プロジェクト達成に役立つ世界標準のPMBOKと資格取得について
PMBOK
プロジェクト達成に役立つ世界標準のPMBOKと資格取得について
資格・試験
アンドエンジニア編集部
2021.05.09
この記事でわかること
PMBOKは世界的に権威あるプロジェクトマネジメント手法が体系化されたものである
PMBOK準拠の認定資格PMPの取得メリット、取得方法や費用などを知る
今後も期待が高まるPMPの取得は、活躍の場が広がり収入増が可能になる

プロジェクトマネジメントについて

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネジメントは、期限や予算などの制約がある中、プロジェクトを予定通りに遂行するための計画を立て、管理することを意味します。ビジネスにおいてプロジェクトマネジメントの重要性が年々高まっています。ここではプロジェクトマネジメントに関する知識体系ガイドのPMBOKについて概略を解説し、PMBOKを策定しているPMI本部提供の国際資格PMP資格の取得に関する情報を提供していきます。

PMBOKとは

PMBOKは"Project Management Body of Knowledge"(日本語訳;プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)の略語で、"ピンボック"と称されています。PMBOKにはプロジェクトマネジメント手法や関連知識が体系化され、まとめられています。

プロジェクトマネジメントとは、与えられた予算や人的リソース(資源)、限られた時間の中でプロジェクトを効率的に遂行するためのプランを立て、実行・管理することを意味します。実際にこれらを担うのはプロジェクトマネージャーです。これまでのプロジェクトマネージャーには、体得した多くの知識や十分な経験が求められましたが、PMBOKを活用することで、経験や知識が浅い人でもプロジェクトマネージャーとして成果を挙げられるのです。

最新のPMBOKは2017年発行の第6版ですが、PMBOKの内容は約4年に1回程度の頻度で改訂されています。

PMBOKの特徴

PMBOKの最大の特徴は、世界で初めてプロジェクトマネジメントについて体系化している点です。従来のプロジェクトマネジメントは、マネージャーごとにやり方、考え方が異なり、非常に属人的でした。そのため、プロジェクトマネドメントのナレッジが集積されにくいという側面もありました。

PMBOKでは「プロジェクトマネジメント」を共通化し、グローバルなプロジェクトの進行に有効です。

また、従来型のプロジェクトマネジメントにおいては「QCD」(品質・コスト・納期)を重視、プロジェクトの遂行管理が中心でしたが、PMBOKでは目標達成の過程である「立ち上げ」、「計画」、「実行」、「監視および管理」、「終結」の5つのプロセスを重視しています。

PMBOKが目指すQCDの管理

PMBOKの目標は、「QCD(品質、費用、納期)」の管理です。 QCDの管理は「高品質、低コストで、納期を早く」という目標を掲げて、その実現のための計画を立てて実行することです。

PMBOKは、この「QCDの管理」を達成するためには2つ重要な要素があるとしています。 1つ目の要素は、「5つのプロセス」を確実に実行することです。 2つ目は、「10個の知識エリア」と称される知識について理解することです。 

QCDの管理における5つのプロセス

PMBOKでは、プロジェクトのスタートから終結までのプロセスを「1.立ち上げ」→「2.計画」→「3.実行」→「4.監視・コントロール」→「5.終結」の5つのプロセスに分割して定義しています。それぞれのプロセスの概要は次の通りです。 

1.立上げプロセス プロジェクト開始の前に、プロジェクトの認可を受けるためのプロセスが「立上げプロセス」です。 プロジェクトの目的や目標、予算や成果を定め、プロジェクト憲章を作成し、ステークホルダー(利害関係者)の特定化を行います。

2.計画プロセス 計画プロセスは、プロジェクトの目的、目標達成に必要な計画立案、作成のプロセスで、計画プロセスの中にはさらに20の詳細プロセスが定義されています。ここではプロジェクト実行における一連の行動の流れについて定義します。

3.実行プロセス 実行プロセスでは、立案した計画に従って必要な人員・資源について調整し、プロジェクトを進行させるプロセスです。実行プロセスは資源を最も多く消費するプロセスのため、実行結果次第では計画を見直し必要か出てくることもあります。

