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黎明期の今がチャンス!?「VRデキルエンジニア」になるための最初の一歩
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黎明期の今がチャンス!?「VRデキルエンジニア」になるための最初の一歩

R.D.Sakamoto
2020.05.10

前回の記事で、VR市場の今と未来を俯瞰的に語ってくれたVtuberのゆーまさん。

外出自粛に商機あり!?VTuberエンジニアに聞く、VR市場の今と未来

今回は、そんなゆーまさんの「中の人」である熊澤秀道さんに、VR開発の始め方や、VRエンジニアとして市場で価値を発揮させるためのマインドなど、より実践的なVR開発についてあれこれ聞いてきました!

趣味が高じて掴んだVtuberドリーム

R.D.Sakamoto

あれ?前回の記事ではVRアバターだったはずのゆーまさんの姿が実写に!?

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VR空間でインタビューに答えるリアルVRアバターの熊澤さん
熊澤さん

いや。実はこの姿もVRアバターなんですよ。 リアルアバター制作の会社に依頼して、全身をキャプチャしてもらいました。

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「リアルアバター制作」リアルVRアバター制作事例 (引用: リアルアバター株式会社)
R.D.Sakamoto

こういうことしてくれる会社があるんですね!

熊澤さん

そのデータはVR上で動かすこともできるんですよ。 初音ミクのダンスのモーションで自分自身を動かしてみたりVRChatというソーシャルVRプラットフォームを楽しむこともできます。 趣味として純粋に楽しいんですよね。

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「VRChat」ソーシャルVRプラットフォーム事例 (引用: VRChat)
R.D.Sakamoto

確かにこれは面白そう。趣味としてのVR、アリですね! なんなら仕事にも繋がりそうですし。

熊澤さん

私見ですけど、VR開発を仕事でやっている人は、趣味でもVRやっているみたいな風潮はあると思っています。

R.D.Sakamoto

熊澤さん自身はいかがですか?

熊澤さん

私自身、今現在VRエンジニアとして働いているわけではないのですが、今の会社に行くことになったきっかけはVtuber活動にあったりしますね。

R.D.Sakamoto

そ、そんな夢みたいな話、実在するんですか!?

熊澤さん

Vtuberに興味を持ち始めて、自分でもやってみて、昨年には「僕のVtuber」という企画にも携わらせていただきました。 その後、ご縁があって今の会社に誘われて就職することになった感じです。 趣味が高じて仕事にまでなりました。

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硬い表情ながら身振り手振りはダイナミックな熊澤さん
R.D.Sakamoto

凄い!まさにVtuberドリームですね。

VRエンジニア市場は黎明期!第一人者になることも夢じゃない?

R.D.Sakamoto

少し視点を変えて、VRエンジニアの市場ってこの記事を読んでVR開発を始めようと思ったような方でも参入できるものなんでしょうか?

熊澤さん

そうですね。VRエンジニアの市場はまだ黎明期にあるから、参入できると思いますよ。 ここでいう黎明期は、パソコンに例えると「まだみんな自作だよね」っていう時代のことです。 メーカー製のものが広く普及する前という点では共通しているかと思います。

R.D.Sakamoto

まだ始まったばかりみたいな?

熊澤さん

そうですそうです。VRChat界隈が見てもらえればわかりやすいかなと思います。 メーカー製の出来合いのものを見せあうというよりは、使えるものを使って自分達でVRを作ってみて、それを見せ合うみたいな文化があるんですよね。

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VR空間の画面を操作しながら説明する熊澤さん
R.D.Sakamoto

じゃあ、今から始めても第一人者になれますかね?

熊澤さん

なれると言いきることはできませんが、その可能性は十分にある市場だと思いますよ。

R.D.Sakamoto

まじか。このインタビューを機に、VRデキルエンジニアを目指すのもいいかもしれない。

「VRデキル」は3Dモデルを作れることじゃない!?

R.D.Sakamoto

とはいえ、VRデキルエンジニアってどうすればなれるんですか? 3Dモデルやゲームの設計・開発で有名なUnity(Unity Technologies社が開発したゲームエンジン)とかUnreal Engine(Epic Games社が開発したゲームエンジン)を使いこなせるようになったら、VRデキルエンジニアを名乗っていいですか?

熊澤さん

うーん。どうですかね。 仮に「VRデキル」の範囲をVRの設計・開発に限ったとしても、「VRデキル」ようになるために必要なスキルっていうのは、それだけじゃないと思うんですよね。

R.D.Sakamoto

それってどういうことですか? UnityマスターUnreal Engineマスターになれば、VRデキルエンジニアってわけじゃないんですか?

熊澤さん

もちろん各々のツールの習熟も立派なスキルであることは間違いないんですけど、ツールが使えるか使えないかってだけの話じゃないってことですね。

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説明に熱が入って前のめりな熊澤さん
熊澤さん

具体例を挙げると、VR酔い対策のノウハウや、業界や用途に応じたVRの使い方の理解も立派なスキルになります。 また、観光のシミュレーションと研修とe-sportsの観戦とでは、VRを利用する目的が違いますよね?

R.D.Sakamoto

確かに!

熊澤さん

観光のシミュレーションではVRを通した疑似体験からユーザのイメージを膨らませ、研修ではVR空間でプロの動きを間近で見せることでユーザの成長を支援します。 e-sportsの観戦は、「一緒にいる感」をユーザに持ってもらうことが大切になってきます。 「こういう体験をユーザにしてもらうためには、こういうふうにVRを使う必要があるよね」ということが提案できると、クライアントにとって心強いです。

R.D.Sakamoto

エンジニアリングの能力だけでなく、ユースケースに応じた使い方への理解も大事と。

熊澤さん

そうです!そのためにもクライアントの業界への理解が必要になります。 逆を言えば、VR開発は今までのソフトウェア開発よりも、技術×体験を提供できないとやっていきづらいと言えるかもしれません。 また、こうしたユースケースの差異は、ユーザ体験の差異に繋がり、VR開発の差異にも繋がってきます。 場合によっては、VRじゃなくてARやMRで、あるいはスマホアプリとして実装すべきといった切り分けが求められるなんてこともあります。

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密な熊澤さん。VRだからソーシャルディスタンスは大丈夫。
R.D.Sakamoto

なるほど。柔軟に対応できるようにしないとですね。

はじめの一歩は作ることじゃなくて遊んでみること

R.D.Sakamoto

とはいえ、いきなり業界知識つけるのは流石に難しいので、やはり教本片手にUnityとかUnreal Engineを触ってみるのが最初にやるべきことになるんですかね?

熊澤さん

いや。それは最初じゃないと思いますよ。

R.D.Sakamoto

え?違うんですか? じゃあ何になるんですか?

熊澤さん

最初は、Oculus Questなどのヘッドマウントディスプレイを買って、VRで遊んでみることだと思っています。

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「Oculus Quest」PC接続なしにVRを体験できるヘッドマウントディスプレイ (引用: Oculus Quest)
熊澤さん

まずは、兎にも角にも触ってみて、VRの世界の可能性を感じてもらいたいですね。 実際に触ってみることで、楽しさと不便さも実感することができるはずです。 そうすれば、「今、VRでできていること」「今後、VRが解決していく課題」を認識できると思います。

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ピコピコハンマーというアイテムを片手に語る熊澤さん
R.D.Sakamoto

なるほど。モチベーションがあがるだけじゃなくて、開発のためのマインドも養えそうですね。

熊澤さん

そうです。その後に作り始めるかと思うんですが、その際には小さいものからすぐにアウトプットしていくのが大事と考えています。 やっぱり、でかいものは作ろうとすると時間がかかるんです。 VRChatなどで多くの人に使ってもらえる アイテムなんかを作るといいんじゃないでしょうか?

R.D.Sakamoto

確かに。大きなものを作ろうとして挫折するのは個人開発あるあるな気がします。 ちなみに、作る際にはUnityがいいとかUnreal Engineがいいとかあるんですか?

熊澤さん

私はUnityを使っていますね。 Unityの方が初心者向けのものが色々あって、情報も多かったので。 でも最近ではUnreal Engineも使いやすいとも聞くので、結局のところ好き好きでいいと思います。

R.D.Sakamoto

確かに。 「ソフトウェアエンジニアがテキストエディタとして何を使うか」って話と似ているかもしれませんね。

熊澤さん

あとは、VR系のハッカソンに参加したりコミュニティに所属してみるのもいいですね。 こういうのはググってみたりTwitterで探してみるとすぐに見つかると思います。

R.D.Sakamoto

お。「VR開発 コミュニティ」でググってみたら確かに。 DiscordとかニコニコとかSlackがありそう。よりどりみどりですね。

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「VR開発 コミュニティ」の検索結果件数は6,650,000件。マッチするコミュニティに参加してみては?
熊澤さん

お互いに公開しあって、相互にモチベーションあげていっているようなので、モチベーション上がらないなんてときには利用してみると良いんじゃないでしょうか。

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緊急事態宣言の延長が決まり、引き続き外出自粛が求められる昨今。

これを機に、新型コロナウイルスのいないVRの世界に足を踏み出してみてはいかがでしょうか?

ライター

R.D.Sakamoto
エストニアのソフトウェア開発法人OmusBridge OÜの代表取締役。日本ではフリーランスのパラレルワーカーとして、エンジニア・ICT講師・ライター業等に従事。SAP ERPコンサルタントのキャリアを経て、マネジメントやコーダーも担うWebフロントエンドエンジニアに転身した。よく使うフレームワークはVue系。NoCodeとA-Frameとp5.jsに興味有。馬肉の好きな部位はフタエゴ。
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