エンジニアのパソコン2台持ちは当たり前?
政府のテレワーク推奨方針や企業側のテレワークニーズの高まりの後押しもあり、リモートワークが浸透しており、その影響もあってパソコンの2台持ちが当たり前になってきました。総務省の令和3年情報通信白書※によれば、所在地が東京都の大企業におけるテレワーク実施率は70%前後に達しています。
また業種で比較すると情報通信業が最も高く、エンジニアの働き方としてテレワークが定着していることが分かります。他、大学生もオンライン授業が一般化し、メインとサブPCの2台持ちをする学生が増えているようです。こうした働き方や勉強方法の変化が、パソコン2台持ちの要因の1つと考えられます。
さて、パソコンの2台持ちには、テレワーク以外にどのような使い道があるのでしょうか?2台持ちのメリット・デメリットには何があるのでしょう。
この記事ではパソコンの2台持ちにフォーカスして、エンジニアの皆さんに役立つ情報を中心に紹介をしていきます。2台持ちやサブPCが必要か否かを知りたい方、既に複数台を保有し、その有効活用をしたい方はぜひ参考にしてみてください。
【参考】:※テレワークの実施状況|令和3年情報通信白書|総務省 【参考】:※リモートワークに最適な職種7選と求められるスキル|マイナビAGENT
パソコンを2台持つ理由
複数のパソコンを利用している方の中には、会社からリモートワーク用として支給された方もいますが、ここでは自身の考えで2台持ちをしている方に絞って、その理由を探ってみましょう。2台目パソコンは外出先での利用を前提に、持ち運び利用が可能なノートパソコンを選択するという前提で記事を進めていきます。
自宅用とモバイル用の使い分け
電子情報技術産業協会(JEITA)発表の「国内パソコン出荷統計※」によると、2021年度のノートパソコン構成比は84.3%に達しています。また、ノートパソコンの内、約4割はモバイルノートが占めていることから、2台目のパソコンをモバイル用途で購入している方が多いと推察できます。
【参考】:※2021年度パーソナルコンピュータ国内出荷実績|JEITA
仕事用とプライベート用の使い分け
フリーランスやサラリーマンの副業などで、仕事で利用するパソコンに関わる費用は事業経費として認められます。そのため、 仕事用とプライベート用とに分けてパソコンを2台所有する人がいます。また、プライベート用のハイスペックな2台目PCをゲーミングPCにしている方もいます。
OSごとにパソコンを分けて利用
個人で利用する主なパソコンOSは大別すると、Windows・Mac・Linux系に分かれます。
Windowsパソコンに仮想環境を用意し、MacOSやLinux系OSをインストールし、1台のパソコンで複数のOSを使い分けることは可能ですが、1台にすべて集約すると故障時のリスクが増す、というデメリットがあるため、OSごとにパソコンを分けて利用するという方がいます。
低スペックの旧式パソコンの再利用
OSはバージョンが上がると、機能が増えパソコンに求められるスペックが上がります。例えば、Windows10で利用していたパソコンが必要スペックの不足により、Windows11にアップグレードできないというケースがあります。
こうしたケースでは、利用しなくなったパソコンを Linux系の軽量OSをインストールして開発専用マシンとして活用する方がいます。
パソコン2台持ちのメリット
ここではパソコンを2台以上持つメリットについて見ていきましょう。パソコンの2台持ちを検討している方は、主にどのメリットを目的として2台持つのか、良く考えてから機種選びをすることをおすすめします。
場所や用途によって使い分けられる
パソコンを2台持ちすることで、自宅用とモバイル用、仕事用とプライベート用などの使い分けが可能となります。モバイル用途では、自宅では居間やキッチンなどで利用したり、外出先では喫茶店、ショッピングモールで利用したり、場所を問わず利用したりすることができます。
バックアップとして利用できる
バソコンが1台しかない場合は、その1台が故障すればパソコンが一切使えなくなります。Web閲覧程度であればスマホで代用できますが、それ以外の用途では修理が済むまで不自由を覚悟しなければなりません。パソコンが2台あれば、1台が故障しても他の1台で肩代わりができるため安心です。
作業効率が上がる
1台のパソコンで重い処理を複数行うと、パソコンのパフォーマンスが悪化し、時にはリソース不足でフリーズや処理ストップが起きることがあります。また、限られた画面スペースで同時に利用すると、視認性や操作性が悪化します。
この点、2台のパソコンを使い分ければ、1台のパソコンで執筆や事務作業などを行い、他のパソコンで検索を行うといったことが可能になり、作業の効率をアップさせることができます。
パソコン2台持ちのデメリット
パソコンの2台持ちは様々なメリットが期待できる一方でデメリットもあります。デメリットをよく理解した上で、デメリットの回避策、最小化策を講じて2台を有効活用するようにしましょう。
所有コストの負担が大きい
