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メーカー系SIerとは?その特徴やメリット・デメリットを解説
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メーカー系SIerとは?その特徴やメリット・デメリットを解説

アンドエンジニア編集部
2023.05.23
この記事でわかること
メーカー系SIerは、SIerの中でメーカーから独立した会社のこと
メーカー系SIerのメリットは安定性やキャリアアップのしやすさ、デメリットは昇進のポストが少ないこと
メーカー系SIerがなくなる可能性は低く、転職して活躍するためには自分に磨きをかけることが必要

メーカー系SIerとは?

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SIerとは「System Integrator(システム・インテグレーター)」の略で「エスアイアー」と発音し、日本独特の言葉です。SIerは顧客の要求に従ってシステムを開発・導入・提供する企業のことで、「ITベンダー」「SIベンダー」とも呼ばれています。

「System Integrator」はまさに「システムを統合する人」で、SIerはシステム開発から導入までの全ての領域をカバーする総合IT事業者と考えて良いでしょう。SIerの中でも、パソコンやサーバなどを製造しているコンピューターメーカーから独立した会社のことを「メーカー系SIer」と言います。

大手企業が親会社であるメーカー系SIerは、他のSIerと比べてどのような特徴があるのでしょうか?この記事では、メーカー系SIerの仕事内容・年収・メリット・デメリットについて詳しく解説します。

メーカー系SIerはメーカーから独立した企業のこと

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前述のようにメーカー系SIerは、親会社の傘下にあります。富士通系では富士通エフサス、日立系の日立ソリューションズ、NEC系のNECソリューションイノベータなどがあります。

【参考】:富士通エフサス 【参考】:日立ソリューションズ 【参考】:NECソリューションイノベータ

ここでは、メーカー系SIerの特徴や他の企業例、ユーザー系・独立系についてもまとめています。

SIerとは?詳細や問題点、将来性についてわかりやすく解説!

SIerの種類

SIerにはメーカー系の他にも種類があり、「ユーザー系」「独立系」があります。ユーザー系とは、金融・保険・商社・流通系などのシステム部門を外販比率の向上やコスト削減を目的に子会社化させた会社のことで、多くのSIerはこのユーザー系がほとんどです。

また、親会社が大手企業であることから、ユーザー系SIerはホワイトな労働環境が多いことが特徴です。

一方、独立系とは親会社を持たないため、さまざまな業種の仕事を請け負うことができます。業務はシステム開発がメインで、開発に関するスキルアップがしやすいのが独立系SIerの特徴です。

メーカー系SIerの特徴

メーカー系SIerは親会社の下請け的なイメージがあります。以前は、実際に親会社がコンピューター機器と抱き合わせで受注した案件をこなすケースが多くありました。

自社のハードやパッケージ、各種サービスが揃っており、親会社が獲得している取引先も豊富にあって、販売先に困ることはそうありませんでした。また多業種の顧客を相手に、SEは幅広い経験を積むことが可能な環境にあります。

メーカー系SIerの仕事

ある大手企業(仮にA企業とします)で、情報システム再構築のプランがあるとしましょう。

このA企業は富士通・日立・NECのコンピューター機器やパッケージを利用していることから、この3社に提案要請書(RFP)を発出しました。この3社はともにSIer企業を傘下に抱えており、それぞれのSIer企業に提案書の作成を指示します。その提案書を精査・検討した結果、富士通と日立が受注することになりました。

大規模システムの構築となり、端末系は富士通エフサス、サーバ系は日立ソリューションズが担当することになりました。しかし、2社の上に立ってプロジェクトをコントロールするには、A企業が行うのは無理があるとの判断から、A企業はPM(プロジェクトマネジメント)を付き合いのあるNTTデータに委託することにしました。

こうして、3社混成のプロジェクトがスタートしたのです。しかし実際には、メーカーの下請けとなった日立ソリューションズ、富士通エフサスもプログラミングはさらに孫請けに委託をしたため、何社ものエンジニアが入り混じって共同作業を行うこととなります。

このように、大きなプロジェクトになるとメーカーが何社も関わり、しかも多重下請けという形で何層もの下請け構造になるケースがあります。SIerはシステム・インテグレーターなので、本来であればシステムの開発から導入まで全てを請け負いますが、実際にはこのような分業構造となっている場合が多いです。

メーカー系SIerの企業例

メーカー系SIerにはどういった企業があるのでしょうか?ここでは、前述した富士通系・日立系・NEC系以外の企業をいくつかピックアップします。

  • パナソニック コネクト
  • 日鉄ソリューションズ
  • 日本アイ・ビー・エム
  • 東芝情報システム

【参考】:パナソニック コネクト 【参考】:日鉄ソリューションズ 【参考】:日本アイ・ビー・エム 【参考】:東芝情報システム

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メーカー系SIerの年収

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メーカー系SIerの年収についてですが、ここではSIerで働く職種の一例である、ITコンサルタントの年収を紹介します。

ITコンサルタントの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑」での平均年収は512万円(※2023年2月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のコンサルタントを参考にすると、平均年収928万円と分かりました。

国税庁2020年発表の民間給与実態統計調査における民間企業平均年収は433万円なので、ITコンサルタントは一般平均年収より高いことが分かります。

ITコンサルタントは能力値やスキルの高さを評価されることで高収入を目指せることはもちろんですが、独立しやすい職種でもあるため、自由な働き方によって、より多くの報酬を得ることも可能です。また、転職を繰り返すことで給与交渉などで段階的に年収を上げていくこともできます。

【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング/職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月から2020年12月の間でマイナビエージェントに登録いただいた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁

参考程度に、2021年度のメーカー系SIerの年収を5つまとめました。

メーカー系SIer企業のデメリットとは?

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ここでは、メーカー系SIerで働く際に挙げられるデメリットにはどのようなことが含まれるのか、4つほどまとめました。

客先常駐が多い

これをメリットと捉える方もいるかもしれませんが、客先常駐をデメリットと感じる方も多いです。まず、長期プロジェクトとなると客先常駐が半年以上に及ぶことがあります。環境のよい常駐先であれば良いのですが、時には劣悪な環境に置かれることもあります。

「自分の部屋や机がない」「パソコン1台持って、共同机を転々とする」といった環境におかれることや、「通勤に片道2時間掛かった」「残業が異常に増えた」といった声もあります。

一方では「人間関係に恵まれた」「社員食堂が安くて美味しかった」というメリットを口にするエンジニアもおり、客先常駐は必ずしもデメリットばかりではありません。中には客先にスカウトされ、転職した方もいます。

出世しにくい

これはユーザー系SIerとも共通するのですが、幹部職のほとんど、特に部長職以上を親会社からの出向者が占めるという企業が少なくありません。そのため、昇進したくともポストがないというケースがあります。

専門職制度がある企業では、専門職としてスキルを磨くという手もありますが、上昇志向の強い方は直接親会社への転職を目指した方が良いかもしれません。

【参考】:マイナビIT エージェント

スキルや知識が身につきにくい環境もある

メーカー系SIerは常駐先勤務が多いため、常駐先の環境によっては古いシステムを使用していたり、特定の製品のみ扱う企業であれば他のメーカーの製品に触れる機会がなかったりします。

プロジェクトや環境次第で自身のスキルや知識がアップデートされにくくなることもあり、年単位のプロジェクトだと将来に大きく影響する可能性も考えられます。当たり外れが多いと感じることもありますが、隙間時間に資格の勉強や新たな知識の習得を行うことでカバーできることもあります。

その都度新しい人間関係の構築が必要

メーカー系SIerは客先に出向いて開発を行うため、その都度新しい人間関係を築く必要があります。さまざまな常駐先で経験を積めるのは大きなメリットですが、人間関係の構築が苦手、コミュニケーションが苦手な方にとっては大変だと感じる部分もあるかも知れません。

メーカー系SIerのメリットとは?

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メーカー系SIerへの転職を検討されている方に向けて、ここでメーカー系SIerで働くメリットについて述べておきましょう。

比較的安定している

日立・富士通・NECの系列企業ということで、経営基盤はしっかりしており、経営も比較的安定しているといえます。親会社の影響が悪い方向に向かうと、会社の経営不振による事業再編や人員整理などの影響を受ける場合がありますが、他の企業に比べるとかなり安定しているといえます。

日立・富士通・NECなどは国策企業ともいえる超大企業で、倒産することは考えにくいですが、経営不振が深刻になれば、子会社の整理・売却なども可能性はゼロとは言えません。安定している企業で働いている場合でも、失業してもすぐに他で活躍できるだけのスキルは身に着けておくことをおすすめします。

待遇が良い

大手企業グループの直系子会社の人事制度や福利厚生は、親会社に準じているのが一般的です。特に親会社からの出向者が多い子会社は、大きな賃金格差や待遇格差を招かないよう配慮されています。そうしたこともあり、給与は親会社とそれほど差がありません。業績の良い子会社が、親会社の給与を上回ることもあり得ます。

日立・富士通・NECなどはメーカー系としても高収入の企業であるため、子会社にもその恩恵があります。福利厚生面でも、保養所やレクレーション施設などはグループ全体で設けられているため、子会社の社員も親会社の社員と同等に利用することが可能です。

後ほど詳しく触れますが、大手SIerは教育制度・資格制度が整っており、自己啓発・自己研鑽に前向きな人には良い環境が用意されているため、積極的な利用をおすすめします。

さまざまな業界、業種の経験を積める

メーカー系SIerは親会社の取引先をほぼカバーしています。金融・商社・保険・流通・不動産などあらゆる業種に関わっていることから、エンジニアとしてもさまざまな業界を相手にして活躍することが可能です。熱心なエンジニアは、自分が担当する企業を事前に徹底研究しています。

