Visual Studio 2022 for Mac Preview概要
2021年9月から公開が始まった、 Visual Studio 2022 for Mac Preview版ですが、すでにPreview 6まで更新版がリリースされています。およそ月に1度のリリースです。Visual Studio 2022 for Macのロードマップにしたがい、開発作業が続けられています。 【参考】:Visual Studio 2022 for Mac プレビュー 【参考】:Visual Studio 2022 for Mac Preview 6
Visual Studio 2022 for Mac v17.0のGAバージョン(正式リリース)は、2022年の前半中にリリースされる予定です。通常の開発用途においては、GAバージョンリリースまでの間、引き続きVisual Studio 2019 for Mac v8.10を使用することが推奨されています。開発環境としては.NET 5、Xamarin、Unity、または.NET Core3.1を用いることになります。
Visual Studio 2022 for Macのロードマップとリリース目標
Visual Studio 2022 for Macの提供目標はロードマップとして公開されています。バージョンアップの柱となる新機能や改善項目は以下のポイントにしたがっています。
・Visual Studio for MacをネイティブのmacOS UIに移行 ユーザインターフェースの見直しで、高い操作性を実現します。さらにネイティブユーザインターフェースとすることで、これまで生じたパフォーマンス・信頼性・アクセス容易性・生産性の課題を解決します。
・モダンな.NET IDEをMac版で実現 Visual Studioで想定する環境をMac版でも実現し、生産性向上とモダンな操作性・操作感を提供します。
・Windows版との操作感統一 Visual Studioのメニューや用語をWindows版に近づけて、Visual Studioとしての一貫性を向上しWindows版ユーザにも違和感なく利用できることを目標とします。 【参考】:Visual Studio 2022 for Mac Roadmap
Visual Studio 2022 for Mac Previewのリリースノート
Visual Studio 2022 for Macのリリースノートでは、各バージョンのリリース情報を掲載しています。Preview版も同様に公式サイトで公開されています。 【参考】:Visual Studio 2022 for Mac version 17.0 Release Notes
リリースノートによるとVisual Studio 2022 for Macは、Windowsと互換性を高め、.NET環境で開発実行できないことなく安心して開発作業を進めることが目標です。そして最終目標はロードマップ公開されている、ネイティブのmacOS UIに移行すること・Mac用にチューニングした.NET IDEの提供・Windows版との操作感統一を実現することです。
公式Blogでの告知を順に追ってみる
作業の進捗はPreview版のリリースノートおよび公式Blogに掲載されています。Preview版においては、Blogの方がより詳細に新機能の情報や開発・移行の進捗が開示されています。ここでは公式Blogの記載内容から要点をピックアップしてみます。
・Visual Studio 2022 for Mac Preview 1(2021年9月30日公開) Preview 1では、IDEのパフォーマンスと安定性の向上・.NET 6とC#10をサポートし最新アプリの開発を推進できるよう進められていることが伝えられました。ネイティブmacOS UIでUIを書き直しする作業についても触れられています。 【参考】:Visual Studio 2022 for Mac Preview 1 is now available!
・Visual Studio 2022 for Mac Preview 2(2021年10月13日公開) Preview 2では、.NET 6RC2がサポートされました。Preview 1に引き続き、ネイティブmacOS UIへの移行作業を継続実施していることがわかります。 【参考】:Visual Studio 2022 for Mac Preview 2 is now available
・Visual Studio 2022 for Mac Preview 3(2021年11月8日公開) Preview 3では、.NET 6GAのサポート・エディター機能にサブワードナビゲーションと新しいリファクタリングを追加していることが伝えられています。Preview 2に引き続き、ネイティブmacOS UIへの移行作業を継続実施していることがわかります。 【参考】:Visual Studio 2022 for Mac Preview 3, and Upcoming Native M1 Processor Support
・Visual Studio 2022 for Mac Preview 4(2021年12月15日公開) Preview 4では、ウィンドウレイアウトのカスタマイズ・ソースコード検索の高速化に対応しました。Preview 3に引き続き、ネイティブmacOS UIへの移行作業を行っています。 【参考】:Visual Studio 2022 for Mac Preview 4
・Visual Studio 2022 for Mac Preview 5(2022年1月25日公開) Preview 5では、.NET 6 CLR上でM1プロセッサとIntelプロセッサの両方でパフォーマンスを向上しました。Preview 4に引き続き、ネイティブmacOS UIへの移行作業を継続しています。 【参考】:Visual Studio 2022 for Mac Preview 5
・Visual Studio 2022 for Mac Preview 6(2022年2月16日公開) Preview 6では、リリース済みPreview 5の既知の不具合修正を行っています。IDEシェル・Gitツール・Azure Publishing・Xamarinツールの品質向上にも取り組んでいます。M1(あるいはArm64)デバイスでの.NET Core 3.1SDKのサポートを追加しました。ここでネイティブmacOS UIへの移行が完了しました。
Xamarinおよび .NET MAUIの開発作業を先行実施しているとのことです。 .NET MAUIの正式リリースが2022年第2四半期に予定されており、それまで作業は継続する見込みです。この文面からPreview版の終了時期も徐々に明らかになると想定できます。 【参考】:Visual Studio 2022 for Mac Preview 6
Windows版ユーザから見たVisual Studio for Macの違い
Windows版ユーザから見たVisual Studio for Mac Windowsですが、OSの違いによる操作性や操作感に違いがみられます。正式リリース済みのVisual Studio 2019 for Macを例に違いを確認してみます。 【参考】:Visual Studio for Mac for Windows users
・キーボードのショートカット WindowsとMacOSでのキーボード入力は大半が共通化されています。しかしながらショートカットについてはOSによる違いがあります。具体的にはWindowsの「Ctrl」キーとMacの「⌘」キーの違いです。
Visual Studio for Macでは、違いをより吸収するために、最初の起動時にキーボードショートカットを「Visual Studio for Mac」「Visual Studio(Windows)」「Visual Studio Code」「Xcode」の4種類から選択できます。この設定は後から「Environment」「Key Bindings」から変更することもできます。
・メニュー構造 Visual Studio for Macのメニュー構造は、Windows版と若干の違いがありますので、慣れが必要です。
具体的には、「Preferences (Options):設定オプション」「Extensions:拡張機能」「Layouts:レイアウトの選択」「Updates:アップデートの確認」「NuGet Package Manager:NuGetパッケージの管理」「Find tools:ツールの選択」「About Visual Studio:Microsoft VisualStudioについて」の操作のメニュー配置に違いがあります。
Visual Studio 2022 for Macでは操作の互換性を高め、Visual Studio 2019 for Macで抱えていた上記違いを吸収するものとして、期待されています。
Visual Studio 2022 for Macでターゲット市場を拡大しましょう
Visual Studio 2022 for Macは、ネイティブMacOS UIを採用しWindowsの操作性に近づける意欲作です。期待されているのは開発環境がMacOSとWindowsに対応することですが、ターゲットアプリケーションのカバレッジを広げることが期待値と考えられます。
WindowsとMacのそれぞれ得意なターゲットアプリケーションを開発し、Visual Studioの統合開発環境(IDE)としての市場を拡大する意気込みが見られます。エンジニアとしては、マイクロソフト社のその戦略に乗っかり、知識吸収を進めるのも良いでしょう。
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから