画像処理エンジニア検定とはどのような資格?
今やありとあらゆるところで使われている画像処理技術ですが、その技術力を示す検定があるのをご存知でしょうか。そのような検定に「画像処理エンジニア検定」というものがあります。
本記事では、同検定はどのような試験なのか、難易度・出題範囲・試験日程についても説明していきます。加えて、合格を目指すにあたっての勉強方法や、資格を活かせる代表的な仕事についても詳しく解説します。
イメージングやAI開発で活躍する画像処理技術力を示せる資格
画像処理エンジニア検定について説明するならば、「産業や学術分野における画像処理についてハードウェア、ソフトウェア、システムの設計能力を示す検定」と言えます。
例えば、デジタルカメラの画像処理の設計手法や、画像同士のパターンマッチング、3次元物体や移動物体の検出手法などが含まれています。
カメラなどのイメージング業界で、エンジニアとして働くのであれば必要不可欠なスキルですが、近年ではAIによる画像判別においても本検定で示すスキルが必要になってきています。これからイメージング業界やAI開発に携わりたい方にとっては、転職の際のスキル証明にもなると言えるでしょう。
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画像処理エンジニア検定とは
まずは画像処理エンジニア検定についてその概要を説明します。同検定は「画像情報教育振興協会」という団体が平成3年から主催している民間資格であり、その名の通り、画像処理技術の実力を示す資格です。
試験の概要
画像処理エンジニア検定は前期と後期で1年に2回実施されます。試験形式はマークシートで行われ、会場で一斉に受験する形です。試験の合格点はどちらも70点(100点満点)です。また、検定の内容はベーシックとエキスパートに分かれており、次のような違いがあります。
■ベーシック 画像処理に関する基礎知識とプログラミング知識が求められます。カメラ・フィルタリング・パターン認識など一通りの画像処理分野が出題範囲ですが、いずれも基礎レベルの内容に留まっています。AI分野であるディープラーニングも出題範囲なので注意しましょう。検定料は5,600円です。
■エキスパート 出題分野はベーシックと変わらないものの、ソフトウェアだけでなくハードウェアやシステムを設計する、より高度で専門的な知識が求められます。画像処理では、空間フィルタリング・エッジ抽出・数学のフーリエ変換を用いた画像処理なども出題範囲です。検定料はベーシックより少し上がり、6,700円です。
【参考】:画像処理エンジニア検定
試験の難易度
画像処理エンジニア検定の難易度はどの程度なのでしょうか。試験の合格率を見ていくと直近の2022年後期では、ベーシック66.4%、エキスパート32.3%という結果です。ベーシックは受験者の半分以上が合格しているため、難易度は易しい部類に入ります。
しかし、エキスパートは3割強の合格率であるため、油断できない難易度であると言えるでしょう。
試験形式はマークシートによる選択形式なので、対策しやすいものの、ベーシックでも画像処理に関わる計算問題が出題されるため、数学に馴染みのない方はしっかりと勉強する必要があります。特にエキスパートについては、より専門性の高い数学知識も求められるため、十分な勉強時間が必要です。
【参考】:画像処理エンジニア検定の難易度
画像処理エンジニア検定取得者の年収
画像処理エンジニア検定を取得するエンジニアの年収はどの程度なのでしょうか。主な取得者である画像処理エンジニアを、制御系・組み込み系のシステムエンジニアと仮定して見ていきます。
システムエンジニア(制御・組み込み)の年収は、「マイナビエージェント年収ランキング」での平均年収は455万円(※2023年1月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近いSE・プログラマ(ソフトウェア製品の開発・実装)を参考にすると、平均年収568万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムエンジニア(制御・組み込み)は一般平均年収よりも、やや高めであることが分かります。
エンジニア全体の中でも画像処理という専門分野は、AIや画像認識技術のニーズにより需要は高まっていくと考えられます。専門性もあり、システムエンジニアの平均よりも高めの年収が期待できると考えられます。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング ※【平均年収 調査対象者】2019年12月~2020年5月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