たとえば、自社がある飲食業のシステム構築を担当することになれば、その飲食店を何度も訪れ、現状の問題点把握に努め、これをシステム提案に生かします。こうして、さまざまな業界のノウハウを身に着けることでスキルアップを図ることができ、自己の成長にもつなげていきます。

資格の取得がしやすい

SIerは社員の対外的な信用や評価がより求められます。エンジニアは名刺に取得資格を入れることが多く、会社から資格取得を推奨されます。たとえば、プロジェクトマネジメント資格やITストラテジストといった資格が社内外の評価を得る1つの指標になります。

実際にSEを提案・紹介する際には、経歴書にこうした資格を明記します。そのため、SIer企業の多くは資格取得に掛かる費用を会社が全額負担したり、資格手当を付けたりして、社員の資格取得意欲を高めています。自らのスキルアップを会社が援助してくれているため、挑戦しやすいのも大きなメリットです。

技術力を付けられる

メーカー系SIerは自社ハードを取り扱うケースが多く、またパッケージ開発に力を入れている企業も少なくありません。また研究開発部門などもあり、他のSIer以上に技術力が重視されるため、技術を磨きたい方にとっては絶好の環境にあるともいえます。

SIerとSESの違いとは?それぞれの詳細から将来性まで徹底解説

メーカー系SIerに向いている人

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前述のようにメーカー系SIerにはメリットとデメリットがあり、人によって向き不向きもあります。SIer企業への就職は、種類に関わらず「やめとけ」などと言われることもありますが、メリットの方が大きく感じられる人にとっては良い職場だと言えます。

SIer業界自体に向き不向きがあるとも言えますが、今回は3種類あるSIerの中でも、特にメーカー系SIerに向いている人の特徴を紹介します。

大きなプロジェクトに携わりたい人

親会社が大手企業のため、携わるプロジェクトも社会貢献度の高い大きなプロジェクトであることが多いです。自分が携わったプロジェクトが社会の役に立っているという実感を得やすいと言えるでしょう。

同じ会社で安定して長く働きたい人

メーカー系SIerは経営が比較的安定しているのがメリットです。また、福利厚生も充実していることが多いです。そのため、社員は安心して働くことができ、勤続年数も長い傾向にあります。安定した働き方をしたい人にはおすすめです。

逆に、メーカー系ならではの縛りや昇進のしづらさなどが気になる人は、自由な社風や能力や業績次第で昇進できることが魅力の独立系をおすすめします。転職エージェントに相談すれば、様々な情報を基に各企業のメリット・デメリットを比較することができます。

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SIerはなくなる?

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エンジニアの皆さんは、「SIerは終わった」というような噂を1度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?実際のところ、日本のSIerは海外からの攻勢に遭っており、海外展開が思うように進んでいません。また、クラウド化の波にさらされ守勢に立たされています。

開発手法も、従来のウォーターフォール型からアジャイル型開発にシフトし、従来のような自社のコンピューターと組み合わせた重厚長大型の開発が尻すぼみになりつつあります。有能な人材がベンチャー系に引き抜かれ、人材不足という問題に直面しているSIerもあります。

こうしたことから、「SIerはなくなる」という噂につながったと考えられます。一方でアウトソーシング化の流れは変わらないため、DXブームでSIer活躍の場が広がっていることから、SIerがなくなるということは想定しづらい状況です。

メーカー系SIerの将来性

DX対応は特にスピードが求められます。その点、アジャイル型開発が有利ですが、一方でメーカー系SIerはアプリケーション・パッケージを多く持っています。ユーザー側の業務をパッケージに合わせる方式が採用できると、工数の圧倒的な短縮が可能です。

またメーカー系SIerは親会社の経営基盤がしっかりしており、倒産リスクが低いことから、思い切った策を講じることができます。現在抱える問題、弱点をしっかりカバーできるだけの転換策を講じれば、メーカー系SIerにも成長の余地はまだまだあると言えます。

メーカー系SIerへの転職にはスキルアップが重要

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メーカー系SIerはメーカーと一体で動ける関係から、最先端技術の研究開発に注力することができます。逆に言えば、最先端技術を武器にして次代を勝ち抜いていくことが求められています。メーカー系SIerは次代を担う先端IT人材の獲得に活路を見出そうとするでしょう。AI技術を駆使した自動化やIoTも成長分野です。

メーカー系SIerを目指すのなら、最先端IT人材を目指し、スキルアップに努めることが有利な転職の条件になります。まずはDX時代に対応できるDXエンジニア像を明確に描き、自らのスキルや知識に足りないものを身に付けられるよう、自己研鑽に励みましょう。転職で悩んだ場合は、転職エージェントの活用がおすすめです。

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