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テトリス動画で50万再生!YouTuber『ヘロンの数学』が語る高校数学の学び直しで人生が逆転した理由とは【後編】
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テトリス動画で50万再生!YouTuber『ヘロンの数学』が語る高校数学の学び直しで人生が逆転した理由とは【後編】

一番ヶ瀬 絵梨子
2021.11.04
この記事でわかること
今後は物理や音楽も掛け合わせ、一般の人も楽しめる動画を作りたい
視聴者を自分と同じ失敗から救えることがYouTube運営の喜び
数学の学び直しや動画の人気で得た成功体験が、YouTubeのモチベーションに繋がった

「プログラミング」と「数学」

トレンドの掛け合わせで急成長しているYouTubeチャンネル、『ヘロンの数学』。

最初の半年ほどは低空飛行だったものの、2020年12月に公開した動画がバズって認知され、いまや登録者4万人超え。

元ゲーム会社のプログラマー、テトリス何分で作れる?【JavaScriptプログラミング】』が50万再生を突破するなど、勢いのあるチャンネルです。

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しかし“中の人”の姿は想像がつかず、元ゲームプログラマーであること以外は謎

今回は、YouTube動画制作の裏側やチャンネル運営への想い、これからの展望を伺いました。

「数学は2000年使える」YouTuber『ヘロンの数学』が語るプログラミングに数学が活きるシーンとは【前編】

『プログラミング×数学』の親和性と動画制作の大変さ

一番ヶ瀬 絵梨子

ゲームプログラミングに数学が必要なことはわかりましたが、『プログラミング×数学』を掛け合わせる醍醐味はなんでしょうか?

ヘロンさん

数学を使わなければ何千行にもなるようなプログラムを、数学の力でコンパクトに縮められた瞬間は最高に気持ちがいいですね! リバーシを100行で書く動画も13万再生と伸びていますし、この楽しさは見てくれる方にも伝わっていることを感じます。

一番ヶ瀬 絵梨子

たしかにあの動画は、内容をきちんと理解できているわけではないのに気持ちよかったです。 ただ、あのリバーシのようにコンテンツとしても面白いネタを探し続けるのは大変ではないかもと思います。どうやって探しているんですか?

ヘロンさん

芸人さんじゃないですけど、まさにずっとネタ探しです。 ニュースを見たり、ネットサーフィンしたりするときでも、いつでも「これは数学×プログラミングで表せないかな?」と考えていますね。 昔のゲームも参考にします。

一番ヶ瀬 絵梨子

コレだ!というネタを見つけたとき、それを『プログラミング×数学』で表現できるかどうかは即座にわかるものなのですか? それとも、プログラミングを書いてみて判断するのですか?

ヘロンさん

実際に試してみて、プログラミングが完成したら動画にする、という手順です。 完成に至らずボツになることも多いですよ。 ボツネタはすぐに記憶の彼方に飛んで行ってしまうので覚えてないですが、かなり多いです。

一番ヶ瀬 絵梨子

ボツ、そんなに多いんですね。意外です。 でもボツが多いにしても、ヘロンさんはYouTuberとしては寡作だなと感じますが、動画編集もすべてご自分でなさるんですか?

ヘロンさん

はい、AviUtl(動画編集ソフト)を使って編集も自分でやっています。 カメラで撮影してパソコンで編集するような動画ではなく、撮影しながら並行して編集もするといった進め方ですしね。 1本あたりにかかる時間は動画によりますが、リバーシの動画で4日くらい、がっつりしたチュートリアル画面になると2~3週間かけることもあります。

一番ヶ瀬 絵梨子

3週間!プログラムとして成立することを確認してから動画にするということでしたが、軽やかに入力されていくあのプログラムは、すでに完成した台本を見ているんですか?

ヘロンさん

事前に考えた完成コードを見ながら、でも再度考えながら入力しています。プログラム実況動画を撮るときは、とにかく勢いでどんどん進めていく感じです。 その試行錯誤の時間も含め、数学とプログラミングを繋げていく作業はとても楽しいですよ。

プログラミングを知らない人にも届けたい、そのための秘策とは?

一番ヶ瀬 絵梨子

『ヘロンの数学』は2021年10月現在、4万人以上の登録者を抱える人気チャンネルです。 動画を公開し始めたのは2020年4月ですが、短期間で伸びた理由をどう分析されていますか?

ヘロンさん

プログラミング系のYouTubeチャンネルは他にもありますが、フリーランスとして独立して稼ぐことを目的にしていたり、エンタメ要素が薄かったりすることが多いんです。 なので自分は、プログラミングに興味がある人が"楽しく学べること"を意識しています。

ヘロンさん

大きく伸びたきっかけは、2020年12月にUPした『高校数学でマンデルブロ集合を描いてみた 【プログラミング実況解説】』がYouTubeにピックアップされてバズったことですが、短期間で成長できたのは同じアプローチの競合が少なかったせいかなと思っています。

一番ヶ瀬 絵梨子

積み重ねてきていたコンテンツがハイクオリティだったからこその結果ですね。視聴者層は、やはりプログラマー志望の人が多いですか?

