iPadでプログラミングはできる?
プログラミングを始めるにはパソコンが必要だと考える人が少なくありませんが、今や子供がiPadを利用してプログラミングを学ぶ時代であり、簡単なプログラミングであればiPadで可能です。
初めのうちはiPadでYoutubeやブラウザを用いてプログラミングを学習し、プログラミングスキルを身に付けたら、iPadをプログラミングマシンとして活用してみるとよいでしょう。
この記事では、iPadを利用したプログラミングの学習、プログラミングマシンとして活用する方法について紹介していきます。iPadをお持ちの方、モバイルマシンとしてiPadの導入を検討中の方はぜひ参考にしてください。
iPadが適している理由とおすすめの環境
タブレット端末には、iPadOSを搭載したiPad以外にAndroidOSを搭載したものが豊富にあります。ではなぜiPadを推奨するのか、その理由とおすすめのiPad機種について紹介します。
iPadが適している理由
AndroidOS搭載のタブレットでも、プログラミングの学習やプログラミングは可能ですが、同じApple製で、互換性や親和性が高いMacBookとの連携などを考慮すると、iPadの利用がベターと言えます。
iPadは設計ポリシーが一貫し、機種やバージョン間の互換性が保証されています。旧式のiPadでプログラミングを学習し、プログラミングマシンを必要と感じた際には、新しいiPadを入手して環境を移行するという方法もあります。
また、iPhoneを利用している方は、iPadとiPhoneを連携させ、同じアプリをそれぞれで使うことが可能です。
どのiPadがおすすめ?
既にiPadをお持ちの方は、数年以内のものであれば、ほぼ問題なくプログラミングに利用できます。この機会に新しいiPadを入手したい方にはiPad Air(第5世代)、もしくはiPad Pro 11インチモデルをおすすめします。
いずれも高速性で定評のあるM1チップを搭載しているため、性能面で不足を感じることはないでしょう。iPadをプログラミングに利用するには、ある程度画面が大きく、性能の高いCPUを搭載し、モバイル性に優れていることが望ましいと考えます。
またプログラミングマシンとして利用する際には、タイピング入力ができるキーボードがおすすめです。とはいえ、キーボードを含めた重量がモバイルパソコン(MacBook Airなど)よりも重くなってしまっては、iPad利用のメリットが半減してしまいます。
以上の理由から、一体感や操作性で勝るiPad Air(第5世代)or iPad Pro 11インチ+ Magic Keyboardの組合せに加え、コスパに優れたサードパーティ製のBluetoothキーボートも選択肢の1つとしておすすめです。
モバイル性重視でキーボードの操作感にこだわらない方には、MagicKeyboadより300g軽量となるSmart Keyboard Folioをおすすめします。
以下に、MacBook Airとキーボードと組み合わせた各iPadの総重量の比較を行いました。選択の際の参考にしてください。
MacBook Air iPad Pro iPad Air(第5世代)
▪画面サイズ 13.3インチ 12.9インチ 11インチ 10.9インチ
▪本体重量 1290g 約680g 約470g 約460 g
▪Magic Keyboard重量 ― 約700g 約600g 約600g
▪(Smart Keyboard
Folio 重量) ― (約400g) (約300g) (約300g)
▪総重量 1290g 約1380g 約1070g 約1060g
▪Smart Keyboard の場合 ― (約1080g) (約770g) (約760g)
【参考】:iPad |Apple公式サイト
iPadでプログラミングするメリット
多くの方は、プログラミングやプログラミングの学習にパソコンを利用されていると思いますが、iPadでプログラミングを行うメリットには何があるのかを見ていきましょう。
気軽にプログラミングを始められる
初心者がプログラミングを始める場合、パソコンが必要と思われがちですが、パソコンを使っていない人、保有していない人にはプログラミングのハードルが上がります。iPadにはプログラミングの勉強や、プログラミングが行える専用のアプリがありますので、気軽に試すことができます。
モバイル性に優れている
一般的に人が常に持ち歩けるモバイル端末の重量は1.5Kg以下が目安とされていますが、パソコン以外にも携帯するものとしてスマホ・財布・化粧道具・筆記具・手帳などもありますので、端末本体は1Kg未満が望ましいと考えます。
本体だけなら500g前後、キーボードを一緒に持ち歩いても1Kg前後のiPadなら、モバイル利用に優れています。
iPadを有効活用できる
iPadは携帯性に優れ、ゲームやアプリをいつでも気軽に使える点が魅力ですが、趣味的な利用に加え、仕事や簡単なプログラミングなどで使えれば、そのiPadの利用価値は高まります。
iPadでプログラミングをするデメリット
iPadでプログラミングを行う場合のデメリットも確認しておきましょう。以下のデメリットを認識した上での利用をおすすめします。デメリットを認識し、iPadはあくまでもブログラミングが可能なサブマシンであるという前提で利用しましょう。
長時間の作業には不向き
iPadは、いつでもどこでも使える点が魅力ですが、ブラウジングや動画視聴などに向いている反面、キーボードの入力性・操作性・機能性などではパソコンの方に優位性があり、長時間作業で利用するなら、パソコンの方が負担は少ないでしょう。
iPadだけではプログラミングに制約がある
たとえばWebシステムを構築する際、フロントエンド(Webサイト側)とバックエンド(サーバ側)の最低2種類のアプリ開発が必要ですが、iPadだけではバックエンド側のアプリ開発には制約があります。
このように、iPadをパソコンと同等に扱うには限界がありますので、iPadをメインの開発マシンとして使うのには難しい部分があるという前提で利用しましょう。
iPadでプログラミングを行うための環境構築
単にプログラミングの勉強を行うだけの目的であれば、特に環境構築の必要はありませんが、実践的なプログラミングまで行うのであれば、次に示すような環境構築が必要です。
