エンベデッドシステムスペシャリストの合格率は低い?
国家資格の1つであるエンベデッドシステムスペシャリストについて、難しそうな資格であることをイメージされる方は多くても、その資格の詳細や試験の合格率をご存知でない方も多いのではないでしょうか。組み込みシステムを表すエンベデッドシステムに対して、職種から関心のある方も少なくないはずです。
本記事では、ES資格として知られる同資格について、その試験概要や合格率から難易度を解説するとともに、活かせる仕事も紹介していきます。
合格率は低く難関だが、組み込み開発全般に活かせる
結論から言えば、エンベデッドシステムスペシャリストの難易度は非常に高いと言えます。後述しますが、合格率についても2割以下で低く、論文形式の出題もあるため、数あるIT資格の中でもトップクラスの難易度です。
一方で、身近なものからニッチなものまで幅広い機器を支えている組み込みシステムの専門家であることを証明する本資格は、取得することで組み込み開発に関わるあらゆる職種で活かすことができます。組み込み開発に関わるエンジニアへと転職を考えているならば、その難易度に見合ったメリットがある資格と言えるでしょう。
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エンベデッドシステムスペシャリストとは
まずはエンジニアシステムスペシャリストについて、どのような資格試験が行われるかを説明していきます。また、同資格取得を想定した際の年収額の参考値も紹介します。
試験の概要
エンベデッドシステムスペシャリストはIPAが主催しているIT系のスペシャリスト資格であり、情報処理技術者試験の中でも最高難易度のレベル4に分類されています。
国家資格として認定されている同資格の対象者像は、公式サイトにおいて「組込みシステムの開発に関する知識を活用してハードウェアとソフトウェアの仕様の策定や設計を行う者」と定義されています。そうした対象者像から、組み込みシステムに関してハードとソフトの両面の知識が問われる試験であることがわかります。
合格率から見る難易度
本資格試験の難易度はどの程度なのでしょうか。合格率から見た場合、本試験の合格率は平成21年から令和4年の平均で17.1%です。
一段階の下の難易度である応用情報技術者試験が21.9%であり、あまり差がないと感じられるかもしれません。しかし、受験者数は本資格試験が約2,000人に対して約36,000人と大きく差があり、知識も経験もある少数の受験者の中でも2割弱しか合格しないということはかなりの難易度であることがわかります。
【参考】:情報処理技術者試験の統計情報
出題形式
エンベデッドシステムスペシャリスト試験には、どのような問題が出題されるのでしょうか。試験自体は、午前I・午前II・午後I・午後IIの4つに分かれており、合計5時間にも及びます。午前の部は全て選択形式ですが、午後の部はいずれも記述式です。特に午後IIは論文形式の回答を求められるため、本資格試験の山場とも言えます。
出題範囲は前述の通り、組み込み開発全般に関して出題される形ですが、ソフトウェア設計だけでなくハードウェア設計に関する内容も出題されます。さらに、事業戦略や製品企画に関する部分も出題範囲に含まれており、設計者レベルの知識だけでなく、経営層に近いレベルの知識も求められていることがわかります。
【参考】:試験概要
エンベデッドシステムスペシャリスト取得者の年収
エンベデッドシステムスペシャリストを取得したエンジニアは、どの程度の年収が期待できるのでしょうか。後述しますが、代表的な職種として組み込みエンジニアを例にとります。
システムエンジニア(制御・組み込み)の年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング」での平均年収は455万円、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のSE・プログラマ(組み込みソフトウェアの開発・実装)を参考にすると、平均年収603万円と分かりました。
国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムエンジニア(制御・組み込み)は一般平均年収よりも、高めであることが分かります。
組み込みエンジニアはハードウェアの知識も求められる難易度の高い職種であり、年収自体も他のITエンジニアよりもやや高めです。キャリアアップして組み込み開発におけるマネージャーになることができれば、さらに高い年収を期待することができるでしょう。
