システムエンジニアは残業が多い?
システムエンジニア(SE)は、クライアントの要求に応じて最適なシステムの開発を行うITエンジニアの職種の1つです。
インターネットなどでは、システムエンジニアは残業が当たり前、残業ばかりだ、という声を聞くことがあります。実際にシステムエンジニア同士でも、お互いの残業時間の長さの話題になることもあります。
しかし、そもそもシステムエンジニアの残業が多すぎるというのは本当なのでしょうか。そして、残業が多いのであれば、少しでも残業を減らすことはできないのでしょうか。
この記事では、システムエンジニアとしてキャリアを考える方のために、まずシステムエンジニアの残業時間がどれくらいなのかを確認し、その仕事内容や、残業が多くなりがちなのはなぜなのか、残業を避けるために何ができるのか、などについて解説していきます。
システムエンジニアの平均残業時間は?
それでは、まずはシステムエンジニアの残業がどれくらいなのかを確認しましょう。
厚生労働省による2022年(令和4年)9月の統計では、システムエンジニア(情報通信業)の一般労働者の残業時間は月16.1時間となっています。
月16.1時間というと、一般的なイメージとは違い、あまり多くない印象かもしれません。
しかし、これは全体の平均であることに気をつける必要があります。企業の残業抑制の取り組みや、関わっている案件の内容により残業が少ない人がいる一方、極端に長い残業時間を強いられるシステムエンジニアがいるのも事実です。
【参考】:毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果確報|厚生労働省
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システムエンジニアの仕事内容とは?
システムエンジニアは、クライアントに依頼を受けてシステムの開発を行います。クライアントから業務内容をヒアリングして要件定義を行い、設計・開発・テスト・リリース、場合によってはその後の運用までを手がけます。
クライアントの要望をヒアリングして要件定義を行う
クライアントから開発するシステムを使ってどのような業務を行いたいのかをヒアリングします。管理者や現場担当者から話を聞いて課題を見つけ、業務改善や効率化を目指した最適なシステムを提案しながら、クライアントの要求に従って要件定義を行います。
基本設計・詳細設計を行う
要件定義の次のフェーズは設計です。まず、システムの具体的な機能を定め、基本的なシステムの画面構成や画面遷移などの基本設計を行います。基本設計書は、クライアントなど専門的なことに詳しくない人にも、そのシステムがどのような動作をして何を実現するか、分かりやすく書かれていることが重要です。
基本設計が終わったら、次は詳細設計を行います。詳細設計は、実際にプログラマーがコーディングするのに必要な指示書となるもので、各機能がどのように動作するか、必要な機能を満たすにはどうするかを具体的に落とし込んで作成します。
開発チームのリーダー業務
基本設計書・詳細設計書をもとに、プログラマーがコーディングを行なっていきます。システムエンジニアは、開発チームをまとめるリーダーとしての役割も担います。
必要なプログラマー人員を調達したり、進捗を管理したり、開発中に発生する様々なトラブルに対処したります。その間、クライアントと対話を重ね、仕様の変更や追加の要求があれば設計書に追加や変更を加え、プログラマーに開発指示を出していきます。
テストの実施
コーディングや開発フェーズの進度に応じて、単体テスト、結合テスト、システムテストなどを行います。必要な量のテストを繰り返し、しっかりとバグを検出して潰していくことが、システム品質の向上のために必要となります。
運用・保守の計画
コーディング・テストが終了し、システムをクライアントに納品して終わりの案件もありますが、運用と保守を継続して担う案件もあります。運用では、安定して稼働すること、運用中でも必要に応じて改修すること、障害発生時の復旧対応などが求められます。
システムエンジニアはなぜ残業が多い?
