「娯楽のゲーム」と、「競技のゲーム」は何が違う?プロゲーミングチーム代表の明快すぎる回答
バルーン
2020.04.18

「仕事してる隣でスマブラ」が珍しくない職場

バルーン
元エンジニアがプロゲーミングチームの代表って珍しいと思うんですが...
都築
実を言うと最初からプロゲーミングチームを作ろう、とは思ってなかったんですよ...。
ただ、昔からテレビゲームが好きでしたね。
バルーン
なるほど、ゲームが好きでエンジニアになった人ってわりといる気がするのですが、都築さんもそうなんですか?
都築
いえ、明確な因果関係はないです。
が、私自身もゲームが大好きで、かつエンジニアでもあるので、そういう人たちの気持ちもよくわかります。
バルーン
そうなんですね。
「アンドエンジニア」編集部のオフィスにもゲーム機が置いてあります。よく仕事終わりにみんなでやっていますね。
都築
ゲームってエンジニアのコミュニケーションツールにもなってるんですよね。
Wantedlyで募集されていたエンジニア向けのmeetupに「みんなでスマブラをやる会」みたいなタイトルのものを見たこともあります。

※スマブラ=1999年から続く任天堂の対戦アクションゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズの総称

都築
ちなみにうちのオフィスも仕事してる隣でスマブラしている人がいるのは珍しくありません。
これって一般的な会社では全く想像できない職場環境だと思います(笑)
バルーン
確かに、市役所職員が同じことやってたら即始末書案件ですね(笑)

「初期メンバーには、絶対ゲームが上手い人に入ってもらうべき」

都築
まず、競技としてやっていくのには娯楽と同じ取り組み方じゃ難しいと思います。
なぜなら...スマブラに限らず選手自身がプロである自覚を持つことがゲーマー界隈全体で増えてきており、競技としてのレベルが非常に高くなっているからです。
バルーン
なるほど。
娯楽と競技の違いってどんなところですか?
都築
まず一つは何も考えずにただプレイしているだけじゃダメで、娯楽だと楽しむことが目的ですが、競技は勝つことで楽しむものだと思うので、試行錯誤してより上手くなっていかなければならないと感じています。
バルーン
「楽しい!」と思うポイントが違うわけですね。
勝つことにこだわれないと、選手としては難しいんですね...。 ところで、都築さんは代表ではなく、ご自身がプロゲーマーになりたいとは思わなかったんですか?
都築
それはめちゃめちゃ考えましたし、なんなら今でもなりたいと思ってます(笑)
ただ、第一線で戦っている選手を目の当たりにして、レベルの高さ、努力量、才能、それら全てが現状の私とは比べ物にならない差を感じたのでサポートする側に回りました。
バルーン
プロゲーミングチームを設立しようと思ったきっかけはなんですか?
都築
一番大きな理由は、R2Gの初期メンバーのかめめ、えつじ(※)を世界の舞台で活躍させたいと思ったからです。
※かめめ、えつじ=プロゲーミングチームR2Gに所属するスマブラのトッププレイヤー
バルーン
なるほど。
ただ、プロゲーミングチームを設立といっても、そんな簡単じゃないと思うんです。
どうやってチームって作るんですか?
都築
まずは選手のリクルーティングから始めました。
最初にトッププレイヤーの2人に入ってもらえたのは非常に幸運でした。
私は、元々一部のスマブラの上位勢との繋がりがあったので、そこからのコネクションで声をかけさせてもらいました。
バルーン
スマブラの上位勢にチームに入ってもらったのが“幸運”ってどういう意味ですか?
都築
彼らがプレイしていたのが「スマブラ」だったこと、そして「強いこと」、この2つが大きいです。
スマブラのユーザーはプロ層だけじゃなく、ライト層のユーザーも多いですよね。
なので、ユーザー数が多いゲームで強いことは、それだけ幅広い層から注目されるということです。
ゲーミングチームとして注目されるのは必須なので、そこは助かりました。
バルーン
なるほど!競技人口が多いゲームのほうが注目されますもんね。
うまいスタートダッシュが切れたわけだ…。

「プロゲーミングチームは、どれくらい稼げてる?」

バルーン
ここまで話を聞くと、やっぱり気になることがあって…。
単刀直入に聞きます。プロゲーミングチームってどうやって稼ぐんですか?
都築
スポンサー獲得による広告収入や動画、配信での投げ銭と再生回数に応じた広告収入ですね。
バルーン
スポンサー獲得ってあまりイメージ湧かないんですけど.....
都築
よく聞くのはエナジードリンクやゲームデバイスのメーカーですが、うちの場合はIT企業が多いです。
これは、別でIT系の会社を経営しているのでその繋がりから広告が入るんですよ。
いま、e-sportsって業態問わずどこの企業さんも気になっていると思います。
バルーン
そうなんですね。
なぜ、どの業態からも関心を集めてるんですか?
都築
単純です。
e-sportsが日本で普及して5年弱ですが、右肩上がりに成長を続けてるからです。
ここまでわかりやすく成長してる市場ならみんな興味持ちませんか?
バルーン
たしかに!成長市場にはお金が集まる。
新型コロナの影響で自宅にいる人も増えるだろうから、ますます市場は広がるだろうな…。
それと、広告以外にほかの収入源もあるんですよね。
スポンサー獲得以外に、ストリーマー(配信)業で稼いでいるとのことですが...。
都築
R2Gではプレイヤー全員が配信もしくは動画投稿で収益をあげています。
当然再生数を増やす工夫もしています。
例えばサムネイルなんですが、Youtube側のサムネイルも評価に含まれるので、その対策や作り方を教えたりしています。
具体的には文字サイズを大きくして、標準的なフォントにするとかですね。概ね配信では数十万円ほどの収益があげられます。
バルーン
多角的に稼いでる…と。
都築
最近はどのチームもそうですね。
プロゲーマーってゲームが強いことはもちろんですが、タレント性があったり、話が面白いってのも重要な要素の一つなんですよ。
バルーン
「話がおもしろいゲーマー」ってなにが違うんですか?
都築
例えばですが、コメントを拾わなくても自分の身の回りのことをコメントに頼らず話せる人は話がおもしろいですね。
バルーン
なるほど。
ラジオパーソナリティとかDJみたいに聞き手を楽しませられる人が人気ってことですね…
話せてゲームも強ければけっこう稼げそう。
そういえば、大会で賞金は出るんですか?
都築
賞金に関しては、でる大会もでない大会もあります。
しかし、一般的には10万円以上出せないのが今の日本の現状です。
それでも日本のe-sports事情も少しずつ変わりつつあり、最近ようやく高額報酬がでる大会がでてきましたね。
例えば、中国や韓国の事例ですがマックスで5億円もらえる大会もあります。
バルーン
えええ!!プロゲーマーって国によって大きく違いが出るんだ…。
都築
だからこそ、選手たちをサポートしてもっと業界を盛り上げたいなって思ってます。
そのためにもゲームに対する熱意や選手に対する敬意、黒字化させる戦略は絶対必須だと考えています。
 今考えてるのは、e-sports業界にITを持ち込むことです。
具体的なツールはもちろん、IT業界の考え方を取り入れて行きたいと考えています。
前途多難ですが、2017年から日本e-sports市場規模は約20倍の72.6億円に成長している産業なので、1年後にはまた違った風景になると思います。
バルーン
アンドエンジニアの編集長。エンジニア限定のコミュニティバー、Barloonのオーナーでもある。
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