IoTとは?
IoTは「Internet of Things」の略を指し、全てのモノがインターネットに接続され、情報が相互に共有される仕組みを指します。IoTにおいては、情報共有される環境が整備され従来は不可能であったセンサーや機器にも搭載されることにより、これまでになかった用途での活用が期待されています。
IoTエンジニアは、IoT機器で実装されるハードウェアおよびソフトウェアを適切に設計・構築し、安全に動作させるエンジニアとなります。
IoTエンジニアの仕事は?
IoTエンジニアは、機器を組み込みや取付可能な収容スペースを考慮し機能搭載のための企画設計を行い、実際のハードウェアとソフトウェアのコンポーネントを収容していきます。
そのため、電子部品等のハードウェアの知識や、組込み用CPUとOSを利用するコンピュータ知識が求められます。併せてデータ入出力やインターネット接続のネットワーク知識、並びに安全性を高めるセキュリティ技術が必要です。同様に収集したデータを解析するためのAI技術や統計技術、およびデータ処理のためのプログラミング言語であるPython、C、C++、Javaを用いて開発します。
IoT市場ならびにIoTエンジニアの将来性
今後IoTの活用用途が個人用途・産業用途の双方から広がるとともに、市場に関してもさらに拡大していくとの予測が出ています。ここでは、IoTの活用用途を個人と産業という観点に分けて解説するとともに、市場性について触れていきます。
IoTの市場性は?
IT専門調査会社「IDC Japan」は、国内IoT市場産業分野別予測とユースケース別の事例考察を発表しました。公表内容によると、主要産業分野(13業種)では組立製造、プロセス製造、官公庁、公共/公益、小売、運輸がIoT市場の伸びが著しいようです。
同様に、個人消費者用途では2025年にはスマートホーム(家電)、スマートホーム(オートメーション)といったユースケースがけん引するとの予測がでており、組立製造に次いで2番目に大きい市場になります。
また、農業フィールド監視、小売店舗内リコメンド、院内クリニカルケア、スマートグリッド/メーター、EV充電設備管理、テレマティクス保険なども2020年から2025年にかけて年平均成長率(CAGR)10%前後の高い成長が予測されています。
参考:国内IoT市場 産業分野別予測とユースケース別の事例考察を発表
今後5Gによる高速・広帯域網が整備されると、さらに遠隔操作や接続機器が活用される可能性が広がります。そのため、あらゆるものがインターネット接続されるIoTの市場はさらに拡大するでしょう。同様に市場拡大に伴い、IoTエンジニアの需要がさらに高まるのは確実でしょう。
IoTを担当する先端IT人材の需給動向
経済産業省ではIT人材がどの程度要望されているか、2030年に向けた供給人材数の試算結果を公表しています。IoTを含む先端IT人材は今度さらに必要性が高まると予測されていますが、供給が追い付いていない需給ギャップが発生すると予測されています。
同様に、情報処理推進機構(IPA)の「2019年度組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」によると、IoT技術は重要な技術として今後さらに強化を予定する技術領域と位置付けています。そのため、IoTを担当するエンジニアは今後重要なIT人材として市場価値がさらに高まるでしょう。
参考:経済産業省 平成30年度 IT人材需給に関する調査報告書
参考:情報処理推進機構(IPA) 2019年度組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査
IoTエンジニアの市場性は?
経済産業省による「平成30年度 IT人材需給に関する調査報告書」や情報処理推進機構(IPA)による「2019年度組込み/IoT産業の動向把握等に関する調査」でも触れましたが、IoTエンジニアの人材数がIoT市場の需要に追い付いていない状況が続いています。
IoTの市場は急速に拡大していますが、需給ギャップが生じているとみられます。
理由としては、IoT機器に関するハードウェアの技術が求められるものの経験を積むための場が限られているため、技術者が育ちにくい状況が続いているためです。したがって、実際にIoTエンジニアとして採用された場合は、実務での活躍の期待に加えてIoTエンジニア育成の教育者としての役割が広く求められるでしょう。
IoTエンジニアの年収と今後のキャリアパス
IoTエンジニアはIoT機器のハードウェア知識も含めて広範囲の技術領域をカバーする必要があります。そのため、継続的に成長を続けるのは容易ではありません。ここではその先に待っている、IoTエンジニアにとって気になる年収と今後のキャリアパスについて触れていきます。
IoTエンジニアの年収
IoTエンジニアは、求人情報によると平均年収400万から700万円程度となっています。さらに専門性を高めることにより、1,000万円以上の募集もあるようです。年収アップを狙うには継続的な知識吸収と実践が必要ですが、チャレンジする価値は高いと言えるでしょう。
IoTエンジニアのキャリアパスは?
