"就職目的"じゃない、プログラミングスクールに受講生はなにを求めるのか?
ここ最近、未経験からエンジニアになるための手段が増えてきました。
いわゆるプログラミングスクールもそのひとつ。
そしてほとんどのスクールはエンジニアへの就職・転職がゴールになっています。
ところが、のびすけさんの運営するProtoOut Studio(プロトアウトスタジオ)は、就職を目的にはしていないとか!?
IoTLTといったコミュニティ運営してきた経験から何を思ったのでしょうか?
インタビューしてみました!
受講生は何を求めてる?エンジニアに就職したい人が通うイメージが......
正直プログラミングスクールって、未経験からエンジニア就職して稼げるようになりたい!っていうのがモチベーションじゃないですか? 就職する気はないけどお金払ってスクール通う、みたいな人いるんですか?
いますよ! そもそもウチって、厳密にはプログラミングスクールじゃないんですよ。 なので、プログラミングだけを教えているわけではないんです。
プログラミングスクールじゃないんですか!? じゃあ、受講生にいったい何を教えているんですか?
プロトタイピング(試作開発)です! プロトタイプを作り、いち早くアウトプットするためのスキルを教えています。 なので、プログラミング以外にも、企画力や発信力も同時に鍛えます。 受講生は、エンジニア以外の職種の人がプロダクトを作りたいっていうモチベーションで参加することが多いですね。
エンジニアじゃない人が、お金を払ってまで勉強するイメージがわかないんですが......
実際の受講生の例でいうと、耳鼻咽喉科のお医者さんや建築士の方がいます! 今の職業に不満があってエンジニアに就職したいっていうわけではなく、プログラミングを今の職場で活かせないか?っていう方が多いです。
創薬現場で感じていたロボットのつらみ
耳鼻科の先生や建築士の方がプログラミングするイメージが沸かないんですが...... どんなふうにプログラミングを活かしてるんですか?
実際にウチの受講生で、製薬会社に勤めている方がいました。 その方は、社内で使っているロボット向けにプロダクトを作っていましたね。
どんなプロダクトなんですか?
そこで使っているロボットは薬を作るためのロボットなんですが、よくエラーで止まるみたいで(笑) セキュリティの都合上ネットにも繋げられないので、手動でロボットを再起動していたんです。
それは...大変ですね...
その受講生の方は止まるたび手動で直していて、それをなんとかしたいということでエラー検知用のプロダクトを作っていました。 具体的には、写真を一定時間ごとに撮影して止まっていたらLINEに通知する、というものです。
すごい......! エラー検知してくれるだけでもだいぶ違いますよね。
はい。その受講生の方も手動で直す手間が減って、楽になったって言ってました(笑)
現場の課題をプログラミングで解決する
ロボットの例でいうと、その方が製薬会社で働いていたからこそ感じていた課題だと思います。
まさにそのとおりで、製薬会社でしか使われないロボットのことなんか誰も知らないんですよね。 でも実際に働いてるからこそ、そういった課題がわかるんです。
普段IT業界で働いてるとわからないですが、IT化されてない会社ってまだ多いですよね。
まさに! うちの受講生はそういった身近に感じている課題を解決したいと思ってプログラミングを学びに来ます。つくりたいものが明確にある人が多いんですよね。 なので、就職したいという理由でウチのスクールに来る人は少ないです。
エンジニアじゃなくてもプロダクトはつくれる
最初からそういった人をターゲットにしたスクールだったんですか?
そうです! 以前からIoTLTっていうコミュニティをやっていて、そこでは、「自作したプロトタイプや試した技術」などをテーマに登壇してもらっているんですけど、エンジニアではない方が増えてきて。
そうなんですか!? どんな方が多いんでしょう?
ほんとにいろいろです。 バックオフィスで総務として働いていますという方だったり。
総務の方がつくったプロトタイプってクオリティ的にどうなんですか? あまりクオリティが高いようには思えないのですが......
意外とそんなことないです! 発表内容は、他のエンジニアの方の内容と遜色なくて、総務の方だとは思いませんでした! 懇親会で話したときに、初めて総務の方だと気づいたんです。
そうなんですね! コードのクオリティもけっこう高いんですか?
そこは正直高くないと思います。 詳しく聞くとサンプルのコピペや、ツールの組み合わせと応用をしているくらいの場合もありました。 でも発表聞いただけだと全然わかりませんでしたし、本格的にプログラミング始めたらすごいことになりそうだと思ったんです。
そういう人をサポートしたかったってことですか?
そうです。 きれいなコードでアウトプットしない人より、汚いコードでも人の心を揺さぶるようなプロダクトをつくることのほうが大事だと思って。 既存のスクールは就職前提のところばかりだったので、そうじゃないプロダクトを作りたい人向けのスクールを作ろうと思ったんです。
エンジニアになるためのプログラミングとモノづくりのためのプログラミングは違う
ということは、エンジニアに就職することを目指したスクールではないんですか?
違いますね。 プログラミングだけできるエンジニアを増やしたいとは思っていなくて、プロダクトを作れる人を増やしたいんです。 既存のスクールって、就職させるためのスクールになっているじゃないですか。
ほとんどが、未経験からエンジニアになるために入るものだと思います。
そうなんです。 でもエンジニアとして就職するためのプログラミングと、プロトタイプ制作のためのプログラミングは学び方が違うと思っていて。 例えばGitだと、エンジニアの仕事では必須ですが、一人でプロトタイプを作る段階だと必須じゃないですよね。
バージョン管理する必要ないですもんね。
エンジニアとしての就職を目指すスクールの場合、Gitを始めチーム開発系のナレッジを学ぶことになります。 でもGitなどを学んでも、最速でプロトタイプをアウトプットできるわけではないですよね。 もっとアイデアをカタチにするために必要なスキルを伝えたいと思っています。
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