとのコンタクトやスケジュール管理、チームメンバーの編成、トラブル対処など多岐に渡ります。類似職種にプロジェクトリーダーがありますが、基本的な業務内容に大きな差はなく、プロジェクトマネージャーとの兼任や、補佐役として活躍します。

プロジェクトマネージャーに必要なスキルは、基本的なITスキルやマネジメントスキル、ビジネススキル、コミュニケーション能力などです。また、チームメンバーを牽引していくためのリーダーシップも求められます。

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プロジェクトマネージャーの年収

ITエンジニアの中ではキャリアアップ先の役職として位置付けられるプロジェクトマネージャーになることで、どの程度の年収が期待できるのでしょうか。ここでは、いくつかのデータを元に平均年収を算出してみました。

「マイナビエージェント 職種図鑑」でのプロジェクトマネージャーの平均年収は670万円(※2024年9月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のプロジェクトマネージャを参考にすると、平均年収891万円と分かりました。

国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円であり、プロジェクトマネージャーの年収は比較的高めに設定されていることが分かります。

プロジェクトマネージャーになるには特別な資格は必要なく、主に実績やスキルが重要視されますが、プロジェクトマネジメントに関する資格を取得しておくことで、昇格や転職において有利に働きます。

【参考】:マイナビエージェント職種図鑑/プロジェクトマネージャー ※【平均年収 調査対象者】2019年12月~2020年5月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁

PMBOKの注意点

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プロジェクトマネジメントの考え方や手法を標準化したPMBOKは世界中で使われていますが、注意点もあります。ここでは、PMBOK第6版を活用していく上での注意点について詳しく紹介します。

予想外の事態への対応

PMBOK第6版では、プロジェクトを進めていく上でのマネジメントの考え方や手法をマニュアルとして標準化しています。10の知識エリアや5つのプロセスの型にしたがってプロジェクトを管理すれば、一般的にスムーズにプロジェクトを進めていくことが可能です。

しかし、近年では変化や競争が激しいビジネス環境でもあります。これまで通りのマネジメント方法では通用しない事態が生じる可能性もあります。通常とは異なる状況での対処方法については標準化できていないため、PMBOKに対して懸念されていることも多いです。

世界標準であるPMBOKを活用するだけではなく、組織内でも発生したイレギュラーなケースや対処した方法についてナレッジ・ノウハウとして蓄積することが重要です。そうすることで、同様の事態が起きた際にスムーズに対応できるでしょう。

プロジェクトマネージャーの画一化

プロジェクトマネジメントに限りませんが、決まった型やフレームワークがあれば経験が浅い人でも一定の成果を出せるようになります。PMBOKは非常に便利であり、PMBOKに従ってマネジメントを行えば、予想外な事態が起こらない限りはプロジェクトを完遂に導けるでしょう。

しかし、近年ではIT技術が急激に発展しており、PMBOKで定められていない事態が発生することは少なくありません。そういった事態が発生したときには、プロジェクトマネージャーが自分で判断しなければならない状況も多いです。臨機応変な対応力や柔軟な考え方は、経験数が重要となる部分でもあります。

PMBOKのみに依存してしまうと、プロジェクトマネージャーに重要な経験で得られるスキルが身に着きづらくなります。PMBOKのみでプロジェクトマネジメントを行うと、リーダーシップやクリエイティビティーは発揮しづらく、プロジェクトマネージャーのモチベーション低下につながることもあるでしょう。

プロジェクトマネージャーを育成する最初のステップとして、PMBOKの理解・実践を行わせることが重要です。ある程度のレベルに達したら、プロジェクトの状況によってプロジェクトマネージャーの判断スキル・リーダーシップが磨ける環境を用意しましょう。

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PMBOKの注意点に気を付けてプロジェクトを管理しよう

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これまでに、PMBOK第6版と第7版の違い、10の知識エリアやQCD管理を成功させるための5つのプロセス、PMBOKの注意点について詳しく解説しました。

PMBOK第6版では、プロジェクトマネジメントを行う際に求められる知識を「10の知識エリア」と定義し、プロジェクトの開始から終了までの流れを、「立ち上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」の5つのプロセスに分類しています。

近年ではIT技術の急激な発展や激しいビジネス環境の変化により、PMBOKだけでは対処できない課題も増加しています。そのため、PMBOKを基盤として活用しつつ、プロジェクトマネージャーとして柔軟な対応力を養うことが重要です。

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