4.監視・コントロールプロセス 管理・監視プロセスは、実行中のプロジェクトが計画と差異が生じていないかを継続的にチェックし、差異があれば是正します。

5.終結プロセス 終結プロセスとはプロジェクトやフェーズで獲得した情報、経験を体系化して次のプロジェクトに役立てることが求められるプロセスです。

PMBOKの10の知識エリア

知識

PMBOKの知識管理体系には、「10の知識エリア」と称されるプロジェクトマネジメントに関する「知識エリア」があります。これらはゴールを構成するQCDの3要素「Q(品質管理)、C(原価管理)、D(スケジュール管理)」と、そこに至るまでのプロセスとして7つの要素「(スコープ管理)、(要員管理)、(コミュニケーション管理)、(リスク管理)、(調達管理)、(ステークホルダー管理)に全体をトータルに管理する(統合管理)」から構成されています。

統合管理

プロジェクト全体方針を定めて、目標やプロセスを調整し管理します。「統合管理」以外の9つの知識エリアを「統合」して、マネジメントを行う位置づけにあります。

スコープ管理

プロジェクトの「範囲」を明確にした上で、プロジェクト目標達成に必要な成果物やタスクを定義します。目標の達成を確実にするためのマネジメントと捉えることができます。「10の知識エリア」のなかでも最重要な要素です。

スケジュール管理

プロジェクト遂行のためのスケジュールマネジメントで、より時間当たり生産性を上げることを目指す分野です。2017年のPMBOK第6版のリリースによって、名称が「タイムマネジメント」から「スケジュールマネジメント」に変更されています。

コスト管理

プロジェクトにかかる費用を予算内にコントロールする分野です。全体予算の設定や必要なコスト見積もりなどで、予算超過をしないようマネジメントを行います。

品質管理

プロジェクトの成果物の品質をマネジメントする分野です。「品質」とはクライアントの要求に合致し、仕様に適することを指します。

資源管理

ロジェクト目的の達成のために、人材資源に加えて物的資源の調達と管理を通じて、プロジェクト遂行のためのチームを組織化する分野で、2017年のPMBOK第6版のリリースによって、名称が「人的資源マネジメント」から「資源マネジメント」に変更されています。

コミュニケーション管理

プロジェクトの遂行で、ステークホルダー(利害関係者)との適切かつ円滑なコミュニケーションを行うためのマネジメントの分野です。具体的には情報の生成から廃棄までの一連の管理までを含めた分野で、単なる伝達のみならず関係者の理解を得ることまでをコミュニケーションとして管理します。

リスク管理

プロジェクト遂行の中で発生するリスクのマネジメントに関する分野です。単なるリスク回避だけではなく、リスクを正しく把握し、そのリスクを最小化するための対を講じるなど、予防やコントロール的な意味合いがあります。

調達管理

プロジェクトの遂行に必要なプロダクトやサービスの調達を管理します。チームや組織の外部から調達する際に、調達先の選定から契約、納品までの進捗管理など、調達に必要なすべての管理が含まれます。

ステークホルダー管理

プロジェクトでは社内外を問わずさまざまステークホルダーがおり、各ステークホルダーに必要な情報を収集し、共有することでステークホルダーを管理します。

PMPの基本

PMP

ここからはPMBOKに準拠した資格試験であるPMPについて解説します。

PMPは"Project Management Professional"の略称で、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルであることを認定する資格です。米国プロジェクトマネジメント協会のPMIが、PMBOKガイドに基づき認定する国際資格です。プロジェクトマネジメントの経験・知識のみならず、マネジメント全般についての実務的な内容も問われます。

ちなみにPMP資格試験は日本語の選択が可能ですが、PMIのサイトは英語であり、申請ややり取りも英語が中心となるため、ある程度の英語スキルが求められる点は覚悟しておきましょう。

またPMPは3年ごとに更新が必要であり、永久にその効力が続く資格ではありません。認定取得後も自己研鑽が求められます。

PMP取得のメリット

PMP取得のメリットをまとめると、以下の通りです。

1:自身のスキルアップになる

2:自身のキャリアアップにつながる

3:業種を超えて活躍の機会や活躍の場が広がる

4:3年ごとの更新があるため、継続的なスキルアップを図れる

また、PMPは国際的な評価の高い認定資格であるため、自身のステータスアップに威力を発揮してくれるでしょう。

PMP受験資格は?

