Oracleとは
エンジニアを目指す皆さんは「Oracle」と聞いて何をイメージされますか?データベース・IT大手企業・認定資格など、人それぞれ浮かぶものは異なるでしょう。
この記事では、エンジニアを目指す皆さんと深い関わりがある「Oracle」について、初心者エンジニアが知っておくべき事を中心に解説をします。
まだよく知らないという方は、この機会に「Oracle」に関する基本知識を身に付けてください。
Oracleの概要
Oracle(日本語読みはオラクル)はデーターベース管理システム(DBMS)の代名詞となっているほどで、Oracle社はデータベース製品の分野では世界最大手の企業です。
データベース以外のOracle製品やサービスにはクラウドサービスの「Oracle Cloud Platform」や、データ分析ツール、ミドルウェア、業務用パッケージ開発・販売などを行っています。では、Oracleについて、もう少し詳しく見てみましょう。
【参考】:Oracle 公式サイト
社名の由来
Oracleは「預言」や「神託」を意味する英語ですが、Oracleの創業者であるラリー・エリソンが携わったCIA向けのビジネスのコードネーム、「Oak Ridge Automatic Ccomputer and Logical Engine」の頭文字から採ったという説があります。
ちなみに、Oracleが正式社名になったのは1983年であり、それまではSoftware Development Laboratories ( 通称SDL)という社名でした。
Oracle Databaseとは
データベースの代名詞とさえ言われるOracle DBは、世界初のRDBMS(リレーショナル・データベース・システム)としてリリースされました。数あるデータベース管理システムの中で、Oracle Databeseは世界トップクラスの知名度を誇ってきました。
Oracle Databaseのライバル
Oracle Databeseは長年世界トップのシェアを誇ってきましたが、他製品の猛追を受けています。シェアランキングはOracle Databeseを筆頭に、MySQL、Microsoft SQL Server、Postgres SQLが続いています。
【参考】:DB-Engines Ranking - Trend Popularity|DB-ENGINES
そもそもデータベースとは
ここまで、Oracleの基本について解説してきましたが、そもそもデータベース(Data Base)とは何でしょうか?データベースがデータの集まりであることは分かると思いますが、エンジニアとしての回答はそれでは足りません。
正しくは、データベースとは再利用ができるように整理され、蓄積されたデータの集合体のことです。広い意味では、電話帳や辞書もデータベースと言えます。皆さんが利用しているExcelで作成した名簿などもデータベースの一種です。
ITの世界に限ると、データベースは商用利用されているもの、規模の大きなものを指します。フローチャートなどでは、データベースはドラム缶の形で描かれています。
データベースには大きく分けて3つの型があります。以下、3つのデータベースの型について紹介をしておきます。
階層型データベース
階層型データベースは、ツリー構造にデータを関連付けしたデータベースです。会社の組織をイメージすると分かりやすいと思いますが、社長の下に複数の本部があり、各本部の下に部が、部の下に課があるというような構造です。
ツリー構造の階層型データベースは目的のデータに辿り着くためのルートが1つのため、検索が速いという特徴があります。基本的には上位層が1個に対し、下位層がn個の関係になります。
ただし、ある社員が複数の部署を兼任している場合には、データとして複数個所に登録することになり、データベースが複雑になり、柔軟性に欠けるデメリットがあります。
ネットワーク型データベース
ネットワーク型データベースの階層構造は、一見階層型と似ていますが、関連性のあるデータを相互に結び付けます。親の層と子の層がn:nの関係になり、子は複数の親を持つことができるネットワーク構造です。
そのため、同一データを重複して登録する必要がないという点で、階層型データベースよりは柔軟性に富んでいます。
リレーショナル型データベース(RDB)
リレーショナル型データベースは「Excel」のように表形式(行と列からなる)でデータを管理します。「列」には重複しない項目名(見出し)が設定され、行にデータを追加していきます。「Excel」のシートは「テーブル」といい、列は「フィールド」、行は「レコード」と呼びます。
表形式のイメージでデータが位置づけられ、視覚的にも分かりやすいデータベースで、現在ではデータベースの主流になっています。難点は、データ管理のプログラムが複雑になる点です。
先ほど述べたように、Oracle Databeseはこのリレーショナル型データベースです。
Oracle Database以外のDBMS
Oracleの概要、データベースの型について紹介しましたが、続いて、よく使われているDBMS製品について紹介します。
MySQL
人気が高く、Oracle Databaseに次ぐシェアのオープンソースRDBMSです。Oracle社がサン・マイクロシステムズから買収し、同社の製品として販売しています。個人利用に限って無償で使えますが、商用利用については有償となります。
有償といっても、Oracle Databaseよりは廉価であり、Oracle Databesと遜色のない機能を有し、今後はDBMS製品のシェアでOracleを上回ると目されています。
が続いています。
【参考】:MySQL|公式サイト
Microsoft SQL Server
マイクロソフト社開発のデータベース(データ管理システム)です。正式には「Microsoft SQL Server」ですが、エンジニアの間では縮めてSQL Server(エスキューエルサーバ)と呼ばれることが多いです。
