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ODMとは?他の生産方式も合わせて分かりやすく解説!
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ODMとは?他の生産方式も合わせて分かりやすく解説!

アンドエンジニア編集部
2024.01.24
この記事でわかること
ODMは設計・製造の工程を外部委託する生産方式を指します
自社は企画・販売に専念できるメリットがあります
設計・製造のノウハウが蓄積されにくいので将来の事業計画を見ながら生産方式を選定します

ODMとは?

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製品の開発から出荷までの工程は大まかに企画・設計・製造・販売です。ODMとは設計・製造の工程を外部委託することを指し、Original Design Manufacturingの略です。

受託者は他社ブランドの製品の設計・製造を担当し、Original Design Manufacturerと呼ばれています。そのためODMはアウトソーシングの一形態と言えるでしょう。ODMでは製品委託者が企画と販売を担当します。

ここではODMのメリットやデメリットなどについて説明していきます。

ODMのメリットは?

ODMのメリットとして委託者側の企業は自社のブランド構築と販売に特化できることが挙げられます。また設計・製造を専門家に任せることでスピーディーに製品開発が進められ、低コストでの生産が可能となります。

受託者側の企業は生産量の増加や技術・知識の提供による収益の増加が見込めます。また依頼内容によっては自社の技術レベルや知識量の向上が期待されます。

ODMのデメリットは?

ODMのデメリットとして設計・製造を外部委託することにより設計・製造のノウハウが自社の手元に残らないことが挙げられます。また設計・製造に関わるコストや品質のコントロールが難しいこともデメリットでしょう。ODMを導入した結果として販売価格が高くなる可能性もあるのです。

加えて外部に業務を委託することにより、自社企画製品の模倣や他企業への情報漏えいのリスクがあることにも注意が必要です。

ODMの事例は?

ODMは他社ブランドに製品の設計・製造の2点を委託する生産方式のため、委託先の名称が表に出てくることは滅多にありません。しかしながらODMの受託をする企業の中にはノートPCの受託や電子機器の受託を事業として公表しているところもあるため、電子機器製造業において多くの実績があると考えられるでしょう。

他の生産方式 OEMとは?

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OEMはOriginal Equipment Manufacturingの略であり、製造の工程を外部委託することを指します。OEMにおける受託者は委託者のブランドで製品を製造し、Original Equipment Manufacturerと呼ばれます。OEM生産方式では製品委託者が企画・設計と販売を担当します。ここではOEMのメリット・デメリットなどについて説明していきます。

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OEMのメリットは?

OEMのメリットとして委託者側の企業は自社製造キャパシティの不足を補いやすくなり、生産数の調整や季節変動への対応がしやすくなります。また製造工程を外部に移管・委託することで付加価値の高い企画・設計業務等に集中できます。加えて少ない資本でものづくりができるため、スタートアップの障壁が低くなることもメリットです。

受託者側の企業は技術・知識の提供や生産数の増加による収益アップが見込めます。また請け負う内容によっては自社のスキルアップ等が期待されます。

OEMのデメリットは?

OEMのデメリットとして製品の生産にかかるコストのコントロールが難しいことが挙げられます。これにより販売価格を想定より高く設定する必要が出てくるかもしれません。またOEM先が将来的に競争相手となる可能性もあるので注意が必要です。

加えて外部に業務を委託することにより、自社企画製品の模倣や他企業への情報漏えいのリスクがあることにも注意が必要です。

OEMの事例は?

OEMでは製造を委託していますから外観が同じ製品の供給からOEM生産方式を活用していることが伺えます。具体的には大手自動車メーカーの製品を中堅自動車メーカーが別ブランドとして販売するケースがあります。また家電品等にも同等品が別のメーカーの商品ラインナップを保管するために提供されることが数多く見られます。

ODMとOEM:選定のポイントは?

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ここまでODMとOEMの生産方式を比較してきました。ここでは委託方式選定のポイントを「コスト面」・「品質面」・「長期的な視点」の3点から説明していきます。選定は初期投資の面だけではなく、長期的に有効かどうかも合わせて検討することが重要です。

コスト面

コスト面としては初期投資として生産設備投資を検討します。また自社で生産した場合と外部委託した場合との人材の確保や自社のスキルアップについても検討します。次に製品生産時に発生する材料費や労務費ならびに経費が生産量の増減でどのように推移するか検討していきましょう。

品質面

品質面としては外部委託の対象となる設計品質と製造品質が挙げられます。自社で設計した場合と委託した場合の設計品質の違い、製造・生産を自社で行った場合と委託した場合との製品品質についても検討が必要です。自社で設計・製造する場合とODM・OEMを導入し業務を委託する場合とで検討を進めていきます。

長期的な視点

長期的な視点としては自社の中長期の戦略に適合するのか検討を進めていきます。具体的には設計や製造のノウハウを自社に蓄積すべきかどうかについて検討していきます。外部委託を行うことにより、自社製品の模倣や他企業への技術・情報の漏えい発生のリスクがありますので慎重に検討していきましょう。

場合によっては汎用製品のみを外部委託し重要な自社スキルに基づく部分は自社内で設計・製造することを検討したり、製品モジュール化による生産分業を検討することも大切です。

ODMとOEMの違いとは?メリットとデメリットをわかりやすく解説

ODM・OEMと似ているEMSとは?

