テストエンジニアとは?テスターとの違い・向いている人・将来性を解説
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テストエンジニアとは?テスターとの違い・向いている人・将来性を解説
アンドエンジニア編集部
2023.02.07
この記事でわかること
テストエンジニアは社会的にも大きな意義があり、やりがいのあるITエンジニア職種
テストエンジニアはテスターとは異なり、ソフトウェア開発に関する広範な知識や経験が必要
テストエンジニアはAIにとって代わられることはなく、将来も有望な職種

テストエンジニアとは?

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近年システム障害によって、証券取引所の閉鎖・銀行ATMの一斉停止・決済システム障害といった社会的影響が大きいトラブルのニュースを度々目にします。システムにトラブルは付きものだとの声もありますが、社会のITへの依存度が高まるにつれ、システム品質への要求レベルも高まっています。

この要求に応えるのがテストエンジニアの使命でもあるのです。ここでは、テストエンジニアの仕事内容やテスターとの違い、年収について紹介します。

テストエンジニアの役割

テストエンジニアは主にIT製品やソフトウェアなどに欠陥や問題がないかをテストし、さらに評価・改善を行うITエンジニアです。あらゆる角度からテストを行い、プログラムバグや設計のミスなどの欠陥を発見し、製品の品質を向上させる仕事です。

地味な仕事と思われがちですが、IT製品やソフトウェアに対する品質要求が高まっている中、その重要性が再認識されており、やりがいのある職種です。

テスターとの違い

テスターと呼ばれる職種があり、テストエンジニアと混同されることがありますが、テスターは既に作成されたテスト仕様やテストケースに従ってテストを実行します。

一方、テストエンジニアはテストも行いますが、テストの設計・管理・テストの実施・評価・改善(提案)まで行い、担当範囲が広い点が大きく異なります。

テストエンジニアはきつくてつまらない仕事?

ITエンジニアの間では、「テストエンジニアは仕事がきつい」「仕事が単調でつまらない」といった声をよく聞きます。それは、他の人が作成したソフトウェアやIT製品のテストという、あまりクリエイティブなイメージがない仕事がメインだからかもしれません。

確かに「縁の下の力持ち」のような要素はありますが、実際には「やりがいがある」「楽しい」といった声も多く、テストエンジニアが非常に重要な職種だということがわかります。仮にテストエンジニアがいなければ、バグや欠陥のあるIT製品やソフトウェアが世の中に出回ってしまう可能性が高まります。

それが原因で大規模障害を招き、企業の社会的信用失墜・損害賠償・営業停止といったリスクやペナルティを課されることもあり得るでしょう。自らの力でこうしたリスクを回避できるため、大変やりがいのある仕事であると言えます。

テストエンジニアはきつい?3つの理由と向いている人や年収を解説

テストエンジニアに向いている人

ITエンジニアには、職種ごとに向いている・向いていないが分かれている場合があります。ここでは、テストエンジニアに向いている人の特徴を4つピックアップしました。

・単調な作業でも飽きない   テストエンジニアの仕事は、性質上単調に感じてしまう部分が多いですが、そういった業務でも飽きずに続けることができる人は向いているでしょう。

・要領が良い   常に効率的な仕事が求められる仕事なので、要領の良さはテストエンジニアにとって欠かせない特徴です。

・計画性がある   テストはテスト計画を立てて行うため、計画性があり、きちんとしたスケジュールを組める能力が求められます。

・臨機応変に対応できる   テストエンジニアは、テストで判明したバグや改善箇所によって急なシステム変更を余儀なくされることもあるため、臨機応変に対応できる人が求められます。

テストエンジニアの年収

テストエンジニアを目指す方にとって気になるのが年収についてですが、ここではテストエンジニアと業務内容が似通っている部分がある品質管理/QA/QCの年収を参考に算出します。

「マイナビエージェント 職種図鑑」での品質管理/QA/QCの平均年収は526万円(※2023年2月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のSE・プログラマ(ソフトウェア製品の開発・実装)を参考にすると、平均年収568万円と分かりました。

国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、品質管理/QA/QCは一般平均年収と比較して、やや高めであることが分かります。

品質管理/QA/QCもテストエンジニアも、年齢・実績・資格の保有によって年収アップに繋げることができる職種です。またテストエンジニアに関しては、キャリアパスとしてテストマネージャーやプロジェクトマネージャー、品質コンサルタントなど、特性を活かしたキャリアチェンジが可能です。

【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 

【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁

テストエンジニアの主な仕事

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ここでは、テストエンジニアの役割や仕事の内容について解説します。テストエンジニアの仕事の中から、主な仕事を5つに絞りました。

運用テストってどんなテスト?目的や内容、注意すべきポイントとは?

