Githubのテキストエディター「Atom」が開発終了
GitHub社は2022年6月8日(現地時間)に、同社開発の高機能コードエディターAtomの開発終了を発表しました。2022年12月15日にはAtomに関するすべてのプロジェクトがアーカイブされます。2015年6月のAtomバージョン1.0のリリースから7年余りでAtom幕を閉じることになりました。
この数年間、新しいクラウドベースのツールが出現、進化してきたことなどからAtomコミュニティの関与が減少しています。その結果、「VS CodeとGitHubコードスペースを介して、クラウドでの開発者エクスペリエンスの向上に集中すべく、Atom廃止の決定に至りました。」と公式で発表しています。
この記事では、Atomの後継エディタのリリースはあるのか、他のテキストエディタに乗り換えるとしたら、おすすめのエディタはどれか、について解説します。Atomユーザーの皆さん、新たなテキストエディタを探している方はぜひ参考にしてください。
【参考】:Sunsetting Atom
そもそもAtomエディタとは?
Atomとは、Github社が開発したオープンソースのソフトウェアフレームワーク「Electron」を採用した高機能コードエディターです。マルチプラットフォームをサポートし、HTML・CSS・JavaScriptなどのWeb系言語との相性が良く、またGithubコミュニティによる多くのパッケージ開発がされている点が強みで、世界中のエンジニアに親しまれてきました。
しかし、Atomに似たコンセプトの後発である「VS Code」(Visual Studio Code)の台頭が著しく、Atomの開発は停滞していました。Atomと似た状態にあったWeb開発向けのAdobe製エディタ「Brackets」も2021年9月にはAdobeのサポートが終了しています。
これにより、「Electron」※系コードエディターは「VS Code」に1本化される形で幕を閉じます。
これから簡単にAtomの特徴についておさらいをしておきましょう。
*【参考】:※はじめに | Electron
パッケージが充実
Atom向けに豊富なパッケージが開発されており、自由にカスタマイズができます。またAtom自体にパッケージ管理機能があり、パッケージの検索や管理が容易に行えます。テーマの変更や設定が自由に行えるため、利用の仕方に合わせて自分だけのAtomにカスタマイズすることができる点も魅力です。
Web開発に最適
AtomはWeb関連の技術者が多く集うGithub上で開発されたこともあり、Markdownのプレビュー機能、Chrome上で利用できる「Developer Tools」※などの機能が搭載されるなど、Web開発者向けのエディタ機能が充実しています。
【参考】:※Chrome DevTools
Gitとの高い親和性
AtomはGithub社が開発したこともあり、Gitとの親和性が高いのが特徴です。Atom上からGitコマンドが使える「git-plus」※や、GUIでGitを使える「git-control」※1などのパッケージが使えるため、Gitをよく利用するエンジニアにとっては大変便利なエディタです。
【参考】:※git-plus 【参考】:※1Atom git-control
Atomの後継エディタ
開発終了が決まったAtomですが、すでにAtomの開発者たちは新たなコードエディター「コード名:Zed」の開発に着手しています。「Zed」のリリース時期は未定ですが、下記サイトからサインアップすると、Zed開発に関する最新情報の入手ができます。
【参考】:Introducing Zed – A lightning-fast, collaborative code editor written in Rust|Zed
Zed editorとは
Atomは「Chromium」ベースのフレームワーク「Electron」を採用して開発されたコードエディターでした。Electronを採用したことで、マルチプラットフォームを実現し、Web技術との親和性を強みとしましたが、古いアーキテクチャのため、最近のマルチコアCPUに対応できていないなど、パフォーマンス面の問題を抱えていました。
そこでAtom開発者はAtomの開発終了と、新たなエディタとして「Zed editor」の開発を決断しました。Zed editorの最大の特徴は「Rust」の採用です。RustはC/C++に代わるシステムプログラミング言語と言われ、C/C++並みのパフォーマンスと、メモリ安全性が特徴です。