Orale Databeseの競合製品ですが、シェアはMySQLに次ぐ第3位です。SQL ServerはWindows OSや、マイクロソフト社開発言語のC#との相性か良い点が特徴です。
【参考】:SQL Server 2019|Microsoft 公式サイト
【参考】:DB-Engines Ranking - Trend Popularity|DB-ENGINES
Postgres SQL
オープンソースで無償のRDBMSです。 Postgres SQLは「ポスグレ」と呼ばれ、Web系の開発ではよく使われます。シェアは「Microsoft SQL Server」に次ぐ4位で、Web系以外にはプログラム開発の練習用、小規模システムのデータベースとして利用されています。
【参考】:日本PostgreSQLユーザ会
【参考】:DB-Engines Ranking - Trend Popularity|DB-ENGINES
データベース製品の比較
ここではOracle Databaseと他のデータベースとの比較を行います。ここまでご紹介したMy SQL、Microsoft SQL Server、Postgres SQLを比較しますので、DBMS製品理解の参考にしてください。
Oracle Database MySQL MS SQL Server PostgreSQL
▪サポート: 充実 有 充実 弱い
▪OS: Windows、Linux等 汎用的 Windows 汎用的 (Linux対応版有)
▪機能 : 充実 普通 充実 普通
▪安定性: 高い 普通 高い 普通
Oracle Databaseの特徴など
Oracle Databeseと他のデータベース製品との比較を行いましたが、次にOracle Databeseの特徴について確認をしてみましょう。
Oracle Databaseの4つの特徴
MySQLやPostgreSQLなど、オープンソースのデータベースがシェアを増やす中、一部には「脱Oracle」が唱えられる昨今ですが、ここでOracle Databaseの強み、特徴を確認しておきましょう。
▪1.さまざまな障害からデータベースを保護して、サービス継続を可能とする『Oracle Data Guard』により、高い堅牢性を保っています。
▪2.行レベルで排他制御を行う『行レベル・ロック』によって、多くのユーザーが同時に利用できます。
▪3.ユーザーがリクエストしたデータを読み取った時点で保証する『読み取り一貫性』機能が搭載されています。
4.▪Oracle Databaseはエンジン・コアAPI、その他ツールなど、全てがC言語で書かれているため、多くのプラットフォームへの『移植性』の高さがあり、幅広い運用が可能となっています。
以上がOracle Databaseの特徴です。
Oracle Databaseのスキーマ
スキーマとはデータの構造や性質、データベース操作のルールや表現法などを定義したものです。スキーマの目的は以下の通りです。、
▪1 つのデータベースに同時に多数のユーザが干渉しあうことなく使用できる
▪ユーザごとにスキーマへのアクセス権限が付与でき、セキュリティを高める
Oracle Databeseでは、1ユーザーに対して1スキーマが与えられ、かつユーザー名と同じスキーマ名が自動的に割り当てられます。 これによって、1つのデータベースを経理スキーマー、受発注スキーマーなど複数の用途で利用することができるようになっています。
Oracle Databaseに強くなれる資格
オラクルデータベースに強くなるには資格取得を目指して勉強するのが早道ですので、Oracle MasterはOracleの認定資格取得をおすすめします。データベースやSQLに関する資格の中で、Oracle Masterは筆頭にあがる知名度、評価の高い資格です。
Oracle Master Bronze DBA:エントリー向け
Oracleのデータベースに関する基本的知識を問う試験です。データベース操作に必要なSQLなどの基本的な知識が求められますが、全体としてはOracle Databeseの概要について問われます。
Oracle Master Bronzeはエントリーレベルの資格ですので、これからデータベースエンジニアを目指す人はぜひ取得しておきましょう。
【参考】:Oracle Master Bronze DBA 2019
Oracle Master Silver DBA:中級レベル向け
Oracle Master Bronze DBAの上位資格です。Oracleデータベースに関する基本的なスキルに加えて、業務レベルでの運用・管理のスキルが求められます。オラクルの機能を用いたデータベースの使い方、管理や、SQLを用いたアクセスのスキルなどが求められます。
Oracle Master Silver DBAは、Oracle Databeseを扱えるスキル証明となりますので、キャリアアップや転職を目指す方はぜひ取得しておきましょう。
【参考】:ORACLE MASTER Silver DBA 2019
Oracleの将来
RDBMSの元祖とも言えるOracle Databaseは、長年ビジネスの世界で使われ続け、その堅牢性や機能性から高い支持を得てきました。クラウドやビッグデータ、IoTなど業界の大きな変化の中、Oracleは革新を続けています。
Oracle自身もOracle Cloudサービスを提供していますが、AWSやAzureクラウドとの連携を進めるなど、未来への投資を行っています。クラウド利用によって、敷居が高いとも言われるOracle Databeseがより身近なものとなっていくでしょう。
大企業を中心にOracle Databaseを扱えるエンジニアが不足気味との情報もあり、またOracle Masterの受験者も減少しています。こんな状況の今だからこそ、 Oracleに強いデータベースエンジニアを目指してみませんか?
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