PostgreSQLをインストールして使ってみよう
データベースエンジニアと言えば、OracleDBやMySQL、Microsoft SQL Serverの知名度が高いですが、PostgreSQLを忘れてはなりません。PostgreSQLは無償ながら大変優れたDBエンジンとして根強い人気があります。
ここでは、PostgreSQLのWindows10へのインストール手順について解説していきます。LinuxなどWindowsOS以外のOSをご利用の方は参考程度にお読みください。
PostgreSQLとは
PostgreSQL(ポストグレスキューエル)は、オープンソースのRDBMSの1つです。すべてのソースが無料公開されており、誰でも自由に利用することができます。PostgreSQLは「BSDライセンス」を採用しており、著作権表示及び免責事項の明記を行えば、再配布や再利用も自由に行えます。
PostgreSQLが対応するプラットフォームはLinux系、macOS、Windowsなど幅広く対応しています。
PostgreSQLの歴史
1986年、カリフォルニア大学バークレー校でPostgresプロジェクトによって研究開発目的で開発されたのがPostgreSQL誕生の切っ掛けです。それから約10年の月日を経て、1997年にPostgreSQLのファーストバージョンである6.0が公開されました。
その頃から世界に普及し始めたインターネットを通じ、多くのデータベース開発者たちの協力によってPostgreSQLの改良が進められました。PostgreSQLは名だたる商用RDBMSと比較しても見劣りすることはなく、高機能と信頼性で評価をされ、日本ではNTTや日立などでも導入されています。
PostgreSQLのメリット・デメリット
PostgreSQLのメリットとデメリットを確認しておきましょう。Oracleなどの商用DBとの比較、オープンソースでライバル関係にあるMySQLとの比較においてメリットとデメリットを見ていきます。
1.商用DBと比較
▪メリット ・導入コストが低く済む ・RDBMS本体の機能は商用DBと遜色がない
▪デメリット ・サポートが弱い
2.MySQLと比較
▪メリット ・より複雑なアプリケーションにも適用可能 ・障害対応などでのバックアップ対応レベルが高い
▪デメリット ・レプリケーションはサードパーティー製品に依存し、設定も面倒
PostgreSQLの将来性
DX化の進展、IoTやAIの普及と併せてビッグデータを扱うシステムが増加しており、データベースの重要性が一層高まっていることは皆さんのご承知の通りです。
その結果、大企業でもOracleなど商用RDBMSをオープンソースに移行する動きが見られ、PostgreSQLに対する期待がさらに高まっています。こうした事から、PostgreSQLの将来性は高いと判断できます。
PostgreSQLをダウンロードする
まずは、PostgreSQLを提供するEDB公式サイトにアクセスして、目的のPostgreSQLインストーラをダウンロードします。ここではさまざまなOSやバージョンに対応したインストーラーを選択できるほか、開発するシステムなどに合わせて旧バージョンをダウンロードすることもできます。
ここでは、Windows10にインストールしていきます。
インストールの手順を無視したり、各種設定に誤りがあったりすると「インストールできない」という事態になりかねません。簡単な操作しか必要ありませんが、1ステップずつ確認しながら着実にダウンロードやインストールを進めてください。
【参考】:日本PostgreSQLユーザ会
インストール環境
今回のインストール環境は以下の通りです。
▪PostgreSQLをインストールするPCのOS:Windows10 64bit
▪PostgreSQL14.1
該当するダウンロードのアイコンをクリックすると自動的にインストーラーファイル『postgresql-14.1-1-windows-x64.exe』のダウンロードが開始されます。
ダウンロードが終了し、『postgresql-14.1-1-windows-x64.exe』をを起動するとインストールウィザードが始まりますので、次のウインドウが表示されたら[Next]ボタンをクリックしてインストールの設定を始めます。
※サイトが日本語表記になっていない場合は、ブラウザの翻訳機能を用いて、日本語に変換してみてください。
インストール先のディレクトリを指定しますが、特別な理由がなければデフォルト設定の「C:\Program Files\PostgreSQL\14」のまま進めて構いません。[Next]をクリックします。