EMSとは電子機器の受託生産を行うサービスを指しており、Electronics Manufacturing Serviceの略です。委託者は電子機器の設計を得意とする製造メーカーが中心で、IT系の生産形式に多い生産委託方式となります。受託者は大量発注いただいた製品をロット単位で生産を行い、納品していきます。

EMSの企業は東南アジア、特に台湾に多く存在しています。一部日本のメーカーもEMS受託を行っていますが、小規模生産に留まっています。

EMSとODMとの違い

EMSとODMとの大きな違いは各工程における受託者と委託者の関わり方です。EMSが設計から生産まで全ての工程を受託者が一貫して行うのに対して、ODMは各工程について受託者と委託者が相談・協力しながら行っていきます。

EMSとOEMとの違い

EMSとOEMとの大きな違いは請け負う内容にあります。EMSが設計・部品調達・製造・配送など生産過程だけでなく流通過程まで行うのに対して、OEMは委託者の設計に則り生産のみを行います。

EMSのメリットは?

EMSのメリットとして「新たな技術や知識を得ることができる」・「変化に素早く対応できる」・「コストの削減に繋がる」といった点が挙げられます。受託者側の企業はEMSにより他社の技術やノウハウ・新しい知識を得ることができます。

市場における需要の変化や製造における技術の向上スピードは早く、いつ製品が陳腐化するか分かりません。委託者側の企業が自社で生産を行うと市場の変化に合わせて設備投資を行う必要があり、時間を要します。ですが製品の生産を外部に委ねることで変化に素早く対応することができるのです。

EMSは受託者・委託者の両者にとってコストの削減に繋がります。受託者側の企業は部品の大量発注などにより調達コストの削減が可能です。また委託者側の企業であれば人件費や設備に割く費用を削減することができます。

EMSのデメリットは?

EMSのデメリットとして「品質管理の問題」・「トラブルが発生した際の解決に時間を要する」という点が挙げられます。EMSの場合、委託者が受託者側の環境や現場に対して指示等を出すことができません。そのため製品の品質管理についても委託者に委ねることになります。

また製品に問題があったとき責任の所在や対応をめぐり、委託者・受託者間でトラブルが発生する可能性を否定できません。これは両者にとって注意が必要なことです。

その他のブランド方式や生産方式

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ここまでODMとOEMとEMSの生産方式について説明してきました。この他にもニーズに合わせて多種多様な生産方式が存在しています。ここでは多くの生産方式からいくつか取り上げて紹介します。

小売・流通業 ナショナルブランド

ナショナルブランドとは主に小売業や流通業で用いられている言葉です。消費者が手にする商品をどの地域・店舗でも購入可能な状態になるよう流通網を含めて整備します。そのため大手食品メーカーの大量生産・大量販売に用いられていることが多いです。

具体的な例としてはカップ麺等のインスタント食品・調味料などが挙げられます。

小売・流通業 プライベートブランド

プライベートブランドは大手の卸売業や小売チェーン並びに食品系スーパーで用いられている言葉です。プライベートブランドはナショナルブランドとは異なり、地域や店舗こだわりの食材や味をベースに低価格帯の商品や高付加価値の自社商品を投入する際に用います。

販売時にはナショナルブランドとプライベートブランドを併売するケースが多く、製造工程は外部に委託することが多いです。具体的な例としてはコンビニエンスストアや大手食品系スーパーのレトルト商品等が挙げられます。

半導体チップ製造 ファウンドリ

半導体の製造にはクリーンルームの設備建設に非常に多額の投資が必要となります。また製造プロセスの微細化によりクリーンルームに求められる清浄度(クラス)はより高いものとなってきています。

半導体製造装置自体も高度化されていますので、半導体の製造は半導体メーカー1社だけで賄えない時代がきているのです。その影響により半導体製造を一括して受注生産できるファウンドリ企業が半導体製造の大半を占めています。

ファウンドリ企業は米国・中国・韓国・台湾等に点在していますが、現時点では台湾のTSMC社が市場の大半を占めています。

ODMのメリット・デメリットを理解し最適な生産方式を選定しましょう

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ODMでは設計・製造を外部委託しますのでスピーディーな製品の生産が可能となります。そのためブランド構築や販売に注力したい会社にお勧めの生産方式です。

しかしながらノウハウ流出や受託先の他社展開などの考慮すべきリスクが存在します。そのためODMの導入は慎重に検討する必要があります。

また生産方式はODMだけではありません。それぞれの生産方式のメリットとデメリットを考慮し、自社に適した生産方式を選択してください。

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