画像処理エンジニア検定の勉強方法
概要を見て、画像処理エンジニア検定に興味を持った方もいらっしゃると思います。次に、同検定に対する勉強方法について紹介していきます。
書籍を活用する
同検定の勉強のスタートは、公式が出している書籍で勉強を行うことです。ベーシックとエキスパートそれぞれに対応した書籍が出版されており、レベル別に試験内容に沿った内容を過不足なく学ぶことができます。
画像処理に関わる書籍なだけあって、全ページフルカラーであり、具体的なイメージが必要な画像処理分野への理解が深まる書籍と言えます。ベーシックは「ビジュアル情報処理 -CG・画像処理入門- [改訂新版]」、エキスパートは「ディジタル画像処理 [改訂第二版]」を選びましょう。
■ビジュアル情報処理 -CG・画像処理入門- [改訂新版] ▪著者:ビジュアル情報処理編集委員会 ▪ページ数:284ページ ▪出版社:画像情報教育振興協会 ▪発売日:2020/07/30 【参考】:ビジュアル情報処理 -CG・画像処理入門- [改訂新版]
■ディジタル画像処理 [改訂第二版] ▪著者:ビジュアル情報処理編集委員会 ▪ページ数:480ページ ▪出版社:画像情報教育振興協会 ▪発売日:2020/02/26 【参考】:ディジタル画像処理 [改訂第二版]
過去問を活用する
試験対策になにより欠かせないのは過去問を解くことです。基礎知識がいくら身に付いたとしても、実際の試験問題に慣れ、適切な時間配分で問題を解けるようにならなければ試験突破は難しいでしょう。
画像処理エンジニア検定の過去問は、公式サイトにて過去2年分が公開されており、前期後期合わせて4回分は無料で挑戦することができます。
エキスパートを受験する方やそれでも不安だと思う方は、公式が出版している問題集を購入するとよいでしょう。こちらは問題集という位置付けですが、過去に出題された問題の再編であるため、大問ごとに過去問を解いている形です。
■画像処理エンジニア検定エキスパート・ベーシック公式問題集 [改訂第四版] ▪著者:ビジュアル情報処理編集委員会 ▪ページ数:246ページ ▪出版社:画像情報教育振興協会 ▪発売日:2021/02/05 【参考】:画像処理エンジニア検定エキスパート・ベーシック公式問題集 [改訂第四版]
画像処理エンジニア検定が活かせる仕事
画像処理エンジニア検定に合格したら、どのような仕事に活かせるのでしょうか。ここでは、同検定をアピールすることで有利となる可能性がある職種や、勉強した知識が活かせる代表的な仕事を紹介します。
画像処理エンジニア
最も代表的な職種は、資格の名の通り画像処理エンジニアです。カメラを含むイメージング業界で、システムエンジニアやプログラマを担当しているエンジニアがそれにあたります。
画像認識やスマートフォン向けカメラのニーズが高まっている現状において、画像処理エンジニアは様々な企業で求められている職種です。
同検定を取得すれば、専門的な画像処理の知識を身に付けていることをアピールできるようになり、関連する企業へ転職できるチャンスも増えることでしょう。
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AIエンジニア
AIエンジニアも画像処理技術が活躍する代表的な職種です。AI技術の活況に伴い、画像検査や画像認識にディープラーニングを始めとしたAI技術が使われるようになってきています。
こうした画像処理技術におけるAI技術の需要増は、AIエンジニアにも画像処理技術が要求されてきていることを示しています。
AIエンジニアを目指すなら数学や統計学の知識を身に付けるべき、と思っている方も多いかもしれませんが、画像処理技術も非常に重要視されていることを念頭に置いておきましょう。
画像処理エンジニア検定を突破してキャリアアップを目指そう
本記事では、画像処理エンジニア検定についての概要や難易度、勉強方法に加えて活かせる仕事も紹介しました。試験の概要だけでなく、昨今のエンジニア市場において画像処理技術が重要な意味を持っていることも理解できたのではないでしょうか。
特にAIエンジニアを目指したい方には、本検定に興味を持っていただけたかと思います。一方、同検定を突破し、資格を取得した後にどのようにして就きたい職種を目指せばよいのでしょうか。数ある求人から自分に合った企業を探すことは容易ではありません。
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