テスト計画

実際のテストに先立ち、テスト計画を作成します。製品やソフトウェアの仕様を調べ、テストの観点を抽出し、製品やソフトウェアに関する情報を開発者から収集します。

こうしてテスト対象を決定し、テスト計画書を作成します。テスト計画書にはテストの目的、テスト方針やテストの際の留意点、テストスケジュールなどを記述します。

テスト設計

テスト設計では、主に「テスト設計仕様書」を作成します。テストエンジニアは、テスト計画書に基づいて、テスト観点・テスト技法・テストケースの数を決めます。

ソフトウェアの仕様書などから、テストを行うポイントを洗い出し、最適なテスト技法を選択します。「テスト設計仕様書」「テストケース」の作成はテストの成否に大きく関わるため、テストエンジニアにとっては大変重要な仕事です。

テスト実施

テスト設計をもとに、テストエンジニアはテストを実行します。テストはテスターに任せるケースもありますが、テスターのマネジメントはテストエンジニアが行います。他には、テストをテストツールを用いて行うこともあります。

テスト評価

テストが完了すると、テストエンジニアはその結果を資料としてまとめ、開発者や上司に対してレビューを行います。レビューの結果、テストケースの不備あるいはテストの追加要望があれば、再テストを実施します。

開発部門への改善提案

テスト実施の結果、システムに改善すべき点が見つかることがあります。そうした点について報告し、改善提案をするのもテストエンジニアの重要な仕事です。とにかくエンジニアは開発視点で評価をしがちですが、顧客視点で評価することが、プロダクトの完成度を高める上で重要です。

運用テストと受入テストの違いとは? 相違点を理解してシステムの品質を高めよう!

テストエンジニアに必要なスキル6選

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ITエンジニアは、それぞれの職種において求められるスキルがあります。テストエンジニアに必要とされるスキルについて、主なものを以下に紹介します。

ソフトウェア開発スキル

テストエンジニアは、自らテストを行うソフトウェアの開発に関するスキルを有していることが求められます。ソフトウェア開発に関する経験や深い知識を持つことで、テスト対象をよく理解し、適切なテストを行うことが可能です。

また、ソフトウェア開発についての知識によって、テストで発見された不具合が仕様の問題なのか、プログラムの問題なのか、切り分けが行えるため、適切な評価や提案につながります。

テスト技法に関するスキル

テストを行う上で対象によって最適なテスト技法の選択が必要であるため、テストエンジニアにはテスト技法に関する知識が求められます。テストは非常に多項目にわたることがあり、テスト技法に関する知識やスキルによって、効率的なテストの実施が可能です。

問題発見・改善スキル

テストエンジニアはテスト実施によって得られたテスト結果から、ソフトウェアの問題点の把握のみならず、テストそのものについてもレベルアップ・精度アップを図ることが求められます。

こうした問題発見・改善スキルは日頃から問題意識や改善意識を抱き続けることが必要であり、単なる学習だけで得られるスキルではないため、不断の努力が必要です。

品質管理に関するスキル

テストエンジニアは顧客目線でのテストが求められるため、顧客が求める品質を理解することが必要です。テストエンジニアは単なるバグの発見のみならず、品質向上・品質管理に対する責任を負いますので、品質管理に関するスキルを持つことが求められます。

コミュニケーションスキル

テストの結果を的確に報告するために、テストエンジニアは報告・提案・文書作成スキルが求められます。

テスト結果のレビューにおいて、バグ・仕様ミスの報告・改善提案を効果的に、正確に伝えるために、口頭のみならずExcel・Word・PowerPointなどを使いこなせると、さらに表現力や伝達力が上がります。広い意味でのコミュニケーションスキルを身に付けておくことが求められます。

テスト自動化ツールに関するスキル

最近のシステムテストでは、テストの自動化ツールを用いることが大半です。テストの自動ツールを用いることで、テストの効率化、テスト品質の効率化に役立つばかりか、ソフトウェア開発の期間短縮に有効です。

テスト自動化ツールの代表的なものとして「Appium」「Ranorex」「Selenium」といったものがあります。テストエンジニアにはテスト自動化ツールの選定や、ツールを使いこなすスキルが求められます。

【参考】:Appium 【参考】:Ranorex 【参考】:Selenium

このように、テストエンジニアにはさまざまなスキルが必要であると分かりました。一見簡単そうに見えてしまう職業ですが、実際はかなりプロフェッショナルな業務を担当し、システム開発には欠かせない存在です。

どのIT企業にもテストエンジニアは必要な職種であるため、ある程度スキルを磨いていくことで、キャリアアップ先や転職時にもアピールしやすくなるでしょう。

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テストエンジニアに役立つ資格

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資格の保有は実務能力の客観的な証です。テストエンジニアにも取得しておくと役に立つ資格がありますので、ここで紹介します。テストエンジニアを目指す方は取得を検討してみてください。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、IPAが主催する国家試験です。合格率は25%前後でやや難易度が高い試験ですが、ITエンジニアに必要な基礎知識を広範囲に得られるため、取得をおすすめします。また、就職や転職では汎用性の高い資格であり、キャリアアップを目指す方にもおすすめです。

基本情報技術者試験ではITの基礎知識以外に、プログラミング知識が求められるため、実務でソースプログラムを解析することがあるテストエンジニアにとっては非常に実務的な資格とも言えます。

【参考】:基本情報技術者試験(FE)

基本情報技術者試験は就職に有利?資格が役立つ職種と勉強方法を解説!