PMPは、多くの実務経験が求められる点が他の資格試験との大きな違いです。

実務経験としてはプロジェクトリーダー経験が必要です。4年制大学卒以上で、3年(36カ月)のプロジェクトマネジメント経験、4,500時間以上のプロジェクト指揮の立場での経験が求められます。

また、高校卒業程度の場合はさらに経験時間が必要となり、5年(60カ月)のプロジェクトマネジメント経験、7,500時間以上のプロジェクト指揮・監督実務経験が求められます。

なお、プロジェクト実務経験は、試験申込みから遡って8年以内です。

PMPの難易度や取得に要する費用

費用

続いてPMPの難易度や資格取得に関わる費用などについて解説します。

PMPの難易度

PMPの合格率などは未公表ですが、難易度は高いです。受験資格の基準が厳しく、実務経験がないと受験できないこと、受験関連費用が高いことから、難易度が上がるといえます。PMP試験では4択の問題が200問出題され、そのうちの25問は統計データ取得のためのダミー問題で、この25問は合否とは関係がありません。合格するには残る175問の内、108問(61.0%)以上の正解が必要です。

PMPを取得するための費用

受験料は通常555$(日本円で6万円前後)ですが、PMI会員は405$(日本円で4万5千円前後)です。

公式参考書の価格については、一般12,000円のところPMI(日本支部)会員は8,000円と4,000円も安く設定されています。ちなみにPMIの会費は▪初年度年会費:139 $(入会費10$+年会費129$) です。

※日本支部の会員になるとさらに年会費が5,000円程必要です。

また、それ以外には研修費用が別途必要です。受講方法によって料金は異なりますが、おおよそ20,000円から50,000円程度必要です。

詳細は以下を参照してください。

PMPハンドブック

PMPの将来性

将来性

国際的にも権威があり、取得メリットの多いPMPですが、その将来性はあるのでしょうか?また高額の取得費用が必要なPMPですが、それに見合う収入アップは期待できるのでしょうか?

プロジェクトマネージャーの需要

DXブームやAI化へのニーズが高まる中、IT関係を中心にプロジェクトマネージャーに対する需要は伸びています。一部にはAI化の進展で、IT関連エンジニアの仕事がAIに置き換わるといった予測もありますが、IT職種の中でもマネジメント分野という、AIには最も苦手な分野であるプロジェクトマネージャーがAIに置き換わる可能性は極めて低いと言えます。従って、プロジェクトマネージャーは今後も安定した需要があると考えてよいでしょう。

PMP取得による年収への影響

PMIはPMI資格取得者に関する給与調査を実施しています。PMIの『Earning Power Project Management Salary Survey Eleventh Edition(2020年1月)』によると、PMP資格認定ホルダーは、PMP認定のノンホルダーと比べ、給与が平均22%高いという結果が出ています。(調査対象42か国)

日本はまだデータが少ないため、顕著な差は出ていないようですが、今後PMPの認知度が上がると差が開いていく可能性が高いです。

Earning Power Project Management Salary Survey Eleventh Edition(2020年1月)

PMP取得による活躍分野

前述のPMP給与レポートによると、PMP資格認定者の活躍分野は建設、コンサルティング、技術系、金融サービス、政府、IT、保険、製造業、通信・・と多業種に渡っています。このようにあらゆる分野で活躍ができるプロジェクトエンジニアの将来性は非常に高いと考えられます。ITエンジニアの皆さんにとっては、PMP資格の取得によって活躍の場が一気に広がることは大きなメリットになるはずです。

受験費用が高かったり、3年ごとの更新があったりするなどの悩ましい要素はありますが、自己を高め、自らの可能性を高めるためにもぜひ挑戦することをおすすめします。

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