【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング ※【平均年収 調査対象者】2019年12月~2020年5月末までの間にマイナビエージェントサービスにご登録頂いた方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁
エンベデッドシステムスペシャリストを活かせる仕事
試験の難易度を含めた概要について理解できましたが、ES資格はどのような職種で活かせるのでしょうか。具体的な職種ごとに紹介していきます。
組み込みエンジニア
資格の名の通り、組み込みエンジニアが最も同資格を活かせる職種です。
組み込みエンジニアはプログラミングなどのソフトウェア技術だけでなく、電気回路を含めて幅広い知識を必要とする職種です。そういった広範囲かつ高度な知識が必要だからこそ、エンベデッドシステムスペシャリストの資格を取得することで、適性を証明することができます。
そういった証明は他職種から組み込みエンジニアへの転職をする助けとなるでしょう。また、公式サイト上での説明や出題範囲から、IoT関連の組み込みシステムに対する知識をアピールすることもできるため、IoT関連の企業へ転職する際にも有利になるはずです。
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フルスタックエンジニア
システム開発において、複数の役割を担うことができるフルスタックエンジニアを目指すにあたっても本資格は役に立ちます。
フルスタックエンジニアを目指すために、フロントエンド・バックエンド・OSなど様々なスキルを身に付けている方も多いでしょう。ただ、世の中の多くの製品には組み込みシステムが使われており、幅広い業界でフルスタックエンジニアとして活躍するためには組み込み開発のスキルが必要不可欠です。
組み込み開発にも参画できるスキルを証明するためにも、エンベデッドシステムスペシャリストの資格の取得はその助けになるでしょう。
エンベデッドシステムスペシャリストの攻略方法
最後に、同資格を取得するための攻略方法を紹介します。取得を考えている場合は、合格に向けた勉強方法をここで知っておきましょう。
参考書を使って勉強する
試験対策の基本として、参考書を使って勉強する方法がまず挙げられます。出題範囲が広く、要求される知識が多いからこそ、必要な知識が凝縮されて分かりやすい書籍が有効です。例として「情報処理教科書 エンベデッドシステムスペシャリスト 2021〜2022年版」がおすすめです。
■情報処理教科書 エンベデッドシステムスペシャリスト 2021~2022年版 ▪著者:牧 隆史、松原 敬二 ▪ページ数:620ページ ▪出版社:翔泳社 ▪発売日:2020/9/23 【参考】:情報処理教科書 エンベデッドシステムスペシャリスト 2021~2022年版
過去問を使って勉強する
必要な知識全般を身に付けられたら、次にやるべきは過去問です。情報処理技術者試験は公式サイトで過去問を全て入手可能なので、有効活用しない手はありません。
過去問を解く目的の1つとして、試験の時間配分の確認があります。時間の限られた試験の中でどのようなペースで問題を解いていけばよいのか、それをしっかり体感して覚えておかなければ試験突破は難しいでしょう。
もう1つには、レベル4試験特有の論文問題対策があります。論文作成は、普段の業務や他の資格試験で行うことは少なく、過去問を解くなどして問題に慣れていなければ突破は非常に困難です。採点の基準も、記述内容が設問に対して論理的かつ妥当性のある主張であるかを見ており、丸暗記のような形は難しいでしょう。しかし、練習を重ねれば、そういった文章を書けるようにもなっていくでしょう。
【参考】:試験の過去問題
エンベデッドシステムスペシャリストに合格して新たなキャリアを目指そう
本記事では、国家資格であるエンベデッドシステムスペシャリストの概要や難易度、活かせる仕事に加えて、その攻略方法も紹介しました。
同資格がどのような立ち位置で、役に立つ場面はどういったところかがイメージできたのではないでしょうか。同資格を取得したのならば、次はそれを活かせる企業に転職することも考えられます。しかし、数ある企業の中から、資格を活かせる自分に合った企業を探すことは非常に困難です。
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