JSTQB認定テスト技術者資格

日本ソフトウェアテスト資格認定委員会が実施する、JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)は、国際的な資格認定のISTQBと相互認証を行っており、海外でも有効な資格です。 

この資格には基礎・上級・エキスパートの3つのレベルがあり、ソフトウェアテストの評価スキルを客観的に証明できます。テストエンジニアを目指す方は、ぜひ取得しておきたい資格の1つです。

【参考】:JSTQB認定テスト技術者資格

ソフトウェア品質技術者資格認定

日本ソフトウェアテスト資格認定委員会が実施する、JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)は、国際的な資格認定のISTQBと相互認証を行っており、海外でも有効な資格です。 

この資格には基礎・上級・エキスパートの3つのレベルがあり、ソフトウェアテストの評価スキルを客観的に証明できます。テストエンジニアを目指す方は、ぜひ取得しておきたい資格の1つです。

【参考】:JSTQB認定テスト技術者資格

IT検証技術者認定試験(IVEC)

IT検証技術者認定試験(IVEC)は、一般社団法人IT検証産業協会主催の資格認定試験です。主にテストエンジニアを対象とする資格試験で、テスト現場における実務を重視している点が特徴です。

資格レベルが1〜7まであり、資格認定者は業界でも高い評価を得ています。いきなり上位資格を受験することはできませんので、ステップアップ形式でチャレンジしていきましょう。

【参考】:IT検証技術者認定試験(IVEC)

テストエンジニアは、スキルの向上はもちろん、このような資格を取得することで自身の市場価値を高めることができます。ITエンジニアは総じて転職を繰り返すことでキャリアアップや年収をアップさせる傾向にあるため、資格の有無が転職活動において強い武器になるでしょう。

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テストエンジニアの将来性

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一部では、「将来性がないのでは」と不安視されるテストエンジニアですが、実際のところはどうなのでしょうか。ここでは、テストエンジニアの将来性について考察してみましょう。

AIに仕事を奪われる?

昨今、注目を集める「AIによる業務の自動化」ですが、テストエンジニアに限らず、ITエンジニアの中には「AIによって10年後になくなる職種は何か」と不安視する動きがあります。

テストエンジニアが取り組むテストも自動化ツールがさらに進化すれば、「テストエンジニアは不要になるのではないか」という懸念を抱く方がいても不思議ではありません。しかし、現状テストエンジニアの需要がなくなることは考えにくいです。

なぜなら、テストエンジニアは機械的にテストを行うスキルではなく、顧客視点や改善提案スキルが求められるからです。そこで単純作業はAIに任せ、高度な判断・提言・提案といった役割はテストエンジニアが担うという分業が進むでしょう。

求められる役割や仕事内容は変化していきますが、テストエンジニアという職種がなくなることはありません。むしろ、より高度な役割が求められ、その重要性は一層高まるでしょう。

テストエンジニアの求人の探し方と、そのポイントを解説!

第三者検証の重要性

以前は、ソフトウェアは開発当事者が熟知しているから、当事者がテストを行えば良いという考え方がありました。

現在では、「ソフトウェアテスト・第三者検証」という考え方が広まっており、ソフトウェア開発に直接関わっていない者が第三者視点でソフトウェアのテストを行い、不具合の発見や分析をすることが主流になっています。

テストエンジニアは第三者の視点でソフトウェアテストを行う職種であり、ソフトウェアの品質向上・品質管理に寄与します。さらに開発工程とテスト工程を分離することによって、開発エンジニアは本来の開発業務に専念し、開発工程の効率化につながります。

こうした流れの中、テストエンジニアに対する需要は今後も増えていくと予想できます。

将来性の高いテストエンジニアを目指そう

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この記事では、テストエンジニアについて仕事内容や必要なスキル、年収について解説しました。テストエンジニアはシステム開発において製品価値を高めるために欠かせない存在であり、さまざまなスキルが求められます。

昨今不安視されるAIへの置き換えについても、最終的な判断力やシステム改善策はテストエンジニアでないと成立しないため、今後も需要は尽きないでしょう。将来性の高い職種としておすすめですが、テストエンジニアは求人数も多いため転職時には企業の選定などが難しく感じるかも知れません。

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