プロパー社員とは

「プロパー社員」という言葉自体は、聞いたことがある方も多いと思います。しかし、プロパー社員の定義や非プロパー社員との違いまでは詳しく知らない方もいるかもしれません。
ITエンジニアの中には、プロパー社員の方もいれば、協力会社の一員としてプロパー社員と一緒に仕事をされている方もいらっしゃるでしょう。よりよい関係を築いていくためには、まずプロパー社員の意味を正しく理解することが必要です。
この記事では、「プロパー社員」をテーマに、その定義からITエンジニアの「より良い働き方」や「プロパー社員」との付き合い方まで考えていきます。
プロパーとは
「プロパー」という言葉は広く使われています。プロパー社員・プロパー商品・プロパーカード・プロパー価格など、それぞれ意味は違いますが「プロパー〇〇」というのは多くあります。プロパーは英語の「Proper」から来ており、「適切な」「正確な」「特有の」といった意味があります。
ちなみに、英語で正社員は「A proper staff」とは言わず、「A permanents staff」と称します。
言い換えると「正社員」や「生え抜きの社員」という意味
プロパー社員は、一般的に言い換えると「正社員」や「生え抜きの社員」と呼ばれていますが、IT関係では「元請け社員」という言い方もあります。プロパー社員という言葉には、「新卒採用で入社した生え抜きの社員」「正規雇用された社員」「外部スタッフではない自社の社員」の3つの意味があると言えるでしょう。
上記のことから、プロパー社員の反対語としては「中途社員」「出向社員」「非正規社員」などが該当します。この3つとの具体的な違いについては後ほど詳しく解説します。

プロパー社員の年収
IT業界におけるプロパー社員に多い職種としては、システムエンジニアや社内SE、プロジェクトマネージャーなどの、さまざまな職種が該当します。これらの職種はどの程度の報酬を稼げるのでしょうか。ここではシステムエンジニアに絞って平均年収を算出してみます。
「マイナビエージェント 職種図鑑」でのシステムエンジニアの平均年収は431万円(※2024年11月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のエンジニア/プログラマを参考にすると、平均年収592万円でした。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業の平均年収は433万円なので、システムエンジニアの年収は大きく幅があり、年齢やスキル、勤める企業によって大きく変化すると考えられます。
システムエンジニアとして年収を高めるには、資格取得や実績を積む、待遇の良い企業へ転職するなどをして収入アップを目指せます。
【参考】:マイナビエージェント 職種図鑑 ※【平均年収 調査対象者】2020年1月~2020年12月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
プロパー社員と他の社員との違い

ここでは「プロパー社員」という言葉が他の社員と区別して使われる際の、他の社員との違いを見てみましょう。
職場でのプロパー社員
一般的な職場では、実にさまざまな種類や雇用形態の社員がいます。正社員でも新卒や生え抜きの「プロパー社員」以外に、中途入社の社員もいます。
「新卒と中途」と分けている例もあり、他に雇用形態で分けると、直接雇用でも正社員・契約社員・嘱託社員・パートタイマー・アルバイト、間接雇用で派遣社員がいます。
さらに、出向社員・外注先社員・委託先社員といった社籍が異なる社員もいます。このようにさまざまな社員がいますが、次項からはよく見られる分け方「中途社員」「非正規社員」「協力会社の社員」の3パターンを比較していきましょう。
プロパー社員と中途社員
同じ「正社員」でも、中途入社の社員と区別するために「プロパー社員」と表現している場合は、新卒入社の「生え抜き社員」を指します。
これは従来の終身雇用、年功序列制度に縛られた日本企業独特の分け方で、英語の「proper」とは全く意味合いが異なります。
年功序列が根強い企業では、新卒採用社員(プロパー社員)と中途採用社員で、同学歴・同年齢でも基本給に差が出ることもあります。また、退職金は勤続年数が長ければ長いほど金額が多いという傾向もあります。
ただ、ベンチャー系企業や実力主義の企業では中途入社組がむしろ優遇されている例もあります。
プロパー社員と非正規社員
正規雇用と非正規社員を区別する意味で、正規雇用社員を「プロパー社員」と呼んでいるケースがあります。「プロパー社員」と「非正規雇用社員」との大きな違いは雇用契約の内容です。
「非正規雇用社員」の代表格「派遣社員」は時給制で働いている社員が大半ですが、「プロパー社員」は基本給制が大半です。
また、「プロパー社員」は契約期間が定められていない無期雇用契約ですが、非正規雇用社員は半年や1年などの契約期間が設けられた有期雇用契約で、契約更新がされない場合契約期間満了の退職となります。福利厚生・退職金・企業年金などの制度面においても「プロパー社員」の方が恵まれています。
プロパー社員と協力会社の社員
外注先などと呼ばれる協力会社など、委託を受けて外部企業などから派遣されて業務に携わっている社員と区別する意味で、自社の社員を「プロパー社員」と呼んでいるケースがあります。親会社から子会社などに派遣される出向社員と区別する場合も同じです。