PostgreSQLと※pgAdmin4にチェックが入っていることを確認したら、[Next]をクリックします。
※pgAdmin4とは、PostgreSQLデータベースの操作を専用画面から行えるツールです。
pgAdmin4を使わなくとも、「psql」ツールで操作は可能ですが、コマンド入力の必要があるため、初心者はpgAdmin4をインストールしておいた方が良いでしょう。インストールされるものを確認したら[Next]をクリックします。
続いてデータベースシステムのデータ保存先ディレクトリを指定をしますが、ここもデフォルトの「C:\Program Files\PostgreSQL\14\data」のままで構いません。ディレクトリーを確認したら[Next]をクリックします。
PostgreSQLにアクセスする際のパスワードを設定します。忘れてしまうとDBシステムにアクセスできなくなりますので、設定したパスワードは控えを取っておくようにします。設定するパスワードは誤打を防ぐために2回入力します。パスワードの設定ができたら「Next」をクリックします。
PostgreSQLとのやり取りを行う際のポート番号を設定します。PostgreSQLは慣例的に5432番ポートを利用していますので、特別な事情がない限りはこのまま[Next]をクリックします。
Localeの設定を行いますが、DefaultだとWindowsに設定されたものが引き継がれるため、そのままで構いませんので、このまま[Next]をクリックします。
次のウィンドウで、これまで設定してきたインストールのオプションを確認し、[Next]をクリックします。
PostgreSQLをインストールする
ここまででインストールの準備が整いました。[Next]をクリックしてインストールに移ります。
次のウィンドウが表示され、インストールの状況がバーで表示されます。
数分程度でインストールが終了し、次のウィンドウが表示されます。今回は追加でインストールするものはありません。[Stack Builder・・・]の前のチェックを外し、[Finish]をクリックしてインストールを終了します。
[Stack Builder・・・]のチェックを外し忘れると次のウィンドウ(スタックビルダ)が表示され、追加ソフトのインストールを確認されますが、ここでは特に追加するソフトがありませんので、「キャンセル」をクリックして終了します。
PostgreSQLとpgAdmin4の起動
PostgreSQLのインストールでは、デフォルトでPgadmin4も同時にインストールされます。このpgAdmin4を起動すると、PostgreSQLが起動されます。
インストールが正常に行われていると、WindowsのスタートメニューにPostgreSQLフォルダが追加されますので、その中にあるpgAdmin4をクリックしてみてください。
pgAdminの画面が表示されたら、「Set Master Password」のメッセージウィンドウが表示されます。ここで設定するパスワードはpgAdmin4を使用するためのパスワードです。任意のパスワードを入力をして「OK」ボタンをクリックします。
ちなみにPostgreSQLのダウンロード時にもパスワードを入力しましたが、それとは別のものです。(同じパスワードにしても問題はありませんが、パスワードを共通で用いると覚えやすい反面、セキュリティが甘くなりますので気を付けてください。)
パスワードの入力をした後、下のようなウィンドウになるとPostgreSQLとpgAdmin4との連携ができたことになり、それぞれのインストールが成功した証となります。
エンジニアがPostgreSQLを学んでおこう
ここまで、PostgreSQLの概要とpgAdmin4を含むPostgreSQLのインストール方法について解説してきました。無事にインストールできたでしょうか?
システム開発において、時には既存のデータベースを別のRDBMSに移行するケースがあります。移行ケースとして多いのは、OracleDBなどの商用DBからオープンソースのDB、MySQLやPostgreSQLへの移行作業です。
こうした移行ケースでは、Oracle系エンジニアとPostgreSQL系エンジニアの両方が必要になります。両方のDBを扱えるエンジニアがいれば、DBの移行は1人で済むことになります。
OracleDBをかじったエンジニアの方はぜひ、このPostgreSQLやMySQL、MySQLの発展形であるMariaDBなどを習得してみてください。複数のDBを扱えるエンジニアは活躍の機会が増えること間違いありません。
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