ここでは、システムエンジニアの残業が多くなってしまう理由について解説していきます。いくつもの理由が重なって、結果的に残業時間が増えてしまう傾向があります。
クライアントのスケジュールに合わせなければならない
システムエンジニアの仕事は、クライアントの納期に合わせることが最優先されます。クライアントが厳しい納期を要求してきても、納期を守るように開発を進めなければならず、残業が必要になることもあります。
途中でトラブルが発生したり、予期しない不具合が発生したりしても、当然それを理由に納期を延ばしてもらうことは困難です。進捗の遅れを取り戻すために長時間残業しなければならないこともあるでしょう。
何度も仕様変更を要求される場合がある
システム開発でよくあることの1つが、クライアントからの仕様変更の要求です。
IT関連に詳しくないクライアントの場合、「画面のボタンを1つ増やすだけ」「表示項目を1つ変えるだけ」などであれば簡単だろうと想像して変更を要求してくることがあります。しかし、開発する側としてはその箇所の設計書の書き直し、影響する他の機能の変更など、想像以上の負担がかかるものです。
厳しい納期であっても、クライアントの要望に沿ったものを納品することがシステムエンジニアの役割です。仕様変更の要求があっても納期に間に合わせるために、残業せざるを得ない状況になるケースがあります。
システムエンジニアの人手不足のため
ITエンジニアは人手不足の傾向にあると言われています。経済産業省の報告でも、2030年には45万人程度IT人材が不足するとの試算が出ています。
人手不足に加え、開発プロジェクトを担うには知識と豊富な現場経験が必要となり、即戦力になれるシステムエンジニアは重宝されます。その結果、人によって業務が集中し、残業せざるを得ない状況になる場合があるものと考えられます。
【参考】:IT人材の育成(METI/経済産業省)「IT人材需給に関する調査」について 報告書本体
システムエンジニアが残業を減らすための対策とは?
システムエンジニアの残業が多い理由はお分かりいただけたと思います。業界全体として残業を減らす動きもあり、改善されつつある部分もありますが、システムエンジニア個人や開発チームとして残業を減らすためにはどうすれば良いのでしょうか。
仕事の効率を上げる
残業を減らすためにまず考えられることは、仕事の効率を上げることです。近年は、業務の自動化、DX化(デジタルトランスフォーメーション)などが注目を集めています。日々の業務の中で、定型業務や単純作業があれば、自動化ツールの導入や開発で時間短縮を図ることができる可能性があります。
チームメンバー内で時間が日頃時間がかかっている定常業務をピックアップして、ルーティン作業を自動化できるRPAツールを利用したり、業務効率化のアイデアを全員で共有したりできれば、その分チームの業務効率が上がり、全体の作業時間も短くなって、残業を減らすことができるでしょう。
日頃から、「この業務は自動化・効率アップできるのでないか」とアンテナを張って、効率化のタネを見逃さないようにすると良いでしょう。
業務を分散する
残業が多くなる理由の大きなものの1つが、自分で仕事を抱え込んでしまうことです。システムエンジニアは、クライアントやチームのプログラマなど多くの人と関わるため、タスクが集中しやすい傾向があります。
そのため、ひとりで仕事を抱え込みすぎずに、他の人に任せられることは任せることが必要です。手の空いたメンバーに適宜作業を振って業務の分散を図ることで、残業の抑制につながるでしょう。
グループウェアやチーム内Wikiを活用し、テンプレートやマニュアルを用意して他の人にも仕事が見えるようにすると良いでしょう。
時間の使い方と予定の立て方を見直す
残業が発生するのは、定時の時点でその日行うべき作業がまだ残っているということです。言い換えれば、残業時間を減らすためには、1日の行うべき作業を決めて、定時前までにはやるべきことを済ませておく時間の使い方が重要です。
1日の予定を立てずに業務を開始すると、いつの間にか業務を詰め込みすぎてしまったり、反対に余裕があると勘違いしてすべきことを後回しにしてしまい、定時前にの時間帯に業務が集中して、残業せざるを得ない状況になりやすいです。
そのため、1日の中で、何をどこまでやるかの線引きをしっかりと決め、その目標に向かって前倒し気味の意識を持って作業を進めることが、残業を減らすポイントです。
転職して職場環境を変える
残業への捉え方は人それぞれで、残業はきついと思う人がいる一方、残業代が出るなら働きたいと考える人もいます。それぞれのエンジニアが、自分が望む環境で働けることが重要です。
個人的に残業を減らす努力をしても、企業自体の体質や職場環境などの要因で残業が続き、自分にとって大きな心身への負担になるようであれば、思い切って転職して環境を変えることも解決方法の1つであると考えましょう。
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システムエンジニアも効率化により残業の少ない業務を
ここまで、システムエンジニアの残業の実態や仕事内容、残業が多くなる理由、改善のためにできることを解説してきました。システムエンジニアの残業を取り巻く状況を把握していただけたと思います。業務効率化のタネを探して改善することが、残業時間を減らすことにつながります。
また、これからシステムエンジニアを目指して転職する方は、できるだけ残業の少ない企業を探して転職するのがおすすめです。とはいえ、転職活動を行っても希望する条件を満たす企業を探すのはなかなか難しいものです。
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