プロパー社員と法的問題

中途社員に対して新卒採用社員を「プロパー社員」と呼んでいる場合は、どちらの社員も同じ指揮命令系統に属しています。しかし、「プロパー社員」の定義によっては、プロパー社員と非プロパー社員で指揮命令系統が異なる場合があるので注意が必要です。
非正規社員に対して正社員をプロパー社員と呼んでいる場合、非正規社員のうち「派遣社員」に対する指揮命令権があるのは発注者側(プロパー社員側)です。また、業務委託(請負契約・準委任契約)で仕事をしている協力会社社員に対する指揮命令権があるのは、協力会社側です。
協力会社社員に対して発注者側が指揮命令を行うと違法な「偽装請負」となり、発注者側も受注者側も罰則を課せられます。思わぬトラブルに発展しないよう、それぞれの社員に対する指揮命令権の有無をきちんと確認しておきましょう。
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プロパー社員の特徴

派遣・委託・転職などで、何かと「プロパー社員」と接する機会が多いITエンジニアにとって気になるのは、「プロパー社員とはどういった人たちなのか」ということでしょう。
ここでは、中途社員などから見た「プロパー社員」の印象の例を以下に挙げます。
変化を好まない
他社での勤務経験がないため、「視野が狭く、機転が利かない」という印象を持たれることがあるようです。そのため、他企業での経験がある転職者や外部社員の中には「プロパー社員は世間知らずだ」と思う人もいるようです。
ずっと同じ職場で働いていると客観的な視点を持ちにくくなり、考え方や仕事のやり方に柔軟性を持たせるのが難しくなる可能性もあります。そういった点が、「保守的で変化を好まない」「発想に多様性がない」という印象を第三者に抱かせてしまう要因になるのかもしれません。
非プロパー社員と距離がある
プロパー社員から「疎外された、差別された」と感じる転職者・出向社員が少なくありませんが、これらは考え方や価値観の違いによるものが大きいでしょう。プロパー社員にとって、転職者や外部社員は馴染みにくい存在だと感じるケースがあります。
どうしてもプロパー社員は価値観が近く、接しやすいプロパー社員同士で集まってしまう傾向があります。昼食や飲み会などもプロパー社員同士でかたまってしまいやすいです。こうした面が、転職者や外部社員からみて自分が疎外されていると感じる要素です。
課題認識や問題意識が薄れがち
他社を知らず同じ会社で長く勤めていると、現状を疑問視することが薄れていきがちです。比較対象がないため、問題意識や課題認識を抱きにくくなってしまうのが保守的に思われる原因に繋がります。
プロパー社員にとって、転職者・出向社員・外部社員の視点は貴重です。現状打破・現状改革には第三者の視点が欠かせません。
自社への帰属意識が高い
プロパー社員の特徴として、自社への帰属意識(ロイヤリティ)が高いことが挙げられます。愛社精神が高い社員は企業にとっては望ましい社員ですが、自社ファーストが行き過ぎてしまうと、不正や不公正取引を招いてしまうこともあります。そのようなことが起きないよう、コンプライアンス教育などをしっかり行う必要があります。
プロパー社員との間で起こり得るトラブル

上記のような特徴から、プロパー社員と非プロパー社員の間に溝が生まれ、以下の例のようなトラブルに発展する可能性も考えられます。
待遇の違いによる摩擦
年功序列が根強い企業では、中途社員より勤続年数の長いプロパー社員の方が能力や成果に関わらず評価がされやすく、優遇されることがあります。
このような不平等性に中途社員が不満を抱き、プロパー社員に敵対意識を持ってしまうなど社員間に摩擦が生じ、人間関係や社員同士のコミュニケーション、業務にまで悪影響をもたらす恐れがあります。
閉鎖的な人間関係や価値観の違い
プロパー社員同士のつながりが強すぎるとコミュニティが閉鎖的になり、転職者や外部社員が疎外感を感じることがあります。プロパー社員同士は仲間意識が強く、中には派閥が形成されているケースもあります。
転職者や外部社員の意見を受け入れたがらないケースもあるようです。価値観や考え方の違いから意見が合わず、プロジェクトを進めにくくなることもあるかもしれません。
また、転職者や外部社員が持ち得ない情報網がある場合もあります。持っている情報の違いに加えて、外から見える公式な組織図上にはない独自の指揮命令系統や意思決定ルートがあると業務に混乱をきたす恐れがあります。
このような状況が続くと、コミュニケーションに支障をきたし意見や認識の違いがさらに大きくなる可能性も考えられます。
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プロパー社員との付き合い方