所有するパソコンが増えれば増えるほど、購入コストに加えて維持コストが掛かります。有償ソフトを利用する場合でも、1台ごとに課金される場合があります。2台目の用途次第では、比較的安価なタブレットを利用するなどの方法も検討してみると良いでしょう。
同時利用で広い作業場所が必要
1台目のパソコンが既に机を専有しているようなケースでは、モニターアームの利用など、2台同時利用する時のパソコンの置き方を工夫し、作業場所を確保する必要があります。
さらに、メインとサブPCのいずれもノートパソコンの場合には、ノートパソコンスタンドを利用して、上方向にパソコンを設置するなどの工夫が必要です。限られた卓上スペースを効率的に利用できる家具やグッズは豊富にありますので、これらの購入や利用をあらかじめ検討しておくと良いでしょう。
ノートパソコンは寿命が短い
ノートパソコンは1台に機能が凝縮されており、移動して利用することも多いため寿命はデスクトップよりも短いと考えてください。またバッテリーが内蔵されていることなどから、バッテリーの消耗を考慮する必要があります。
ノートパソコンに搭載されているバッテリーは、充電回数が500回程度の充電を繰り返すと劣化が始まります。早ければ2〜3年で劣化が始まりますので、パソコンを高温下で利用する、ディスプレイの輝度を最大にする等の過酷な条件下に置かないよう努めましょう。
パソコン2台持ちで気をつけたいこと
2台以上のパソコンを快適かつ安全に有効利用するためには、いくつか気をつけておきたいことがあります。以下に挙げるような対応を施すことで、パソコン2台持ちがさらに便利で快適になりますので、ぜひ試してみてください。
セキュリティリスクへの備え
2台目のパソコンを外出先で利用する場合には、セキュリティ対策をしっかり講じておくことが重要です。誰でも自由に利用できるフリーWifiを利用する場合、暗号化されていないWifiでは通信を盗聴される可能性があります。
また、時にはなりすましのアクセスポイントが設けられていることもあり、うっかり接続すると、アカウントやパスワードを盗まれることがありますので注意が必要です。
モバイルルーター代わりに利用できる、テザリング機能付きのスマホを利用して通信をしたり、暗号化通信に対応していないHTTPS化されていないサイトへのアクセスを避けたりするなどの対策が必要です。
データの非同期の回避
パソコンの2台持ちで問題になるのは、データの非同期です。それぞれのパソコンでデータを更新することにより、パソコンのデータに非同期が生じます。どちらのデータが最新なのか、常に注意を払う必要があります。
こうしたデータの非同期を避けるためにクラウドサービスの利用をおすすめします。MicrosoftのOneDriveやGoogle Driveなどを利用すれば、どちらのパソコンから更新しても自動的にデータの同期を取ることができます。
OneDriveではMicrosoftアカウントがあれば、Mac OSやiOS、Linux系OSのパソコンやスマホとデータの共有ができますので、利用をおすすめします。
【参考】:※無料のクラウド ストレージ - ファイル共有 | OneDrive 【参考】:※個人向けのクラウド ストレージ | Google
非常時の電源確保
大変便利なパソコンですが停電や、バッテリーの長時間利用によって、使用できなくなってしまうリスクがあり、非常時の電源の確保が重要です。ノートパソコンでUSB-Cタイプから電源供給が可能なタイプを選択しておくと、災害発生時にモバイルバッテリーや自動車などから電源を取ることが可能です。
代替策としてデュアルディスプレイを検討
2台目のパソコンを持ち歩かず、外出先などで使う予定がない方は2台持ちの代わりにデュアルディスプレイを検討してみるとよいでしょう。現在使っているパソコンに外部ディスプレイを繋げることで、デスクトップを広く使え、作業スペースが2倍になります。
このデュアルディスプレイ機能の活用により、1台のパソコンがあたかも2台あるかのように利用することできます。しかもメインPCとサブPC間ではコピペができませんが、デュアルディスプレイでは通常通りにコピペができますので、利便性は高くなります。
並列処理よりはマルチコアPCを選択
複数台のパソコンを並列に繋いで、並列処理による高速化を図ってみたいと考える方がいます。理論的にはパソコンの並列接続でソフトウェア処理の高速化は可能ですが、別途クラスタ技術や高速ネットワークが必要になり、2〜3台程度のパソコンを接続して並列処理を行うのは非効率です。
高速処理を実現したいのであれば、従来のプログラムがそのまま使えるマルチコアのパソコンを2台目に購入した方が早道です。
パソコンの2台持ちは用途に応じて行いましょう
エンジニアのパソコンの2台持ちをテーマに、2台持ちの理由、メリット・デメリット、2台持ちで気をつけるべきこと等について解説をしました。
2台持ちは、作業効率の向上や複数OS利用の1つの手段ですが、これらはデュアルディスプレイや仮想化によっても対応が可能です。エンジニアとしては、利用目的やメリット・デメリットをしっかり確認した上で、パソコンの2台持ちを選択しましょう。
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