Haskellとは?その詳細やメリット・デメリット、将来性などを解説
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Haskellとは?その詳細やメリット・デメリット、将来性などを解説
アンドエンジニア編集部
2021.12.07
この記事でわかること
Haskellとは1985年に発表された純粋関数型プログラミング言語
Haskellは豊富なライブラリがあることから速いスピードでシステム開発ができる
Haskellには「学習コストが高い」「遅延評価の扱いが難しい」というデメリットがある

そもそもHaskellとは

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Haskell(ハスケル)とは1985年に発表された、純粋関数型プログラミング言語を指します。Haskellは、一般的なプログラミング言語では容易にできることが難しい場合があります。一方、探索や構文解析などのように他のプログラミング言語では比較的難しいとされることが簡単にできる場合も少なくありません。ここでは、Haskellの詳細や特徴について詳しく紹介します。

純粋関数型プログラミング言語Haskellとは

これまでにも説明しましたが、Haskellは純粋関数型プログラミング言語のことです。Haskellは2010年以降目立つようなバージョンの変更はありませんが、今もなお活躍している言語の1つです。Haskellという名前は数学・論理学者の「Haskell Curry」の名に由来しています。

なお、関数型プログラミングとは、解決する課題に対して課題の性質を関数の組み合わせで記述していくプログラミング手法のことです。また、純粋関数型プログラミング言語には大きく分けると「純粋関数型」と「非純粋関数型」の2種類があります。*一般的にプログラミング言語として利用する場合、非純粋型言語が多いです。純粋型言語の代表例としてHaskellのほかに、MercuryやClean、Elmなどが挙げられます。

Haskellを使用する場合、変数を1度定義すると再代入を行うことができません。例えば、変数xを1000と定義した場合、xは1000から変更することができません。このことを「束縛」といいます。また同様に「束縛」は、関数にも適用されます。関数の引数に同じ値を指定すると、何度繰り返したとしても同じ結果になります。

この状態を「参照透過性が高い」といい、純粋関数型プログラミング言語特有の性質といえます。

Haskellの難易度

Haskellはプログラミング言語の中では、非常に難易度が高い言語とされています。難易度が高いと感じる原因には、遅延評価・モナドの複雑さがあげられます。難易度が高い反面、より高度な開発を行うことができますので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

Haskellの特徴

Haskellの特徴として、これまでに「純粋関数型プログラミング言語」「参照透過性」について解説しました。ここでは、さらに踏み込んでHaskellの特徴を3点ご紹介します。

1.手続き型言語としても利用可能

これまでにHaskellは関数型プログラミング言語と説明しましたが、手続き型言語としても利用することが可能です。なお、手続き型言語とは1つ1つのプログラムを手続き単位で記述を行ない、始めから順番に処理していく言語を指します。

2.遅延評価

Haskellでは最外簡約によって式の評価を行います。*したがって、Haskellの場合、基本的に必要になるまでは評価を行わないため「遅延評価」といえます。なお、最外簡約とは外側から簡約し、引数を簡約化せずにまず関数適用を実行します。

例えば、「square n = n × n」というように関数「square」を定義します。「square (3+4)」の場合、最外簡約だと引数を簡約化しないため、「(3+4)×(3+4)」と関数適用をまず実行します。

その後、「7×7」となり、最終的に49と値が求まります。一方、最内簡約も存在します。「square (3+4)」について最内簡約の場合だと、まず関数の引数を簡約化するため「square (7)」となります。その後、関数適用を実行するため、「7×7」となり、49と値が求まります。

3.モナド

関数型プログラミング言語において、モナドとはプログラムを構造化するための汎用的な抽象概念を指します。つまり、モナドとは値を操作するのではなく、操作手順を組み立てることで一連の計算を行う仕組みのことです。

代表的なモナドとして、Maybe型モナドやList型モナド、Reader型モナドが挙げられます。モナドについて学ぶ場合は、1つひとつのモナドを理解した後に全体について把握するようにしましょう。モナドは馴染みのない抽象的な概念であるため、説明を受けても混乱してしまうことが少なくありません。

Haskellのメリット・デメリット

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これまでにHaskellの詳細や特徴について解説しました。ここからは、Haskellのメリットとデメリットについて詳しくご紹介します。

Haskellの2つのメリット

ここではHaskellのメリットを2点ご紹介します。

1.プログラミングスキルの向上

Haskellの言語自体のメリットではありませんが、Haskellは純粋関数型プログラミング言語であることから、「純粋関数」と「非純粋関数」の区別を身に付けることができます。また、Haskellは正しいプログラミング方法を理解しなければコーディングを行なうことができません。

他のプログラミング言語と比較すると、Haskellについての理解不足がエラーとなって跳ね返ってくる場合が多いでしょう。したがって、プログラミングスキルの向上も期待できます。

2.開発効率の向上

Haskellのプログラミング言語について高度なスキルをもつプログラマーが開発を行うと、他のプログラミング言語よりも速いスピードでシステム開発ができ、開発効率の向上が期待できます。理由は、Haskellには関数やライブラリが豊富に揃えられているためです。