キーボードとマウス
iPadではオンスクリーンキーボードを利用してテキストを入力することが可能ですが、オンスクリーンキーボードは画面の多くを占有してしまい、またキー入力の操作性は劣ります。プログラミングなどの大量のキー入力を行うのにはキーボードは必須です。
モバイル性に優れたApple純正のMagic Keyboard、あるいは軽量タイプのSmart Keyboard Folioの利用をおすすめします。また、予算を抑えたい方にはサードパーティ製のiPad対応キーボードがおすすめです。普段からマウスをよく利用している方は、併せてiPad用のマウスを揃えておくとよいでしょう。
テキストエディタ
プログラミングでは、ソースコードを入力するためのテキストエディタが必要です。iPadアプリの中からおすすめのテキストエディタを紹介します。記載価格はApp Storeでの販売価格です。
1.Textastic Code Editor 「Textastic」は、iPadやiPhoneなどのiOS/iPadOS・Macでは定評のあるコードエディタです。価格は1,220円(税込)で買い切りのアプリです。
C言語・Java・PHP・Pythonなど、80種類のプログラミング言語に対応し、高機能コードエディタが持っている機能はほとんど揃っているため、iPadでのプログラミングで不足を感じることは少ないでしょう。後ほど紹介する、Gitクライアントの「Working Copy」と連携できるアプリです。
【参考】:Textastic Code Editor|App Storeプレビュー 【参考】:Textastic公式サイト
2.GoCoEdit - Code&Text Editor 「GoCoEdit」はiOS用のコードエディタです。価格は1,100円(税込)で買い切りのアプリです。50種類以上のプログラミング言語に対応しており、「行表示」「自動インデント」「タブサイズ変更」「シンタックスハイライト」「コードヒント」など、コードエディタとして必要な機能はほとんど備わっています。
【参考】:GoCoEdit - Code & Text Editor|App Storeプレビュー 【参考】:GoCoEdit 公式サイト
Gitクライアント(Working Copy - Git client)
iPadでプログラミングをする際、リモートリポジトリからソースコードをプルし、修正してプッシュできるようなGitクライアントがあると便利です。
「Working Copy - Git client」はiOS向けGitクライアントアプリで、基本的なgitコマンドの機能を持っています。コードエディタのTextasticと連携し、Textasticから直接Gitリポジドリにアクセスすることが可能です。プルだけなら無料版でもできますが、プッシュはアプリ内課金となります。
【参考】:Working Copy - Git client|App Storeプレビュー 【参考】:Working Copy公式サイト 【参考】:Git 公式サイト
Wi-fi環境
iPadをモバイル利用する方は、Wi-fi環境を整えておきましょう。プログラミングではライブラリのダウンロードやサーバーサイドのプログラミング、ネットでの調べものなど、ネット環境が必要となるケースが多くあります。
出先で利用する機会が多い方は、iPadのCellularモデルを選択するか、モバイルWi-fiの契約をしておきましょう。Wi-fi環境がない場所では、スマホのテザリング機能で代用しても構いません。
iPadでプログラミングに適した言語は
iOSのアプリ開発と言えば、統合開発環境のXcodeを利用し、プログラミング言語はSwiftを用いるのが一般的です。しかし、XcodeはまだiOSには対応していませんので、本格的にアプリを開発するなら、Macを利用した方が良いでしょう。
では、iPadでプログラミングや学習を行うにあたって、どの言語を選択すれば良いのでしょうか?iPad上では必要な環境さえ整えれば、C言語でもJavaScriptでもプログラミングは可能ですが、ここではPythonを推奨します。
Pythonはシンプルな構文で学びやすい言語だと言われていますが、汎用的な言語としても人気が高く、非常に求人が多い言語でもあります。iPhoneやiPadでPythonを習得したい方には、iOS/iPadOS向けのPython開発アプリ、「Pythonista 3」の活用がおすすめです。
Pythonista 3とは
「Pythonista 3」は、iOS上で動くPythonアプリです。1,220円の有償アプリで、iPhoneやiPadでPythonのプログラミングや実行ができます。洗練された高機能のコードエディタを兼ね備え、Pythonista3用に作られた豊富なライブラリを用いて、iPad上でさまざまなプログラミングを行えます。
【参考】:Pythonista 3|App Storeプレビュー
おすすめの学習本(PythonではじめるiOSプログラミング)
おすすめの学習本は、「PythonではじめるiOSプログラミング」です。本書は、iPhoneやiPadでプログラミングを学びたい人向けの入門書です。NumpyやMatplotlibなど、人気のPythonライブラリを利用したプログラミングを交えながら、iPad上でPythonの基礎から学べます。
▪著者:掌田 津耶乃 ▪ページ数:376ページ ▪出版社:ラトルズ ▪発売日:2019/10/25
iPadをプログラミングなどでも使ってみましょう
この記事では、気軽に持ち運べるiPadを活用したプログラミングについて解説しました。iPadは大きく進化し、今やパソコンを上回るスペックを持つ機種もあります。また、iPadはモバイル性に優れ、いつでもどこでも気軽に持ち出せる点が大きなメリットです。
iPadでプログラミング環境を整えることで、簡単なプログラミングが可能だと分かりました。エンジニアの皆さんは、ぜひ仕事や勉強などでもiPadを活用してみましょう。
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