Atomでの経験やノウハウが生かされ、しかも圧倒的なパフォーマンスが期待されるZedは高速エディタを望むエンジニアの皆さんのニーズに十分応えられるでしょう。
Atomに代わるおすすめのテキストエディタ
Atomユーザーとしては大いに期待したいZed editorですが、リリース時期は不明です。また日本語化パッケージの登場を待つとなると、ある程度の時間が必要です。そこで、ここではAtomの代わりとなる、おすすめのエディタを4つ紹介します。
VS Code
Atomに代わるテキストエディタとして、最初におすすめしたいのが「VS Code」(Visual Studio Code)です。VS Codeは起動スピード、レスポンスなどのパフォーマンス面でも優れており、コード整形機能がデフォルトで付いているなど、プログラムエディタとしても十分な機能を備えています。
VS Codeは単体でも十分な機能が備わっていますが、優れたプラグイン(Plug in)が豊富にあり、それらをインストールすることで、さらにVS Codeを便利に活用できます。またネット上の情報量が豊富で、調べものをする際に困ることはほぼありません。
▪日本語:対応済 ▪利用料:無料 ▪利用可能OS:Windows、MacOS、Linux ▪【参考】:Visual Studio Codeダウンロード|Microsoft
サクラエディタ
「サクラエディタ」は、純日本製のWindows向け高機能テキストエディターです。日本人による開発で、日本語のフォーラムや情報交換の場があり、困った際に日本語で質問ができるのが強みです。
サクラエディタには、コーディングで役立つ強調キーワード・アウトライン解析・補完入力の機能があり、ほとんどのプログラミング言語に対応しています。テキスト編集に特化し、機能はシンプルですが、扱いやすく初心者から上級者まで幅広く利用されているおすすめのエディタです。
また、実行形式の「exe」ファイルをダウンロードして使うタイプと、インストーラーファイルでインストールするタイプの2種類があります。
▪日本語:対応済 ▪利用料:無料 ▪利用可能OS:Windows ▪【参考】:サクラエディタ
Sublime Text 4
「恋に落ちるテキストエディタ」とも言われる「Sublime Text 4」は、軽快な動作・豊富な拡張機能・カスタマイズ性の高さなどからエンジニアに根強い人気があります。豊富なパッケージを利用して、独自のエディタにすることができ、Atomユーザーには使いやすいエディタと言えます。
また、日本語化パッケージが用意されており、日本語表記での利用が可能です。Sublime Text 4にはビルドインで PythonとC++ がサポートされていますので、PythonやC++を学習中のエンジニアの方はぜひ利用してみてください。
▪日本語:対応可 ▪利用料:シェアウェアですが個人ライセンスでの利用は永久的に無償、企業や組織での利用ではライセンス料が必要です。 ▪利用可能OS:Windows、MacOS、Linux ▪【参考】:Sublime Text 4|公式ページ
Notepad++
「Notepad」と聞くと、Windows標準のメモ帳(Notepad)を想起する方が少なくありませんが、「Notepad++」自体はWindowsのメモ帳(Notepad)の代りに開発され、プログラミングエディターの機能が追加されたものです。日本語化キットがあり、日本語環境で利用できます。
Notepad++は非常にシンプルかつC++で開発されているため、動作が速いのが特徴です。エンジニアの間ではコードエディタとしてよく利用されています。主要なプログラミング言語に対応しており、またブックマーク、強調文字指定、画面分割、ズームなどの機能が備わっています。
▪日本語:対応可 ▪利用料:無料 ▪利用可能OS:Windows ▪【参考】:Download Notepad++ v8.4.2
自分好みのテキストエディタを使いこなそう
ここまでAtomエディタの開発終了に関する情報、Atomの特徴、Atomの後継と目される「Zed editor」、Atomの代わりとなるおすすめのコードエディタについて解説してきました。
より自分に合うコードエディタに出会うことができれば、より効率的にソースコードの編集や確認が行え、プログラミングスキルの向上にも役立ちます。ぜひお気に入りとなるコードエディタを見つけてください。
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