Haskellの2つのデメリット

もちろんHaskellにはメリットだけではありません。ここでは、Haskellのデメリットを2点ご紹介します。

1.学習コストが高い

Haskellは、他のプログラミング言語と比較すると異なる部分が多い言語といえます。そのため、他のプログラミング言語で学んだ知識をHaskellに活用することがほとんどできません。前述の通り、モナドのようにHaskellの仕組みを理解し、扱いこなせるレベルになるまでには時間と勉強量が多く必要でしょう。

2.遅延評価の扱いが難しい

Haskellの「遅延評価」は多くの場合、プログラムを実装する際に役立ちます。一方、「遅延評価」の使用の仕方を間違えるとシステムにかかる負荷が増大する可能性もあります。その場合、バグを取り除くデバッグの作業が大変といえるでしょう。

Haskellへの批判

Haskellはこれまでに解説した通り、多くの先進的機能を持ち、高度な開発の可能性を秘めた言語ですが、言語が複雑化しており、理解が困難であると批判の声が上がりました。

その問題を解決するために、 Bastiaan Heeren氏、 Daan Leijen氏、Arjan van IJzendoorn氏はHeliumと呼ばれる新たなインタプリタを開発し、いくつかの型クラスのサポートを取り除き、Haskell の機能の一般化を制限することによってユーザ親和性を改善しました。

Haskellの3つの用途と得意分野

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これまでにHaskellの詳細やメリット・デメリットについて解説しました。ここからは、Haskellを利用してできることを3つご紹介します。他にもゲーム分野など、さまざまな種類の製品を作成する際にHaskellは利用されています。

金融に関する分野

Haskellは信頼性が高いシステム開発に用いられる場合が多いです。そのため、銀行や証券会社、金融取引所などの厳格なシステムを必要としている金融関連分野において、Haskellは採用されます。また、財務分析などのWebサービスに関しても、Haskellを利用する場合もあります。

金融系SEとは?仕事内容や将来性、必要なスキルを徹底解説!

セキュリティに関する分野

金融に関する分野で述べたように、Haskellは信頼性が高いシステム開発に用いられる場合が多いです。よって、認証局サーバーやセキュリティの基盤を構築する際にもHaskellは有用といえます。オンラインを用いた契約、電子入札などにもHaskellは利用される場合も多いです。

科学や医療に関する分野

厳密な検証や解析できるHaskellは、研究に関する分野において使用されることもあります。特に、Haskellはデータ分析や科学的な解析に用いられることが多いです。また、暗号の解析やデジタル信号の処理などでもHaskellは使用されます。さらに、医療に関する分野では電子カルテなどに活用されたこともあります。

Haskellの将来性

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これまでに、Haskellの詳細や特徴、メリット・デメリット、Haskellを使用してできることについて解説しました。Haskellは信頼性が高いプログラミング言語であることが理解できたでしょう。

これまでは、金融やセキュリティなどの厳格なシステム開発をおこなう必要のある分野でHaskellは使用される場合が多く、それ以外の分野で活用される機会は少なかったです。理由は、Haskellのデメリットの部分でも説明しましたが、学習コストが高いため、Haskellを活用する企業が少なかったことが原因です。

近年では、Haskellが得意としているセキュリティに関する分野において、価値が再評価され注目を浴びるようになりました。また、Haskellのメリットの部分でも説明しましたが、開発効率の向上という観点よりHaskellを採用するスタートアップ企業やベンチャー企業なども増加しています。また、プログラミングスキル向上の観点からも優れているプログラミング言語であるため、Haskellの勉強会やセミナーなどの開催も増加しています。以上より、Haskellの市場価値は以前より上昇しているといえるでしょう。

これまでに、Haskellの詳細や特徴、メリット・デメリット、Haskellを使用してできることについて解説しました。Haskellは信頼性が高いプログラミング言語であることが理解できたでしょう。

これまでは、金融などの厳格なシステム開発を行う必要のある分野でHaskellは使用される場合が多く、それ以外の分野で活用される機会は多くありませんでした。理由は、Haskellのデメリットの部分で述べた学習コストが高いため、Haskellを活用する企業が少なかったことが原因です。

近年では、Haskellが得意分野としているセキュリティに関する分野において、価値が再評価され注目を浴びるようになりました。また、Haskellのメリットの部分でも述べた通り、開発効率の向上という観点からHaskellを採用するスタートアップ企業やベンチャー企業なども増加しています。

さらに、プログラミングスキル向上の観点からも優れているプログラミング言語であるため、Haskellの勉強会やセミナーなどの開催も増加しています。以上より、Haskellの市場価値は以前より上昇しているといえるでしょう。

Haskellのスキルを身に付けることで希少価値が高い人材となれる!

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これまでに、Haskellの詳細や特徴、メリット・デメリット、将来性、Haskellを用いてできることを解説しました。Haskellとは純粋関数型プログラミング言語を指します。Haskellは「学習コストが高い」「遅延評価の扱いが難しい」というように学習意欲を削ぐようなデメリットが多いですが、Haskellには開発効率の向上などのメリットもあります。

さらに、金融・セキュリティ・研究・医療など厳格なシステムが求められる分野でHaskellは使用されています。したがって、Haskellは信頼性が高いプログラミング言語ともいえます。

Haskellはセキュリティの分野で再注目され始めています。また、Haskellを扱える人材は非常に少ないため、Haskellを扱うことのできるスキルを身に付けることで、希少価値のあるエンジニアとして活躍できる人材となれるでしょう。

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