システム監査技術者試験とは?難易度が高い理由や突破方法を解説
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システム監査技術者試験とは?難易度が高い理由や突破方法を解説
アンドエンジニア編集部
2023.10.05
この記事でわかること
システム監査技術者試験は国家資格であり、その合格率はわずか14.5%
高い難易度の理由には、出題範囲に馴染みが薄い、実務経験者がほとんどいないことが挙げられる
試験対策のためには、システム監査の基礎の理解と事例ベースの論文対策が必須

システム監査技術者試験とは?

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経済産業省認定の国家資格である「情報処理技術者試験」の中には、いくつかのレベルがあり、最高レベルの高度試験の1つに「システム監査技術者試験」があります。他の高度試験を突破した方でも、その特殊な業務区分から試験内容や難易度の詳細が分からない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、システム監査技術者試験について、その試験概要を説明するとともに、どの程度の難易度なのかや、勉強方法について解説していきます。

情報処理技術者試験のメリットとは?試験概要や勉強方法も解説

IT国家資格の中でも最難関の1つ

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まず結論から言えば、システム監査技術者試験は、システム監査人と呼ばれる専門機関に所属する職種を対象とした資格であり、情報処理技術者試験の中でも最難関の1つであると考えられます。

システム監査人は、ITシステムを外部からチェックするというIT職種の中でも特殊な業務内容を専門としており、同職種を目指す方は多くはないでしょう。しかし、セキュリティに関連の高い専門性をアピールできるため、上流工程のIT職種で役立ちます。

一方、難易度としては他のレベル4の試験と同様、非常に高く、他の高度試験の中でも特に難しい試験であるとも考えられます。本記事では、その理由についても解説していきます。

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システム監査技術者試験の基本情報

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まずはシステム監査技術者試験について、その試験概要を説明していきます。本章の中で、同資格を保有するエンジニアがどれだけの年収を見込めるかも推定します。

受験対象者と受験方法

システム監査技術者試験が対象とする人物像について、その名称からイメージするのが難しい方も多いでしょう。同試験は、「独立かつ客観的な立場で、情報システムや組込みシステムを監査する業務」に従事するものを対象としています。

こういった職種はシステム監査人と呼ばれ、IT職種の中でも監査に特化した特殊な立ち位置にいます。

同試験は他の情報処理技術者試験のレベル4と同じく、年1回会場にて受験するタイプです。受験申し込み期限が試験当日から2か月以上前に締め切られる点と、本試験は秋期の10月実施という点に注意しましょう。受験料は7,500円です。

【参考】:システム監査技術者試験

出題範囲と形式

出題範囲は、その名の通りテクノロジ系よりもマネジメント系やストラテジ系に特化しています。公式の試験要綱にもありますが、システム監査や法務の分野において、全試験の中で最も高度な問題が出題されるとされています。

このように、普段IT系の開発を主業務としている方にとってはなかなか勉強しづらい分野であり、必然的に勉強時間も増えていくでしょう。

問題形式については、他の高度試験と同様です。午前と午後試験があり、それぞれがIとIIに分かれています。午前問題は共に選択形式で知識を問う問題なので、過去問を中心に解くことで対処できるでしょう。

しかし、午後Iの記述式問題や午後IIの小論文問題は、知識だけでなく、実践的な側面が強いため多くの方が苦戦するでしょう。合格基準は小論文以外は6割の60点で小論文についてはA評価です。

【参考】:システム監査技術者試験の出題範囲

試験の難易度

同試験の難易度はどのようなレベルなのでしょうか。情報処理技術者試験の高度試験自体がかなりの難易度であり、前述したようにシステム監査技術者試験はその中でも最難関の1つです。その理由に合格率の低さが挙げられます。

令和5年度に公開された高度試験の合格率を見ていくと、8つの試験区分のうち、新制度以降に同試験を受験した受験者は3万8千程度と、次に少ないエンベデッドシステムスペシャリスト試験の4万8千人から1万人引き離し、最も人数が少ない形です。

そして、受験者の中には経験者や専門性の高いエンジニアが多いはずであるにも関わらず、合格率もエンベデッドの17.1%からさらに少なく14.5%です。このように、同試験はより厳選された受験者層にも関わらず2割未満であるという点から、難関試験の1つであると言えるでしょう。

【参考】:高度試験の統計情報

資格取得者の推定年収

同試験を突破したエンジニアはどの程度の年収が期待できるのでしょうか。主にシステム監査人という職種に就くことが多く、それに近い職種としてシステムコンサルタントの年収を見ていきます。

システムコンサルタントの年収は「マイナビエージェント職業別年収ランキング」での平均年収は610万円(※2023年8月執筆時点)、経済産業省2017年発表の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」から近い職種のIT技術スペシャリスト(特定技術(DB・NW・セキュリティ等))を参考にすると、平均年収758万円と分かりました。

国税庁2020年発表の「民間給与実態統計調査」における民間企業平均年収は433万円なので、システムコンサルタントは一般平均年収よりも、やや高めであることが分かります。

同職種はIT技術職の中でも最上流工程を担当しており、年収もそれに見合った額が提示されるでしょう。一方、同試験を突破するなど高い専門性や幅広い実務経験が求められます。もし、目指したいと考えるならば、他の高度試験の突破も視野に入れて勉強に臨むのがよいでしょう。