中途入社の社員・契約社員・派遣社員は、プロパー社員と仕事をする上でプロパー社員との間に良好な人間関係を築く必要があります。ITエンジニアの中には人付き合いが苦手という方もいらっしゃるかもしれませんが、良い仕事をするためにはプロパー社員と上手に付き合う方が良いでしょう。
ここでは、プロパー社員との上手な接し方について解説をしていきます。非プロパー社員としてプロパー社員と仕事をする際には、以下の3つのポイントを参考にしてください。
相手をリスペクトする
どんな相手とも仕事で上手に付き合う秘訣は、相手をリスペクトすることです。プロパー社員と共に仕事を進めていく中で、立場の違いなどから意見の相違が出てくることもあるでしょう。しかし、お互いに反感を買ってしまうような言動には注意しましょう。
相手を卑下したり、意見を頭ごなしに否定するようなことがあってはいけません。むしろ、プロパー社員の意見や立場を尊重しながら、そこにあなたのアイデアや提案を示せば、あなたの考えを受け入れてくれるでしょう。対立は何も生み出しません。協調してこそ得られるものがあります。
交流機会を増やす
良い人間関係を作るには、自分からアクションを起こすことです。自分から率先してプロパー社員との交流機会を増やしましょう。「同じ釜の飯を食う」と言うように、一緒に食事をしてみてはいかがでしょうか。
誘いを待つよりも、自分からプロパー社員の輪の中に入ることも大切です。食事を一緒にする中で次第にプロパー社員個々人のことが分かっていきます。中には同じ価値観を持つ人もいるでしょう。交流機会を増やすことで次第にプロパー社員との間にある壁が消えていき、仕事もしやすくなるはずです。
リーダーやキーマンと仲良くする
多くのプロパー社員がいる中、関わる人全員と仲良くしようとするのは無理があるかもしれません。仕事を円滑に進めるために人間関係を構築したいと考えるなら、キーマンと思われる社員、もしくはリーダー職の人と良好な関係を築く努力をしましょう。
リーダーやキーマンなど職場の中心人物と関係を深めることができれば、その周りにいる他の社員とも繋がりやすくなります。リーダー職の人物に認めてもらえると、他の社員からの信頼も得やすくなります。
また、リーダーから良い評価を得られることは、仕事をするうえで利点になります。あなたのアイデアや提言がリーダーに認められると、あなたのやりたいことも実現しやすくなるでしょう。リーダーやキーマンと仲良くすることは、自分にとっての働きやすい環境作りに役立つのです。
環境によっては転職も視野に
中途採用や非正規雇用で入社した場合、前述したようにプロパー社員との摩擦が生じてしまうケースがあります。これまで挙げたように相手をリスペクトしたり、交流の機会を増やしたりしてお互いの理解を深め合うのがベストですが、現実問題としてそれが叶わないケースもあるでしょう。
こういった人間関係含め、企業の待遇などにも不満がある場合は、思い切って転職も視野に入れてもいいかもしれません。特に、昨今はIT業界における人手不足が叫ばれています。エンジニアとして実績やスキルを高めておけば、転職によって好条件で迎えてくれる企業もあります。
資格を取得したりポートフォリオを作成したりして、実力を提示できるものを準備しておくといいでしょう。
プロパー社員との仕事を円滑に進めよう

ここまで、「プロパー社員」の意味やプロパー社員と仕事をするうえで知っておきたいことを解説しました。「プロパー社員」という言葉は、企業ごとに意味や使われ方が異なる場合があり、表立った場では使わない方が良いケースもありますので、使用する際には注意しましょう。
プロパー社員と外部社員との間に価値観の違いなどがあり、なかなか馴染めないこともあるかもしれません。反発し合わないためには、お互いに意見や立場を尊重し歩み寄ることが重要です。
しかし、職場によっては環境を変えた方がいい場合もあります。その際は、まずは自分の市場価値を確認し、優良企業と出会うための転職の準備を行いましょう。
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