プロパー(proper)の意味
プロパーは英語の形容詞properからきたもので、元来の意味は「正式の」「適当な」「ふさわしい」「固有の」などです。
英語の用例としては次のようなものがあります。
正しい英語 : proper English 日本本土 : Japan proper 関係当局 : the proper authorities 適当な距離をおいて : at a proper distance その仕事に適任の人物 : the proper parson for the job
このように、properは意味に幅のある言葉なので、日本語に訳さないで「プロパー〇〇」とカタカナで使うことが一般化されました。ただし、日本で使用しているプロパー〇〇の中には、そのまま英語に移し替えると意味が通じないものもあるので注意が必要です。
日本でのプロパーという言葉の使われ方
プロパーという言葉は業種や分野によって、さまざまな使われ方をしています。
分野によって異なるプロパーの意味
プロパー社員 : 正社員 プロパー融資 : 信用保証協会を介さない金融機関からの直接融資 プロパーカード : 国際ブランドが直接発行するクレジットカード。アメリカンエキスプレス、ダイナース、JCBの3つ。VISAとMasterCardは自社カード発行していない(⇔提携カード) プロパー価格 : セール価格ではない正規価格(プロパー消化率 : ある商品を値引きせずに正規価格で販売した割合) プロパー商品 : 正規の流通ルートを通して卸される商品、あるいは定番商品
このほかに、学問の分野では「統計学プロパー」とか「遺伝学プロパー」などといます。これはその学問の専門家あるいは固有の分野を指します。
人事で使われるプロパーの意味
上記の中でもっとも一般的に使われるのが、「プロパー社員」など人事で使われるプロパーです。
「プロパー社員」の意味
プロパー社員には、比較する対象の違いによって、次のような意味になります。
中途採用社員との比較で : 新卒採用の生え抜きの社員 派遣社員や契約社員に対して : 正社員 下請け企業、協力会社の社員との比較で: 自社の社員
元々の所属部署、専門部署の意味
「彼は営業プロパーなので、その方面は詳しいよ」などと言うこともあります。これは、その人がもともと営業部門の出身だという意味です。営業畑とか人事畑と言うのと同じで、その人が育った元の環境や専門部署を指しています。
エンジニアにとってプロパー社員とは
エンジニアとして仕事をする中でも、プロパーという言葉を聞いたり、使ったりすることがあるでしょう。どんな場面で見聞きし、どんなニュアンスで使われているのでしょうか。
専門分野という意味で使われることもありますが、多くの場合「契約社員ではない正社員」「下請け・協力会社から派遣された常駐社員ではない内部社員」のどちらかの意味で使われます。
一般の企業では「転職組ではない生え抜きの社員」という意味で使われることも多いですが、終身雇用という価値観が薄く、転職に違和感が少ないIТ企業ではあまり使われないようです。
下請け企業、協力会社のエンジニアから見た元請け企業のプロパー社員
ベンダーやSIerのプロジェクトでは、下請け会社から派遣されたエンジニアが常駐で仕事をするのは珍しくありません。大きなプロジェクトでは孫請けのエンジニアも参加していることがあります。
こういう下請け会社から派遣されたエンジニアのプロパー社員に対するイメージには、次のようなものがあります。
●コーディングなどの技術レベルは低いけれどPL(プロジェクトリーダー)をしている ●プロジェクトの進捗を気にするあまり、斬新なアイディアより無難なアイディアを選びたがり、本当に良いものを作るというより、クライアントがOKならばそれて良いという意識がある。
このようなイメージの背景には、プロパー社員の体質というより、ベンダーやSIerの管理体制や企業体質が影響してる部分も大きいでしょう。
孫請け会社の社員もいると人間関係はより複雑化する
1つのプロジェクトにプロパー社員、下請け会社の社員、孫請け会社の社員の3者がいると、中間にはさまれた下請け会社の社員が何かと気を遣うことが多いようです。
下請け会社のエンジニアは小さなチームのリーダーなることもあり、そんなときには、自分が元請けのプロパー社員に対して持っているイメージを、孫請け会社の社員から持たれいるのではと気になります。上司風を吹かせると嫌われてしまうかもしれません。
契約エンジニアから見たプロパー社員
フリーランスのエンジニアも、ベンダーやSIerで契約社員・業務委託社員として働くことがよくあります。そんな契約エンジニアから見たプロパー社員のイメージはどのようなものでしょうか。
フリーランスエンジニアのある意味の理想は、IТベンチャーで創造力を発揮して新しい製品やサービスのシステム開発をすることですが、そんな理想から見るとベンダーやSIerのプロパー社員には、あまり良い印象を持っていない場合があります。
「ろくにコードも書けないのにPLをやっている」「進捗ばかり気にして新しいアイディアを受け付けない」など、下請け社員が持つのと同じイメージをフリーランのエンジニアも持っているようです。ある意味で下請け会社の社員よりも立場が気楽なので、より辛辣な感想を持っていると言えるかもしれません。
仕事の本質にプロパー、非プロパーは関係ない
企業の、あるいはプロジェクトのピラミッド構造の中で、プロパー社員とそうでない人たちとの間に差別や軋轢、相互不信というような、負の関係が生じているのは事実です。これには企業の論理や価値観がもたらす、やむを得ない側面があることも確かです。
しかし、プロパー社員も下請け会社の社員もフリーランスも人間です。企業の論理や価値観に丸ごと取り込まれているわけではありません。もちろん、仕事の中身、本質にプロパーも非プロパーもありません。
将来のあるエンジニアとしては、プロパー社員がどうのこうのということにあまり心をわずらわせずに、良い仕事、クリエイティブな仕事をすることに専念したいものですね。
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