Docker Desktop 4.2の発表
2021年11月9日、Docker Desktopの最新版 4.2がリリースされました。4.0で有料化の発表があってからリリースされた4.1に続くバージョンアップ版です。4.2ではPause/Resume機能・Software Updates・Window managementの各機能が追加されています。詳細は後ほど紹介します。
Dockerとは
Dockerとは、OSレベル仮想化プラットフォームとして用いられるソリューションです。DockerではDockerイメージを用いたコンテナ仮想化システムを構築できます。また、Kubernetesを用いたオーケストレーションにも対応します。
Dockerにより、CI(継続的インテグレーション)・CD(継続的デリバリー、継続的デプロイメント)リリースサイクルをさらに短い周期で実施することができます。 参考:Docker
Docker Desktopとは
Docker Desktopとは、Dockerで行う操作をGUIダッシュボードで一元管理できるソリューションです。具体的にはコンテナやアプリケーション・イメージへのアクセスを簡単に行うことができます。 参考:Docker Desktop
画面構成は以下の通りです。 ・Containers/Apps コンテナやアプリケーションの状態を表示します。Dockerオブジェクトの状態確認や操作を行うことができます。 ・Images Dockerイメージが一覧表示されますので、詳細確認やコンテナ実行を行います。 ・Volumes ボリュームの一覧表示により、確認や生成・削除をおこないます。 参考:Docker for Windows release notes 参考:Docker Desktop for Mac release notes
Docker Desktop 4.2の新機能
Docker Desktop 4.2では以下の機能追加がされています。 ・Pause/Resume機能 CPUリソース消費を抑えるためにDocker Desktopのセッションを一時停止さたり再開したりできます。 ・Software Updates アップデート自動チェック機能をオフにできます。 ・Window management Docker ダッシュボードのウィンドウサイズとポジションを保存し、再オープン時に同じウィンドウ表示設定を利用することができます。
それ以前の 4.1.1はバグフィックスのみでしたが、ベースとなる4.1.0では以下の機能が追加されています。 ・Software Updates Software Updatesのセクションでアップデート情報が表示されるようになりました。 ・Compose V2 General settingsでDocker Compose V2を利用するかどうか指定できます。 ・ボリューム管理 ボリューム管理が全てのサブスクリプションモデルで利用可能となりました。
Docker Desktopの料金モデル
2021年8月31日、Docker Desktop 4登場をきっかけに従来の無償モデルを見直し、4種類のサブスクリプションモデルへ変更する旨発表がされました。具体的には以下のサブスクリプションモデルが提供されます。 ・Docker Personal 従来のDocker フリーサブスクリプションの置換となります。オープンソースコミュニティ・個別開発者・教育・小規模企業向けのモデルです。Dockerユーザの半数が該当し、Docker CLI・Docker Compose・Docker Build/BuildKit・Docker Engine・Docker Desktop・Docker Hub・Docker Official Images等で適応されます。商用利用は以下のDocker Businessのモデルで月額課金されます。
・Docker Business 新しく提供されるサブスクリプションモデルです。従業員250名以上または1千万USドル以上の年間売り上げがある企業に適応されます。さらにモデルが3種類提供されます。 - Pro :月額5USドルで1名単位の申し込みモデルです。同時に5つのビルドを利用できます。 - Team :月額ユーザあたり7USドルで5ユーザ以上の登録時に必要なモデルです。同時に15のビルドを利用できます。脆弱性スキャンが無制限に利用できます。 - Business:月額ユーザあたり21USドルで50ユーザ以上の登録時に必要なモデルです。中規模企業から大企業まで想定するモデルで、集中監視のほかSAML SSOのサポートが予定されています。 参考:Docker Subscription Service Agreement 参考:Docker is Updating and Extending Our Product Subscriptions
料金モデルの変更により対処方法が騒がれていますが、2022年1月31日までは猶予期間が設定されています。新料金モデルの関連情報はFAQにまとめられていますので必要に応じてご確認ください。 参考:Docker FAQs
Docker Desktopの利用
Docker Desktopの利用準備として、モジュールダウンロードとインストールを行います。Docker DesktopはDocker Hubのサイトからダウンロードできます。Windows版とMac版が提供されており、Linux版は現在開発中です。 参考:Docker Desktop for Windows 参考:Docker Desktop for Mac
ダウンロードのリンク先はドキュメントのインストール方法にも記載されていますので、以下のリンクからも同じモジュールがダウンロードできます。 参考:Install Docker Desktop on Windows 参考:Install Docker Desktop on Mac
インストールの詳細情報については、以降でお伝えします。
Windows版Docker Desktopの要件とインストール
Windows版Docker Desktopは以下の要件が設定されています。 ・サポートOSバージョン - Windows 11 64 ビット:Home・Pro・Enterprise・Educationの21H2以降 - Windows 10 64 ビット:Home・Proの2004以降、 Enterprise・Educationの1909以降 ・WSL 2(Windows Subsystem for Linux 2)バックエンド - WindowsでWSL 2機能の有効化 - Linuxカーネルアップデートパッケージのダウンロード・インストール ・Hyper-Vバックエンドと Windowsコンテナ - Hyper-Vとコンテナ機能の有効化 - クライアントHyper-V実行時の仮想化要件を満たすこと
インストール方法は以下の通りです。 ・ダウンロードモジュールの起動 Docker Desktop Installer.exeを起動します。 ・Configuration画面の確認 「Enable Hyper-V Windows Features」と「 Install required Windows components for WSL 2」のオプション設定を確認します。 ・インストール実行 手順に従い「Install」を選択し、終了後「Close」を選択します。 ・管理者アカウントの追加 管理者アカウントのadministratorとComputer Managementをdocker-usersグループに追加します。 参考:Docker Desktop for Windows user manual 参考:Install Docker Desktop on Windows System requirements
最初の起動時には新しいライセンス条項が表示されますので、「Accept」をクリックすることで利用可能になります。
Mac版Docker Desktopの要件とインストール
Mac版Docker Desktopは以下の要件が設定されています。 ・Intelチップ版 macOS 10.14以上 4GB以上のメモリ搭載 VirtualBox 4.3.30以降 ・Appleチップ版 Rosetta 2のインストールが必要
インストール方法は以下の通りです。 ・ダウンロードモジュールの起動 Docker.dmgをダブルクリックしインストーラを起動します。 ・アプリケーションフォルダに登録 Dockerアイコン(Docker.app)をアプリケーションフォルダーにドラッグアンドドロップします。 参考:Docker Desktop for Mac user manual 参考:Install Docker Desktop on Mac System requirements
Windows同様、最初の起動時には新しいライセンス条項が表示されますので、「Accept」をクリックすることで利用可能になります。
Docker Desktop関連ドキュメント
Docker Desktopの概要は以下のサイトに記載されています。 参考:Docker Desktop overview 同様に各種情報がFAQにまとまっていますので、必要に応じてご確認ください。 参考:Docker Desktop Frequently asked questions
Docker Pricing FAQでは、Docker Desktopを使わないでDocker CLIのみインストールする方法も記載されています。具体的にはWindowsでは、WSL2上でDocker CLIとDocker Engineをインストールします。Macの場合は、VirtualBoxやVMWare Fusion上でDocker CLIとDocker Engineをインストールします。
Docker Desktopの機能拡張に期待しましょう
Docker Desktopはサブスクリプションモデルを取り入れることで収益改善を進めています。その結果Linux版Docker Desktopの開発等に投資しています。今後も新機能の投資に利用されますので、サブスクリプションモデルはデベロッパのメリットに繋がります。今後の機能拡張にも期待したいところです。
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