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外出自粛に商機あり!?VTuberエンジニアに聞く、VR市場の今と未来
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外出自粛に商機あり!?VTuberエンジニアに聞く、VR市場の今と未来

R.D.Sakamoto
2020.04.30

新型コロナウィルス禍で世界的に外出自粛が続くなか、リモートワークやオンライン講義、果てはオンライン飲み会など、自宅にいながらオンラインで過ごす機会が増えてきたのではないでしょうか?

今回お話を伺ったのは、引きこもりVtuberとしてYouTubeへの動画投稿を行う一方で、ソフトウェアエンジニアとしてのキャリアも歩み続けているゆーまさん。

彼は「外出自粛のこの状況はVR市場にとっては、商機となりうる」と語ります。その真意を根掘り葉掘り聞いてきました!

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VR空間からインタビューに応じてくださったゆーまさん。

外出自粛とVRは相性がいい!?キーワードは「一緒にいる感」

R.D.Sakamoto

ゆーまさんの生活において、新型コロナウィルス禍の影響ってなにかありましたか?

ゆーまさん

僕の場合は特に。開発も仕事も家でできるので大きな問題はないですね。

R.D.Sakamoto

それはなによりです!外出自粛や三密禁止が叫ばれる昨今、飲食や観光、娯楽市場への影響はニュースでも取り上げられている通りじゃないですか。 VR市場は大丈夫なんですか?

ゆーまさん

外出自粛の観点から言うと、VRってむしろ相性がいいと思います。

R.D.Sakamoto

相性がいい!?

ゆーまさん

外出自粛だとやっぱり孤独を感じるじゃないですか。「自宅に籠もりきりで寂しい」「誰かに会いたい」っていう感覚を持つ人は少なくないですよね。 そういった思いに対して、VRは自宅にいながらでも人と会う機会を提供できるんです。 その点で相性がいいと思っています。

R.D.Sakamoto

なるほど。でも、それってZoomとかTeamsみたいなウェブ会議ツールじゃだめなんですか?

ゆーまさん

いや、もちろんウェブ会議でもそういったニーズには答えられます。 でも、VRのほうがより「一緒にいる感」があるんですよね。

R.D.Sakamoto

確かに。互いの部屋からのウェブ会議じゃなくて、同じひとつのVR空間にいるっていうのはウェブ会議とはまた違った感覚ですね。

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VR空間であたかも目の前に立っているかのように見えるゆーまさん
ゆーまさん

あとは、容姿に関係なく会うことができるのも大きなメリットですね。 化粧をしたり身だしなみを整えなくてもいいですし。 こういったところにVRの需要が見いだせるのではないでしょうか。

R.D.Sakamoto

対面で他人に会うことが苦手な人にもマッチしそうですね。

成長の種が蒔かれているVR市場の今

R.D.Sakamoto

先ほどVRの需要って話にもなりましたけど、ぶっちゃけVR市場って盛り上がってるんですか?

ゆーまさん

そうですね。一概には言いかねますが、今はそのための種を蒔いている。準備期間にあるのは間違いないと思います。 例えば、不動産業界や観光業界でのVRの取り入れられ方としては、疑似体験によってイメージを膨らませるシミュレーションが盛り上がっています。

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「houseVR」不動産業界におけるVR利用事例 (引用: VRbouz株式会社)
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「ANA VIRTUAL TRIP」観光業界におけるVR利用事例 (引用: ANA VIRTUAL TRIP)
R.D.Sakamoto

確かに聞いたことある気がします!

ゆーまさん

他にも、VRChatなどのコミュニケーションツールや、スポーツやライブイベントなどの同一コンテンツを一緒に観戦・鑑賞できる興行系も盛んですね。先日には同人誌即売会がVRで行われたりもしました。 あとは、研修とかトレーニングの業界にも盛んに導入されています。なかには避難訓練の事例なんていうのもありましたね。

R.D.Sakamoto

避難訓練!?会社燃やしたり、地震起こして倒壊させたりするんですか?

ゆーまさん

そうです!

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反社会的クイズへの正解を示すゆーまさん
R.D.Sakamoto

(正解してしまった・・・)

ゆーまさん

そういうリアルだとできない、あるいはやりにくいことができるのはVRの強みのひとつなんですよね。 会社を燃やしたり、工事を失敗するなんて現実にはできないじゃないですか。 でもVRではゲームのように家にいながらこうした疑似体験をすることができるんです。 こういった実験やトレーニングの分野は既に非常に盛り上がっていて、それなりのお金も動いています。

VR市場の課題は「無い」と「重い」

R.D.Sakamoto

VR市場の今後が楽しみですね。 じゃあ逆にVR市場における課題ってなにかありますか?

ゆーまさん

まだみんなの家にVRが無いことですね。

R.D.Sakamoto

確かに。かくいう私も持っていません。 そもそも一般庶民にとってのVR機器って決して安くない値段なうえに大した使いみちもないイメージじゃないですか?加えて、ソフトウェアにしても総じて容量もメモリも食いません?

ゆーまさん

ソフトウェアについては、確かにちゃんとしたパソコンないと辛いですよね。 でもコンテンツとしてはいいものが出来てきているんですよ。 だから、かつて某企業がADSLモデムを無料配布したようなことをどこかの企業がVR機器でやってくれれば一気に発展するんじゃないですかね。

R.D.Sakamoto

なるほど。他にも課題ってあったりしますか?