【参考】:マイナビエージェント職業別年収ランキング ※【平均年収 調査対象者】 2015年〜2016年末までの間にマイナビエージェントにご登録頂いた20代・30代の方 【参考】:IT関連産業における給与水準の実態① ~ 職種別(P7) 【参考】:民間給与実態統計調査-国税庁

なぜシステム監査技術者試験は最難関の1つなのか

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ここまでで、システム監査技術者試験についての試験概要や難易度を説明してきました。受験者数に対する合格率の低さから、高度試験の中でも特に難しいであることがわかったと思います。ではなぜそこまで難易度が高いのでしょうか。

出題範囲に馴染みがなく難しい

同試験の難易度が高くなる理由に、その出題範囲の特殊さがあります。

今までの情報処理技術者試験の問題と言えば、ITシステムを作る側に焦点を当てたものが多く、システム監査のようなITシステムを第三者視点でチェックするものはそうありません。また、実務経験においても業務上必要になるケースも多くなく、馴染みがない方がほとんどであると考えられます。

このように、出題範囲に馴染みが薄いと、他の高度試験の勉強や今までの実務経験を活かしづらく、難易度も必然と上がります。

出題範囲の実務経験がない場合が多い

実務経験がないために苦戦すると書きましたが、実際にその実務経験がある方がほとんどいないことも難易度を高くしている要因と言えます。

本試験に対応する職種であるシステム監査人は、IT技術職の中で最も上流の工程に位置するため、人数自体はかなり少ないと言えます。また、同職種に就くためにはITシステム設計の全工程に精通している必要もあり、必然的に経験年数の長い管理職などでないとなることは難しいでしょう。

こうしたことから、受験者のほとんどはシステム監査の実務経験がないと考えられ、その事実が試験の難易度を相対的に引き上げていると考えられます。

システム監査技術者試験の勉強方法

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ここまでで、なぜシステム監査技術者試験の難易度が高いのかがよくわかったと思います。ではどのようにして突破すればよいのでしょうか。IT技術職経験者を対象にした勉強方法を紹介していきます。

書籍を活用してシステム監査を理解する

IT技術職の経験者であったとしても、システム監査についての知識を持っている方はほとんどいないのではないでしょうか。同試験は過去問や問題集を反復的に解いていけば合格できるレベルのものではないため、出題範囲についてを正しく理解できていることが必要条件です。

システム監査の分野は前述したように人口が少なく、有効に勉強するためには書籍を活用する方法が最も最適です。「よくわかるシステム監査の実務解説(第3版)」は、数少ないシステム監査を基本から勉強できる書籍として非常におすすめできます。

■「よくわかるシステム監査の実務解説(第3版)」 ▪著者:島田 裕次 ▪ページ数:244ページ ▪出版社:同文舘出版 ▪発売日:2019/1/24 【参考】:よくわかるシステム監査の実務解説(第3版)

過去問を活用する

先ほどは基礎知識の勉強が最重要と述べましたが、午前試験に対しては、過去問中心の勉強は非常に効果的です。選択形式で問題のパターンも限られていることから、今まで出題された問題を素早く解けるようになれば、午前試験を突破することはそう難しくありません。

過去問は他の高度試験と同じく、公式サイトにて公開されており、誰でも無料で利用できます。

【参考】:令和4年度のシステム監査技術者試験の過去問

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論文に特化した対策勉強

他の高度試験と同様に、午後IIの論文問題は非常に難易度が高く、適切な論文が書けるかどうかが合格を左右すると言っても過言ではありません。特にシステム監査については、実務経験を持っている方が少ない状況では、同試験の論文問題は他と比べて非常にハードルが高いものになるでしょう。

論文自体の書き方については他の高度試験と同様であり、ここではその学習方法は省くとして、システム監査特有の論文問題を突破するためには、そのユニークな事例を学んでいくほかないでしょう。

「システム監査技術者 合格論文の書き方・事例集 第6版」では、システム監査に特化した論文問題の解き方や事例を紹介しているため、勉強の心強い味方になってくれることでしょう。

■「システム監査技術者 合格論文の書き方・事例集 第6版」 ▪著者:岡山 昌二、落合 和雄、長嶋 仁、古山文義、北條武 ▪ページ数:357ページ ▪出版社:アイテック ▪発売日:2020/8/21 【参考】:システム監査技術者 合格論文の書き方・事例集 第6版

システム監査技術者試験突破を活かすには

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本記事ではシステム監査技術者試験について、その試験概要や難易度を説明するとともに、なぜそこまで難易度が高いのか、突破するためにはどのような勉強をすべきかを解説しました。

現役のIT技術職の方にとって、システム監査人になるためでなく、キャリアアップの1つとして本試験突破を考えてもよいでしょう。様々なIT上流工程の職種においても監査の基準や仕組みを学んでおくことは役に立つからです。

同試験を突破し、その資格を活かした転職活動をしたい場合にはどうすればよいでしょうか。数ある求人から資格を活かせてかつ、自分に合った企業を見つけることは非常に困難であると考えられます。

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