「Dropbox Dash」と「Dropbox AI」を発表
Dropboxは2023年6月21日、「Dropbox Dash」と「Dropbox AI」を発表しました。Dropbox DashとDropbox AIは AIを搭載した新しいツールとしてリリースされます。翌22日には、日本法人であるDropbox Japanからも、「Dropbox Dash」のベータ版を公開したと報じられています。
【参考】:Introducing Dropbox Dash, AI-powered universal search, and Dropbox AI 【参考】:Dropbox、「Dropbox Dash」のベータ版を公開
Dropbox社の概要
Dropboxは、2008年に創業した企業で、ファイル共有などのオンラインストレージサービスを手がけています。データの共有やURLのリンク共有などでファイルを交換したり、共有フォルダでフォルダを共有したりすることができます。
このサービスは、クラウドを活用したサービスでもGoogleドライブやOneDriveなど大手の参入も多い状況です。Dropboxでは、ファイル共有の関連サービスとしてBackupやTransferなどいくつかの追加機能をサービス展開しています。Dropbox 登録ユーザは7億人以上で、堅実な事業を展開しています。
【参考】:Dropbox 【参考】:Dropbox Japan
次世代のAI スタートアップを育成
Dropboxでは、「Dropbox Dash」と「Dropbox AI」の発表に合わせて、「Dropbox Ventures」を立ち上げました。
「Dropbox Ventures」は、AIのイノベーションを通じて働き方を変革する、次世代のスタートアップ企業を支援するイニシアチブです。AIを活用した次世代のアプリやツールを開発する企業に、最大5,000万ドルを投資します。
Dropbox社自体も、以前は「どこからでも簡単にファイルにアクセスし、コラボレーションできるようにする」というシンプルな発想からスタートしたベンチャー企業でした。
Dropboxは世界中の何億人にも利用されており、事業スタート時の課題と機会を理解している企業として、AIによる革新的なアイデアを持つスタートアップ企業を支援しています。
Dropbox Ventures は単なる資金提供プログラムではなく、Dropbox社の戦略的パートナーシップと位置付けています。投資先企業と密接に協力して、7億人以上の Dropbox登録ユーザにそのソリューションを提供することも想定しています。
【参考】:Dropbox Ventures: Funding for early-stage AI startups
Dropbox Dashの概要
今日のデータの増大に伴い、アプリやツール別に情報を取り出す必要性とその煩雑性から「仕事のための仕事」が増えている状況です。場合によっては、数百のタブやアプリを操作する必要も出てきます。
同様に、必要なデータをアプリ間で移動させるのにも、多くの時間を費やす状況が続いています。Dropboxでは、このような状況を解決するためにDropbox Dashのリリースを発表しました。
Dropbox Dashでは、Google WorkspaceやMicrosoft Outlook、Salesforce・Notionなどの主要なビジネスプラットフォームと連携し、1つの検索ツールから情報を見つけることができます。これにより、情報の検索や整理に費やす時間を短縮し、本来の生産性の高い業務に専念することができます。
Dropbox Dashは、ベータ版として最初は一部のユーザに英語版のみが提供されます。利用するにはウェイティングリストへの登録が必要です。
【参考】:Dropbox、「Dropbox Dash」のベータ版を公開 【参考】:Dropbox Dash
Dropbox Dashのユニバーサル検索機能
ユニバーサル検索機能は、Dropbox Dashの主要機能です。Dropbox Dashは、ビジネスで使用するアプリやツール・コンテンツなどを1つの検索バーでつなげる、AIを搭載したユニバーサル検索ツールです。日常使う代表的なビジネスプラットフォームと連携し、素早く必要な情報を見つけることができます。
それぞれのビジネスプラットフォームとの連携は、コネクター機能により実現されます。また、機械学習によりAI機能を搭載しているため、使えば使うほど学習が進み、進化し改善される、としています。
【参考】:Dropbox、「Dropbox Dash」のベータ版を公開 【参考】:Dropbox Dash
Dropbox Dashのブラウザ拡張機能
Dropbox Dashのブラウザ拡張機能は、ブラウザ操作を拡張するものです。「Stack」と「Start Page」があります。
「Stack」は、ブラウザのURLの保存、整理、取得をすばやく行うものです。クラウドコンテンツを簡単に共有できるよう、整理されたレイヤーを提供し、音楽プレイヤーのプレイリストのような役割を持ちます。
「Start Page」は、Dropbox Dashで提供するダッシュボードです。「Stack」 の表示や最近作業していたコンテンツへのショートカットを表示し、カレンダーによりミーティングの開始を行うこともできます。
【参考】:Dropbox、「Dropbox Dash」のベータ版を公開 【参考】:Dropbox Dash
Dropbox AIの概要
Dropbox AIも、新しいサービスとして提供されます。最もトラフィックの多い ウェブアプリの「ファイル プレビュー」機能にAIを適用しました。
ファイル全体を解析することなく、大きな文書や動画をすばやく確認し、ボタンをクリックするだけで、契約書や会議の録画などのコンテンツを要約することができます。手作業で検索するなどの手間をかけず、AIに質問するだけで数秒以内に回答が得られ、必要な情報を得ることができます。
Dropboxによると、いずれはDropbox AI をフォルダまたは Dropbox アカウント全体で使用できるようにしていく、とアナウンスしています。
「ファイル プレビュー」用の Dropbox AI は現在アルファ版です。Dropbox Pro をご利用の米国のユーザに提供できるように準備を進めており、一部のDropbox チームにテスト提供を開始する予定です。正式リリース時期は確定していませんが、正式リリース時には日本語を含む多言語に対応する予定としています。
【参考】:Dropbox、「Dropbox Dash」のベータ版を公開 【参考】:Dropbox Professional
AIの利用において「AI Principles」を刷新
今回の発表にあたりDropboxでは、「AI Principles」を刷新しています。「AI Principles」とは、AI原則と呼ばれる企業のAI倫理やAI基本原則を表したものです。AIを活用するテクノロジー企業では、必須の原則となります。
Dropbox社においても、企業の責任として信頼に値する企業であることがコアバリューであり、すべての中心にある考え方であるとしています。AIは新しいテクノロジーを適用することになり、それに伴う深い責任を認識していると表明しています。
今回のAI を活用した新しい製品発表にあたり、Dropboxでは「AI Principles」を刷新し、この重要な価値観へのコミットメントを新たにしています。詳細情報は、以下のリンクから確認することができます。
Dropbox DashとDropbox AIは情報検索や整理の効率化が期待できる
データの活用はスマホやデバイスから企業の集計データなど、多岐に渡って増加しています。特にビジネスにおいては、日々扱うデータは増加するため情報を取り出す作業も時間がとられます。
この解決のために、Dropboxが新しいツールを提供し、AIを活用したものとしてリリースします。Dropbox Dashは、ベータ版で一部のユーザに対して英語版が提供されます。同様にDropbox AIは、アルファ版で正式リリースはまだ確定していない状況です。
すぐに日本から利用することにはなりませんが、今回の発表は、生産性向上ツールとして有効であることに違いはないでしょう。
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから