そもそもXMLとは?
XMLとは「Extensible Markup Language」の略称です。日本語では「拡張することができるマークアップ言語」と訳すことができます。ここでは、XMLの詳細や特徴、HTMLとの違いについて詳しく紹介しましょう。
XMLとは
XMLとは、文章の見た目の部分や構造を記述するためのマークアップ言語の1つです。なお、マークアップ言語とは、視覚表現や文章構造などを記述するための形式言語のことを指します。テキストファイルである場合が多いですが、バイナリデータのこともあります。 Webサイトを作成する際などによく登場するHTML・CSS・SVG・XHTML・XSLT・RFTなどもマークアップ言語といえるでしょう。
XMLを利用する大きな目的はデータのやりとりを簡単にすることです。また、記述の形式がわかりやすいという特徴があります。XMLは特定の企業などが提供している技術ではなく、標準化推進団体である「W3C」によるオープンな規格です。W3Cとは「World Wide Web Consortium」の略称で、Web技術の標準化を行っている非営利団体を指します。
XMLの3つの特徴
これまでにも説明しましたが、XML以外にもマークアップ言語には、HTMLやCSSなど多数あります。ここでは、XMLの特徴について3点紹介しましょう。
1.データの意味がわかりやすい XMLはデータのやりとりを容易にするために、幅広く用いられています。XMLの特徴の1つとしてデータの意味がわかりやすいことが挙げられます。データの意味に合わせて要素の名前を自由に定義することができるため、データの意味をわかりやすく目立たせることが可能です。XMLでは「タグ」と呼ばれる文字列を用います。なおタグとは、コンピュータ上に存在するテキストやファイルなどに目印をつけて整理するために用いられます。タグを用いて囲んで修飾を行う文字列である「<〇>文字列</〇>」の「〇」にあたる部分を要素名といいます。つまり、要素名が異なると、修飾を行う文字列の意味も異なることとなります。XMLでは、タグに用いる要素名を自由に定義できるという特徴もあります。したがって、データをわかりやく設定することができるのです。
2.拡張性が高い XMLは拡張性が高いことも特徴です。XMLは、アプリケーション間におけるデータの交換手段としても用いられる場合があります。要素名などのデータ構造を自由に定義を行えるため、データの整理にも向いているといえます。例えば、商品番号・商品の名前・価格などの要素名をXMLの文書のなかで定義し、データの文字列を要素名のタグで囲みます。データの構造をXMLを用いて記述を行うと、テキストベースで作成できるため、簡単にデータの交換ができ、データの格納が可能です。
3.さまざまなシステムへ適応している XMLの特徴の3つ目として、汎用性が高いことや情報共有がしやすいことも挙げられます。記述方法が世界標準で統一されていることから、データをXML化することでさまざまなシステムに適用することができるのです。そのため、情報共有や公開も簡単にすることができるでしょう。また、統一した形式でデータを格納を行えば、他の人がインターネットなどを通じて再利用することも可能です。
XMLとHTMLの違い
HTMLとは、「Hyper Text Markup Language」の略称で、基本的にWebサイトの構造などを作成するために使われるマークアップ言語のことです。一方XMLとは、SGMLを単純化した拡張性に優れたデータを記述するための用途で用いられることが多いマークアップ言語です。なお、SGMLとは「Standard Generalized Markup Language」の略称で、国際標準化機構であるISOによって定義されたマークアップ言語のことです。
電子出版物や大量の文書を効率的に活用するために、SGMLは1980年代に生まれました。しかし、仕様書の問題など実用的ではないため、幅広く普及するまでには至りませんでした。そのため、Web上の情報発信をより容易にするために、HTMLが生まれました。また、拡張性を向上させるために生まれたのがXMLです。
HTMLを用いる場合、比較的ルールが限られているため、初心者などでも容易に記述することができます。一方XMLでは、制限が多いため、記述の自由度があるというメリットはありますが、記述の際に時間を要する場合が多いでしょう。
XMLのメリットとデメリット