IoTエンジニアはIoTの専門家となりますので、その専門性を高めていくことが良いでしょう。その他、実務で関連するAI知識はAIエンジニアとして活用できますし、セキュリティ技術はセキュリティエンジニアとして活用が可能です。
そのため、複数の市場へチャレンジすることができるでしょう。加えて今後市場拡大が見込まれるロボット制御の知識を蓄積することで、制御エンジニアの道も目指すことも可能です。
IoTの市場拡大に伴いIoTエンジニアの需要がさらに高まります
未経験からIoTエンジニアになるための方法
未経験からIoTエンジニアとして活動するには、プログラミングをはじめとするソフトウェア・ハードウェアの両分野を理解しておく必要があります。
プログラミング言語についてはプログラミングスクールや書籍などで独学で学ぶことが可能ですが、ハードウェアの知識に関しては、実務で身に着けたIoTエンジニアが多いようです。
ここではIoTエンジニアを目指している方へ向けて、おすすめの資格や参考書を紹介します。
IoTエンジニアにおすすめの資格
IoTエンジニアとして活動する上で、IoT検定制度委員会の「IoT検定」とMCPC検定試験の「IoTシステム技術検定試験」がIoT知識レベルを認定する試験となります。資格取得によりIoTスキルの専門性が証明されるため、資格取得をおすすめします。
その他、情報処理推進機構(IPA)が認定する国家資格として「エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)」があります。こちらはIoTという区分ではありませんが、広範な組込みシステムのエンジニアとしてスキルレベルが認知されています。そのためIoTエンジニアのみならず組み込みエンジニアや制御エンジニアを目指す方もおすすめの資格です。
参考:情報処理推進機構(IPA) エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)
IoT学習で必要なプラットフォームは?
IoTシステムでは、組込みOSとしてLinuxやWindowsを用いるケースが多いです。そのため、Raspberry Pi等市販の組込みシステムを用いてスキルアップを図ることができます。同様に、スマートデバイスとしては、AppleのiOSやAndroidでアプリケーション開発を進めることが多いので、API学習を進めることができます。自己学習を始める際に選ぶプラットフォームとして最適です。
IoT学習におすすめの参考書
IoTの基本・仕組み・重要事項が全部わかる教科は、題名の通りIoTの基本を把握できる参考書です。IoTエンジニアとしての開発解説本を読み進める前に、きちんと基礎知識と仕組みを理解しておくことが重要です。
改訂新版 IoTエンジニア 養成読本はIoTシステムの構成要素である「センサ&デバイス」「ネットワーク」「クラウド」「アプリケーション」「セキュリティ」をそれぞれ順に沿って解説することによって、IoTエンジニアが理解しておくべき領域を把握できる構成になっています。
IoTエンジニア養成読本 設計編は上記で紹介した養成読本の設計編であり、ソフトウェア・ハードウェアの両面の観点から、IoTシステムの構築について解説されている参考書です。基本を理解した後にこちらの参考書でより実践的な知識を身につけることをおすすめします。
IoTの市場拡大に伴いIoTエンジニアの需要がさらに高まります
IoTは全てのモノがインターネットに接続され、情報共有が加速していきます。そのため、情報活用による新しい市場が開拓されるでしょう。特に5Gによる高速・広帯域網が整備されることによってセンサーをはじめとする多様な機器が遠隔で情報共有される時代が訪れます。
IoTエンジニアはIoT機器の設計・開発・構築を担当しますので、活躍の場がさらに広がるでしょう。ぜひこの機会を活用しキャリア選択の幅を広げましょう。
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