ヘロンさん

たしかにプログラマーやプログラマー志望の人、IT系の人が多いですね。 でもこれからは、もっといろんな人、プログラミングに興味がない一般の人にも見てもらえるコンテンツを作っていきたいと思っています。

一番ヶ瀬 絵梨子

『プログラミング×数学』を楽しむのは、一般人には少々ハードルが高いような気がしますが…?

ヘロンさん

そうなんですよ。『プログラミング×数学』はたしかに面白いのですが、どうしても難解な表現が多くなりがちで、一般の人が直感的に"楽しい!"と感じるネタが少ないんです。 なので、今後は物理、特に力学を勉強して『プログラミング×物理』にも挑戦していきたいと思っています。 物理要素が加われば、動きのある見栄えのする表現ができると思っています。

一番ヶ瀬 絵梨子

目標にしている人やチャンネルなどはあるんですか?

ヘロンさん

『物理エンジンくん』という80万人以上の登録者がいるチャンネルが目標ですね。物理演算エンジンを使って“もし〇〇が〇〇をしたら”を仮想空間で実証しているチャンネルです。 プログラミングのチャンネルではありませんが、物理を使って一般の人が広く楽しめるコンテンツを作っているという意味で、とても参考になります。

一番ヶ瀬 絵梨子

なるほど、飛んだり走ったり転がったり、水に風に…生活の身近なところに物理の要素は多いですもんね。 動きもあるし、「プログラミングでこれが表現できるんだ!」という感動がありそうです。

ヘロンさん

でも、けっして理系要素にこだわっているわけでもないですよ。例えば、音楽。 『プログラミング×数学』に音楽を組み合わせたら、作曲もできそうですよね。だから、音楽も勉強してみたい。 それに、会話のテンポや音声を変えてみるなどの表現の工夫も、"面白いかも"とひらめいたらどんどん試していきたいです。

いいものを作ればちゃんと伸びる。学び直しで得た自信

一番ヶ瀬 絵梨子

YouTuberとして活動していて、「こういう瞬間が嬉しい」「これがやりがいだ」と感じるのはどんなときですか?

ヘロンさん

数学の知識がないとゲームプログラマーとして困るというお話はしましたが、視聴者の方が自分と同じ落とし穴にハマらないよう救えるのが嬉しいですね。 数学を少し知っているだけで失敗を防げるので、視聴者に"転ばぬ先の杖"をプレゼントできている感覚です。 自信作が伸びたときも、勉強していいものを作ればちゃんと伝わるんだと実感できて、やりがいを感じます。

一番ヶ瀬 絵梨子

YouTubeは、ダイレクトに視聴者の反応がわかりますもんね。ほかに何か、YouTube運営を通じてヘロンさん自身が得ているものはありますか?

ヘロンさん

がんばればがんばるだけ人生が上向いていくと信じられるようになったことでしょうか。 プログラミングや数学の勉強もですが、YouTubeについてもサムネイルのデザインを工夫したり徹底的に分析したりして、それがマンデルブロ集合のバズに繋がったんです。 この成功体験が、次のモチベーションに繋がっていますね。

一番ヶ瀬 絵梨子

まさに好循環ですね!「勉強したい、勉強が楽しい」というヘロンさんの感覚を羨ましく感じます。 視聴者の裾野を広げたいというコンテンツの方針はお伺いしましたが、YouTuberとしての今後の展望はありますか?

ヘロンさん

10代で勉強しなかったので、数学の勉強に関しては特に、失った時間を取り戻しているような感じもあります。 今後については、そうですね、YouTube運営を機にさらに新たなビジネスの世界が広がってほしい、という期待をしています。

プログラミングと数学に興味がある人へのメッセージ

一番ヶ瀬 絵梨子

今日は楽しいお話をたくさん聞かせていただき、ありがとうございました。 最後に、『ヘロンの数学』の視聴者の方、プログラミングと数学に興味を持っている方へメッセージをお願いします!

ヘロンさん

勉強ってすごいよ、勉強して損はないよ。ということですね。 プログラミングや数学に限ったことではなく、どんな分野でも興味を持ったら勉強したほうがいいです。 インフルエンサーの言ってることを追いかけるだけではなくて、自分自身がしっかり勉強することが大事だと思います。

ライター

一番ヶ瀬 絵梨子
心理学科卒業後、新卒未経験でSI企業に就職し、Java系のSEとして10年。 結婚出産を経て、2015年にトラベルライターに転身。 現在はライターのほか、webディレクターや広報の業務にも携わっている。 新婚旅行では1年かけて世界50ヶ国を巡るほどの旅行好き。 日々の晩酌が何よりの楽しみ。
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