ゆーまさん

あと、VR機器は物理的に重いです。

R.D.Sakamoto

重い・・・確かに重いと不便ですし、軽いに越したことは無いですけど、課題というほどのことでも無いのでは?

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ご丁寧にバツのフリップまでご用意していたゆーまさん
ゆーまさん

いや、女性の方とか首の力が弱い方が頭につけ続けるのはしんどいんです。それが長時間となるともっと辛い。 だからトレーニングとかでも10分くらいで終わるコンテンツじゃないと受講することすらままならない。

R.D.Sakamoto

なるほど。物理的に重いことでコンテンツ自体が制限されてしまうんですね。それは確かに課題だ。

先端技術に見るVR市場の未来

R.D.Sakamoto

そういえば、ゆーまさんはAndroid開発のエンジニアをされているそうですね。 AndroidやiOSといったモバイル領域とVRの組み合わせっていうのはまだ実現していないんですか? それができれば気軽にVRを導入できそうなものなんですが。

ゆーまさん

それは実はもうあるんですよ。それも結構な数が。 ただ没入感が高いクオリティの高いものとなると限られてきます。 クオリティの高いものがもっと広がれば、それこそおっしゃるとおり、VRがもっと身近なものになりうると思うんですけどね。

R.D.Sakamoto

なんでそれが実現できないんですかね?

ゆーまさん

要因はいくつかあると思うのですが、そのひとつは通信速度の遅さですね。 現在主流のPC接続型のヘッドマウントディスプレイは、VRの処理に対応したスペックの高いコンピュータが必要になるんですよ。 でもやっぱりヘッドマウントディスプレイとそういったコンピュータの両方を揃えるのって辛くないですか?

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身振り手振りをしながら説明するゆーまさん
R.D.Sakamoto

確かにめっちゃ辛い・・・

ゆーまさん

じゃあ、ヘッドマウントディスプレイ単独ならどうですか?

R.D.Sakamoto

あ!それならかろうじて手は届きそうですね!

ゆーまさん

そうですね。実際、Oculus Questなどはヘッドマウントディスプレイ単独でVRを楽しむことができるんですよ。 でもそれだと処理能力に限界があるから、クオリティにも同様に限界があるんです。 そこで、サーバーと通信して負荷の高い処理をサーバーに任せることができれば、負荷の高い高クオリティなVRでもヘッドマウントディスプレイ単独で体験できるようになると思います。

R.D.Sakamoto

なるほど。でもそれが通信速度とどう関係するんですか?

ゆーまさん

通信速度が遅いと、ラグが発生するんですよ。

R.D.Sakamoto

確かに!

ゆーまさん

そこで、例えば5Gなんかの導入が進んで通信が速くなれば、ラグが減少して体験の幅も質も向上することが期待できますよね。 加えて、先ほどの課題にもあげたVR機器の「重さ」についても、軽量化が期待できます。 5Gだけで実現できるかは分かりかねますが、そういった可能性は十分にあると思います。

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技術的な話も説明できるVtuberゆーまさん
R.D.Sakamoto

通信速度の遅さがVR機器の課題にもつながっていると。 こういった課題が解消されて気軽に扱うことができるようになれば、敷居が下がって、VR市場が一層盛り上がりそうですね。

ゆーまさん

そうですね。 あと話は変わりますが、将来的にはVRを作るエンジニアやクリエイター側の敷居も下がってくるはずです

R.D.Sakamoto

と、言いますと?

ゆーまさん

旧来はVRといえばUnityやUnreal Engineを使って開発していました。 でも今はVRの空間をGUIで簡単に作って共有できるサービスや、VR内で使ういろいろなアイテムを簡単に作れるサービスも登場しています。 将来的にはこうしたツールがもっと普及して、もっと簡単にVRを作れるようになってくると思います。

R.D.Sakamoto

なるほど。そうしたら、VR自体については将来的にはどうなっていくと思いますか?

ゆーまさん

バーチャルに没入してその世界に入るVRに加えて、拡張現実として現実世界に+αしていくARがありますよね。 それと、最近耳にする機会が増えてきたMR、複合現実なんていうのもあります。 そして、このMRが進んで、現実世界と仮想世界との境目が徐々に無くなってくるのかなと思っています。

R.D.Sakamoto

んん?つまりどういうことですか?

ゆーまさん

例えば、VRの仮想世界に椅子があって、そこに座ると現実の椅子に座れていたり、あるいは逆に現実世界で水に顔を突っ込むと別世界が広がったりするイメージでしょうか。

R.D.Sakamoto

それは凄いですね! そういうのが作れるようになるのは、とても面白そうですね。

ゆーまさん

こういう、自分の理想の世界を0から作れるっていうのがVR開発の面白いところです。 自分が生きていきたい世界を自分自身の手で作り、自分の理想の姿でそこで活動することができる。 それがVRの魅力かなと思います。

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ライター

R.D.Sakamoto
エストニアのソフトウェア開発法人OmusBridge OÜの代表取締役。日本ではフリーランスのパラレルワーカーとして、エンジニア・ICT講師・ライター業等に従事。SAP ERPコンサルタントのキャリアを経て、マネジメントやコーダーも担うWebフロントエンドエンジニアに転身した。よく使うフレームワークはVue系。NoCodeとA-Frameとp5.jsに興味有。馬肉の好きな部位はフタエゴ。
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