Haskellの用途
Haskellとは、数学者及び論理学者のHaskell Brooks Curryの名前が由来となっているプログラミング言語です。Haskellのプログラミング言語における仕様は、1987年に開発されました。Haskellは、遅延評価などの数多くの先進的な概念を取り込んでいる「純粋関数型プログラミング言語」とも言われています。詳しい特徴の説明は後述し、ここでは、Haskellの用途について詳しく紹介します。
Webアプリケーションの開発
Haskellは、Webアプリケーション開発に使用されることがよくあるプログラミング言語の1つです。近年のWebアプリケーション開発では、フレームワークを利用することが多くあります。フレームワークは、Webアプリケーション開発に特化した機能がまとめて提供されているのが特徴です。したがって、プログラマーなどは開発を行う際に、フレームワークを使用すれば、比較的効率よくWebアプリケーション開発をすることができます。
近年では、独自のフレームワークを用意して開発を行っている企業は多くはないでしょう。大手有名IT企業などでは独自のフレームワークを使用しているかもしれませんが、多くの企業ではオープンソースのHaskellフレームワークを使って開発することが多いです。そのため、Haskellで開発を行う場合にはフレームワークについて勉強しておくのも重要です。
スクレイピングプログラムの作成
スクレイピングとは、Webサイトにある情報を抽出して加工する技術を指します。例えば、求人・案件のデータが記載してあるWebサイトがあるとします。求人・案件データの抽出を手作業で実施することももちろん可能です。しかし、手作業の場合、膨大な時間が必要となり、コストがかかります。
よって、コンピュータで自動化させるために、必要なのがスクレイピングプログラムです。Haskellでは、「Scalpel」などのライブラリを使用してスクレイピングプログラムを作成することができます。
APIサーバーの構築
Haskellは、APIサーバーを構築する際にも使用されることがあります。APIとは「Application Programming Interface」の略称で、ソフトウェアコンポーネントが互いにやり取りするために使用するインタフェースの仕様のことです。APIを使用すれば、さまざまなプログラムを組み合わせて1つのサービスを作成することができます。
例えば、Twitter・Instagramなどの有名なサービスでは、APIを使用してツイートや写真などの取得が可能です。取得したデータはWebサイトなどに表示させることもできます。したがって、APIサーバーは、APIを使用して、データを提供するサーバーを指します。APIサーバーを構築する際にもフレームワークはよく利用されることが多いでしょう。
Haskellの特徴
ここでは、Haskellのプログラミング言語の特徴について詳しく紹介します。
純粋型プログラミング言語
Haskellは純粋関数型プログラミング言語の1つです。関数型言語は、大きく「純粋関数型プログラミング言語」と「非純粋関数型プログラミング言語」に分類することができます。プログラミング言語の多くは非純粋型言語です。純粋型言語にはHaskellだけではなく、Mercury・Clean・Elmなどが挙げられます。
参照透過性が高い
Haskellには参照透過性が高いという特徴があります。一般的に、純粋関数型プログラミング言語はこの特徴をもっています。Haskellでは変数を定義してしまうと再代入は行うことができません。例えば、xという変数に5を代入したら、5から変数の値を変えることはできないです。このことを「束縛」と呼ばれることもあります。束縛は変数だけではなく、関数にも適用されます。したがって、関数が必要とする引数に同じ値を入力すれば、いつでも同じ結果になると言えるでしょう。
静的型付け言語
Haskellは、静的型付け言語の1つです。プログラミング言語には、静的型付け言語と動的型付け言語の2種類があります。静的型付け言語とはプログラムを実行する前に、プログラムの整合性・合理性を担保する仕組みを採用しているプログラミング言語のことです。Haskelでは、プログラム上で使用される値の型を定義することで整合性などを担保しています。Haskell以外の静的型付け言語の代表例として、Java・Kotlin・TypeScript・Swiftなどが挙げられます。
一方、Ruby・PHPなどのサーバーサイドでよく使用されているプログラミング言語は、動的型付け言語です。そのため、型を定義するのが不要です。ただし、プログラムを実行するまで、正常な値が使用されているか把握できないため、コーディングした方が確認したり、レビューを行ったりして安全性を担保する必要があります。
遅延評価
Haskellは、遅延評価という式の評価方式を利用しています。遅延評価とは式の評価を必要となるまで遅延して行う評価手法のことです。数値が必要になるときまで評価を後回しにする仕組みとも言えます。数値を必要なときのみ取り出すため、効率よくプログラムの実行が可能です。
モナド
モナドとは、プログラムを構造化するための汎用的な抽象概念のことです。つまり、モナドとは、値自体を操作するのではなく、操作手順を組み立てることで計算を行う仕組みのことを指します。モナドの代表例として、「Maybe型」「List型」「Reader型」が挙げられます。モナドについて勉強する際には、モナドにおける細部の理解を深めた後に、全体を把握するようにすると良いです。モナドは抽象的な概念であるため、学習している際に混乱を招いてしまうことも少なくありません。
Haskellのプログラミング言語を身に付ける方法
Haskellは馴染みがない言語であり、学習コストが高いプログラミング言語の1つと言われています。ここでは、Haskellを習得するために必要な勉強方法について詳しく紹介します。順番としては、他のプログラミング言語と同様で、基礎学習を行い、実践学習を実施するという順です。
Haskellを習得するためには、まずは基礎を学習して、次に実践学習をしましょう。
書籍や学習サイトを活用してHaskellの基礎を深める
まず、Haskellの基礎知識を深めることが重要です。基礎学習では、初めは書籍を利用して仕様など細かい部分を勉強するのがおすすめです。AmazonなどのECサイトでもHaskellに関する書籍は多いため、自分のレベルに合った本を選択しましょう。また、プログラミング言語を勉強する際には、学習サイトもおすすめです。学習サイトを利用すれば、プログラミング言語を実行する環境などの構築が不要で、プログラミングを実践しながら勉強ができます。
プログラミング言語の学習サイトでよく使用されているのが「ドットインストール」「Progate」です。これらの学習サイトは、無料で使用することも可能です。しかし、無償の場合、学習できる範囲が制限されるため、本格的にプログラミングを学習したい方は、有料で使用することがおすすめと言えます。例えば、Progateの学習サイトを利用すれば「Git」「コマンドラインツール」なども学ぶことが可能です。また、Haskellの基礎を学習できるコースも含まれています。
ポートフォリオを作る
書籍や学習サイトを通して、Haskellの基礎知識を深めることができたら、実際に成果物としてポートフォリオを作成しましょう。プログラミング言語の勉強でよくある失敗例の1つが、インプットするだけで、アウトプットしない勉強方法です。
プログラミング学習では、アウトプットすることで知識が定着し、より深くまで理解を深めることができます。そのため、基礎学習ではプログラミング言語の特徴や使い方などを徹底的に学び、実践学習ではポートフォリオ作成など、アウトプットすることでプログラミング言語の知識を定着させていきましょう。また、ポートフォリオを作成すれば、転職する際のアピール素材としても利用することができます。
Haskellは独特な特徴がありさまざまな用途で用いられている!
これまでに、Haskellの用途・特徴・学習方法について詳しく解説しました。Haskellは、遅延評価などの多数の先進的概念を取り込んでいる純粋関数型プログラミング言語です。Haskellの主な用途として「Webアプリケーションの開発」「スクレイピングプログラムの作成」「APIサーバーの構築」が挙げられます。他にも多数の用途があり、例えば金融・医療・科学・セキュリティなどの分野でHaskellは活躍しています。
Haskellの特徴は「純粋型プログラミング言語」「参照透過性が高い」「静的型付け言語」「遅延評価」「モナド」などです。馴染みがない特徴も多く、学習コストが高いと言われることも少なくありません。そのため、Haskellを学習する際には、書籍や学習サイトを活用して基礎知識を徹底して学ぶことが大切です。
また、基礎知識を習得できたら、ポートフォリオを作成するなどアウトプットして知識を定着させるのも重要と言えます。Haskellを使いこなせる人材は非常に少ないため、市場価値が高い人材になることも可能でしょう。
編集部オススメコンテンツ
アンドエンジニアへの取材依頼、情報提供などはこちらから