これまでにXMLの詳細や特徴、HTMLとの違いについて解説しました。ここからは、XMLのメリットとデメリットについて詳しく紹介しましょう。
XMLの3つのメリット
ここでは、XMLのメリットについて3つ紹介しましょう。
1.汎用性と拡張性が高い これまでにも説明しましたが、XMLのメリットの1つは汎用性と拡張性の高さです。データの内容によって、文字を修飾するタグを自由に定義することができます。さらにデータ構造も自由に変更できます。したがって、コンピュータやプログラムを用いて別のデータに変化することも容易に可能です。
2.再利用が可能 W3Cが策定した世界標準規格によって統一された記述方式であるため、さまざまなシステムで利用することができます。また、他の人がインターネットなどを通じて再利用することも可能です。さらに情報の共有や管理のしやすさもメリットといえるでしょう。近年は、社内のさまざまな情報を社内・社外問わず展開する必要性が高まっています。
3.アプリケーションに依存しない アプリケーションのデータ形式をXMLにすることで、タグ付けが行われているため、データ構造を柔軟に変更することが可能です。また、データが特定のアプリケーションなどの環境に依存しないことがメリットとして挙げられます。さらにテキスト形式であるため、人間でも文書の意味がわかりやすいこともメリットの1つです。例えば、csvやバイナリ形式を用いる場合、これらのメリットを活かすことはできません。
XMLの3つのデメリット
XMLのメリットは「汎用性や拡張性が高い」「再利用が可能」「アプリケーションに依存しない」ことが挙げられます。もちろんメリットだけではありません。ここでは、XMLのデメリットについて3つ紹介しましょう。
1.編集がしづらい XMLを使ってWeb制作を行う場合、XMLを学習する必要があります。また、画面上で完成図のイメージを自身の目で確認しながら編集作業を行いたい方も多いですが、XMLではそれができないため、ハードルが高いといわれることもあります。XMLを知らない方でも、簡単に編集することができるソフトウェアを提供することが、今後のメーカーにおける課題ともいえるでしょう。
2.コンピュータ処理の負荷が大きい XMLはタグで囲まれたデータフォーマットを用いているため、コンピュータ上で処理する場合には、タグを使っていないデータと比較すると処理対象のデータの容量は大きくなってしまいます。また、プログラム自体をタグを意識して開発しなければならないため、多くのCPUやメモリを消費する場合が多いです。一方、ハードウェアの性能を上げることや、データ容量やCPU性能を向上させることのできるクラウドサービスを用いることによって改善する場合もあります。
3.XMLを扱うことのできる技術者が少ない XMLは、コンピュータで自動的に処理することを前提としています。よってXMLで情報を扱うことは、同時にXMLを処理するシステムやプログラムを開発することにもつながります。しかし、XMLを扱う技術者は少ないのが現状です。具体的には、XMLのデータを設計する方やプログラミングを行う技術者だけではなく、XML化を行う上流工程に携わる人が少ないといわれています。
XMLの今後の展望
これまでに、XMLの詳細や特徴、HTMLとの違い、メリット・デメリットについて詳しく解説しました。XMLとは、文章の見た目の部分や構造を記述するためのマークアップ言語のことを指します。XMLの特徴は世界標準規格によって統一された記述方式であるため、汎用性や拡張性が高いことが挙げられます。これはメリットともいえるでしょう。一方で、「編集しづらい」「コンピュータへの負荷が大きい」「XMLを扱える技術者が少ない」といったデメリットもあります。
現在ではXMLを利用することを前提にWebサービス開発の議論が活発に行われています。Webサービスを普及させることを前提として、セキュリティやトランザクション、信頼性のような部分を構成する技術の整備も進められています。したがって、ビジネスの場面でXMLをどのように利用することによってメリットを引き出すことができるのかを考える段階となっています。今後としてXMLは、電子ドキュメントを利用する企業の発展に貢献することも考えられます。今後XMLは、電子ドキュメントを利用する企業の発展に貢献するマークアップ言語になるでしょう。
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